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駆け足『仮面ライダーフォーゼ』感想5

◆第16話「正・邪・葛・藤」◆ (監督:柴崎貴行 脚本:三条陸
「ぼくのなまえは はやぶさくーん」 (城島ユウキ)
こんな繰り返し使われる事になろうとは……(笑) 女優さんの奮闘もあり、バカネタとしては嫌いではない部類。
石化ハンドが進化して石化ビームが出せるようになったペルセウスゾディアーツは、フォーゼの左腕を石化させると、人間としての肉体を放置して姿を消す。とりあえず預かることにしたらしい合唱部の床に転がる、元山(笑)
弦太朗はそんなペルセウスに絵描き勝負を申し込むが、リブラに敗北。リブラの指示で幼稚園に向かったペルセウスはやぶさくんが園児に大受けしている光景に大ショック。子供達の絵と弦太朗の絵に共通する、相手へ向けた真っ直ぐな想いに気付いたペルセウスは、完璧さよりも重要な事をがあるのを知る……。
「人間に戻れ元山。応援するぜ、ダチとして」
友情タッチをかわす弦太朗とペルセウスだが、そこへ再びリブラが乱入。ペルセウスを凶暴化させて2対1の戦いに苦戦するフォーゼだが、その時、戦いに割って入る青い光球。
いきなりのテーマソングと共に姿を見せたのは、全身キラキラの火の玉頭――仮面ライダーメテオ
赤心少林拳……じゃなかった、怪鳥音と共に舞う拳法(ジークンドー?)使いのメテオは、必殺木星パンチでリブラを引き下がらせ、ペルセウスは、フォーゼが25番:筆モジュールの、書いた文字が物質化(というか、空気に触れた墨が硬化)する機能で石化ビームを使用不能にして撃破。
尾を引いて落下してくる隕石の意匠という事か、大胆に頭部が左右非対称なデザインのメテオは妙に琴線に触れるなぁと思ったのですが、メテオ、仮面ライダーというより、一周回って異形として格好いい。
どうやら惑星のパワーを扱えるようなメテオですが、右腕に木星がくっついて思いっきり殴る、という必殺技の馬鹿馬鹿しさも好み(笑) 発動ギミックが静脈認証、と微妙に生活感漂うのもその後の技とのギャップが楽しい、と全体的に好印象。
一方、リブラ校長は早くも新ライダーの踏み台にされてへたれ気味になってしまいましたが、これは、時空を越える裏目エネルギーの呪いなのか。
次回、新たな転校生、来る。


◆第17話「流・星・登・場」◆ (監督:諸田敏 脚本:中島かずき
(こんな奴等と付き合ってかなきゃいけないのか……) (朔田流星)
年明け、弦太朗のクラスに他校からの交換編入生・朔田流星がやってくる。メテオの正体である流星は、軌道上の衛星内部に居る反ゾディアーツ同盟の謎の鉄仮面・タチバナからの指示を受け、自分の正体を隠したままフォーゼと接触する為に学園にやってきたのであった……。
タチバナ……橘!? と激しく動揺する名前が出てきましたが、今作の方向性からすると立花(藤兵衛)でしょうか。恐らく第1話冒頭で地球と月の間に映ったとおぼしき衛星の中でぷかぷか浮かんでおり、どうしてそこに居るのか、どうして仮面を被っているのか、どうして声が檜山修之(ナレーション)なのかと、何から何まで謎だらけ。
吊りなどを駆使しているのでしょうが、衛星の中の無重力状態で浮かぶタチバナの絵は、なかなか面白く出来ています。
新キャラクターの流星は、表向きはにこやかながら内心は弦太朗らを冷笑しており、その裏表は心の声を連発して描写。
(いきなり呼び捨てかよ……妙に慣れ慣れしい男だな)
舌打ちを繰り返す園田先生とか、弦太朗のそれはそれでイラッとする所に劇中人物から手厳しい反応が入り、妙な共感が発生(笑)
その一方で、弦太朗が色々な生徒達と仲良くなっている姿が描かれ、物語の中でしっかりと、如月弦太朗という存在が認め受け入れられている事が示されました。この描写が有ると無いでは大違いで、これはとても重要な部分。
そして視聴者からの疑問の声にでも耐えかねたのか、学園の校則には、制服の既定が無い事に。
今作の基本構造が「アウトサイダーが共同体を変革する物語」である以上、弦太朗の服装は本質的に共同体に所属しないアウトサイダーの象徴として貫かれなくてはならない部分なのですが、今回−次回と、新キャラクター投入に合わせて、今作諸々の要素のフォローと立て直しが目立ちます。
仮面ライダー部……部活なのか?)
