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『ビーファイターカブト』感想34

◆第50話「ラストバトル」◆ (監督:石田秀範 脚本:宮下隼一)
「地上を焼き尽くし、暗黒の闇に閉ざしてやる。闇の意志の恐ろしさを、思い知らせてやる」
マザー怪獣が大暴れする中、生き残りのメルザード幹部3名と激突するビーファイター。カブトンのマッチアップ相手は…………スコーピオでした。
……兄者ぁぁぁぁぁぁぁ!!(涙)
テントウvsミオーラはわかるとして、最終回にして黒い十字架に取り憑かれた突発性戦士症候群のサソリ男に宿命のライバルの座をかっさらわれて座布団全部持っていかれてしまう兄者ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!(涙)
まあそのサソリは、割とさっくりカブトンランサーの直撃を受けて在庫処分されるのですが。
「見事だ、カブト……! 最高の敵と戦って死ぬ……戦士として、本望だ……」
つい数秒前まで「ビークラッシャーの一員として兄弟達の仇を討つ!」と息巻いていたのに、突然「死んでも満足!」と言い出し、とにかくビークラッシャーは執着に一貫性が無いのが困ります。
それから、カブトンランサーの威力も一貫性が無くて困ります(^^;
もともと各種武装の扱いが大雑把な今作ですが、この最終盤、カブトンランサーがすっかり最強武器扱いなのは、見ていて非常に困惑。ヒーロー物で必殺技の威力が勢いで変わるというのはよくある話ですが、そこに物語や情念の積み重ねがあればこそ見ていて説得力が増すわけで、そういった情念の積み重ねにことごとく失敗している今作を、この最終回に基本武装が象徴する事に。
「違う! 違う! 命は戦いの為に、死ぬ為にあるんじゃない。生きる為にこそあるんだ。それを……メルザード、闇の意志! 許さねぇ!!」
よってこの辺りのテーゼも中途半端に混線したままで、戦い=死、とひとまとめにして否定してしまうのですが、『ビーファイター』は昆虫魂を通して“生きるための戦い”を描いてきた作品なので、昆虫魂に対して、未来へ向けた新しい道筋を提示できないまま終わってしまったのは実に残念。
マザー怪獣がこれでもかと街に被害を与え、病院で「一年生になりたい」と怯える少年を、
「僕も必ず一年生になれるわ。ビーファイターを信じましょう」
と励ますゆいは、ビーファイターとはどういったヒーローか、という要素も入って良かったのですが、こういった世界との関係性の要素も、今作の積み重ね不足ゆえに生かし切れず。
ゆいちゃんのヒロイン力の高さはラスト2話をかなり助け、ヒロインとしての鳥羽ゆいはかなり健闘しましたが、恋愛ネタはブレーキがかけられたのか、すっかりブラコン路線に戻ってしまったのは、ちょっと残念(笑)
サソリを撃破したカブトンだが、さすがにクワガーを倒した兄者がその前に立ちはだかる。
まさかのクワガーに敗北してリタイアにならなくて本当に良かったですが、足蹴にされているクワガーの方は中盤以降本当に不遇で、このままでは健吾さんが色鉛筆の白のようなヒーローとして歴史に名を残してしまうその瀬戸際に祈るヒロイン。
「このままじゃ地球は……誰か、誰か助けてお願い!」
その時、不思議な事が起こり、病室で意識不明のマック達が何かに導かれるように目を閉じたままコマンドボイサーを掲げると、次元の果てから飛来して地面に突き刺さったのはガイストアックス! そしてコマンドボイサーから放たれた4つのメダルの力がアックスに集まると、真の姿を取り戻したクワガタイタンが光の巨神として甦る!
つい数分前に確固たる象徴として“ビーファイターを”信じようと言ったヒロインが、不特定の“誰か”に祈ってしまうと実質的な奇跡が起こってしまうという残念きわまりない展開。せめてこれまでの戦いが育んできたBFを信じる人々の想いが光を生む、などの描写が入れば奇跡の下支えになるのですがそんな事もなし。
世界中の人々の声援が……は第42話の月面決戦で用いて積み重ね不足から大失敗しているのですが、最終回にして、新たな同志を求めてゴールドプラチナムが降臨したばりの事態に今作を象徴する基盤整備の不足がただただ浮き彫りになり、しかし全ては、クワガーに見せ場を与えてほしいというヒロインの願いが生んだ恩寵……すなわちこれが、真なるヒロイン力だ!!
