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『ビーファイターカブト』感想26

◆第38話「悪夢のオオクワガタ」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:宮下隼一)
「このパワー、この破壊力。勝てる……今度こそ虫けらどもに。ビーファイターに!」
「そうだ!」「間違いなく」「勝てる」
ビークラッシャーは“黒い力”ガイストアックスを入手して帰還。キャラクターとしての掘り下げもなければ、個々の役割分担も上手く描けていないので、誰が言っても変わらない相づちを単調に分ける形になっており、引き続き4人のやり取りがまるで面白くなりません。
エネルギーの異常反応を感知して出撃した甲平達は、山の中腹に突き刺さる一振りの斧――ガイストアックスを発見するが、そこに立ちはだかるムカデ、ハチ、カマキリ。
ここでも3人が揃って復活と復讐を強調してしまい、2話前の絶滅兄弟と丸被りで、どうしてそうなった。
「ふざけやがって!」
前回は甲平途中リタイアの都合で参戦していたフリオが一切説明なく不在で3vs3のマッチアップとなり、、ちょっと殴られた腹いせに、あっさりカブト神を呼び出すカブトン(笑)
ハリウッド映画における米軍の核ミサイルばりに軽い扱いで、世界を滅ぼしかねない最終兵器が召喚され、引き金を引く事への恐れ、とか1ミリも存在していないのですが、どうしてこうなった。
いいも悪いもセイバー次第の大巨神は力に溺れるカブトンに命じられるまま、目からビームでビークラッシャーを吹き飛ばす。
「やった!」
「さすがカブテリオス!」
町内の草野球大会に現役バリバリのメジャーリーガーが参加してコールド勝ち、みたいな状況に喝采をあげるクワガーとテントウも、随分と切ない役回り。
……いやまあ、ビークラッシャー、人類にかなりの被害をもたらしていますし、ビーファイターも命がけの戦いなので、圧倒的戦力で速やかに叩き潰す、というのは戦略としては正しいのですが、あまりに非対称すぎて面白くなりません。これが、人間大の最強キャラが人間大の敵をばったばたっと叩き潰していくというなら、話は違うのですが、どうしてここまで来てしまった。
「ちょろいぜ!」
だがそれは、カブトンにカブト神を呼び出させる為の誘いに過ぎなかった。姿を隠していたサソリが悠々とアックスを手にして天に向かって掲げると、唖然とするほど一切のタメがなく、新たな巨大メカが出現。
――その名を、邪甲神・クワガタイタン。
カブトムシのライバルはクワガタ、というのは発想としてはわかりますし、ジャイアントロボ的な重厚感溢れるフォルムで、カブテリオス同様デザインは悪くないのですが……敵の究極メカが緑色のクワガタというのは、ビーファイター的にいいのか(笑)
「行くぞ! 究極の黒い力を、クワガタイタンのパワーを見せてやる!」
二体の巨神が激突し、互いの必殺剣、ビッグフレアとタイタニックフレアがぶつかりあって相殺。だが、クワガタ神が続けて放った奥の手タイタニックサンダーが直撃し、倒れたカブト神は消滅。意趣返しの目からビームを受けたビーファイターはなんとか撤退する。
「素晴らしい……素晴らしいパワーだクワガタイタン。我らメルザードが地上を制する日は近い!」
つい先日、もう田舎帰ってトマトでも育てようかなという勢いだったマザー、大はしゃぎ。
「まさか……まさかカブテリオスが敗れるなんて!」
「未だに、信じられない」
「私も……」
一方ブラックアカデミアでは、登場3回目のマシンに身も心もズブズブな甲平達が打ちひしがれており、敵も味方もテンションのアップダウンが激しすぎて感情の波についていきにくく、どうにも物語に入れなくなってきてしまいました。登場人物の激情に視聴者の感情を同調させる為に様々な段取りを汲んだり仕込みをしていくわけですが、この1クールあまりの今作は、あまりにもその過程が雑で、キャラクターの感情がイベントの都合で上下に振り切れすぎています。
アストラルおじいちゃんの昔話が始まり、クワガタ神も元々、光の意志が作り出した決戦兵器であったと判明。だが最終決戦の際、戦いに敗れた闇の意志はタイタンを次元の裂け目に引きずり込み、死と引き替えにその魂を闇に染めるとオリジナルには無いタイタニックサンダーの追加能力を与えたのだった。
「けど、カブテリオスには、俺たちには仲間が居る。ビーファイターヤンマが、ゲンジ、ミン、アゲハが、地球の生命全てが、光の意志の戦いを受け継ぐ、同志なんだ」
クワガタイタンに追加スキルがあるならば、こちらには仲間の力がある、とメダルの戦士達を含めてここまでの展開を台詞の上では一つまとめたのですが……凄く根本的な所で、大昔に光と闇の戦いがあったというのは、今の甲平の戦いとは別の事であり、“ビーファイターもメルザードも遡ると光と闇の陣営だった”から、という理由で光の陣営として戦っている事にされてしまうのですが、実は甲平ら登場人物が、光の意志の戦いを受け継ぐという事、に劇中で一度も向き合っていない為に、非常に空疎。
前作なら昆虫魂の汚染で片付く所ですが(第1話からずっと貫かれているので)、今作においては、戦う事を見つめ直して大きすぎる力を振るう意味を考える絶交のタイミングなのに、完全にすっ飛ばされてしまっています。
この後、限りなく産業廃棄物に近い存在となっていたネオビートマシンが支援攻撃を行い、仲間の力を結集する事でタイタニックサンダーを阻止する、という展開自体はギミックの使い方としても好みなのですが、
「ああ?! タイタニックサンダーが封じられた!」
ダメージ2発で必殺技を阻止される闇の最終兵器とは……。
カブト神とクワガタ神は互いを剣で貫いて両者壮絶な相打ちとなり、共に封印の中で石化。このパワー、この破壊力。勝てる→さすがカブテリオス!→タイタニックサンダー!→まさかカブテリオスが敗れるなんて!→タイタニックサンダーが封じられた!、はせめて前後編に出来なかったのでしょうか……。
何が今作をここまで慌てた展開にさせているのか。最終回までに、後5体ぐらいロボットを出さなくてはいけないのか。
「クワガタイタンを倒したのに、カブテリオスまで……!」
「これからどうなるんだ、俺たちの戦いは」
「カブテリオス……カブテリオス……カブテリオス! カブテリオス!!」
もはや「カブテリオスの力は最高なんだ。融合すればわかる。あの力は、全てを支配できる力なんだ」みたいな事になっているビーファイターの明日はどっちだ!?
一方、何かを感じて眠りに入り、宇宙の混沌へとその意識を飛ばしたマザーは……
「おぉぉぉぉぉ……闇の意志よ、遙かいにしえ黄泉へと旅だった、闇の意志よ。お告げを、勝利を! 勝利へのお導きを……闇の意志よ!」
神頼みを始めていた。