◆第11話「暴走・妄想・カスミ草」◆ (監督:坂本太郎 脚本:米村正二 ダイアログ監修:小林靖子)
メインライターの小林靖子は、「ダイアログ監修」表記。よくわかりませんが、要するに設定とか時間軸関係とか、とにかく監修という事でしょうか(何もわかっていない)。基本、がっちり自分の世界観を決めて展開するタイプですし。
本編は、前回までのあらすじ、という名の、Mさん(チンピラ)の愚痴からスタート。
「馬鹿力だけは凄いのは認めてやるが、体はデカいし態度もデカい。うざいやつだぜ。俺の出番を減らしたら、ただじゃおかねえぞ。クマはクマらしく、冬ごもりでもしてろってんだ!」
今回も、最低です。
ジュニアモデル・小林カスミのもとへ度々届けられる、かすみ草の花束。たまたま姉に頼まれてかすみ草の花束を持って歩いていた良太郎、その差出人と間違われる。インタビューを抜け出して良太郎を追いかけたカスミを連れ戻しにマネージャー・大槻実がやってくる、が……
「いなくなる……なくなる……泣く?!」
キンタロス、単語に反応(笑)
「泣けるで!」
「なんだおまえは?!」
「怪しい人じゃないわ……そう、ファンなの」
「ふぁん? おまえ、不安なんやな」
カスミを連れ戻そうとしたマネージャーを、事情をさっぱり理解しないまま押しとどめるK良太郎。
「さっきからなんなんだあんたは?」
「オレか? オレの強さは泣けるでぇ!」
とりあえず、マネージャを投げ飛ばす。
「オレの強さにおまえが泣いた。涙はこれで拭いとけ」
「やっぱり貴方が、かすみ草の人だったのね?」
「ん、んん?」
タチ、激悪っっっ(笑)
なおこの最初のデンライナーのシーンでは、ウラタロスが後ろの方でチャンプに殴り飛ばされていたり、モモタロスが一人でトランプで遊んでいたり、色々細かく仕込んでいます。
翌日、ミルクディッパー。
「かすみ草……花言葉は、清き心」
「んーーー、愛理さんにぴったりです!」
今日も絶好調で鬱陶しい、羽虫ーず。
良太郎は怪我を負わせたマネージャーから電話で呼び出され、キンタロス問題に関しては殊勝なハナはそれについていく。パリコレに参加する事が決まってからカスミの周囲では嫌がらせが続いており、良太郎(強いと思われている)は、成り行きでそのボディガードになる事に。ショーの最中、ファンが次々と投げ込むプレゼント(アイススケートの演技後状態)を止めに入るマネージャー……
「ん? なげない? なけない? 泣けない?!」
の言葉にまたも反応するキンタロス、凄くタチ悪い(笑)
「泣けるで!」
K良太郎は、舞台の下に怪しいものがいると、ステージを破壊して暴れ回るが、出てきたのは大山鳴動してネズミ一匹。しかし次の現場では、急な停電の後にカスミの衣装が汚されるという事件が発生。良太郎とハナは逃げる人影を捕まえ、嫌がらせの犯人はカスミのライバルの少女であった事が判明するが……ホッとしたのも束の間、潜んでいたアイビーイマジンがカスミに襲いかかる!
イマジンを迎撃するも逃げられて、ひたすらストレスのたまるM良太郎。契約者を探す良太郎とハナはマネージャーを問いただし、カスミの家庭の事情を知る。父親と二人暮らしだったカスミは、ある日突然父に家を追い出されたというのだ。それ以来カスミは事務所の社長の家で暮らしており、父が自分を憎んでいると強く信じていた。
「カスミ! 親父さんとの事は、オレが引き受けたで!」
「え?」
「わかっとる! 皆まで言うな」
その話を聞き、父娘の仲を取り戻そうと、カスミの反応も置き去りにして一人で盛り上がりだすキンタロス。
前回よりむしろ、イマジンぽいといえばいえるのか(笑)
一方、チャンプは“誰か”にカスミの仕事のスケジュールを伝えているらしいマネージャーを、文字通りに締め上げていた。その相手がイマジンにカスミを襲わせている契約者かもしれない……しかしマネージャーは、頑として口を割らない。その時、再び出現したアイビーイマジンがカスミを襲い、駆けつけた良太郎はソード電王に変身する。
とりあえずモモを使ってあげる、良太郎の優しさ。
「はっは! やっぱ戦ってる時が最高だぜ!」
ノリノリのソード電王、グラビアポーズを決める(笑) が……
「亡き者にしてやるわ」
「あーっ、その言葉は、だめぇ!」
「亡き者……なき……泣き?! 泣けるでぇ!」
特盛り天丼で、単語に反応してデンライナーから跳んでくるキンタロス。モモは強引に追い出され、アックス電王、登場。単調な攻撃を見切られたかと思われたアックスだったが、敢えて相手の攻撃を誘って受け止め、懐に入って強烈な打撃を打ち込む。そしてトドメの必殺技……が、その発動寸前に急停止。一方、物陰に隠れていたハナとカスミは、砂を出しながら現場から離れる男を目撃する……その男はやはり、カスミの父・謙作?!
