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『仮面ライダー555』感想38

(※サブタイトルは存在しない為、筆者が勝手につけています。あしからずご了承下さい)
◆第49話「君去りし後」◆ (監督:田崎竜太 脚本:井上敏樹
草加が散華した海岸に辿り着いた巧と三原は、草加が大事に持ち歩いていた流星塾時代の真理の写真を発見。
「間違いない。草加のだ。そんな……奴が……」
三原、おまえもか。
……いや、たまたま目にした事があったのかもしれませんが、草加がおおっぴらに見せて歩いていたとも思えない真理の写真についてこれだけ明確に断定できるのは、三原も同じ同盟に所属していたと考えるのが自然だと思うのです。
がっくりと膝を付き、かつて草加だった灰をかき集める巧。
草加……」
それは、虚しく風に飛ばされて消えていく……。
草加ぁぁぁぁぁぁ!!」
三原は里奈には草加の死を伝え、園田真理同盟最後の1人として、その覚悟を新たにする。
草加……俺の中で生きてくれ。君の強さを、俺にくれ)
前回、海堂が勇治の「理想」を受け継ぐと宣言するのですが、今回は三原が草加の「戦う意志」を受け継ごうとし、それぞれの純なる部分を認める者が現れるというのは面白いところ。
巧は草加の死について勇治を問いただし、あっさりとそれを認めた勇治は、草加殺害を最後のスプリングボードにして、人類と完全に袂を分かつ。
「なに? おまえぇ!」
そして、数多のオルフェノクを殺してきた草加オルフェノクによって殺された事に怒る巧は、オルフェノクとして草加を殺した勇治とは、もはや相容れない。
「よせよせ、そいつはもう人間じゃねぇんだ。殴るだけ無駄だぜ」
激高する巧を海堂が止め、勇治は2人にオルフェノクに待ち受ける死の運命について語る。
「放っておけば……俺たちは近い内に死ぬだろう」
「……死ぬ? 俺たちが……?」
「そう。だがオルフェノクの王が覚醒すれば、我々はその力で死の運命から逃れられる」
「え? うそ? ほんと! じゃあ俺たちみんなでオルフェノクの王様を守ろうじゃねぇか。な? な? な?」
海堂は、どこまでも海堂であった(笑)
だが……
「王が覚醒すれば人類は滅びる。この世にはオルフェノクだけが残るだろう」
勇治は突然大きな事を言い出し、階下でそれを耳にする冴子。人かオルフェノクか、生き残るのは二つに一つ、という選択肢を突きつけられた巧は家に帰ると真理と啓太郎に草加の死について伝える。
「嘘じゃない! オルフェノクにやられたんだよ……俺と同じオルフェノクにな。おい見ろよ」
巧は真理に、灰にまみれた手を突きつける。
草加の血だ。……憎いだろオルフェノクが? え? オルフェノクなんて滅べばいいんだよ一人残らず! ……この俺もな」
若干、自罰的な傾向がある巧ですが、ここ最近、草加の厭味を黙って聞いているだけだったのはどうやら、おまえはろくでなしのオルフェノク野郎だ! と草加になじられる事で、そうだ俺はろくでなしのオルフェノクなんだ! と自傷行為の代替えにしていたらしき事が、この取り乱しようからは窺われます(^^; 健康的とは言いがたいですが、巧が人間としてバランスを取るにはまだ草加という存在が重石として必要だったようで、そんな草加を失い、理解者と思っていた勇治も変貌してしまった事で、巧もまた精神の余裕を失っていくのが実にきつい展開。
「真理ごめん……ごめんな……!」
追いかけてきた真理を腕の中に抱きしめながら巧は徐々に落ち着き、色々あったので仕方がないのですが、適宜、外部から存在を承認してあげないといけなくて、凄く面倒くさい男だなたっくん!!
