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『特警ウィンスペクター』感想21

◆第35話「母と子のSOS!」◆ (監督:小笠原猛 脚本:宮下隼一)
爽やかな笑顔で「やっぱり海はいいな」とパトロールをさぼっていた竜馬は、埠頭で手旗信号の練習をしている少年と出会う……が、逃げられる。家への帰り道、轢き逃げ事件を目撃するその少年、関口タカシ。少年は母親に轢き逃げの目撃を告げて警察へ連絡してもらおうとするが、少年が目撃した轢き逃げ犯が雑誌で見た事のある顔……開北中学理事長の息子、柴田タツヒコであった事から、事件は不穏な展開を見せる……。
タカシ少年へ事故を目撃した事を黙ってるように言った母は、開北中学へと電話。タツヒコの母親に、目撃証言を黙っている代わりに、息子を開北中学へ入学させるように、と裏取引を持ちかける……。
3年前に父親が死亡し、母子家庭の関口家。
「お母さんは隆の事を思えばこそ」「あの人のようには……お父さんのような人生だけは歩かせたくないのよ」「安い給料で使われた挙げ句に、海の藻屑……」自分を懸命に育ててくれた母の期待に応えようと受験勉強に精を出すタカシ少年であったが、本心では父に憧れ、いつか父のような海の男になりたいと思っていた。
「海は正直だ。だから人間も海の前では嘘をつけない」という父の言葉を胸に、母の行動が何かおかしいとは思うものの、母親を思うが故に黙っている事しか出来ないタカシ少年。
一方、柴田家の母は息子の轢き逃げを躊躇わずに揉み消そうとし、典型的な駄目ボンボンである息子タツヒコも、それが当然だと思っていた。
と、二つの家庭が対比されながら、二人の母親の歪んだ愛情と欲望が交錯するという、渋い展開。
両家への聞き込みなどから「当たってほしくない嫌な像像だが」と、事件の裏の構図をピタリと推測した竜馬の重ねての説得にも口を開かないタカシ少年だったが、脅迫の根を断とうと変装したタツヒコが少年をさらう。
母が送迎用に使う車を借り、サングラスに付け髭の変装で個別面接と偽ってタカシを廃ビルに連れ込んだタツヒコは、睡眠薬を嗅がせた上で時限爆弾を仕掛ける。
「遊びに入ったおまえが瓦礫の下敷きになった所で誰も怪しまないんだ」
怪 し む よ (笑)
せめてレンタカー……!
ところが薬の嗅がせ方が悪かったのか、途中で目を醒ましたタカシ少年がタツヒコに体当たり。爆弾が暴発し、ビル内に閉じこめられる二人。まだ多数の爆弾が仕掛けれた部屋で助けを求めるべく、お守りとして持っていた紅白の旗で、窓から手旗信号を送る少年。それにウォルターが気づき、特警が駆けつける。
救出に向かうパトカーの中で母は竜馬に全てを白状。竜馬は彼女に、タカシがこっそりと手旗信号を練習している事などを話し、母親は自分がいつの間にか、本当の息子の気持ちをわかってやれなくなっていた事に気付く……。
ラストは割とさくっと救出した割には、ビルは意外と大爆発。
相変わらずちょっとお金持っていると、高性能爆弾がその辺りで(?)買えてしまう『ウィンスペクター』世界。
こうしてタツヒコは逮捕。純子と一緒に居る母を見て、警察に証言をしなかったのは僕が言い出した、と母をかばう少年は最後の最後までやたらにいい子。こうして親子は本当の絆を取り戻し、去っていく。
「どうも、ご迷惑をおかけしました。これで失礼します」
轢き逃げされた少女も意識を取り戻したという連絡が入り、大・団・円。



……



…………



………………



そんな事で済むかぁ!!
法 治 社 会(というか『ウィンスペクター』世界) はそんなに甘くない


恐喝は確定として、犯人隠匿とかは成立するのかなぁ……善意の第三者が善意を発揮せずに証言しなかった場合、犯罪に成り得ないような気もしますが、それが個人的利益と密接に絡んでいる以上、犯罪教唆と絡めて適用されうるかもしれない。2000歩譲って竜馬さんが腹に収めたとしても、タツヒコの轢き逃げと殺人未遂の裁判中に、間違いなくこの話題出るので、逃げ場はありません。執行猶予ぐらいはつくかもしれませんが……まあ、地元には居られなくなるだろうなぁ……あ、なんか小学生の子供が居るだけに、洒落抜きできついぞ今回(^^;