イマジンの契約者は誰なのか、そして急に動きを止めたキンタロスの真意とは?!
◆第12話「走れタロス!」◆ (監督:坂本太郎 脚本:米村正二ダイアログ監修:小林靖子)
攻撃を止めたキンタロスの目的、それは……
「親父さんが、どんな思いでイマジンと契約をしたか、確かめるんや!」
あくまで謙作の娘への想いを信じたいキンタロス、チャンプにがくがく揺さぶられて、逃げる(笑)
イマジンを取り逃した二人は、仕方なく謙作の店(食堂)に向かうが、もうカスミとは縁を切った、と謙作は取り付く島もない。しかし、二人の話を聞いた謙作は、怪人との遭遇を思い出していた。
「まさか、あの時の事が……夢だと思っていたが」
イマジンとの契約、夢にしている人、多め。
その割にはイマジン本体を目撃すると、「怪物の実在」をみな結構すんなり受け止めるのは、『電王』ワールドの若干、気になる所か。
まあ、実体を見た時には信じて貰えないと、良太郎とハナがますます電波な人になってしまい、情報収集がにっちもさっちも行かなくなってしまうのですが。
一方で、「(多分)イマジンを倒すと“現在”でイマジンを見た人達にとってもそれが無かった事になる」為に、怪人やライダーが多くの人に目撃されてもリセットされるので世間には広まらない、というのは上手い設定。これにより、世間の目をあまり気にする事なく、事件や変身→戦闘を組み込める事で、リアリティを保ちつつシナリオの自由度を確保する事にも成功しています。
いよいよ、カスミがパリコレへ向けて出発する日。
空港に向かう車にアイビーイマジンが取り付き、埠頭から転落しかけた車が停車。カスミとマネージャー(と運転手)が車から逃げ出した所で、車に手をかけるK良太郎
「親父さんが娘によくない事を契約するはずがない。それを証明したる」
「親父さんはカスミを愛しとる。オレはそう信じる!」
「これがカスミのためなんや」
皆の制止を振り切り、K良太郎、車を海底へ放り捨てる。
いまいちちょっと、この流れが意味不明(^^;
キンタロスが勘違いで暴走しているという状況なのですが、いったいぜんたい、何をどう勘違いすると、車を海に吹っ飛ばすと事態が解決すると思ったのか。
しごく単純にキンタロスの中では、
父親はカスミを愛している=父の望み通りにするのがカスミの為=だからカスミの為にそれに協力する
という、図式なのかもしれませんが。
少しわかりにくかったかと思います。
そこへやってくる、謙作のミニバイク。謙作はカスミとマネージャーに空港へ急ぐよう促すが、
「もう遅い。これで娘の仕事は全部潰した……契約完了」
満足したアイビーイマジンは、過去へと跳んでしまう。
「あんた……なんてことしてくれたんだ」
「なんでや? これがあんたの、望んだ事なんやろ」
「違う!」
妻を亡くし、娘と二人の生活を送ってきた謙作は、ジュニアモデルとして人気を得ていく娘が、家の手伝いを優先してモデルの道を諦めようと考えているのを知り、敢えて喧嘩別れをする事で、娘をモデルの道へと送り出したのだった。そしてマネージャーの大槻に密かに娘の仕事を教えてもらい、こっそりと仕事場にかすみ草の花束を置いていく日々……しかし、イマジンに望みを聞かれた時、謙作は「カスミに会いたい」と思わず願ってしまった。イマジンはその望みを「カスミの仕事を潰す事」で叶えようとしていたのだ!
「私のせいで、娘の夢を、打ち砕いてしまうとは」
「いや……オレのせいや」
ピンチになるとすぐに憑依を解いて逃げ出すキンタロスは、意外と男らしくない(笑)
2006年11月8日――親子喧嘩の日。
「親の言う事を聞けないおまえなんて出て行って事務所の社長さんの世話になってしまえ!」というお父さんは、改めて超論理で滅茶苦茶(笑) 不器用な昔気質の男、みたいに描きたかったのでしょうが。
荷物をまとめてカスミが出て行った直後、アイビーイマジンが到着。謙作の体から出てきたイマジンは、ビームで街を大破壊。そこに良太郎も辿り着くが、モモとウラを押しのけて、キンタロスが憑依。
「体貸してくれ!」
と、アックス電王に変身するのかと思いきや、イマジンを無視して走り出す。
(キンタロス、どうするつもりなの?)
