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『仮面ライダー555』感想36

(※サブタイトルは存在しない為、筆者が勝手につけています。あしからずご了承下さい)
◆第47話「人とオルフェノクの間で」◆ (監督:長石多可男 脚本:井上敏樹
カイザ円錐ドロップキックは退けるデルタビークルだったが、カイザウルスの空中攻撃を受け、敢えなく大爆発。吹き飛ばされた元社長はベルトを三原に奪い返され、再びオルフェノク化。ファイズ・カイザ・デルタの一斉攻撃を受けるもそれを凌ぐ強さを見せるが、3方向からのトライアングル円錐キックを受けると、節穴忍法・薔薇隠れにより退散。
弱った体を引きずって何とかその場を離れる元社長だが……その前に鈴木少年、そして影の中のオルフェノクの王――バッタオルフェノクが姿を見せる。
「はっははははは……嬉しいぞ。受け取れ。私の命を。ははははは、ははははははは、はははははははははは……」
両手を広げ、高らかに笑いながら王にエネルギーを吸われて化石となり、村上元社長、絶命。
公約通りに笑いながら死んでみせた村上ですが、最終章で勇治を巨大な敵とする為の踏み台になるのは致し方ないとしても、花形にまで虚仮にされてしまったのは、前半から登場しているキャラクターだけに少々残念でした。どちらも、ちらちら出てきては思わせぶりな事を言うポジションが被っているので仕方ない所ではあるのですが……ここまで頑張ってきたのだから、花形ぐらいは出し抜いて欲しかったなぁ。
また、踏み台という点では3ライダーよりもむしろ勇治に倒された方がスッキリ収まった気はするのですが、デルタビークルを始末する巻き添えになった感じ(^^;
正直、洒落でデルタになど変身せずオルフェノクのまま戦っていた方が勝ちの目もあった気がするのですが……弱体化の著しいデルタはもしかして、デルタギアの呪いを上回る、三原の呪いに侵食されているのでは。
三原が使う度に、デルタギアは性能が落ちていく!
そして円錐に捉えられる度に超慌ててビークルのパネルをいじっていた元社長は、機械の扱いも苦手だったのでは疑惑。
その節穴ぶりに、合掌。
正気を取り戻した鈴木少年が慌てて駆け去り、その光景を陰で見ていた花形に雑に蹴り飛ばされて、元社長は灰となって消滅。
(これが、王の、力か――)
真理と啓太郎は鈴木少年を発見し、ひとまず揃って帰宅。
「でもまさか照夫くんがオルフェノクに狙われていなんて。……酷いよ……まだ子供なのに」
「相手はオルフェノクだからな。子供を可哀想だと思う気持ちなど持ってない。……そうだよな?」
隙あらば巧への厭味に繋げてくる草加ですが、隙あらば罵詈雑言で滅多打ちにいくのは伝統的な『555』スタイルなので、正しい作法といえます。
「やめなよ草加くん、そういう言い方。巧は普通のオルフェノクと違うんだから」
巧のフォローに回る真理の、“普通のオルフェノク”という言葉が、では“普通ではない”オルフェノクは「正しい」のか「正しくない」のか、“普通の人間”は「正しい」のか「正しくない」のか、螺旋を描く勇治の問いと重なって重い。
その勇治は、新社長としてなんちゃらクローバーを呼び出し、冴子達に凄まれていた。花形は失脚した村上が王によって処理された事を明かし、過去の経緯は水に流して「王を倒すために」手を組まなければ、今居るオルフェノクの半数ほどは王復活の生け贄にされると説明。
「今の俺は倒せない。……誰にも」
北崎に対しても泰然とした姿勢を崩さない勇治は、花形の招きで流星塾へと降り立ち、そこで新たなベルトを見せられる。
「もともとベルトは王を守るために作られたものだ。守る事ができるという事は、倒す事もできる。同じベルトが全部で6本完成している。これを使いなさい。頼む……私には時間がない」
地下にこもっていた花形が、作業員などを実験台にして作っていたベルトかと思われますが……実に安っぽくて、もう少しなんとかならなかったのか(^^; この時点で、このベルトをつけた人は雑な扱いを受ける事確定の雰囲気が物凄いのですが、まず間違いなく、安全性とか二の次だろうしな!
