はてなダイアリーのサービス終了にともなう、旧「ものかきの繰り言」の記事保管用ブログ。また、旧ダイアリー記事にアクセスされた場合、こちらにリダイレクトされています。旧ダイアリーからインポートしたそのままの状態の為、過去記事は読みやすいように徐々に手直し予定。
 現在活動中のブログはこちら→ 〔ものかきの繰り言2019〕
 特撮作品の感想は、順次こちらにHTML形式でまとめています→ 〔特撮感想まとめ部屋〕 (※移転しました)

六月の勝利の歌を懐かしむ〜トルシエ会見全文集より〜:4

〔スポーツナビ | サッカー|日本代表 | トルシエ会見全文アーカイヴ〕
ところで、翻訳したものを更に文章に起こしている関係で、時折、意味の取れない言葉とか、てにをはがおかしい所とか、トルシエの一人称が変わっていたりしますが、すべて原文ままで引用しています。


〔2000.10.19トルシエ監督 カタール戦前日の会見全文〕より
 ひとつ言えることは、今の若いジェネレーションは非常に力を持っていて、そして彼らは2年前から何度も集まってきて、ワールドユース、オリンピックという中で彼らが揉まれ、力をつけてきた。そういう長いプロセスを忘れてはいけないと思います。今、特に来ている若い選手を見ていますと、もちろんカテゴリーは別ですが、彼らは21歳から22歳ですが、スペイン、ウルグアイ、いろんな国と30試合以上の国際経験を持っている。非常に力をつけてきている。今、この若い選手が得られた大きなアドバンテージがあったとすれば、例えば明日、日本対スペイン、日本対カメルーン、日本対フランスとやっても、今と同じ若い選手が何も動じない、自信を持ってプレーできるということです。

〔2000.10.20トルシエ監督、カタール戦後の会見全文〕より
(退場者が出て、10人対11人になった試合で)
――二人のセンターバックで後半はやりましたが、あれはひとり少なかったからしょうがなかったのか、それとも11人でも将来的にはやる可能性があるのか


 11人でもああいう形でもプレーできると思います。やっぱりフレキシブルにプレーすることが大事だと思いますし、今の指導書の第3巻に入ってくると思いますが、まだその後にはトンという重さが残っていますが、今日言えるのは、彼らがあの状況を経験したというのは非常に大きなことだと言えると思います。今後の試合をやっていく中で、サッカーを続けていく中で、3バックでやったり、4人でやったり、いろんな状況が生まれてくると思いますが、もしくは2バック、そして2人のディフェンダーがうまくスライドしてすべてをカバーしていく。しかし、そういう守り方をすると、長いボールをつないでいかないとならないと思います。もちろん今日は9人なのでああいう形を取りました。もし11人であっても、ああいう形からサイドからの展開、サイドへ一度つないで、前へ長いボールをつないでいく。そういう形は作れると思います。そういった攻め方、形というのはフレキシブルに状況の中でやっていく必要があると思いますし、これから日本のサッカーもその都度状況に合わせてやっていくことが必要だと思います。もちろんこれから私が2バックでやるとは理解しないでください。もちろん2トップや1トップでやるように、そういう形も可能ですが、そういうフレキシブルにいろんなバリエーションがあるのは大切だと思います。そういう意味では非常にいい後半だったと思います。ということは、もし中沢と森岡が2人でやるような状況があったとしても、彼らはもう経験があるわけですからスムーズにうまくやるでしょうし、これから日本のサッカーを伸ばしていくためにはそういったフレキシブルさが必要だと思います。
内容が面白いというよりは、やり取り自体が10年の歳月を感じさせて面白いので引用。
当時これだけ、フレキシブル、という言葉を繰り返す形で説明しなければならなかったのか、と。
加えて、こと戦術の話になると、多少ボールが明後日でも、丁寧に応答する、トルシエ オタク 紳士な面も窺えます。
なおこの後、記者からは
「2バックではなく3バックでやる大きな理由として、前へ長いボールをつながなければならないから3バックにしている、ととらえていいのですか」
「でも、ワールドカップでは相手が攻めてきますよね。それでも攻めるんですか」
という質問が続きます。
……なんか多分、1998年の時点でベンゲルが代表監督に就任しても、やっと歯の生えてきた赤ん坊にステーキを食わせるような事になっていた気がしないでもない。成績と関係なく、2年ぐらいで帰ってしまったのではなかろうか。
ちなみに今はあれですよ、栄養あるからこれでいいよな、ってカロリーメイトとコンビニ弁当渡されている感じ。

〔2000.10・24 トルシエ監督 イラク戦前の会見全文〕より
――名波は3試合連続で疲れているようですが


 いや、私は名波が疲れているとは思っていません。逆に非常にフレッシュな状況にあると思います。彼は3試合プレーしましたが、今の彼にはゲームをやることが大事だと思います。なぜなら、彼は、この6か月でその3試合だけしかやっていない。名波は特にベネツィアを退団してヨーロッパに残るのか、どこに行くのかという状況が続いていたので、この6か月で3試合しかやっていない状況なので、彼にとってはリズムを取り戻すためにも試合をするのは大事だと思います。
 まず、私が彼を代表に招集したときにも、皆さんの方から「5か月もプレーをしていない選手をなぜ入れたのか」という質問を受けたことも覚えています。もちろん皆さんが正しく、私がリスクを背負ったのかもしれません。名波を選んだことに対して、しかし私は、彼のメンタルな部分で力を発揮してくれることは分かっていましたし、そして彼が実際にチームにきてくれて、非常にいい機能をしていると思います。
ワールドカップ後、何かで、トルシエは「状態さえ良ければ本大会メンバーに名波を入れたかった」というのを読んだ記憶がありますが(『山本正邦備忘録』か……?)、トルシエは名波に対する評価が高い。

