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『宇宙兄弟』(小山宙哉)9巻、読了

遂に宇宙に上がった日々人が月で遭遇したトラブルをメインに描かれた今巻、非常に面白かった。
何というかやっぱり、SFは魂だなぁ。
この言い方は良くないと毎度思う(そして毎度こうやって言い訳している気がする)のですが、この、魂、という他ないものを、とうとうこのマンガから感じる事が出来たのは、実に嬉しい。
もちろん、舞台が月面、という要素はあるのですが、では地球上でSFできないかといえばそんな事はなく、問題はマインドなのです。
正直なところ、『宇宙兄弟』にはあまりSFを感じなかったというか、枠組みはSFなのだけど、その中で展開する物語は決してSFしていない、という事に若干の物足りなさを感じていたのですが(但しマンガとしてのバランスを考えた時、過度にSFしてマニアックになるよりは、このマンガのこれまでは正解だったと思う)、この巻で『宇宙兄弟』は、SFになった、と思う。
これは丁度、2巻までSFしていた『プラネテス』(幸村誠)が、3巻以降SFしなくなってしまったのと対照的な体験、個人的に。
今後どういう展開になるかはわかりませんが、8巻〜9巻にかけての月面でのエピソードは、このマンガがSFしてくれた、それも最盛期のクラークの短編を思わせるような、良質のSFを読ませてくれた、という点において、記憶したい。