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六月の勝利の歌を懐かしむ〜トルシエ会見全文集より〜:2

〔スポーツナビ | サッカー|日本代表 | トルシエ会見全文アーカイヴ〕
前回書き忘れましたが、ある程度以上の興味のある方は元ページを読むのが面白いと思います。トルシエのみならず、ジーコオシム、岡田、とこの10年の日本代表を会見で振り返る事が出来ますし……長いですが。私もまだ、全然読み途中ですが(^^;
また、折角の会見全文と、個人の著作や文章ではないという事、加えて後で自分で読み返したい時に便利なように、引用は多めになっております。ご了承下さい。


〔2000.10・16 トルシエ監督 ウズベキスタン戦前日会見〕より
――日本のアイドルであり偉大な選手でもある中田英寿選手がいないことの不安はないのか

彼のアイドル的性というのは、メディアの方を通じて作られた彼のイメージだと思いますけれど、しかしサッカーを発展させるために、その若い世代、彼のアイドル性は非常にいいことだと思います。とくに社会の中でスター的な存在がいて、それを若い世代に夢を伝えてどんどん発展していくということは非常に重要です。
とくに日本の場合は、このスターという扱いが普通の1000倍の扱いを受けることがあります。しかし私の役割というのは、スターがいて、そのスターを私は裸にする。裸にしたときの中田英寿というのは、非常にパワーがあり、技術もあり、選手として素晴らしい能力を持っている。もちろん中田というのは非常に重要な選手であると思います。
もし22人のメンバーのなかに彼がいれば、もっと力のあるチームになると思います。しかし、彼がチームにいればというのは、これはもう22人のメンバー、そして私が候補メンバーと考えている35人から40人の中に入れても、彼が出なくても、ベンチの中にいても、非常に力を発揮できる選手だと考えています。


しかし、チームのパフォーマンスというのは決して一個人の選手で得られるものではありません。

――日本のサッカースタイルというのは、日本本来のスタイルなのか、白い呪術師が、黄色い呪術師になったのか


指揮をるということは非常に難しいことだと思います。やはり、ある程度選手を自由にプレーさせるためには、最低限、60パーセントのチーム戦術を守ってもらわなければなりません。
その60パーセントの中で選手に望んでいることは、個々の特徴を生かして、その中でどんなことをしなくてはいけないか、それをよく理解することです。

もちろんシステムに惑わされる選手がいると思います。子供の時代にやってきたような同じ基礎練習を何度も繰り返し、しかしそれが2段階目にいきますと、これをやっていくうちに無駄な走りをしなくなった。結局、自分のやっていることはパートナーがいて、初めて自分の存在もあるんだなということが分かっていくと思います。
そしてこれが、第3段階になると、そのシステムというのが自然に考えなくてもできるようになります。その後、自分自身で責任を持って何をしなければいけないという過程につながるわけです。今は2年やってきて、選手は3段階のレベルにきていると思います。今は自由に楽しみながら、確実性を持ってやってくれていると、選手から印象を受けます。

たとえば一人の選手が8人ドリブルで抜いてゴールを決める。
これは機能しているとはいえない。しかし点を取ったということを考えれば、まあ、いい結果が得れたということになります。同じ点を取るにも、みんなでコミュニケーションを取り合って、まず60パーセントの戦術の中で同じ結果を出す。
私のサッカースタイルというのはそういう風に考えていますし、私がこれまで指導してきた国では同じような考えを植えつけるようにしています。
この辺りの話は、戦術素人には非常に面白い。
トルシエが現時点において、監督として大成している人物ではないというのを踏まえてなお、日本代表の指導者に今はまだ必要な要素の一つは、雄弁あるいは能弁、ではないか、という事を思う。
日本はまだまだ、監督と選手とファンとマスコミが、サッカーについて語る量を増やさなくてはならないといけないのではないかなぁ。
ちなみに、トルシエのこの論法を借りるなら、ジーコ(ブラジル人)にとっては、第3段階などは“サッカーやる上での常識”で、その前から教えて組み立てないといけないんだ、という事についぞ思い及ばなかったのだろうなぁ(笑)