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『特命戦隊ゴーバスターズ』感想3

昨晩飲み会で、青×赤姉を主張するも、それは無いとばっさり言われるの巻。
◆第3話「GT−02アニマル、出撃!」◆ (監督:柴崎貴行 脚本:小林靖子
「敵が多面同時侵攻しない理由」、を先に提示する辺り、らしい脚本。
こういうのは無いより有った方が良いので、いい所。
賢い作戦を上申するもボスに怒られたエンターさんは、今回もコスプレでこそ泥。
今もって小さい怪人と大きなメカと転送メカニズムの関係はさっぱりわかりませんが、毎度ご苦労様です。
メタな部分を含んだ話として、従来の戦隊シリーズの怪人が“作戦遂行の為の人間大”→“主にやむを得ず巨大化”、というプロセスであり、言ってしまえば巨大ロボ戦は玩具を売る為のプロモートでありドラマとしての意味はない場合が多かったのに対して、“巨大メカの転送そのもの”を目的として、巨大メカの存在にこそ意味を持たせよう、という試みなのはわかるのですが、その結果として、今度は人間大の意味が限りなく薄くなっているのが、惜しい。
この場合、手段としての怪人状態、というのをもっとアピールしないと、目的としての巨大ロボ、にスムーズに繋がらないと思うのです(ただ、逆にしただけになってしまう)。
やりたい事はわかるのですが、この辺りの構造が、どうも巧く、今作は繋がっていない感じ。
一応今回エンターさんが言っていた、「我がマジェスティが人間が苦しむのをお望み」というのが、怪人大を前座にする理由、という事ならそれで良いのですが、それならそれで、もうちょっと酷い作戦でアピールして欲しかったなぁ、というのは有り。その理由付けとして最初に置くには、怪人の行動が地味だったのが、やはり惜しい。
どうもこう、縦糸と横糸がちょっとずつズレていて、うまく模様が出来上がっていない、という感じ。
病院への突入シーンで赤の判断力の良さがさらっと織り込まれていたのは良かったです。その流れで3人の連携が徐々に出来ていくのを描き、赤と黄の関係もなんとなく落ち着く。……まあ、まだこれから色々と大変そうですが、なんというか、頑張れ青
後はここから、“プロフェッショナルなチーム”を描いていけるか、どうかでしょうか。本部のオペレーションも含めて、巧く描ければ面白いけど、失敗すると色々と台無しになるので、頑張っていただきたい所。
前作が「ゴーカイチェンジ」を軸として変身後のアクション主体であったのに対して、今回は巨大メカを軸にロボ回りのディテールで面白がらせる、という方針自体は良いと思います。
ただディテールというのはやればやる程、作品世界全体におけるリアリティのバランスを保つ事が難しくなるので、色々と前途は大変そう。
肝心な所としては、あの世界は、明確にエネトロンが狙われている、というのが周知のようなのですが、その一方で市井の人々にとって、1話以降の一連の物語が“予期された襲撃”なのか“十数年ぶりに降って湧いた天災”なのか、というリアクションが一切描かれていないので、世界の緊張感というのがどの程度なのか、というのが全く伝わってこない。
何故これが気になるかというと、従来作品なら多くの場合、市民生活に被害が及ぶにしても“その回限りの奇想天外な作戦”か“直球な破壊活動”になるので、市民が武装するわけにもいかない以上、市民レベルでの対策というのは取れなくても仕方ないという前提が存在したわけです。
しかし今作の場合、敵の目的が“エネルギー泥棒”と限定されているので、これに関しては市民レベルでも、「泥棒への対策」も「泥棒された場合の対策」(安全係数を上昇させるという形で)も、双方可能であろうと(同時に、従来シリーズ同様、怪人が暴れだした場合は対応できなくても仕方がない)。
そうなると、世間での危機レベルの認識、というのが重要になるわけです。
2話までの流れと、今回、病院のような重要施設において、予備電源が一切無い、外部からの簡易な電源供給体制が確立していない、というのを見ると、世間での危機認識レベルは低い、という解釈をする事も可能のような気はしますが、そうすると、ゴーバスターズ組織がやたらに世界の構造に食い込んでいる、という部分と微妙な矛盾が生じます。
この辺りの、今作の設定なら本当は詰めないといけない所が詰め切れていない、というのがどうも立ち上がりの手応えが悪い要因であろうなぁ、と。
もう2歩ずつぐらいディテールを詰めてくれないと、作中の要素が連動しない。
今回も転送時間わかっても、本部が何か対策しているようには見えませんでしたし(笑)
せいぜい心の準備ぐらい。
まあ、心の準備、非常に重要ではありますが。
青の人も転送時間を見て早めに動きましたけど、何故か「残り10秒」の時点から、最も危険な行動(エネトロンのタンクと接続して身動きが取れない)を始めるとか、本当に時間を見ているのかと。
しかも結局、そこに何のスペクタクルもないまま、満タンになってしまいますし。
むしろ後半の病院のエネルギー切れまでに輸送が間に合うのか、という方にクライマックスの焦点を合わせていましたが、どちらかといえば転送完了までにエネトロンを満タンに出来るか、という所で一つ山を作った方が盛り上がった気がします。
そうする事で、転送時間の表示理由が出ますし。
なんかもう3週連続で同じような事を書いている気がしますが、とにかく、色々な要素が“ただやっているだけ”で、全くドラマ上で噛み合っていない、というのが残念すぎ。
もっと高いハードルを越えてくれるスタッフだと、信じています。
後、アクション監督が今作から代替わりしているそうなのですが、新しい事をやろうとしすぎて、画面が忙しすぎるのはちょっと気になります。新しい事をやる事自体はいい事なので、その内落ち着いてくるか、こちらが慣れてくるか、するかとは思いますが、3話までの感想としては、いまいち。もうちょっと、決め絵を作ってくれた方が、好み。
キャラクターの関係性なんかは割と面白いし、青の人が気に入ってきているので、引き続き様子見のつもりですが、細かい事をやっている分、細かい事が気になる話になっているので、うまく改善していってほしいなぁ。とりあえずは、二番手の監督がどんな風に演出をつけるのかが、楽しみ。