- 作者: 有川浩
- 出版社/メーカー: メディアワークス
- 発売日: 2006/09/11
- メディア: 単行本
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図書防衛隊のスペシャルフォースとして、一歩ずつ進んでいく主人公・笠原郁の前に、新たな問題が立ちふさがる。その名を、親の職場訪問。危険な防衛隊所属である事を親に言えずにいる郁は、果たして無事に誤魔化し通す事が出来るのか?!
というエピソードを冒頭に、小牧教官が良化委員会の陰謀に巻き込まれたり、手塚の兄が登場したりと、バラエティ豊かに展開。
いや、面白かったです。第1作より、かなり評価上昇。
前作の好評を受けての続刊という事で、書ける事の振り幅が広がったというのもあるのでしょうが、読み物としての密度も濃くなっていて、そこをまず何より評価。前作がある程度、図書隊vs良化委員会、という世界観の提示を優先せざるを得ず、そこに青春物のフォーマット的なものを乗せていくという形式だったのに比べると、提示した世界観の中で物語とキャラがしっかりと動き出しており、楽しく読めました。
各キャラの背景や内面に触れる連作短編的なエピソードを展開しておいて、それがしっかりと一つの長編として機能する構成も秀逸。また、作中ある人物の口より「外国から見れば内乱状態」と語らせる事により、前作で意図的に省いていたと思われる俯瞰的な視点が加わり、世界の奥行きが広がりました。
あと、更に続刊の第3作『図書館危機』を読んでいる途中で、この2作目以降、妙に好感を持って読めるのは何故だろう……という疑問に対する回答に気が付いたのですが、この作品、やたらに“いい男度”が高いです(笑) ヒーローポジションの堂上教官はもとより、本性を出した小牧教官に加えて、完全に意外な所で手塚。実は、“いい男”好き向けのシリーズなのかもしれない。あ、玄田隊長もね。