「決まっとる! カスミを親父さんと会わせるんや! 親父さんの本当の思いを、わかってもらうんや!」
アイビービーム、勢いよく、街を大破壊。カスミの乗ったバスを追うK良太郎も、強引なショートカットでビルを大破壊。この展開に、オーナー、遂に怒る。
「キンタロスくん、イマジンに荷担した上、時の運行を変えようというのなら、乗車拒否です」
「やったぁぁぁ! 邪魔もんが減るぜ!」
「ははん、彼が居ると狭いもんね〜、ここも」
最低な追随をする、先輩二人。
「デンライナーから追放されたら、永遠に時間の中を彷徨うのよ! それでもいいの?」
キンタロスを止めようとするハナだが、キンタロスの決意は変わらない。
「オレのせいやからな!」
一応、やった事をの責任を取ろうとする辺り、反省前のMさん(仮名)よりは、マシ……なのか?
K良太郎はカスミの乗ったバスに追いつくと、走行中のバスに向かって必死に呼びかける。
「親父さんはおまえを愛しとる! とことん信じたるんや! もう一度やり直せ!」
その叫びが届いたのか届かなかったのか、走り去って行くバス……キンタロスはデンライナーへと戻ってオーナーから追放を宣告され、良太郎は街を破壊するアイビーイマジンの元へ。
「行くよ……キンタロス。――変身」
「ごっつ泣けるで! これがオレの……電王としての最後の戦いや!」
アックス電王は高い防御力を活かした戦法で、アイビーイマジンをずんばらりん。
「俺の出番なしかよぉぉぉ」
「まあいいんじゃない。クマも、見納めなんだし」
そして現在へ戻るデンライナー車内……乗車拒否権により追放されそうになるキンタロスだが、停止信号によりデンライナーが停車。皆を連れてオーナーが扉を開けると、そこは、“良太郎とカスミが出会うちょっと前”の時間。
インタビューを受けていたカスミが不意に立ち上がり、フロントに向かうと、そこに居たのは父の姿。K良太郎の言葉に父を信じる事を選んだカスミは、かすみ草の人が父親である事を自分の目で確かめ、親子は無事に仲直り、それを見届けてキンタロスはデンライナーを降りようとするが……
「その必要は無くなりました」
オーナーの説明によると、小林父娘の仲直りにより、謙作とイマジンとの契約がなくなり、カスミと良太郎の出会いがなくなり、キンタロスの暴走もなく……なった?
ナオミ「でも、それって変じゃない?」
ハナ「二人が出会わなければ、私たちが過去へ飛ぶ事も、無かったわけだし」
オーナー「そう……変です。だから、時の運行を変えてはならない。このような事は、これっきりにしてください」
タイムパラドックスの問題、「変」で済まされる。
まあこれは後々、伏線とかにもなりそうですが。
ここまでただただ怪しげなだけだったオーナ−、若干の人情味?を見せて立ち去る。約2名、不満たらたらですが(笑)
かくてキンタロスは無事にデンライナー居残り、食堂車は狭っ苦しいまま、良太郎達の戦いは続くのであった。
Mさん(チンピラ)の株は特に上がりませんでしたが、Kさん(バンカラ)の株が大暴落。
すぐ寝る(寝たふり?)、すぐ逃げる、すぐ手を出す、思い込みが激しい、前後の状況を一切確認せずに行動する、考えない、無駄に力強いと、物凄い勢いで数え役満。
そう来たか。
なおUさん(サギ師)は、良太郎にも憑依せずロッドフォームにもならず、現状維持。……やや、言動の質がM先輩に似てきた感はありますが。
細かい仕込みを散りばめるのが大好きな為、毎度難しそうな、小林靖子がメインライターの作品のサブライターですが、前作『カブト』でメインライターを務めた米村正二が登板。これまでに較べて、憑依されている時の良太郎の押しが弱すぎる気がする、というのはちょっと気になったところ。
あと実際に怪物の襲撃が起きているのに、成り行きとは言えボディガードの二人(少なくとも、嫌がらせの実行犯逮捕の実績はあげている)が疑いの目を向けた父親に関して、事情を知っている筈のマネージャーが、説明を拒否する、というのは展開の為の展開になってしまい、いただけませんでした。