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拝啓 フィリップ・トルシエ様

貴方のお陰で日本代表を応援するようになり、はや4年以上となりました。
例え個々の力が弱くとも、全体として機能的な融合を果たせば、強敵と互角以上の勝負をする事も可能である。貴方は私に“技術的な巧さ”や“身体的な強さ”が全てではない、サッカーの奥深さと面白さを教えてくれました。
私が、貴方と我々の代表と共に歩んだ時間はその後ろ半分、約2年間に過ぎませんが、その2年間はとてつもなく面白い冒険でありました。
本当に、感謝しております。
さて、ここで心苦しい事を書かなければなりません。プロとしての仕事をしっかり行い、ワールドカップにおけるノルマを果たした貴方ですが、もしかしたら、少しやりすぎたのかもしれません。貴方のそれまでに無いやり方や、貴方との幾つかの諍いに懲りた日本のサッカー協会は、自分達の言う事を聞かない監督を外から呼ぶ事が嫌になってしまったようです。
結果的に、彼等は自分たちとなじみ深い、(選手としては偉大な巨人であるが)ずぶの素人を代表監督に据え付けました。
そう、あの、“日本をブラジルにしたがっている人”の事です。
わざわざ書くまでも無い事ではありますが、日本はやはり、ブラジルではありませんでした。ブラジルみたいなもの、にすらなれない事でしょう。
チームとしての目的意識の欠如を「自由」という口触りの良い言葉にすり替え、自分の好きなプレイをする事しか頭に無い選手を中心に据え、コンディションなど関係なく場当たり的に選手達をピッチに放り込み、今や代表は見るも無惨な姿となってしまいました。
……正直そろそろ、今の代表を見続ける事が本格的に辛くなって参りました。
私にとって代表を見捨てるという事は、貴方がくれた縁、すなわち貴方が見せてくれた新しい世界・愉しみを捨てるような事に思えて、とても残念な事であります。
監督交代に一縷の望みを託し、もう一度、日本代表による面白いサッカーを見られる日が来る事を心から願っておりますが、我慢が効かなくなったら申し訳ありません。……ただの1ファンである私が、貴方に謝罪をするのも変な話ではありますが、私は何故か、そうしなければいけない気がするのです。
貴方が見せてくれた、“日本が世界に挑戦する為のサッカーの1モチーフ”、は、自由という名の落書きによってすっかり消されてしまいました。
最後になりましたが、カタールでの失敗(?)が貴方の経歴に大きな傷とならない事、貴方のこれからの勝利と成功を、遠い異国の地より祈っております。
これからも、世界を舞台にどうか御活躍下さい。
敬具