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『仮面ライダー電王』感想16

◆第27話「ダイヤを乱す牙」(承前)◆ (監督:石田秀範 脚本:小林靖子
TV本編での劇場版の見せ方は、25〜27話にかけて劇場版のカットを幾つか挿入し、27話ラストで奪われたデンライナーが走り去るシーンの後、戦闘シーン中心のダイジェストを入れる、といったもので、厳密には27話→映画→27話→28話、という構造。
というわけで感想も無駄に変則的に凝ってみたのですが、リアルタイムだと映画公開翌日の放映なのに、けっこう中身を見せていてビックリ。W電王の戦闘シーンもバッチリ出てきてしまいますし……まあ、予告編のようなものといえばそうかもしれませんが。更によく考えると、幼年誌とかでは下手すると1ヶ月前に、クライマックスの一番いい所まで公開されていたりするかもしれない(^^;
その上で映画本編のクライマックスは、W電王降臨→電王がいっぱい→「最後までクライマックスって意味だろう?」と、三段仕掛けになっているのは、心憎い。
25−26話が2話使って劇場版の裏側を描きつつ通常のエピソードも展開するという離れ業だったのと較べると、劇場版へダイレクトに繋がる前振りを1話に収める、という事で、前2話と同じような事はできないというのも含めて、さすがに厳しい展開。終始バタバタとしてしまい、劇場版ネタの合間を強引にギャグで埋める、というような造りになってしまいました。これには特に後半、劇場版のフィルムを割と使っているので(主にS電王vsモレクイマジン)、尺の調整が難しかった、というのもあるかとは思いますが。
で、「あと8枚」宣言から劇場版展開で、侑斗が何枚、カードを使っているか、数えてみました。

  • 22話 トータスイマジン戦
  • 25話 スパイダーイマジン戦
  • (26話 物陰からスパイダーイマジンを狙撃)
  • 27話 ブラッドサッカーイマジン戦
  • 映画 神の路線乗り込み〜牙王戦、クライマックス救援

6枚?
26話が時間軸としては映画の裏側になるので、実際どのタイミングなのか、この為に変身していたのかどうか厳密には不明。ただその前後のシーンと考えられる、良太郎拉致や事情の説明シーンでは変身を解除しているので、この為に変身したとカウントしてよさそう。
あと、映画で神の路線に乗り込む時にわざわざ変身していたので、ゼロライナーの時間移動の為にはゼロノスに変身して操作しないといけないのかと思っていたのですが、それだと枚数足りなくなるので、そこは変身しなくても良いっぽい。
というわけで……残り2枚、でしょうか?
…………こ、こ、このままでは早々に、ただのプロレス好きで毎度コーヒーに多量の砂糖を投入しながらもミルクディッパーでいつもたむろしているモブ、というか羽虫C?成り下がってしまう……!
ピンチだ侑斗!
頑張れデネブ!
だがそこへ忍び寄るイマジンカルテット解散の危機?!
そんなこんなで激動の劇場版を経て、物語は後半戦へ――。