――こちらにきて同じホテルにいて、単調な生活になっていると思います。気分転換が必要な時期だったと思いますが


 確かにそういう意味ではこの大会では、そういう問題もあります。もしこのホテルにいるのがカメルーン代表の選手たちだったら、そこのプールの横にナイトクラブができているでしょうし、選手の部屋から常に縄ばしごが降りている状態だと思います。

 選手にフリータイムをあげました。通常フリータイムというと、まずバスが1台用意されて、みんな同じ服装をしてレストランに予約を入れる。同じメニューを食べて、時間が決まっていてその時間内に食べて、そして終わったらホテルに帰ってくる。これが通常、日本で言うフリータイムだと思います。
 しかし、今回はまずバスはないと。ホテル内のレストランは閉める。食事をしたいのであれば外出しなさい。好きなところに行って良し。君たちが好きなように計画しないと言いました。
 みんながどういう反応をしたのかは分かりませんが、殻を破らせるというのは私にとって非常に難しい仕事です。彼らにとってはフリータイムにもオーガニゼーションという言葉があるのかもしれません。もっと個人の表現、自己表現をさせるためにはまだまだ時間がかかりそうです。なんとかそういうふうに導いてやろうと思っているんですが、まだまた人間性に幅が狭いなと感じます。

 昨日の練習風景をみていると、なんか私は病院の監督をやっているような気がしました。みんなスタッフが過保護的に選手の回りにいて、あまり大きな声で喋るなとか、焦るなとか、君たちはまだ子どもなんだからとか、そして我々の仕事をレポートする技術委員会というのがまたいて、まあ話がそれますけど、オリンピックのときのテクニカルレポートを是非見たいと思います。非常に厳しい内容だったと聞いています。協会に見せてくれと聞いたんですが、嫌だと言われて。僕は自分でも色々勉強して進歩したいのでぜひ参考にしたいと言ってているのですが、しかし、見せてもらえそうにもありません。
 まぁ、非常に力のある方々がやられているレポートなので。あの、チーム編成のためにも一緒にやろうというようなことを言われました。私はOK、チームを作るためにみなさんの意見を取り入れましょう。その代わり、結果の責任は取ってくれと返答しました。
 そしたら、いやいや、責任を取るのはお前だと言われました(笑)。

――まず、お礼を申し上げたい。私はカタール戦の前にやってきたんですが、イミグレーションでも通関でも、お前のチームは素晴らしいと褒められたのは初めてです
ここで、洒落た事を言う記者、登場。

 日本の方にとっては、2002年というワールドカップの準備の一貫として、特に世界の各国からそういう評価を受ける、それは10年ほど前から始まった育成の成果、そしてその時に育ってきたのが今の若いジェネレーションで、非常に才能を持った選手たちがいます。やはり日本がそういう形で世界のトップレベルに近づいているのを私も嬉しく思います

 しかし、それが新しい責任感となり、それなりのプレッシャーも与えられていると思います。そしてまず、皆さん自身でも、日本のサッカーをみる目がもっと厳しくなると思いますし、しかしそういった厳しいなかでプレッシャーを感じたほうが、何もできない、点も取れないレベルの低いサッカーよりも恵まれたことだと思います。
香港やバーレーンに勝って一安心している場合ではない、と。

 そして明日の試合ですが、セルジオさんが分析されているように、非常に厳しい状況になると思いますので、まずそれに対してどうやって戦うかを重視したいと思います。しかし、ちょっとびっくりしているのは、ブラジルの方が、イタリア人のような発言をしたのでちょっとびっくりしています。しかし、私としてはブラジルのようなプレーをしたいと思います。もちろん、ブラジルというのはいい例にはあげられない状態にはありますが。
どうやら越後さんがTVか新聞かで何か言ったらしい。

――最後の直線に立ったと言いましたが


 でも、この直線は200メートルあります。100メートルじゃありません。

――ジョッキーは馬にムチを入れると思いますが、走り始めた馬にムチをいれるとしたら、いまのチームでは誰になるんでしょう


 フー……(タメ息)。ムチは必要ないと思います。いま試合の前日で、少しずつですが非常にいい興奮というのを私も味わっています。
質問を考えると、この溜息は「君たちは本当にスターシステムが好きだなぁ」の溜息なのでしょうが、書き起こしの際に思わず入れてしまうぐらい、盛大な溜息だったのか?(笑)

 できれば私はこの大会で頂点へいきたいと思います。というのは、今この直線というのが、いい結果が出ればそれが高速道路に早変わりして、そのあと日本のサッカーの進歩につながる高速道路になると思うからです。

 今我々は非常に境目、この大会でいい結果が出すことによって一つの国境を越えるというか、先へ進んでもっと伸びられるのか、それともこのアジアのなかで止まったままの状態になってしまうのか。もし先へ越えることができれば、彼らの経験、私生活も含めてもやはり大きな価値があると思います。
 ムチは打ちませんが、選手自身が我々が立たされている直線の大切さ、我々の前にあるこの大きな壁、これをなんとかみんなで乗り越えよう。これを乗り越えることができればその先にもっと新たな道が、上へ進んで行ける。そいうことを選手各自が認識して欲しい。ムチというよりも、なにか一つ後押ししたい、そういう気分です。
10年経って振り返ると、このセンテンスに関して、100%トルシエの発言が的を射ている事に驚く。
まあ、2002年の7月以降、この次のステージで大迷走を始める事になるわけですが。