そして流星は、メタなツッコミ部分に、劇中の常識人視点から次々とツッコんでいくというのが、ズルいけど面白い(笑)
成績優秀者を次々と襲う猫ゾディアーツが現れ、ジェイクを人質に取られたフォーゼが変身解除したのを物陰から覗いていた流星は、メテオに変身。衛星からエネルギーが送り込まれて変身した後、青い球体になって飛んでくるのが格好いい。
仮面ライダーメテオ。おまえの定めは、俺が決める」
勢いで「仮面ライダー」を名乗った人質無用の拳法家メテオはあっという間に猫を追い詰め、流星乱舞でリミットブレイク。そして猫がラストワンを越えると何故か逃がし、追撃しようとしていたフォーゼを妨害する。
「俺は、俺の為に動いているだけだ」
メテオの目的、それは、ラストワンを越えたゾディアーツが、12使徒アリエスゾディアーツに進化するかを見定める事。友を救う為にアリエスゾディアーツを求めるメテオはフォーゼの前に立ちはだかり……以下次回。
ところで、冬モードに入り、異常に派手な赤いコートが目立つ制服姿ですが、裏地が満天の星空だった(笑) ただでさえ真っ青な制服が濃いのに、どこまで派手な色彩なのだ天ノ川学園。


◆第18話「弦・流・対・決」◆ (監督:諸田敏 脚本:中島かずき
「メテオか……私の宇宙に墜ちてきた、招かれざる隕石だ」 (我望光明)
「俺はお前達の味方じゃない。敵だ」
メテオは喧嘩殺法のフォーゼを赤心ジークンドーで叩きのめすと、流星として仮面ライダー部に正面から接触。一連の出来事を覗いてしまったと自ら入部を申し込むが、意外な事に弦太朗がそれに反対する。
「俺は反対だ」
「なぜ?」
「おまえ……なんで笑わねぇの」
友達ストーカーの直感で、流星の虚飾の仮面を感じ取る弦太朗。
「最初に会った時からずっと感じてた。おまえ愛想はいいけど、一度も笑ってねえよな」
と今回は、今ひとつ線引きのわからないまま、自分ルールを押し通してきた弦太朗にとっての“「ダチ」とは何か”というエピソード。
「怒れば殴れ。その分、おまえのげんこも痛いから。おあいこだ」
「何を、言ってるの?」
「なんだっていいんだよ。おまえの本気が見れたから、俺は嬉しいんだ。本気が見えればダチになれる!」
弦太朗に流星の心性を見抜かせると共に、弦太朗にとっての友達とは互いに本気でぶつかり合える存在の事であり(故に弦太朗は、本気で嫌がられるとむしろダチになろうとする)、だからこそ信じられると定義。目的の為に裏表を使い分ける流星を弦太朗の対比に置く事で、弦太朗の真っ直ぐさ、そして真っ直ぐだからこそ弦太朗は相手が本気かどうかを感じ取れる、とし、弦太朗の信条を全体的にフォローしつつ、新ライダーを上手い位置づけに落とし込んできました。
本当は説明したくなかった事を説明する羽目になった感も若干ありますが、ここはメインライターと、諸田監督がいい仕事。
流星の正体を知らぬまま、物凄く嫌な奴(メテオ)に一方的に叩きのめされた出来事を語る弦太朗。
「でもな、そいつのパンチは本気だった。俺殴られながら……ああ、こいつとならきっとダチになれる、って、そう思えたんだ」
(あの時、こいつはそんな事を思ってたのか)
(……Mなのか?)