バッティングセンター友達が無職を卒業しているとは露知らず、連絡の取れない勇治の所在について、今日も熱心に洗車中の草加に尋ねる巧。
「君が知らないのに俺が知るわけないだろ」
ごもっともです。
恐らくはウェットティッシュに繋げて、“拭き取る・洗い流す”事への一種の強迫観念的な行動という事なのでしょうが、終盤の草加はひたすら洗車担当。しかし考えてみれば菊池家の配送車は木村沙耶の墓標なので…………だからなんて事をしてくれたんだ石田ーーー。
当然の否定から鮮やかに厭味を繰り出す草加だったが、突然、激しい頭痛に襲われて苦しみ、「なんでもない」とそれを誤魔化した所に訪れるスマートレディ。レディは巧と草加をスマートブレインへと招待し、意外と大胆に、1人で先に待っていた三原と合流。そこで3人は、スマートブレイン新社長・木場勇治と対面する。
悪ぶった仕草で足を組んでニヤッと笑ってみせた勇治は、「君たちには色々お世話になったから、僕のコネで東証一部上場の超一流企業スマートブレインに入社させてあげてもいい! だが草加、君は契約書に判子押したら速攻でシベリア支社に転勤させて森の木を数える仕事を与えてやる!」
と、オルフェノクの王を倒す為の共闘を3人に持ちかける。
「何を考えているのかは知らないが、お断りだ。俺はオルフェノクを操るスマートブレインこそが、本当の敵だと思っている」
草加はさくっと拒絶して退場し、それを追いかけて三原も退場。
「君の答えは? 王はオルフェノクを餌として成長している。人間にとっても、オルフェノクにとっても敵なんだ」
「……ひとつだけ、聞かせてくれ。おまえは、人間を守りたいのか、オルフェノクを守りたいのか」
「俺はもう、人間である事を捨てている」
「おまえ……いいのかよそれで。人間とオルフェノクの共存がおまえの理想じゃなかったのかよ?!」
「黙れ! いつになったら目が覚めるんだ君は」
「木場……」
草加を引き留めようとする三原だったが、エレベーターホールでわざとらしくすれ違った花形に気付き、慌てて追いかけた三原だけが花形と同じエレベーターで階下へ向かう事に。別のエレベーターで降りた草加は三原だけと出会い、三原は嬉しそうに微笑む。
「昔の優しい父さんのままだったよ。父さんも会いたがってる。俺たちみんなに」
そして花形は、灰のこぼれ落ちる自分の手を見つめていた……。
「君はまだ人間である事にこだわっているのか? 悪い事は言わない、人間を捨てろ。オルフェノクとして生きていくしか道はないんだ」
「――俺の答は決まってる。おまえならわかってる筈だ」
残された巧と勇治の会談も物別れに終わり、それでも外まで自分を見送る勇治に、巧は問いかける。
「また……会えるか?」
「君が人間である事を捨てるなら、友として。人間であり続けるなら、敵として」
「俺は人間を捨てたりはしない。――何があってもな」
真理と啓太郎に手を伸ばしてもらって人間の世界に帰還した巧は、この最終盤、オルフェノクである自分が“生きていて許される”為に、人間として皆に手を伸ばし続けようとするのですが、一方の勇治が“生きていて許される”為にはオルフェノクの倫理こそが必要であり、両者が同じ事を望みながら致命的なまでに逆の立場に居て、勇治に手を伸ばし続ける巧がそれに気づけない、というのが実に残酷。
オルフェノクの倫理”に生きる勇治と、“人間の倫理”を守ろうとする巧の線は交わらず、いや、交わった後に遠ざかっていき、バイクで巧が走り去った後、レディが新たに連れてきたのは――海堂直也。
「おめぇもしかして木場か?」
「久しぶり、海堂」
海堂を振り返った勇治が、凄く穏やかな笑顔を浮かべるのが、超怖い。寂しかったと本音を漏らして泣きついてくる海堂に、花形の作った量産型カッパーベルトを手渡す勇治。
「ベルトの力を使って、俺の為に働いてくれ海堂」
「なにが、なんだか、さっぱりわからんが、俺に任せとけ。おめぇの事だ、人間を守るために戦っちゃうんだろ?」
頼られて照れくさげな海堂に、勇治はあくまで笑みを向け……その真意は闇に沈む。
同じ頃、リタイアレースから圏外に逃げ切った感のある沢村は、添野と赤提灯で一杯やっていた。
「俺……怖いんすよ添野さん。これからとんでもない事が起こるような気がして」
「何を言ってんだ〜。世の中ってのはそういうもんなんだよ。いつ何が起こるか、わかったもんじゃないんだ。だから、どんな世の中になっても、小さな幸せ、ってやつを、俺は、守ろうと思っている。1人の刑事としてもな」
「小さな幸せ……ですか」
そこまでいい話だったのに、着地点が、飲んで全部忘れろ、酒は最高だってどうなんですか添野さーん。
様々な思惑が錯綜する夜を抜けて、翌日――鈴木少年を後部座席に乗せた菊池クリーニングの配送車は、北崎らの襲撃を受ける。
「折角だ……全員まとめて命もらうよ」
ドラゴン・エビ・ムカデに囲まれるファイズだが、更にそこに勇治、そして海堂を含む黒スーツの男達が現れると、男達は揃いのベルトで胴色の安っぽい廉価版ライダーへと変身。ファイズは9対1で追い詰められ、勇治はその姿をじっと見つめるのだった……。
10円ライダーズは、いってみれば再生怪人軍団のようなものなのでしょうが、ベルトといいデザインといい、どうにも脅威感が薄いのは残念な所。ここに来て新たな脅威と見せるよりも、父さんのベルト工房を拾いつつ軽いハッタリと割り切ったのかもしれませんが。
次回――死闘は終局へ向けて加速していく!