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『特警ウィンスペクター』感想5

そういえば、壁破壊武器こと「マックスキャリバー」が「キャリバー」なのか「カリバー」なのか「ギャリバー」なのかについても自信はない。
◆第6話「子供に戻った両親」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:扇澤延男)
良太の友人・中島が、両親が急におかしくなったと喫茶店に駆け込んでくる。食事で喫茶店に居合わせた竜馬(竜馬は3食この店なのか?)と小山姉弟が駆けつけると、そこに見たのは路上でハンディカラオケで熱唱(ウィンク?)する中島母と、四股を踏む中島父だった。母はアイドル歌手になる、父は相撲取りになる、と言っており、中島少年の事もすっかり忘れてしまっている。そう、二人とも、まるで子供に戻ってしまったかのように――。
話の都合と言ってしまえばそれまでですが、良太少年は小柄な割には小学生コミュニティの間で顔が利いています……ガキ大将的な描かれ方まではいっていないので、少年そのものというよりは、年上のお姉さん効果か。
本部長の指示を受け、中島家を調べた竜馬と女刑事は、「ハッピー心理診療所」のチラシを見つける。両親がその日の朝にそこへ行ったたと聞いた二人は診療所に向かうが、所長の日留川一郎は二人が訪れた事を否定。しかし、所内で中島母がつけていたイヤリングの片方を拾った竜馬は、日留川が何かを隠していると、彼がかつて在籍していた大学へ向かうのだった。
女刑事が気付かなかったイヤリングを目ざとく見つけ、更にそれが中島母がつけていたものだと気付くなど、竜馬がさらっと捜査官としての能力の冴えを見せます。ここは、女性であるという点を含め、女刑事の活躍でも良かった気はしますが。
同僚にして旧友・田辺によると、大学において「現代人のストレスを解消する研究」をしていた日留川は、特殊音波によって大人の心を子供に戻す事で、ストレスを根本的に取り去るという装置を開発しようとしていた。
体はオトナ、心はコドモ、迷探偵コ(以下検閲)
大きな子供を作り出すその装置は、人を操り人形にする機械だ……と研究の危険性を友人に指摘され大学を去った日留川は、行く先々の研究室でも認められず、失意の内に姿をくらます。
だがその彼が、研究を完成させて帰ってきたのだ!
一方その頃、正木の指示で日留川の診療所を探っていたお姉さんは、日留川によって無理矢理、子供の心に戻されそうになっていた。更に「近くのガソリンスタンドに行って火をつけるんだ。綺麗な綺麗な花火で愚かな社会をパニックにしておやり」という暗示を受ける。
すっかり心を歪ませた日留川は、自分を認めなかった社会に復讐をしようと、自らの理想の産物である装置を躊躇いなく悪事に使っていたが、間一髪、駆けつけた竜馬と女刑事によって小山姉は救い出される。
しかし竜馬さん、デリケートそうな機械をいきなり撃たないでください
女刑事が立ち回りで日留川を捕まえ、ちょとアクションでも活躍。
逮捕した日留川に中島親を治すように詰め寄る竜馬だが、日留川のネジの外れたような表情には、奇妙な笑みが浮かんでいた。
「やつらはもう、手遅れだよ……」
……それはもしかして、竜馬さんが装置を破壊したからですか?!
その頃、童心にかえって好き勝手に遊んでいた中島両親が、何かに気付いたように身を起こしていた。
「もうすぐ3時だ。お父さんとの約束」
「花火をあげる時間よ」
日留川は既に、心を子供に戻した6人の男女に、「花火を成功させたら夢をかなえてあげる」という暗示を擦り込んでいたのだ!
ここはわざと軽い音楽を使って間の抜けた感じを作りながら、しかし内容は恐ろしい、という演出が効いています。
日留川から得た情報で品川の化学工場に向かう特警。この時、特警だけではなく一般警察のパトカーも出動するのが、リアリティが出ていていいです。出来れば継続してほしい演出ですが、こればっかりは予算の問題が出るからなぁ(^^;
駆けつけた警察は間に合わず、工場大爆発で、ここからはレスキューアクション。
化学工場の大火災(外)は、実際の消火活動の映像とCGを交えて誤魔化しましたが、ファイヤーが6人のオトナ子供を救出に向かう工場内部のシーンでは、火薬の大盤振る舞い
よく考えると、毎度の戦闘シーンがあるわけでなく、5話はvs鳥で大破壊をしたわけでもないので、火薬に余裕があったのでしょうか? 実際の詳しい制作態勢はわかりませんが、監督ローテごとに火薬の割り当てが決まっていたりするとすれば(実際には脚本との絡みがあるのでもうちょっと広い枠組みだと思いますが)、5話の分もまとめて投入した感じ
シチュエーション的には一歩間違えると微妙な盛り上がりになりかねない所を、火薬の多さで走り抜けました。
ダメージを追って「着化」タイムリミットが迫りながらも、救助者を捜して爆発炎上する工場を駆け抜けるファイアーがとにかく格好いい。
基本的にフィクションにおける「救命」というのは燃え要素を含んでいるわけですが、それを特撮ヒーローものと見事に融合させて成立させた企画の勝利。
イムリミット寸前、6人を救助して無事に工場から脱出するファイヤー。バイクルとウォルターによって火災も鎮火され、ウィンスペクターと警察消防の活躍により、被害は最小限に抑えられた。
竜馬が日留川に怒りの言葉を投げ、後は大人達が元に戻って大団円かと思ったらそこへ姿を見せる、日留川のかつての同僚にして旧友・田辺。



