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『重甲ビーファイター』感想40

◆第48話「不滅合体走る首」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:扇澤延男)
扇澤さんまさかの3連投。
ジャマールホール完成が迫る中、あくまでいつも通りにパトロールへ向かう舞。
「わかってるもん私にだって。今更パトロールなんかしたって、無駄な事ぐらい。でも何もしないでただ破滅の時を待つなんて、やだもん」
あーでもないこーでもないと考えて足踏みするよりも、とにかく行動し続けようとする舞を学者組(一応、大作も含む)と差別化し、その舞が茂みから伸びるケーブルの束と遭遇。舞が落としたビーコマンダーからの悲鳴を聞いた男2人が街で目にしたのは、次々と人々をさらっていくケーブルの束、そして……それを操るシュバルツの首だった!
拓也と大作は重甲し、シュバルツは物体X状態で逃走すると、マネキンとドッキング。シュバルツがウェディングドレス姿やランドセル背負った小学生になるというギャグが挟まり、それらを片っ端から躊躇無くぶっ飛ばしていく青と緑がなんとなく酷い(笑)
その戦いをシャドジェラが目にし、シャドーの制止を振り切ってシュバルツを助ける為に乱入するジェラ……本当に仲良し。
「生きていたのだなシュバルツ!」
「メカは死なない。ネジ一本、歯車一個になっても永遠に不滅よ」
2人は揃って逃走し、最終的に振り袖姿に落ち着いたシュバルツに招かれたアジトでジェラが目にしたのは、狩り集められた人間達(舞含む)と、箱物家電その他の機械類の数々であった。
「やっと完成したのだ〜。こここそ、このシュバルツ率いる、メカ帝国なのよ〜。あははははは」
「これが、貴様が夢見たメカ帝国だと?!」
「そうよ〜。全ての民よ心に刻め! メカが生き物どもに服従する時代は終わった! 今こそ、我らメカ自身が、世界を動かすのだ〜!! ……大きな声出して驚いたかい我が帝国の民アドルフ。あは、なんて可愛いんだペティ! うふ。ふぅ、怖がらなくてもいいんだよ〜、スージー
物言わぬ冷蔵庫やラジオに次々と話しかけ、既に狂っているシュバルツの姿が描かれるのですが、以前にイカリボンバ2のエピソードで、捨てられた粗大ゴミ達に魂が宿っていた事を踏まえると、シュバルツの“自分だけの王国”の背景にある、捨てられた者達の怨念というのは、命を燃やし尽くした執念である昆虫魂の鏡写しのようにも見えます。
「どうだジェラ、どいつもちょっと無口だが、素直ないい奴ばかりだろ。うわはは」
「シュバルツ、おまえ……」
帝国臣民の為に人間から機械油を搾り取ると宣言したシュバルツにより、ジェラはその試運転と称して油絞りマシンに放り込まれ、油断と優しさから大ピンチに陥るというヒロインスキルを発動!!
そしてそれを助けに、超格好良くアジトに駆け込んでくるシャドーーー!(笑)
「おまえを死なせはしない。共にガオームを見限った、仲間ではないか」
「ジェラを返せぇ!」
ジェラをマシンから助け出したブラックに迫るシュバルツの、もう何もかもわからなくなっている感が凶悪ですが、2人の男に奪い合われるというジェラのヒロイン力のハイパー化が留まる事を知りません。
そしてここで、狂ったシュバルツに殺されそうになる&シャドーに危機を助けられる事で、前回時点ではシャドーを利用しようという考えでもおかしくなかったジェラが、シャドーに対して恩義と戦友意識を持つようになると運んだのは、良かった部分。逆にシャドーの方がジェラの事をどう考えているかはわかりませんが、もうこうなると、どう転んでもジェラはおいしい(笑)
「ジャマールの中の人間関係、どうなっちゃってるの?」
折角囚われてみたのに一向にヒロイン力が上昇する気配が無い舞ですが、アジト内部のシーンで、シュバルツの異常についてなど、映像に重ねた説明台詞が多かったのは残念。
「搾り取るならやーっぱり、人間の、油!」
ブラックビートはジェラを連れて撤退し、ダメージを負うもテンション高く復活したシュバルツは太めのおばさんをマシンに投入。一方、シュバルツを追っていた男2人は目撃情報を入手し、山腹に、物凄く巨大な、石像が。
工事現場の作業員がごく自然に教えてくれるのですが、地元では、当たり前すぎる名物なのか。
青と緑はアジトの強襲に成功し、舞はおばさんを救出。マシンを止めたら、油分の少し絞られたおばさんが痩せて出てきたらどうしようかと思いましたが、さすがにそんなネタは突っ込んできませんでした。
「あぁ〜……マリアンヌぅ……! よくもぉ……よくも我がメカ帝国の可愛い民達を! 許さん! ずぇったいに許さぁん!」
にしても、軽くアクションも入ったけど、この振り袖の中身は、石垣さんなのでしょうか(笑)
マネキンのボディを捨てた怒りのシュバルツは、ブルドーザーと合体。
「貴様等ぁ! マリアンヌを、スージーを、ペティを、よくも踏みつぶしてくれたなぁ! 貴様達も同じ目に、ぺっしゃんこにしてやるぅ!」
怒りのマシン帝王に対し、ビーファイター、筋力でこれを食い止め、押し返す! 趣向を凝らしたバトルで、久々にマッスルが大活躍。更にパルセイバーでブルシュバルツを粉々にするビーファイターだが、シュバルツは巨大石像と合体し、不滅合体シュバルツオーに。
これに対してノルマキャノンを放ったビーファイターは、弱った隙にビートマシンを発進。シュバルツの巨大ロボ化という飛び道具を用いながら、ここできっちりビートマシンの見せ場となるメカ決戦を入れてくれたのは良かったです。ビートマシンは次々とシュバルツオーに攻撃を放ち、そして――
背後で流れる挿入歌の
今こそー メガビートフォーーメーーショーン!
