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『重甲ビーファイター』感想36

◆第44話「生命の蝶現る!!」◆ (監督:坂本太郎 脚本:宮下隼一)
サブタイトルからのBGMが勇壮で格好いい。
「そうか……そうだったのか……おまえは俺の、クローン」
「俺は、貴様を倒す。貴様を倒せば、俺は影から光、唯一絶対の存在になれるんだ。俺が俺になれるんだ!」
シャドー/ブラックビートの正体――それは、ジャマールの科学と呪術によって生み出された拓也のクローンだった!
再び邪甲したブラックビートの激しい攻撃が衛星のコントロール装置を破壊し、拡大した爆発によりアジトは崩壊、行方不明になってしまう拓也。アカデミアでは超高熱気体弾の開発が進められるが、グルはセントパピリアの到来が近い事を告げる。
「勘違いするな。セントパピリアは、破滅を食い止めに、現れるものではない。破滅したものを救いに、現れるのだ」
予告から前作の悪夢再びが危惧されただけに、宇宙の彼方からやって来る超存在は人類文明の救世主というわけではない、と先に釘を刺してきたのは正直ホッとしました(^^;
大作と舞はビートマシンの再起動を試み、グルは寒いから働きたくないメガヘラクレスの説得へ、と、超高熱気体弾を射出する為の切り札としてメカにスポットライトを当てたのは今作らしい良い展開。
一方、行方不明となっていた拓也は、タイマンでの決着にこだわるシャドーに拾われていた。
「俺は! 俺はおまえと戦いたくないんだ!」
「ほざけ!」
……なんだか、「ほざけ」って凄く久々に聞いた気がします(笑) それはさておき、再び生身バトルに突入し、一方的になぶられていた拓也だが、鍛え上げた筋肉がついついカウンターで反撃。
「そうだ……それが貴様だ! いや、俺だ……貴様が生んだ、俺そのものだ!」
シャドーは、自分の存在は闘争を求める拓也の 内なるマッスルの叫び 暗黒面だと指摘し、ここで建物内部に雪が吹き込む演出が格好いい。
いよいよ人類文明の崩壊が迫る時、地球に到来したセントパピリアは……顔出しの女性蝶々怪人でした。
えー、予告で思いきっり出ていたので本編登場時のダメージは少なかったですが、ここまで宇宙を舞う神秘的な光の蝶のイメージ映像だったセントパピリアは、どうして、顔出しスーツのメルヘン怪人になってしまったのか。変わったトーンの喋り方といい、演劇っぽい造型なのですが、物凄く地味というか変というか、ゴールドプラチナムとクイーンコスモを足して2で割った感じ(^^;
「来た……遂に来た……捕獲作戦、発動!」
ガオームの命令で蝶々女王を捕獲しようとする3幹部だが合体友情ネットをあっさり破壊されて失敗。拓也とシャドーは蝶々女王により謎の世界へ招かれると、人類文明おしまいなのにどうして身内でつまらない争いをしているのかと問われ、また、クローンであるシャドーの寿命が近い事が指摘される。
再び友情ネットを放つ3幹部だが蝶反撃を受けて撤退し、続けて繰り出されたガオームツモ、まさかの失敗。存在を賭けた宿命の戦いを続行する光と影は互いに変身し、これに緑と赤のビーコマンダーが反応すると、ビートマシンとメガヘラクレスが再起動。
「おぉ……儂の思いが、メガヘラクレスに伝わった」
え?(笑)
ブルービートが再変身するとビートマシンが再起動する理屈もさっぱりですが、演出の流れを見る限りではグルが特に役に立たなかったのは間違いなく、どうしてこの台詞を入れた(残した)のか(^^;
上では「メカにスポットライトを当てたのは今作らしい良い展開」と書きましたが、「地球に迫る最大の危機」に「宇宙から飛来する超存在」と「それを狙って真の目的の為にガオームが動く」中で「シャドーの正体が判明」し「超存在が戦いの意味を問う」が「ブルーvsブラックの死闘は続く」一方で、「人類科学と昆虫魂の融合であるビートマシンにより大逆転」というのは、さすがに盛り込みすぎました(^^;
クリスマス回的なメカプッシュ要素も含めた上で、今作これまでの物語を集約していき、
〔アースアカデミアの開発した超高熱気体弾→切り札はビートマシン!←グルを象徴とした昆虫界の助力〕
と、科学とオカルトの融合が地球を救う、という作品コンセプトを強く押し出した構図自体は綺麗なのですが、あまりに色々な要素を入れすぎて、焦点が集約を通り越して散漫に。
例えば「人類科学と昆虫魂の融合であるビートマシンにより大逆転」を活かすなら、如何にして活動不能だったビートマシンが再起動するかが肝なのですが、そもそもの活動不能要因と全く関係しないブルービートの復活と紐付けられてしまい、「ブルーvsブラックの死闘は続く」という全く軸の違う所で展開していた要素と、最後だけ強引に絡めた為に完全に頓珍漢な事に。
前回から、ジャマールの作戦規模とブルーvsブラックの対決を同時展開する事のバランスが非常に悪かったのですが、セントパピリアも含めて全体の要素の接続が甘く、見た目は派手で盛り沢山だけど味の統一感が全くないフルコース、とでもいったエピソードになってしまいました。
緑と赤は青の救出に向かい、ブルービートは「ブラックビートの、怒りが、憎しみが、この俺に……。やめろ……やめろぉぉっ!!」と叫びながら、勇者キャノン発動(笑)
ギガストリーマーの呪いを受けながらも故意に直撃は避けた青だが、余波でも結構なダメージを受けた黒は捨て台詞を残して撤退。合流した3人はメガビートフォーメーションを発動すると、高熱弾によりジャマールの衛星を破壊、氷河期作戦を食い止める事に成功するのであった……。
メカをしっかりと使ってくる展開自体は好きなのですが、セントパピリアが持ち込んだ、愚かな人類がどーとかこうとかなテーマは今回の解決に全く影響しないなど、中身の一体感の無さが残念。
ジャマールでは、ブラックビートにお仕置き光線を浴びせるガオームだったが、突如その体に異変が起こり、ブラックは反撃して逃亡。
「わかったぞ……ガオームにも命果てる時が近づいていたのだ。セントパピリアを手に入れ、生き延びる事こそが奴の目的だったのだ」
ある程度仕方の無い事ではありますが、ガオーム様の寿命宣言は、どうにも唐突(^^; まあ前半も昆虫魂の知識を得る事で、ガオーム→メガオームにクラスチェンジしていたので、元々、多次元世界で様々な力を得て自身の存在をより強固にする事こそが目的、と理屈は付けられますが。
「俺の命も、セントパピリアを押さえれば……」
一方、セントパピリアの問いに考え込んでいた拓也は、ビーコマンダーを置いて姿を消してしまう。
(地球が破滅の運命を生み出したように、俺はブラックビートを――悪を生み出した。その俺に、正義の戦士として戦う資格は……無い!)
自身の暗黒面を、人類規模の破滅の運命に重ね合わせるという、持ち前のナチュラマッドサイエンティスト気質を発揮した拓也、思いあまって退職、という深刻な引きで次回へ続く――。