ヒロインの生んだ奇跡によりクワガタ神に乗り込んだクワガーは、大怪獣マザーと激突。長い尻尾を振り回す操演も格好良く、マザー怪獣は本当に良い出来で、もはや勿体なさすら漂ってきます。
カブトンvsライジャ、マザーvsクワガタイタン、テントウvsミオーラがそれぞれ激闘を繰り広げるが、次々と倒れ伏すビーファイター。メルザード勢が「勝利だ」の大合唱をした所でアイキャッチからBパートへ。
果たして、戦士達は力尽きてしまったのか――だが、
「まだだ……まだだ! まだ戦いは、終わっちゃいねぇぞ」
「私たち……地上に生きる、全ての生命に、選ばれた」
「決して諦めず、希望を武器に戦い続ける!」
「……それが俺たち、ビーファイターだ。ビーファイターだ!」
ビーファイターよ!」
ビーファイターだ!!」
それぞれ深傷を負いながらも、諦める事なく立ち上がった3人は、敵の武器を叩き割り、断ち切る!
カブトンとテントウにスーツアクションがある一方、ロボットの中で斧を構えているだけのクワガー、一周回って薄れる見せ場感。ゆいちゃんのヒロイン力を持ってしても、これが限界なのか……!
テントウの必殺攻撃を受けて、ミオーラは大爆死。序盤は絡みもありましたし、女性戦士としてラストのマッチアップには納得なのですが、ミオーラが中盤以降ほぼ空気になっていた為にもう一つ盛り上がりに欠け、つくづくビークラッシャーは以下略。
一方のライジャは、剣を折られ、カブトンの必殺攻撃を食らいながらも、死力を振り絞って立ち上がる。
「我が名は、ライジャ。マザーメルザードの長男にして……闇の意志の戦士なり。マザーメルザードの長男にして、闇の意志の戦士なりぃ!!」
折れた剣を手に、鬼気迫る表情でカブトンへと駆けるライジャ。
「我が名はライジャぁ!!」
最後に残った誇りを込めたライジャ捨て身の突撃と交錯したカブトンのランサーが一閃――
「……マザー……マザー! 我が名はライジャ。闇の意志の戦士なり……」
ライジャは天に向けて剣をかざしながら仰向けにどうと倒れ、遂に絶命する。
ビークラッシャーは「執着に一貫性が無い」と上記しましたが、ライジャは、マザーメルザードの長男、絶滅帝国の後継者としての執念を見せて最期を迎え、しっかりと焦点を合わせれば充分に魅力的な悪役だったと思うのですが、終盤にサソリと役回りが重なってお互いに食いつぶしあっていたのは、本当に勿体なかったです。
前回のマザーからの後継者指名は、これといって意味はありませんでしたか。
で、今更ながら気付いたのですが、
ライジャ/デスコーピオン:〔リーダー格、武人、赤〕
ミオーラ/キルマンティス:〔冷徹、ある種の没個性に繋がる任務への忠実さ、緑というかカマキリ〕
デズル/ムカデリンガー:〔サブリーダー格、卑怯上等、青・紫系〕
ドード/ビーザック:〔トリックスターコメディリリーフ、茶・黄色系〕
と、BC4人のキャラクター性は、絶滅兄弟&侍従コンビから拡張されたのではないかと思われ、それはお互い、食いつぶし合うわけだな、と改めて納得。というか、どうしてそんな事にしたのか……。
見栄えする最期を遂げたのは良かったライジャですが、この決着で一つ気になったのは、瀕死のライジャに対してカブトンが「もう勝負はついた」「(命を粗末にしやがって)馬鹿野郎……」といったリアクションを取っている事で、カブトンは、ライジャが逃げたら見逃すつもりだったのか?
