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大トミノ祭:延長戦カムヒヤ

結局、二ヶ月目に延長戦。色々見ていたら、『ダイターン3』が終わらなかったんですもの……。
◆18話「銀河に消えた男」
火星のメガノイドを裏切って逃げ出した男・ミナモトを追い、新型メガノイド・スペシャル1号が、地球へと現れる。ミナモトからの救難信号を受けて救出へ赴いた万丈だが、敵の罠にはまってしまう……。
非常に欲望の面で人間くさいメガノイド・コマンダー達にコロスさんもやはり問題を感じていたのか、ドン・サウザーの命令にひたすら忠実な、新型メガノイドが登場。人体を改造したサイボーグであるメガボーグよりも、ロボットに近いというスペシャル1号は任務に忠実、頭脳も優秀。ただしドン(コロス)の命令に対する遵守機能が強すぎる、という欠陥あり。
ゲストキャラであるミナモトは、万丈達の過去を知る重要人物。万丈の父・破嵐創造こそが、宇宙開発の為に、メガノイドの原型となったサイボーグを開発していたという事が明かされる。
結果としてメガノイドの誕生は人類の悪夢となったが、しかし創造博士の目指した人類の希望としてのサイボーグ開発は間違っていなかったと信じるミナモトは、火星でサイボーグの研究を続け、その為にメガノイドに重用されてもいた。しかし、新たなメガノイド・スペシャルの開発に携わった事から、その恐ろしさを万丈に伝えるべく、火星を脱走。本作の背景が語られると共に、科学とその発展の二面性を体現するキャラとして、ミナモトは登場。
スペシャル1号はスペシャルらしく、ダイターンと激戦を演じ、最後は金色に光る超パワーで、サンアタックを受けながらも、ダイターンの脚部を破壊。与えられた任務の為には自らの死をもいとわない、という今までのメガノイドにはあまり無かった部分が描かれます。
スペシャル1号の奮戦もあり、デスバトルにさらわれていくミナモト……このまま火星に連れていかれてしまうのかと思いきや、ラストでまさかの、銃乱射によるソルジャー皆殺し。そしてメガノイドと人間との争いに疲れ果てた彼は、戦いを万丈へと託し、メガノイドの手の届かない、宇宙の彼方へと、そのまま飛び去っていく……。
ダイターンの損傷によりデスバトルを追えなかった万丈は、空を見上げながら、かつて火星から自分を脱出させる為に戦ってくれたミナモトの姿を思う……としんみりとしたオチ。
やたらにミナモトを気遣う万丈、二人の過去に何があったのか、が最後の最後に明かされるというのが筋としてはいい所。
ところで、敵コマンダーと万丈がミナモトを巡って争い、「ミナモトを捕まえろ!」「ミナモトさんは渡さない!」など連呼しているのに何か妙なデジャヴがあるなと思ったら、『絶対可憐チルドレン』(椎名高志)だ(笑)
◆19話「地球ぶったぎり作戦」
ビューティの父の頼みで、観光船で月へと向かった万丈一行。ところが月面には、地球を目指す途中でエンジントラブルにより不時着したメガノイドが居た。修理部品を探すコマンダーにより、巨大メカの磁力装置に引きつけられてしまう観光船だが……。
地球を一周するような、巨大な金属鋸刃を用いて地球を真っ二つにしようというとんでもな作戦、敵は駄目コマンダー・バンチャーと、駄目ソルジャー・デガラシとドビンという、名前からしてお笑い一直線の3人組と、おふざけ要素の強い回と思いきや、思わぬ名作回。
弱気で頼りないコマンダー・バンチャーを本当は始末したいのだけど、ドンが許可してくれないので、呆れながら怒るコロスさんがやたらに可愛い。
ソルジャーが万丈とバンチャーを呼び間違える天丼ネタなど、間抜けなやり取りで笑いを取りにいく展開で前半は万丈サイドの動きもコミカル要素が強いものの、月へ呼ばれたダイターン3を、磁力装置と万丈らの叫び声で取り合う(ここはギャグ)展開から一変。
ダイターン3の奪取に成功したバンチャーは、「俺は初めて男同士の戦いに勝った」(転機となるこの台詞が実にいい)と顔のシリアス度が上昇。表情の変化と共に、台詞回しも変えてくる辺りが実に巧い。自信をつけて一皮剥けるとともに、自分たちは見捨てられるのではと言う駄目な部下二人に「例えこの成功で部下が増えてもお前達を見捨てることはない。3人でいい夢を見よう」的に盛り上がる。しかしこの後、見ていてビックリするほど、あっさりと万丈に倒されるソルジャー二人。ここで引っ張りすぎないのも秀逸。
バンチャーは復讐に燃えてメガボーグに変身。

