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『魔法使いプリキュア』感想・第5話

◆第5話「氷の島ですれ違い!? 魔法がつなぐ友情!」◆ (脚本:村山功 演出:政木伸一)
なんだろうこの、熊の最低な感じ(笑)
前回2人が封印書庫で手に入れたのは、伝説中の伝説アイテム・リンクルスマホンで、校長ビックリ。中から妖精の赤ちゃんまで出てきて、校長更にビックリ。校長の適当に思わせぶりな台詞と共に、何故か伝説中の伝説アイテムをそのまま預けられた2人(人、それを責任放棄と呼ぶ)は、補習授業で雪と氷に覆われたヒャッコイ島へ向かう事に。
今回の補習課題は、極寒のヒャッコイ島において魔法のヤカンでお湯を沸かす事……なのですが、先に、「普通の場所では簡単にお湯を沸かせる事」を見せていない為、劇中で語られる「初心者でも簡単に使える魔法の道具だけど、環境が悪いので高い集中力が必要」という事が巧く描写できていません。
更に、各人が魔法に失敗するのは、指がかじかんで杖を落とす、寒くて口が回らない、足下が氷で滑る、と主に物理的な要因であり、2番目はまだともかく、どんなに集中力を高めて寒さを忘れても、指がかじかむのと足下が滑るのは避けようがないのでは、と話の筋と演出が物凄くちぐはぐ。
まあ確かに達人なら、どんな不安定な足場でも関係なく集中できるのかもしれませんが、それは因果関係が逆というか、何か別の修行な気がします。
その先に待っているのは、日本刀を飛び越えながら魔法を唱えたりするやつだ!
生真面目に集中して魔法を使おうとするリコだが、寒くて魔法が唱えれないなら、体を暖めよう、とみらいの発案で同級生達はおしくらまんじゅうを開始。体の暖まったみらいが呪文を唱えると、なんとポットを沸かす事に成功してしまう。
初心者向けマジックアイテムなので、しかるべき道具を使って正しいボタンを押せば機能が発揮される、という事なのでしょうが、いきなり補習に放り込まれて何の基礎学習もしていないみらいが魔法を使えたという事は、この世界における魔法は、誕生と共に入手する杖に呪文と最低限の素養(?)があれば、誰にでも使用できると考えて良さそうでしょうか(みらいの素養が飛び抜けている、という可能性もありますが)。
とすると今作における魔法学校は、専門学校というより、義務教育的な位置づけなのか。
………………マジカルさん、思った以上に、人生崖っぷちなのかもしれない。
このままだと無生産者の烙印を押されて、特別施設で一生過ごす事になる可能性の恐怖から、一縷の望みを賭けて人間界へ突撃したのだと思うと、あまりこの件で責めるのも可哀想な気がしてきました。魔法世界の闇は深い。
2人で1人扱いにより課題には合格するが、嫉妬や悔しさから不機嫌になったリコは雪原へ向けて歩き出してしまい、みらいがそれを追いかけていくと、熊が甘い匂い(リンクルストーンの気配)に気付く。途中、吹雪に見舞われた2人は雪洞ビバーク中に本音を語り合って仲直り。
「魔法は難しくて、大変なだけかと思ってたけど、そう悪くないかもね」
「うん!」
「……でも、勘違いしないで。勿論、魔法には努力と根性も必要よ」
え?
繰り返しになりますが、魔法世界の黒い事情はさておき、リコがやったのは、補習に対して真面目に勉強するのではなく、大逆転ハンターチャンスを求めての校則違反であり、努力のどの字も見つからないのですがいったい何を言い出しているのでしょうか。
薄々感じてはいたのですが、今作どうも、「事の発端」と「基本設定」と「劇中描写」が噛み合っておりません。とりあえず「事の発端」だけ確定していて、「設定」と物語の進行方向をその後に決めていった結果、「描写」に矛盾が生じているのでは疑惑。
本来は、既に劇中で描かれた確定事項である発端と、描きたい設定を劇中描写によって擦り合わせていかなければならないのですが、発端を無視して設定に合わせた描写をしている為に、話が物凄い勢いで脱線しているような。
まあ今回、リコが急に「努力と根性」という、第4話までに一度も匂わせた事が無い要素を持ち出すので、事の発端に問題を感じたスタッフがリコの性格を修正する為に急遽ねじ込んだら治療が雑で骨折箇所が増えた、みたいな感もありますが。
吹雪が晴れ、オーロラの舞う空にリンクルストーンを発見する2人だが、それを取りに走ったリコがバッティの放ったヨクバールの奇襲を受け、ライディングデュエルに負けた人みたいに景気よく吹っ飛んでしまう。その光景に思わずみらいの名を呼んで駆け寄るリコ、が印象的に描かれるのですが、ここで名前を持ってくるのなら、今回のエピソードの中でまともに名前を呼ばない事について強調しておいた方が良く、クライマックスへの積み上げが不足。
第3話もそうでしたが、どうも今作、監督の差配含めてコンテや作画段階で巧く噛み合ってないのではないか、という疑念が強まるのですが、それが全編色濃く出てしまったエピソード。
みらいは雪溜まりのお陰で無事で、ふたりはプリキュアに変身。ルビーの燃える上腕二頭筋でヨクバールをジャイアントスイングして蹴散らすとバッティも退却し、2人は新たなリンクルストーン、アクアマリンを手に入れるのであった。
戦場魔法格闘術プリキュアーツについてはもうツッコまないにしても、どうして最初のフォームチェンジの能力が、筋肉だったのかは、つくづく疑問(^^; ダイヤからルビーにチェンジするのではなく、最初からルビーのプリキュアに変身するので能力比較シーンが存在しない事もあり、特色がわかりにくいですし。ルビーの変身バンクは、無駄に高い殺意とやたらな80年代ヒーロー風味が格好いいですが(笑)
「モフルンのお陰で、見つけられたね」
「違うモフ。みらいとリコの気持ちが、ピッタリあったお陰モフ」
−−−
「嬉しそうね」
「2人が笑ってるから、はーちゃんも笑ってるモフ」
2人の間を取り持つよう立ち回りを見せる熊が凄くいやらしい感じの社交術を駆使しているのですが……この熊あれか、喋れるようになったのはつい最近だけど、居間とかで色々見ていて、大人社会の暗部に精通しているのか。
「みらい、お別れの前に一つだけ言っておくモフ。人間なんて、一皮むけば、みんな自分の事しか考えてないモフ。だからみらいも、他人を利用し、しゃぶり尽くし、最後に蹴落とす大人になるモフゥぅぅ……」
次回――前作が素敵なお兄様路線だったので、今年は綺麗なお姉さん路線、なのか?!