田「すっかり顔が変わったな……5年前、殴り飛ばしてでもおまえを研究所に引き留めるべきだった」
日「へへっ、俺はな、完成させたぞ、ストレスを取り除く画期的な装置をな」
田「まだわからんのか、いい加減に目を覚ませ!」
(田辺、日留川を殴り飛ばす)
日「はっは……はっはへへへへ、ひーっひっひひひ…………」
(地面に倒れるが笑い続ける日留川)
正「5年の間に、日留川の心が復讐へと歪んでしまったのは、現代社会そのものに問題があるのかもしれんな」
竜「彼も、被害者なのかもしれませんね……」

会話そのものは非常にベタなのですが、ファイアーの正義の味方の正論説教で終わらせる事なく、単なる情報提供キャラかと思わせた大学時代の同僚が再び出てくる、というこの展開は実に良かったです。消えきっていない友情、みたいなものを視聴者に感じさせて人間性を出しつつ、良心ある科学者のポジションを取らせる事で劇中世界のバランスも取る。更に「友人の不始末は私が」と治療して大団円へとシナリオの中でしっかり繋げる。
この、社会派路線へのこだわりは素晴らしい。
その上で、特撮ならではの派手な救命アクションをしっかり入れて、ヒーロー物も成立させる。
実に意欲作
そして意欲倒れに陥らないで、しっかりとここまで作り込んできました。渾身のパイロット版(1・2話)は別格にしても、6話までで4人の脚本家が参加して、この設定・世界観で出来るエピソード、のパターンを色々と試す形で広げつつ、この水準なら滑り出しは実に好調。……まあ、ここからグダグダになる作品は数多いので、油断は出来ませんが。しかしここまでの出来と、作品世界の面白さ、という点においては、非常に素晴らしいです『ウィンスペクター』。
作品数が減って冒険しにくい90年代に、特撮ヒーローもの+社会派路線&刑事ドラマ&レスキューもの、をやってのけたのが、お見事。
翌年には戦隊シリーズで『鳥人戦隊ジェットマン』が始まりますので、戦隊にしろメタルヒーローにしろ、この時期、何かしら現状を打破しよう、という動きがあったのかとは思いますが、後は本当に、うまく転がってほしい、どう転がっていくか、楽しみ。
ところで基本的には刑事ドラマを意識しているのでしょうが、1話完結でバリエーション豊富な犯罪が相手、というのは『怪奇大作戦』とか、円谷系の旧作のイメージも参考にしているのかなぁ。少しこう、東映+円谷のハイブリッドぽい香りがあって、面白い。
次回予告からあまり期待していなかったのですが、なかなか秀逸なエピソードでした。
1話もそうだけど、サブタイトルが良くない気がする……(笑)
ああ後、一つだけ大きく気になる所があるのですけれど、ファイヤーのスーツそのものは縛りが厳しいのに、どうしてバックパックユニットは亜空間から出現するのか(笑) まあ、ファイヤーのスーツもパトカーの中でどこからともなく出てきているので、バックパックユニット程度の大きさなら、ファイアーのスーツそのものからアクセスして転送できるのかもしれませんが……そう考えると万能性という点において物凄く高性能なので、着用者に負荷が大きいのもやむなしか。
別にトンデモ設定で構わないので、今後あれについて一言説明があると、より嬉しい。