◆第36話「バイクルのパパ」◆ (監督:小笠原猛 脚本:鷺山京子)
ある夜、特警本部で待機中だった筈のバイクルが動き出し、銀行を襲撃して何故かその金を街中でばらまくという事案が発生。事件の間の記憶が全くないバイクルだったが、そこへ一本の電話が掛かってくる。今の特警のシステムには欠陥があり、自分の作ったシステムに変更しない限り、再びバイクルに破壊活動を行わせるというのだ――。
電話の主は、荒井博士。かつて特警発足時にサポートロイドの設計プレゼンで朝比奈博士と争い、最終的に敗れた人物だった。
その陰には、全てを完璧に計算し尽くす荒井の「純粋機能システム」に対し、プロジェクトに関わっていた技術者である西田(名古屋弁)が「心が無かったら、命とはいえんがね」と、そのあまりに余裕の無い設計に反対、それを受けた正木が朝比奈案を支持した、という背景があった。
西田はその後バイクルの組み立てを担当するが、高血圧で倒れ、完成寸前に退職。今は故郷の名古屋でバイク店を経営していたが、「バイクル暴走」のニュースを見て、東京へと上京してくる。
西田を演ずるのは、篠田薫(バイクルの声優)。故に、バイクルの声の人がバイクルに話しかけるという、なんだか不思議状況。
荒井の逮捕へと向かう特警。バイクルは万が一を考え、野々山によって手枷足枷をはめられるが……一時的に機能凍結とか、いっそ腕の部品を外すとか、もっとましな対策が幾らでもあるような……。
既にもぬけのからであった荒井の家は爆発。荒井は特警からの要求拒否である、とバイクルに仕込んでいた時限プログラムを作動させ、バイクルはあっさりと手枷足枷を外すと、野々山を投げ飛ばして外へ出ていく。バイクルによるコンビナート爆破を阻止しようと駆けつける竜馬とウォルターだが、バイクルの通信波を研究した荒井がリモコンから放つ謎の電波によりウォルターは火花をあげ、竜馬はパトカーに拒否られる。
そこへ駆けつける、西田・正木・純子。
西田はバイクルに呼びかけ、手製のリモコンを作動させると、バイクルは正気を取り戻す。しかし荒井がリモコンの出力を上げるとバイクルは再び荒井の支配下に入ってしまい……いい年したおっさんによるリモコン合戦という凄く面白くない絵が展開(笑)
ギャラリーの皆、その間に、さっさと荒井を捕まえてください(笑) ただの中年なんだから(笑)
お互いのリモコンが出力を上げた事で相反する電波干渉が強くなり、煙を噴き上げるバイクル。苦しむバイクルの様子に耐えかねた西田はリモコンを投げ捨ててしまい、荒井の支配下に収まったバイクルはバイスピアを西田に向けて振り上げる! リモコンを拾い、その前に立ちはだかる竜馬。
「バイクル、これを見ろ!」
西田はなぜリモコンを捨てたのか、それは苦しむおまえの身を心配したからだ……と、竜馬さん、まさかの大岡裁き
竜馬、そして西田の言葉に今度こそ正気を取り戻したバイクルは、荒井のリモコンを破壊。追い詰められた荒井は、結局自分でコンビナートを爆破するが、純子に逮捕され、工場地帯の人々も無事に特警によって救出される。
うーん……どこかで見たような工場と、要救助対象なのですが、まるまる使い回し、という事は無いよなぁ……ロケ地の都合で同じような場所が頻繁に爆発するのは仕方ないとして、女性事務員の制服が以前に工場が爆発した時とまるで同じ気がするのは気になる(^^;
ロールアウト前のメモリーに残っていた記憶から、自分を丁寧に組みたててくれていた西田の事を完全に思い出すバイクル。この騒動で血圧があがって膝をついてしまった西田を背負い、病院へ駆けていくのだった……。
正木「荒井、わかるか。あれが人間とロボットの助け合う、本当の姿だ」
竜馬「心がある……だから命がある。人間も、ロボットも」

最後綺麗にまとめましたが、バイクルの名古屋弁の秘密が明かされる、という以外はなんともかんとも。細かくやっているロボット刑事の成長エピソードとして、劇中一つ一つの要素自体はそれほど悪くないのですが、それがうまく物語としてまとまらなかった感じ。
特にリモコン合戦の所が酷かったですが、全体的に、脚本・演出ともに雑になってしまいました。
せめてあの場面は、竜馬達が荒井に手出しできない状況、で展開しなくてはなりませんでした。リモコン合戦している内に、竜馬さん、ダッシュして体当たりの一つでも決めて下さい、と。
その癖、大岡裁きの時には凄い勢いでダッシュするし(笑)
あと、荒井博士の目的が「特警に自分のシステムを採用させる事」なのに、その為に自分で犯罪を起こすのは本末転倒も行きすぎだろうと(笑) 首尾良く朝比奈博士のシステムの問題と自分のシステムの優秀さが証明されたとしても、どう考えても採用されそうにありません。まあそこまで含めて、既に狂気の域に達していた、という事なのかもしれませんが。
警視庁電子工学研究所の関係者は、こんな人ばかりなのか。


次回、アマゾネス軍団、来襲!!
遂に竜馬さんにも来るか、モテキ?!