草加の事を忘れない為に、草加と初めて出会った場所に行きたいという真理の願いに応えて、翌日巧達は流星塾の跡地に。
「全部、ここから始まったんだよね…………」
朽ちかけの校門だけが残って後は空き地になっているのですが、校舎はまるまる地下に移設されたという事でしょうか。滅茶苦茶度合いから考えると、引きこもりに際して花形が強行したのか。
感慨に浸る一行だが、そこに王殺しにゲームとしてこだわる北崎を先頭に100円クローバーが登場。ファイズとデルタが立ち向かうが、戦闘中に突如、北崎オルフェノクを背後から攻撃するエビとムカデ。
「悪いわね、北崎くん。私たちあなたのゲームに付き合うつもりはないの」
「生きたいんですよ、僕たちは」
オルフェノクが生き延びる為には王を守るしかない、と方針転換した2人が北崎を裏切り、キャストオフしてエビとムカデを殴り倒す北崎だったが、○と△のダブル円錐キックの直撃を受け、逃亡。ダメージに倒れて変身が解けた所に、迫り来るムカデ。
「いい姿ですね……北崎さん。僕は待ってたんですよ、この時を」
ハイテンションのムカデは抵抗できない北崎へ向けて鞭を連打し、こんな押し迫った局面だというのに、全くブレない芸風が素晴らしい(笑)
凄いよ琢磨、草加も凄かったけど、凄いよ琢磨……!
そんなムカデフィーバーを目撃し、照夫の中から再び具現化するバッタオルフェノク
オルフェノクの、王……?」
「僕がやられる筈がないんだ。僕は、王様なんだから」
ムカデの気が逸れた隙に藪の中に逃げ込む北崎だったが、バッタ光線を浴びて化石になった所を、頭から貪り食われ、リタイア。
最強クラスのオルフェノクの割に、ノーマルファイズと三原デルタのダブルキックで大ダメージ、というのは少々物足りなかったですが、琢磨の見せ場に貢献し、劇中でもトップクラスの惨い死に様で印象的なラストとはなりました。
結花→南→村上→草加→北崎と、この5話すっかり、衝撃のラスト対決みたいな事になっていますが(^^;
オルフェノクとしてあまりに強い能力を発現してしまった為に、人生に飽いて、強さとそれを弄ぶゲームにしか興味を持てなくなった男、という北崎のキャラクターはやや広げきれなかった感がありましたが、これは致し方ない所か。もう少しラスボス寄りになれれば、もっと面白い化け方をしたのではと思えるのですが。
ムカデは泣きながら逃亡し、王=照夫だと知ってしまう巧。そして勇治が姿を見せる。
「そう、あの少年こそ我々の、オルフェノクの王だ」
「そんな、馬鹿な事が……」
「君は知らず知らずの内に、今までオルフェノクの王を守ってきたというわけだ。王はまだ完全に覚醒してはいない。でも……君に倒せるかな? あの少年を。それに今王を倒せば、君は近い内、死ぬ事になる。悪いことは言わない。オルフェノクとして生きたほうがいい」
徹底的に巧が追い詰められている頃、泣きながら逃げていたムカデは土手を転がり落ちて斜面でプルプルしている所を冴子に発見される。
「琢磨くん……何を怯えてるの? 良かったじゃない。北崎くんが居なくなって。これでもう、誰もあなたを虐めたりはしないわ」
衝撃の食餌シーンのショックで、ほとんど精神に異変をきたしているかのようにも見える琢磨は、まともに喋る事も出来ずに、泣きながら逃走。
「なに? 変な子」
……いやホント、この局面でこれ出来て、なんの違和感もない琢磨、物凄いキャラクター強度。
嵐はひとまず過ぎ去り、若干自分に酔い気味ながら、海堂は巧に自らの決意を語る。
「とにかく俺は決めたんだよ。俺の命なんて……どうなったっていい。俺は死んでもオルフェノクの王を倒してみせる。人類の為にな。そして……真の英雄となるのだ」
王の正体を明かせず独り悩む巧だが、菊池クリーニング開店100周年記念バーベキューで皆が集まった日、照夫がいつの間にか姿を消し、近くに居たオルフェノクを王が食うのを目撃。ファイズに変身する巧だが王は照夫の中へと戻り、ファイズは事情を知らない海堂オルフェノクと殴り合いに。海堂オルフェノクを振り払って照夫に迫るも、最後の最後で少年を攻撃できないファイズだが、そこに勇治が現れてカイザへと変身する。
「君の思い通りには、させない!」
「どけ! 奴は、俺が倒す!」
なし崩し気味に両雄激突の末、カイザの一撃を食らったファイズは変身解除。ファイズフォンを握ろうとした巧の手からは灰がこぼれ、苦悩と消耗の中、巧はその場を走り去る……で続く。
ラスト1話前だというのにこれまで以上に巧が徹底的に追い詰められていますが、果たして、巧は、勇治は、この世界で生きていく、どんな道を見出すのか――次回、最終回。