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『重甲ビーファイター』感想31

◆第36話「見よ重甲超進化」◆ (監督:坂本太郎 脚本:宮下隼一)
見所は、向井博士の入浴シーン(おぃ)
ブラックビートは前回の乱入をガオームに叱責され、ギガロは打倒ビートイングラムの為に合成獣ガガモスを地球へと送り込む。一方その頃、アースアカデミアでは百年単位の親子喧嘩が続いていた。「カブトが100年前に家出」という、ヒーロー物とはいえ普通誰かツッコみそうな所に全く誰の興味も向かない辺り、昆虫戦士達の適応力の高さが改めて異彩を放ちます。
「とにかく、俺はこんなヒゲオヤジ、父親とは思うてないの」
アースアカデミアを出て行くカブトにグルとの仲直りを進める拓也達だが、カブトは光の球に姿を変えると姿を消してしまう。
そして取り残された年寄り2人は、ひとっ風呂浴びていた。
「しかしなんというか、いつの時代も、親の心子知らずというか……儂にも、覚えがある。うんうん。本当は、期待しとるんだろ〜。カブトを、跡継ぎにと。んー?」
「……背中でも流そう」
向井博士は出番もそれほど多くないですし、あまり細かく設定にこだわって描かれていないのでしょうが、割と年齢不詳(笑) 調べたら、演じる笹野高史は、当時47歳(!)。60と言われてもあまり違和感ないですが、台詞もそのぐらいの推定になっていないか(笑)
カブトの前にガガモスが現れ、息子に迫る危機を感知したグルは風呂場からワープするとカブトをカバーリング
「地球が征服されたら、母さんの墓参りができんぞ、カブト」
「知っとったんか!」
不仲の父が居る地球次元をカブトが訪れた理由が明かされ、雪解けする親子だが、相手の攻撃を吸収して反撃する能力を持ったガガモスの前にグルが思わぬ大ピンチに陥ってしまう。カブトはビーファイターを呼びに飛ぶがその間にグルはガガモスに吸収されてしまい、グルは自ら知性を捨て、ただの巨大なカブトムシになる事で、情報漏洩を阻止。
ギガロはガガモスを街で暴れさせ、またも大破壊に見舞われる市街。もう何回目かわかりませんが、一般市民達が武装を強化していく事に激しく納得です。
駆けつけたビーファイターはカブトの協力を得てガガモスに立ち向かうが、インプットマグナムやスティンガーブレードを吸い込まれてしまう。ビートイングラムの光線すら吸収したガガモスは、そのエネルギーにより、それらの武装を肉体に取り込んだ成虫ガガモスへと変貌。何故か走り去ったガガモスを追ったビーファイターは、倉庫の中に転がる巨大なカブトムシを発見するが、それはギガロの罠であり、迫り来る火の手!
「行け、カブト! グルを助けろ!」
「せやけど……」
「グルはおまえの父親であり、俺達ビーファイターの生みの親でもあるんだ!」
ここで老師グルを改めて物語の中に落とし込んでくるのですが、転がっているのが、本当に巨大なカブトムシ(ピクリともしない)の為、なんだか凄い絵のシーンに。
カブトはグルを抱えて脱出し、その涙でグルは復活するが、そこに迫るギガロの攻撃。ビーファイターもガガモスに歯が立たず、かつてない窮地に追い込まれる5人。怪人がオーバースペック気味に強く、切り札のグルも既に消耗、と新兵器登場の次の回でヒーローを徹底的に追い込む展開で盛り上げてきたのですが……
「許さないジャマール!!」
いきなり立ち上がるブルービートの周囲に揺らめく昆虫エナジー
「俺が、インセクトアーマーが、ブルービートが、進化、成長する……」
ここまでやって、グル親子の物語などとは一切関係なく、ただ怒りのエネルギーでパワーアップ、という物凄いがっくり展開。冒頭のビートイングラム試し撃ちシーンで、「なんだか眠っている真の力が、俺の成長で引き出されそうな気がする」的な発言はあるのですが、拓也の精神的成長に焦点が当たっているわけでもないので、ただ単にマジックアイテムを手に入れて今までの経験値でクラスチェンジしました、というだけの話になっており、パワーアップ回としては非常に残念な出来。
「メタルフォーゼ!」
話の出来とは裏腹に、追加武装がついてフルアーマー化したスーパーブルービート自体は格好いいのですが、背中に大きく翼を展開すると3割増しぐらいで格好良く見える理論の力なので、激しいアクションを捨てに行っている感じなのが気になります(これで立ち回りもこなしたら凄いけど)。
ブルービートのスーパー化により、微妙に寸詰まりだった勇者の銃がバレル展開してパルセイバーと合体、ファイナルモードになると一撃で蛾を粉砕し、緑と赤、棒立ち。
それを覗き見していたブラックは「父親か……」と、思わせぶりな台詞と共に姿を消すが、ブラックビートの父親は、ガオーム、という事になるのか……?
かくしてビーファイターは最大の窮地を乗り越え、カブトはグルと共に母親の墓参りをすると、調達屋を辞め、地球次元を守れる戦士になる為の修行の旅に出ると宣言。レッドルはグルの奥さんがモチーフだった、という衝撃の事実が明かされ、つづく。
物語に都合のいい情報提供キャラやジョーカーキャラには、“どうやって愛嬌をつけるか”がポイントになるのですが、もはや遅すぎたものの、グルにその愛嬌をつけたのと、そこに向井博士を絡めて使ったのは、良かったと思います。そちらへ合わせた焦点が、肝心のパワーアップと全く繋がらないという、エピソードとしては非常に残念な事になりましたが(^^;
また今作の流れとしては、「拓也だけが真の勇者」である理由も「拓也だけがスーパー化する理由」も非常に薄いので、その点を全く補強できなかったのも、辛い所。敢えて言えば、最も昆虫の声に身を委ねているのが拓也ではあるのですが。……拓也、最終的に、ブルービートの姿から元に戻れなくなるのでは。
メガヘラクレスもブルー1人で動かせるようですし、本格的に緑と赤の存在が軽くなってきたのはさすがにだいぶバランス悪いので、なにか今後フォローが入ってくれるのは期待したいです。この辺り、玩具展開や予算の都合もある問題ではありますが、むしろ隊長が別格扱いだったにも関わらず、部下2人もマイナーチェンジレベルとはいえスーツ強化された『エクシードラフト』は偉かった(お金があった?)なと思ってみたり。
次回――その人の中身、雷忍ワイルドでは。