◆第28話「ツキすぎ、ノリすぎ、変わりすぎ」◆ (監督:石田秀範 脚本:小林靖子
何故か縁日モードのデンライナーで、侑斗の行動は牙王と戦う為の電王いっぱい作戦だった……と、TVと映画の繋がりをフォロー。結果としてそれが勝利に繋がったが、オーナーはその影響を危惧していた。
「びっくりで済めば、いいですけどねぇ。イマジンとの繋がりは、案外、デリケートですから、ああいう無茶は……あまり良い事では……」
と、劇場版後始末編。
良太郎と電王がいっぱいはTV本編に挿入したカットで何度か見せていますので、TV本編のみの繋がりとしては、スムーズといっていい範疇でしょうか。
とはいえ、TVシリーズをリアルタイムで見ていなかった私が言うのも非常に何ですが、劇場版は傑作なので、出来れば是非。
ひとまず状況が落ち着いて、すっかり忘れ去っていたもう一人の宝石泥棒・池に憑いたブラッドサッカーイマジンを追う良太郎。池の望みも加藤と同じ「宝石を取り戻す」事だったが、実は加藤が逃亡時に隠した宝石は、池によってちょろまかされて売り払われていた(笑) そんな事はどうでもいい、と相変わらずファジーなイマジン思考で、街に繰り出して次々と宝石を奪うブラッドサッカー。駆けつけた良太郎はアックスフォームに変身するが、途中でキンタロスとの憑依が解けてしまう。ウラタロスもやはり憑依が出来ず、モモタロスが憑いてなんとか、「俺、参上」。好調のソード電王の「必殺技パート5」が炸裂するも、ブラッドサッカーの苦し紛れの飛び道具に不幸属性が反応して海に落ち、イマジンには逃げられてしまう。
そしてデンライナーでは、ウラタロス、キンタロスリュウタロスの体に異変が起きていた……。
「え……? 消える……? ウラタロス達が」
3人の体に起きた異変、それはジークが消えかけたのと同じ現象だった。
今の良太郎は、確かに3人の事を覚えている。だが、ここに居る良太郎はモモタロスを憑依させて牙王と戦っていた良太郎であり、その時、U、K、R、を憑依させて戦った記憶を持っていない。そして3人はそれぞれ、今の良太郎が忘れた時間の良太郎に憑いた状態となっているのだった。
故に今ここに居る良太郎と3人の記憶による接続は途切れており、3人はその存在を保つ事が出来ない……。
「とにかく、無理がありすぎましたねぇ、あれは」
侑斗に拉致されている間の記憶を良太郎が失っていたというのが、劇中のルールと合わせて伏線として機能。どうして良太郎がその記憶を失っているのかの理由は明確にされていませんが、“ちょっと未来”の良太郎の記憶は、最終的に現在の良太郎がそこに到達した時点で、上書きされてしまったとかそんな所でしょうか。
「ま、消えるっていうなら、しょうがないよね」
「え?」
「そうやな。じたばたしても、しゃあない」
「待って……」
「いいじゃねえか。ここも広くなるってもんだしよ」
「ちょっと待って!」
「なんで? 良太郎は凄く嬉しいでしょ。すっごく楽になるし」
「待っててば! 急にそんな事言われても……」
良太郎への優しさか、思わぬさばさばした反応を見せるイマジン達に、状況についていけない混乱もあってか、良太郎はデンライナーから走り去る……。後を追いかけたハナ、そしてデネブからデンライナー組の状況を聞いた侑斗が見たのは、河川敷で体をいじめるようなトレーニングに打ち込む良太郎の姿であった。

「僕……モモタロス達が憑いてなかったら、て思った事、あるんだ。何回も。
 ウラタロスのせいで寝不足になるし、
 キンタロスが憑くと、体中痣だらけになるし、
 リュウタロスなんか、僕をやっつけて車掌になるって……
 ありえないよ。
 モモタロスだけで大変だったのに。
 それでも…………
 みんなの居るデンライナーが、好きみたいなんだ」

もともとトレーニングは一人でも頑張れるようにと始めた行為なので、ここはイマジンとの戦いという側面も含めて肯定的な話をするのかと思いきや、いや実際迷惑だしという良太郎の本音の話が出てくるのは、面白いところ。
良太郎とイマジン達の関係が落ち着いたと見えた所で大きく揺さぶりをかけて、改めて迷惑な憑依関係を見つめ直す。
その上でそれを肯定する良太郎だったが、その脳裏に不思議なイメージが浮かぶ。
特異点に憑いてれば消えないと思ったけど、しょうがないか。ちゃんと嘘をおしえられなくて、ごめんね、良太郎」
「ほんまやったらずっと前に消えとったはずや。居させてくれて、おおきに」
「お姉ちゃんと……」
慌ててデンライナーに駆け込む良太郎が見たのは――ひどく寂しい食堂車だった。
「消えたぜ……あいつら……」
良太郎の体からこぼれ落ちる砂を見たオーナーは、それがウラタロスたちの欠片、みたいなものかもしれないと告げる。
「なにかイメージすれば、形が残る……かも」
良太郎が手の中にすくった砂に想いを込めると、そこに生じたのは……携帯電話?
「なんだそりゃぁ?」
「ずっと、繋がっていれたら、と思って……」
「相変わらず、センスねえな、良太郎」
「ほんと、センスないね……」
ここで、この一連の会話の間フレーム内に映っていなかったナオミが、カウンターの下に座り込んでリュウタロスの残したシャボン玉の玩具を吹いている、というカットが挟まるのは秀逸。
そしてハナもまた、あれだけ 殴り飛ばした 憎んでいた筈のイマジン達の消失に、座り込んで声を殺して嗚咽していた……。
デンライナーが悲しみに染まる中、故買屋で問題の宝石を見つけてしまう池とブラッドサッカーイマジン。その値段、300円で契約完了。イマジンが跳んだのは、2000年5月20日。池が故買屋に宝石を1000円で売却した日。
……人生で他にもっと、印象的な日はないのか(笑)
手始めにトレーニング中の空手部員の集団を蹴散らしたブラッドサッカーイマジンの前に、立ちはだかる良太郎。その手に握りしめていた携帯電話を、そっとポケットにしまう。
モモタロス……いくよ」
(ああ……二人だけとは、最初に戻ったみてぇだな)
「――変身」
相変わらず回避の得意なブラッドサッカーイマジン相手に、Mさんのテンションが下がっている事もあって、ぼっこぼこにされるソード電王。
「くっそぉ、どうにもクライマックスにならねぇなぁ」
(でも、やらなきゃ)
「そうだな。代わりは呼べねえからなぁ」
(そうじゃないよ)
「ええ?」
(一緒だから、ウラタロス達も)
確かに、3人は消えてしまった。だけど、忘れていない。だから、繋がっている。一緒に、戦っている。
「くっそ……本当に消えちまったのかよ。ほんとにぃ! カメ! クマ! 洟垂れ小僧! 勝手にいなくなりやがって、このバカ野郎!!」
状況を見に来た侑斗が変身しかけるが、良太郎の想いを知って奮起するモモタロス、ブラッドサッカーを滅多切り。超チンピラモードで、ひたすら滅多切り。
その時、着信あり。
「な、なんだ…………もしもし?」
「相変わらず乱暴だなぁ、先輩は」
(ウラタロス……?)
「カメ……なんでおまえ?!」
「そんな事いいから、この携帯使ってみてよ」
よくわからないが、携帯使ってみる。
ソード電王がボタンを押すと、そこから響く、ウラタロス、キンタロスリュウタロスの声。そして――