の所で地平線の向こうからメガヘラクレスがやってくるのが非常に格好いい。
陸の王者だ メガメガメガメガ メガヘラクレース!
「そんなもので倒せるか俺を……メカは永遠の命。葬る事などできんのだぁ!」
狂乱の舞踏を続けるシュバルツオーだったが、必殺のメガビートキャノン直撃で大爆発。地元の名物は木っ端微塵に砕け散り、大気圏脱出速度に達したシュバルツの首は、そのまま地球の軌道を巡る衛星となるのであった……。
「俺は死なない……メカは死なないのだ! 死にたくても……ネジ1本になっても……永遠に死ねないのだ……」
永遠の命を求めるガオームと対比する形で、メカの永遠性を執拗に口にしていたシュバルツは、“死なない存在”から“死ねない存在”へとニュアンスを変え、最後までユーモラスながらも、一抹の悲哀を漂わせる姿でリタイア。
最終的に、元来抱えていた狂気の部分がより前面に押し出されるという形になりましたが、メカの永遠を謳いながらも“最高のアニキ”であるマッチョは唯一無二である事を知り、それでいながら、むしろそれ故に、自らを永遠の存在であると思い続けなければいけなかった矛盾は、狂気へ到達する他なかったのかもしれません。
にしても今回繰り返されたこの台詞はどうしても、


(完全破壊しろ。部品一個この世に存在させるな。 その為に俺は生まれたんだろ)
(『特捜ロボジャンパーソン』第15話)
を思い出さずにはいられませんでした(笑)
シュバルツは前半は手探り感がありましたが、中盤ぐらいから千葉繁のブレーキが無くなってきたのにスーツアクターの演技も噛み合ってきて、遊び心の強い印象的な悪の幹部となりました。
ギガロに続いてシュバルツを撃破したビーファイターは、舞情報によりジャマールが内部分裂を起こしている事を知り、そこに付け入る隙があるかもしれない、とにわかに活気づく。
「私たち、まだ絶望じゃないよね!」
一方、ジャマールホール拡大を続けるガオームは、己の体を襲う異変に動揺していた。
「馬鹿な……この痛み、この苦しさ。我が寿命の限界、思ったより早いのか。ジャマールホールの完成を急がねば。それには更なるエネルギーが。――奴だ! あいつを使ってそのエネルギーをかき集めてやる。もう一度吠え面かかせてくれるわ、ビーファイターめ。ふふふふふふはははははは……」
“永遠の命”というのは確かに恐るべきものなのですが、ラスボスの目的が最終盤でかなり唐突に“永遠の命”になるのはどうしてもスケールダウン感が否めず、またその入手方法が割と希望的観測に基づいているというのが、何とも苦しい所(^^; ついでに“地球の命運”もかかっているので大問題に違いは無いのですが、やはりガオーム関連の伏線の少なさは足を引っ張ってしまっています。
また、氷河期作戦の頃からガオームの問題とブラックビートの問題のスケール感が噛み合っていないのがクライマックスの盛り上がり不足を生んでいるように思えるのですが、そこで2人の目的を重ねたら、ガオーム様の方が小さくなってしまったという……。
それなりに光る要素がありつつ、そこそこのアベレージでここまで来ていただけに、最終盤、噛み合わせたい歯車の歯の長さがちょっとずつ足りていないのが、なんとも惜しい。
次回――老師グルに迫る危機? そして、ヒドラなのにクモ女とはこれいかに。