M、それは、ヒーローが持っていると便利な性癖(効果:変身ゲージの上昇率50%↑、必殺ゲージの上昇率25%↑)。
「流星、さっきのパンチはそれと同じぐらい本気だったぜ」
そこに、復帰したサソリとリブラが揃ってフォーゼを襲撃。
「殴られたらダチだと……本当に大馬鹿野郎だな。……仕方が無い」
今回も逃げたフリから、フォーゼにリタイアされては困るらしい流星がメテオ変身で参戦し、火星ナックルからのメテオ乱舞でサソリをさくっと撃破。
「ありがとな。助かったぜ、これで俺達、ダチかな」
「ふざけるな。そんなつもりはない」
「なに?!」
「おまえの 性癖 友情と俺の 性癖 友情が同じとは限らない」
流星は、意識不明の友人・二郎(ほぼベッドで寝ているだけなのですが、演じるのは後のトッキュウ4号・横浜流星)の為に戦っている事がハッキリとし、メテオベルトは病院に届けられたものと判明。届き方が賢吾宛てのアストロスイッチと似ているなど、謎が深まります。
メテオに完敗した園田先生は理事長に見限られ、姿を見せた12使徒バルゴゾディアーツによってダークネビュラ送りにされ、今度こそリタイア……? 結局、ゾディアーツサイドの目的を見せる為だけの数話延命という形でちょっと残念でしたが、さすがにキャストが多すぎて苦しくなってきたか(^^;
園田先生が宇宙のシベリア送りにされる光景を、びっくり仰天、の表情で見ている役立たず校長の先行きが、だいぶ、心配です! 頑張れ裏目エネルギー、宇宙パワーに負けるな!
そして流星は本性を未だ隠しつつ、見習い部員として認められ、悪い笑顔を浮かべてつづく。
新ライダー本格参入に絡めて、弦太朗を補強工事。メテオはかなり気に入ったし、流星は割と好みの顔なので、今後の動きが楽しみです。


◆第19話「鋼・竜・無・双」◆ (監督:石田秀範 脚本:三条陸
「地面もぶち抜くぐらいの、一世一代の土下座を見せてやるー!」 (如月弦太朗)
OPに流星とメテオ追加。
気がつくと増殖していくミニメカは、ユウキがデザインしていると、1クール目に曖昧だった部分に次々とフォロー。ユウキのスケッチを元に賢吾が一生懸命メカを作っているようなのですが、その気持ちは多分どこにも届いていなくて、ちょっと塩味。
ラビットハッチにやってきた賢吾は、流星と弦太朗が勝手に新スイッチを試している事におかんむり。
歌星さんデリケートなんだから、居場所を奪ってプライドを傷つけるような事はやめてあげて下さい!(涙)
それでなくても、アストロスイッチが賢吾にとって父親の大事な形見だと知っている弦太朗が、入部仕立ての流星に軽い感じで触らせているのは、ちょっとどうか。
「子供の世話は気が滅入るよ、タチバナさん」
2人の仲違いにため息をつく流星は、端々の言動から実は20歳だけど任務の為に高校生に偽装しているような雰囲気さえありますが、本当にそうだったら、それはそれで面白い(笑)
「君とは、もう友達じゃないと言ったんだ。君とは、絶交だ」
(あーらら)
30番と31番、二つで1セットの強力なマグネットスイッチの扱いを巡り、こじれにこじれる弦太朗と賢吾。そんな時、リブラの指示により仮面ライダー打倒を目的とするドラゴンゾディアーツが現れ、その鋼鉄の皮膚にはエレキの電気もファイアの炎も無効。勝手に戦闘指示まで出す流星に「ああーん?」となった歌星さんの前で、止められていたマグネットスイッチを使うフォーゼだが、制御できずに磁力が大暴走してしまい、怒り心頭の賢吾は遂に退部宣言。
1年の時のクラスメイト(賢吾にアドバイスを求めるだけあり、ちょっと青春の香り)にアドバイスを頼まれた縁で陸上部に仮入部する賢吾だが、メテオの正体を探るドラゴンに狙われ、駆けつけるフォーゼ。メテオも参戦するが赤心ジークンドーも効かず、「おい、今日はなんか新作ないのか?!」というのは、流星として煽っているのでしょうが、メテオとしては間抜けな台詞(笑)
フォーゼは賢吾の設計を元に流星が完成させた、補助デバイス付きのマグネットスイッチを起動しようとするが、そもそも機能せずにどこかへ飛んでいってしまう大ピンチ(特に友情的に)。
「朔田なんか信じるからだ。如月、自業自得だ。君は、大馬鹿だー!」
