はてなダイアリーのサービス終了にともなう、旧「ものかきの繰り言」の記事保管用ブログ。また、旧ダイアリー記事にアクセスされた場合、こちらにリダイレクトされています。旧ダイアリーからインポートしたそのままの状態の為、過去記事は読みやすいように徐々に手直し予定。
 現在活動中のブログはこちら→ 〔ものかきの繰り言2023〕
 特撮作品の感想は、順次こちらにHTML形式でまとめています→ 〔特撮感想まとめ部屋〕 (※移転しました)

『翠星のガルガンティア』2話感想

前回ラストでロボットを起動させた主人公に対し、それを取り囲む船団側の、対比する“この世界のロボット”がすぐに出てくる所が素晴らしい。
この対比構造を描くという所が、とても大事。
私は分解屋なので、こういう、歪みのないピースが繋がっていくのを見るのは、凄く気持ちがいい。
OP映像は、海と空を中心にし、それから宇宙の暗示と、これもよく出来ています。
「宇宙から落ちた主人公が、海で新たな人生を見つけ、その道が再び宇宙へ繋がっていく」というと名作SF『海底牧場』(アーサー・C・クラーク)のプロットを思い浮かべるのですが、それがどう、というわけではなく、なんというか、全体としてSFの魂を感じるのもいい所。
ロボットを通じて交渉を行うも、状況は膠着状態に。
その間、
ヒロインは仕事に戻り、市場はいつも通り、人々の日常は続いている。
ここが、カメラの切り替えも鮮やかで、凄く良い。
私が富野ファンなのでそう見てしまう所はあるかと思いますが、この、劇の焦点と隣接しながらも、舞台の中心以外で、舞台袖は生活の為に回り続ける、それが大事なんだ、というのは、実に後期富野(いわゆる白富野)テイスト。
富野演出の表層をなぞっている作品は色々ありますが、今作は、富野演出の心を汲み取っている気がします。
主人公側と船団側がそれぞれ対応を練り(ここで、主人公側にロボットと人間の見解の相違を描いている所も巧い)、やがて夜になって、ヒロインが折衝役を買って出る。
主人公の前に歩み出たヒロインが箱から取り出したのは……魚の開き(干物?)。
素晴らしい。
理解に向けてのコミュニケーションを食事ではかろうとするのも(食性が同一ないし近似であるという事の、心理的安心感は非常に重要)、それに対する主人公のリアクションも、食事をするという事も、合理的な筋の中で軽いユーモアも交えつつ、異文化の相違と相似が非常に巧みに盛り込まれており、実にお見事。
ここまでとにかく素晴らしかった。
で、惜しい。
最後に海賊と戦闘してしまったのが、非常に惜しい。
出来れば最後まで戦闘無しで主人公が船団に受け入れられる所まで描ければ、完璧でした。
まあ、さすがに無理か。というか、そういう訳にもいかないか。TVアニメーションの時間制限もろもろを考えれば、“事件”は起こさざるを得ないとしても、ここまでの完成度と流れだったら、戦闘以外のアクシデントを解決する形で……というのも見たかったです。
あまり言うと、それならロボットアニメでなくいいじゃないか、という話になってしまうのですが、その上でロボットアニメを成立させるような荒技を見たかったなぁというか、要するに私はそういう見果てぬ夢を見たいのです。そこまでのものを期待させてくれる、素晴らしい2話でした。
まあ、派手にやりすぎたので次回すんなりと船団に受け入れられるとも限りませんし、その辺りの含みを物語の中で使っていくのだろうとは思われますが。
一気に評価が上がりました。かなり期待。
もしかしたら今作は、『∀ガンダム』と『オーバーマン・キングゲイナー』の後継作品になるかもしれない。
(※ところで、上層部の話し合いで割と唐突におじさんの一人が「お礼参り」という単語を口にするのですが、これを『キングゲイナー』オマージュとみるのは、さすがに穿ちすぎかなぁ。我ながらさすがに過剰反応しすぎだとは思うのですが(笑))