ここしばらく、野球界を騒がせている、西武・大久保前コーチの不適切問題ですが、一応の球団からの処分が決定。概ね、既報に基づいた結果となりました。
報道の字面だけ見ていると、
〔西武・渡辺監督「デーブ守れず情けない」/sanspo.com〕
〔大久保前コーチ、解雇は不当!訴えてやる!/スポーツ報知〕
「アーリーワークの半強制や私的(?)な罰金制度」→不満を持った一部選手が選手会に相談→選手会が球団に報告→大久保、一部選手(雄星?)に暴行
という流れになるようですが、ここまでの報道が全面的に真実だとしても、若干の虚実が混ざっているとしても、色々とツッコミ所はあって、まず、西武球団が最終的に問題視したのは、あくまでも、密告者に対する、練習外の暴力行為のみ、とおぼしき事。勿論それは問題なのですが、1コーチ主導の私的な罰金制度はありなのか? それとも、選手会から問題提起されるまでは、球団として容認していたのか? チームぐるみの罰金制度だとすればそれはチームの方針としてありかもしれませんが、報道および処分の仕方とは矛盾しますし、とはいえ、球団がまるっきり知らなかった、というのも眉唾だなとは思います。如何にも、その辺りに深く突っ込まれたくない雰囲気を含めて。
それと関連して、ずーっと引っかかっているのですが、
2軍監督は何をしていたのか?
一連の報道の中で、ほとんどこの2軍監督の存在について触れられないわけですが、「アーリーワークの半強制参加」にしても「私的(?)な罰金制度」にしても、ある種の越権行為だと思われるのですが、打撃コーチは打撃しか見ない、というほど杓子定規でないにしても、特に監督と投手コーチ、その他のコーチ陣は何をしていたのか? 1軍監督と仲良しの大久保に、誰も何も言えなかったという事なのか?
罰金そのものに関しては、良し悪しさておき、例えば、『巨人−阪神論』で「当時の巨人は、カウント2−0からヒットを打たれると罰金なんですよ」と江川卓が語っているように、時代時代、あちこちでチームとしてのローカル罰金ルールみたいな物はあったりするのでしょうが、報道通り「試合での見逃し三振」にも罰金を課していたというのなら、私的であれば明らかな越権であるし、逆説的に、実際の試合に関わる話で監督が認知していないというのも有り得ないかと思うのですが、その辺りの不透明さも、首をひねる所。
2軍監督が認知して事ここに至るまで放置していたなら責任者として何らかの処分があってもとは思うし、本当に認知していなかったのなら単なる無能だし、どちらにせよ、問題あり。それとも、これから何か処分出るのでしょうか?
という辺りを踏まえた上で、渡辺久信が本当に2軍の状況を知らないで、「デーブだけ悪者にして終わりにしようとしているけど、2軍のスタッフは何してたの?」と言うのなら、こういう発言が出てくるのも、わからないでもありません。
本当に何も知らなかったならですが。
「実際に調査を見ていないし、どういう真相か分からないから、コメントしにくい部分がある。俺は何も分からない状態で、球団から連絡があったということ。監督という立場は、選手や下にいるコーチも守らないといけない。デーブを守れなかったことに関しては、情けないと思う」
後これ、2軍監督への皮肉、と取れない事もない。
……まあそれはそれで、西武の1軍と2軍の連携はどうなっているのか、という話になるわけですけれど、イースタンリーグでぶっちぎりの最下位のチームとそのスタッフ、と言ってしまえばそういう話かもしれませんが。
ただまあ、デーブの前に選手を守れ、とは皆思う正しい所かと思います。
どこをどう開いても、派閥臭しかしない感じ。
で、暗に球団の調査への不審というか批判しているわけですが、大久保も噴き上がっているみたいですし、内部調査で済ませないで、もっと大きな問題にした方が、野球界の自浄を促す、という面において良いのかもしれません。
基本、体育会系的パワハラ体質であろう中において、選手→選手会→球団、と話があがったという事は、相当な事が起きていた、と想像できますし。まあ、西武も傷を負いたくないし、他球団も飛び火を嫌がって及び腰になりそうな気もしますが、いっそ大久保が壮絶な花火を打ち上げてくれると、逆に面白いかもしれません。
西武も、黄金期の主力がほとんど皆、逃げ出しちゃうようなチームなので、色々と根深い疾病がありそうな球団ですが。
で、一夜明けて、大久保が打ち上げの準備を始めた模様。
この件はもう、徹底的に揉めて、色々出てきたら良いのでは、と思う。
〔西武解雇デーブ反論「罰金は選手間で決めた」/sanspo.com〕
〔デーブ前コーチ反論「罰金取ったことない」/スポニチアネックス〕
揉めている部分以外でも、本人達が問題だと思ってない事が、世間一般では充分に問題だ、という事を認識する機会になったりもしそうですし。