ここでカブトンは、死力を振り絞って最後の一撃を放とうとするライジャと向き合おうとせず、言うなれば介錯を拒否します。勿論、カブトンの側にライジャの最後の誇りを受け止めてやる義理はないですし、むしろそれを否定するのが最終的な甲平のスタンスではあるのですが、では否定した先でどうするのか? というのは結局見えないまま、情に流されるままの言葉を口にするだけで終わってしまったのは、鳥羽甲平というヒーローの着地として、残念。
否定するなら否定するで、否定を徹底し、自らはライジャに攻撃しないぐらいの姿勢を貫いてほしかった所。
ライジャとの決着を付けたカブトンは、満を持して真打ちカブテリオスを召喚。クワガタイタンと共にマザー怪獣へと挑み、地上に取り残されるテントウ。
果てしなく、締まりの悪い最終決戦。
「地上に生きる全ての命の為に!」
「今こそ、光の意志の、戦士の力を見せてやる!」
今作終盤は戦闘の起伏も雑で、どんなに苦戦していてもBFが気合いを入れ直すと不屈の闘志で逆転できてしまうのですが、カブト神とクワガタ神は熱い昆虫魂でバロムクロス。
それにしてもどうしてカブトン達は、アストラルお爺ちゃんの昔話を聞いただけ、こうまであっさり光の意志の戦士になりきっているのか。以前にも書きましたが、宇宙開闢からの戦いと今の自分たちの戦いを、素直に重ねるにしろ一度は否定するにしろ、どう受け止めて消化するのか、というのは、カブテリオスの力を振るう事をどう考えるのか、と合わせて1エピソード使っておいた方が良かったように思います。
なればこそ、このクライマックスでの台詞も劇的になりますし、今作の場合は特にそれをやっておかないと、いつまでも昆虫魂から逃れられないわけで。
光の意志の名の下に、ばろぉーーーむしたカブト神とクワガタ神は両サイドからマザー怪獣を剣で貫き、ダブル必殺技。
「闇も、影も、消える事はない。甦ってやる! 復活してやる……! いつの日か、必ず……必ず!!」
さすがのマザー怪獣もこれに耐える事ができずに消し飛び、遂にメルザードは絶滅、地球の生命達は大いなる闇の脅威に勝利するのであった。
戦いを終えた甲平達の元には、マックらが意識を取り戻したという連絡が入り、そしてもう一人――ビートルベース爆発の寸前、地下シェルターに転がり込んで生き延びたという小山内博士が右腕をギブスで吊った姿を見せる。
個人的にどうでもいいのはさておき、甲平達にとっては一応、感動の生還と再会の筈なのに、3人のリアクションがビックリするほど軽いのが、博士の人徳を伺わせます。
一切の強化展開と関わらず、後半になればなるほど通信機握って難しい顔しているだけで何の役にも立たない小山内博士とは、いったい何だったのか(一応、どさくさ紛れに世界同時自爆は阻止しましたが)。
甲平達が感慨にふけっていると、虚空の一角に次元の亀裂が煌めき、それに吸い込まれるかのように消滅する、アストラルセイバー、ガイストアックス、3つのコマンドボイサー。今度こそ本当に、戦いは終わったのだ……。
「ただいま。帰ってきたで。よー頑張ったな、お父ちゃんも」
同じ頃、グルの墓に元次元商人カブトが花を捧げていた。
すっかり存在ごと抹消されたかと思われていたカブトが物凄く唐突に登場するのですが(「白いカブト」という、実に不思議なクレジット)、タイミングから深読みすると、甲平達が「光の意志……?」と呟いた、コマンドボイサーと神の装備を回収したのはカブト(白)という事でしょうか。とすると、カブトは昆虫界から選ばれて各種次元を渡り歩く能力を与えられた、光の意志の依り代的存在なのか。前作においてはグルと喧嘩して家出した事になっていましたが、非常に良いタイミングでビートイングラムを持って里帰りしてきたり、光の意志に選ばれ、父親にも言えぬ使命を抱えて次元から次元を飛び回る、なかなか大変な人生を送っていたのかもしれません。
恐らく昆虫界の中でも、光の意志との親和性が高い血統(老師は当然、その一人)が存在するのかと思われるのですが……ゴールドプラチナムの正体は、老師の生き別れの兄だったりするのでは。
そして卒業式――なんとか無事に卒業できた甲平は、インテリヤクザ先輩の誘いを受け、コスモアカデミアが設立したアメリカの大学に留学する事に。
結局、裏口でした。
いや、この問題に関しては鳥羽甲平は一切悪くなく、ブラックアカデミアも当然の便宜をはかったと思います! 一芸入試枠なら、「高校時代はビーファイターをやってました」で、堂々と表からですよ!!