“父の形見のスイッチ”という要素が無ければ、友情にランク付けを要求してきて嫉妬に燃える面倒くさい奴状態の歌星さんですが、その辺りの権利関係は尊重してあげていいと思います! 果たして2人の間の亀裂は修復可能なのか。次回、なんか、凄いの来た。


◆第20話「超・絶・磁・力」◆ (監督:石田秀範 脚本:三条陸
「喰らえ! これが俺達の、青春の磁力だ!」 (如月弦太朗)
メテオ彗星脚とライダー100万ボルトの合わせ技でドラゴンを何とか退けるWライダーだが、歌星さん大激怒。
「君には、心底愛想が尽きた」
そんな2人を醒めた目で見つめる流星。
「何もかもが裏目に出やがる……最悪のコンビだなあいつら」
それは恐らく、次元を越えて校長先生に供給され、この学園全体に広がる、負のエネルギーの影響が、貴方の出目を悪くしているのだと思います(笑)
仮面ライダー部は飛んでいったマグフォン捜索班と賢吾説得班に分かれ、水中を探すフォーゼが水中用プロペラスイッチを披露。流星は「友達なら俺の話を聞いてくれる筈でしょ?! むきー!」と真心が空回りする賢吾の言葉に過去の自分を重ねて思わず詰め寄ってしまい、わかりやすい弱点が好感度ポイントと繋がっているというのは、巧い設定。
「駄目だよ歌星くん。どうなってもいいなんて。その一言だけ言っちゃいけない。その言葉は君を絶対に不幸にする」
マグネットスイッチは強力だからこそ細心の注意を払って弦太朗に渡したかったという賢吾の本心を聞いた流星は、弦太朗と賢吾の関係は磁石のようなもので、互いに同じ想いを抱いている時こそ反発する、だからここは賢吾が謝るべきだ、と諭し、そもそも弦太朗が、賢吾の体力的負担を減らそうと気遣って流星にスイッチを分析させていたのだと説明。
つまり賢吾は弦太朗の気遣いに対して、
「おほほほほっ、この薄汚くてドブネズミくさいリーゼント野郎! おまえのような能なしのあんぽんたんは、アストロスイッチの実験台ぐらいしか使い道が無いのだから、私の為にラビットハッチの床を磨き続けていればいいのよ! ほーら、雑巾なんて贅沢な、その学ランで十分よ!」
みたいな態度で接すればいいわけですね。
これすなわち、SとMの磁力(色々間違ってる)
部員への賢吾のアドバイスを快く思わない傲岸で自己中心的な陸上部部長がドラゴンゾディアーツにラストワンし、それと戦うフォーゼとメテオ。メテオはエレキスイッチをレンタルして電撃拳法で時間稼ぎをし、その間に、弦太朗と熱い想いをぶつけあって友情を再確認した賢吾が、マグフォンを再調整。今度こそ起動に成功したスイッチにより、フォーゼはマグネットステイツへと姿を変える!
二つで一つのサポートアイテムを兼用、という変わり種のマグネットスイッチによる新フォームはシルエットから姿を変え、フォーゼに更に宇宙服を着せたようなデザインなのですが…………正直、格好悪い(^^;
背中に背負った磁力砲でドラゴンを押し込んだマグネットフォーゼは、ライダー超電磁ボンバーで空間を歪曲させて、ドラゴンを撃破。これで核(熱)に電気に磁力が揃い、ひとりジャッカーコバック発動にまた一歩近づきました。残りは重力だ!
かくして難敵を打ち破った仮面ライダー部は再び一つになるが、今後はスイッチの研究も皆でしようという賢吾に弦太朗がいやいやそれはお前の仕事だと気を遣って2人は再び取っ組み合いになり……
「青春の磁力がまた反発……」
(頼むからもう俺で揉めるのは勘弁してくれ……)
何故か、ヒロインを気取る、流星であった。
これまで弦太朗ルールで強行突破していた部分に、流星/メテオという要素が絡む事でバランスが取られ、個人的にはかなり見やすくなってきました。またそこで小刻みに、流星の過去の事情を挟むという構造も効果的。
ところで今回、陸上部部長は病院送りになったそうなのですが、以前のペルセウスはすぐに学園に復帰している様子が描かれ、結局、その辺りはあまりツッコまない方がいいのか(^^; それともマグネットでぐしゃーんしたのがいけなかったのか。
宇宙シベリア強制収容所送りになった園田先生は長期の病欠扱いとされ、学園に訪れた刑事は、理事長が赤い瞳から放つ力で催眠状態にてお引き取り、と時々外にも飛び出しますが、箱庭の中で進められる闇、を強調。
次回――進路指導の困った先生登場? そういえば着々と季節が普通に進行してしますが、クイーンとキングは2クールでリストラされてしまうのか?!