「メガノイドの中でもクズだった俺達3人を」
「なに?!」
「その可愛い二人の仲間を、貴様ぁ!」

人間の心を持たない筈のメガノイドが、怒りと共に涙を流して襲いかかってくる事に戸惑う万丈。しかし結局はザンバーで切り伏せる。
「わかったぞ……あれだけの凄い武器を作りながら、おまえにソルジャーがたった二人しか与えられなかったわけがな」
仁王立ちするダイターン3→背後で爆発するバンチャー→ダイターン3の顔のアップ。
「たった二人のソルジャーの為に戦えるコマンダーなぞ、メガノイドのクズだよ」
ラスト、月面に3人の墓石を立てる万丈。仲間達から、あんなやつらにそんな事する事ないのに、と言われ「あはは」と肩をすくめて、それ以上は語らない所がまた、素晴らしい。
ここまで積み上げてきた物語性を見事にドラマとして組み上げた、『ダイターン3』という作品の持つ要素を活かしきった名品。
万丈のやるせなさと共に、ラストで、コロスがバンチャーを始末したかった“本当の理由”が語られている所がまた、絶妙。
星山さん脚本回なのですが、改めて、星山博之という脚本家は、もっと評価されていいと思う。富野監督と組んだ時に限った話ではなく。
◆20話「コロスは殺せない」
万丈、遂にコロスとまみえる。
コロスの使う、南京球簾みたいな謎の武器が格好いい。
コロスに人質にとられたビューティを前に、
「ビューティ、すまない。僕はビューティを助け、コロスを倒せるほど、格好良くは出来てはいない」
という、有名な(?)台詞の回。
コロスの補強話であると共に、万丈と仲間達の繋がりの話なのですが、その裏で3段仕掛けで囮作戦を行っているギャリソン、悪魔。
ところで、著書『映像の原則−改訂版−』で富野監督は


キャラクターの服装が同じなのは、アニメでは変えてはいけないことだったからです。
いろいろなアニメーターが描かなければならないキャラクターの服装を変えたりしたら、そのキャラクターが同じキャラクターに見えなくなってしまう危険があったからです。ですから、髪型を変えることなどはもってのほかなのです。
(中略)
これを是正する方法は、発見されていないのですが、ぼくはこれにチャレンジする機会を手に入れて試してみたことがあります。
1999年から2000年にかけてオンエアされた『∀ガンダム』という作品で、同じキャラクターでも服装や髪型を変えてみましたが、現在のアニメーターの技量は、TVシリーズでもそれを表現できるところまできたと確認できました。
もちろん、キャラクター・デザインそのものも昔のレベルと違うからでもあるのですが、演出的にも配慮もしたつもりですので、作品全体が柔らかくなったという印象があって、演出家としては大変嬉しい結果でした。 
と書いているのですが、実は割と今作では、万丈達の服装が替わります。今回はそれが伏線でしたが、監督の中で『ダイターン3』では演出的にあまり上手くいかなかったイメージで、いつか再挑戦したかったという事なのかな。