「お父さんとお母さんによろしくね、お兄ちゃん」
ゆいは笑顔でそんな甲平を送り出し……て、え、ゆいちゃん、女子高生一人で日本残るの?
てっきりすれ違う形で甲平両親が日本に帰ってくるのかと思ったら堂々の一人暮らし宣言ですが、なんか餌付けされた蘭が半ば同居で寝泊まりに来そうだったり、ブラックアカデミア日本支部が全力を持って不審者を蒸発させる世紀末では当然のセキュリティ(例のレーザー他)を仕掛けそうだし、跳び蹴りで岩を砕く男とラブラブだし、むしろお兄ちゃんなんていらない。
(ありがとう昆虫たち。ありがとう命たち。……ありがとう仲間達。今日、俺の卒業、俺の旅立ち)
卒業式の日に仲間達と撮った写真を見つめる甲平を乗せた飛行機はアメリカへと飛び立ち――主題歌をバックに、名場面集が始まって流れ出すスタッフロール。名場面集に博士とネオビートマシンのパートもあったのは良く、最後は7人のビーファイターが並ぶカットでエンド。ラスト、カブテリオスのアップで終わる寸前だったので、ホッとしました(笑)
作品に関しては正直、カブテリオス登場→軽い気持ちで濫用→クワガタイタンとダブルKO、辺りで完全に心が離れてしまい、以降はだいぶネガティブな視点で見てしまいましたが、テーマ的な基盤の脆さ・希釈されきったキャラクター・昆虫魂に対する定まらない姿勢と、今作の悪い所が全て集約されたラスト4話でした。
世界観を継続した続編、というのは、設定面での新奇さを出しにくい・雰囲気を継承しつつも新しい要素を入れなくてはいけない・役者顔出しの都合から前作の人気キャラをほいほい出せるというわけでもない、と特撮ヒーロージャンルにおいてはむしろデメリットの方が目立つのでは、とさえ思えるのですが、前作の核であった昆虫魂と多次元世界を掘り下げるわけでもない・かといって今作独自のテーマを積み上げるわけでもないという今作の根幹にある問題点が、最後まで足を引っ張った印象。
勿論、テーマ性を高々と振り上げる作品が常に優れているというわけではなく、しかし軽快なエンタメ作品(無論、軽快なエンタメである事とテーマ性が両立しないわけでもない)として面白かったかといえば、前半と後半のちぐはぐさ、忙しすぎてそれぞれのギミックの扱いが軽すぎる後半戦、魅力を失っていく悪役達(当然それに立ち向かうヒーローの姿も面白くならない)、と欠点が目立ちます。
そしてそれが何に起因するのかといえば、『ビーファイターカブト』という物語としての芯の弱さ、それ故にそこで生きるキャラクター達にも一本の芯が通らない、という点に突き詰められるのかと思います。
だから今作は、キャラクターが何を言っても、そこに信念や執着が宿らない。
或いは、それを信念や執着にする為に物語が機能しない。
むしろその情念の排除こそが、今作の目指した所であった可能性もありますが、個人的な好みとは正反対なのが実に残念な事でありました。
さてこれで、戦隊に比べると抜けの多かった《メタルヒーロー》シリーズを、『超人機メタルダー』〜『ビーファイターカブト』まで10年分見る事が出来たのですが(この間の戦隊を全て見ているというわけではないので、むしろメタルヒーローの方を多く見た事になっているかも)…………もしかすると、『特捜ロボ ジャンパーソン』は奇跡の傑作だったのでは。
一つの時代の区切りとして、この10年の中期《メタルヒーロー》総括をしてみたい気もしますが、とりあえず、意識だけ。
以上、『ビーファイターカブト』感想、長々とお付き合いありがとうございました。
新帝国ビートルに栄光あれ!!