「モモ、ウラ、キン、リュウ――クライマックスフォーム」

携帯電話から伸びた線路が宙に広がると電王の周囲を取り巻き、ベルトに携帯が合体。どこからともなく飛んできた、ロッド、アックス、ガン、3フォームのマスクが、ソード電王の体に装着される!
「クマ、クマぁー!!」
たぶん史上初、新フォームへのパワーアップに怯えるライダー(笑)
右肩にロッド、左肩にアックス、胸部にガン、それぞれのマスクが装着され、更にソードフォームの顔も変形、赤いゴーグル部分が更に広がり、その下から現れるもう一つの眼部。
「わぁー、皮がむけたぁーー!!」
皮だったのか。
という事は、今出てるの、中身?
最後に、何故か炎を纏って燃え上がるデンライナーが、周囲を疾走。
「今度は燃えてるぅ!」
外も暑いが、中も実際、暑いらしい(笑)
今ここに、本人の悲鳴とともに、電王クライマックスフォーム誕生!!
ここで入る「CLIMAX-JUMP」。
基本、戦闘シーンは「double-action」入れるのが約束事になっているところに、ここで「CLIMAX-JUMP」が来るのが、非常に格好いい。
ただでさえ複雑かつ伏線を散りばめまくった作品で、いつにも増して色々と錯綜する展開が続いていた中、後半戦の開幕を飾るにふさわしい、ヒーロー物としての格好良さが炸裂。
(みんな……消えなかったんだ)
(そうらしいよ)
(良太郎、また世話になるで)
(でもこれ、気持ち悪い!)
「馬鹿野郎、気持ち悪いのはこっちだ!」
それぞれの一言に合わせて各フォームの動きをする、中の人、超絶演技。
「この、こけおどしがぁぁ!」
CLIMAX電王に斬りかかるブラッドサッカーだったが、カウンターで打撃技を受けて後退。
「泣けるで!」
僕に釣られてみる?
「答えは聞いてないけどね」
そしてクライマックス、フルチャージ。
「へっ、こうなりゃ、やけくそでクライマックスだぁ!!」
デザインも、やけくそ気味ですし!
各フォームの顔が右足へ集中して連結。
「行くぜ行くぜ行くぜぇ!」
のかけ声で必殺の飛び蹴りがブラッドサッカーイマジンに炸裂、撃破する。
ここでキックと来ましたか。
色々な都合で、必殺技が、キック→武器、と変化していく事が多い平成ライダーですが、武器→キックという、たぶん珍しいパターン。先っちょがロッドフォームなのは、やはりキック系という扱いなのか(笑)
(よかったな、侑斗……)
「馬鹿馬鹿しいんだよ」
今回の事に少々責任を感じていたらしい侑斗ですが、この無茶苦茶加減を見ると、馬鹿らしい、と思って仕方がない(笑) ちょっと今回の被害者。
そしてイマジン達は、クライマックスフォームに合体するだけではなく、どういうわけかデンライナーの中にも戻ってきていた。
「どうやら良太郎くんの熱い想いが、ウラタロスくん達を繋ぎ止めたみたいですねぇ」
それでいいのか(笑)
まあ、あくまで「記憶」の問題だというなら、「意志」の力で何とかなってしまうのかもしれませんが。
パワーアップ展開の都合から、劇場版らしさも考慮した上で逆算した構成ではないかと推測するのですが、そういう事で済ますのか、のちのち引っかかりになるのか、今の時点では何とも言えませんが、気になる所です。
まあ物語としては、あそこで「CLIMAX-JUMP」かけた時点で勝ちです。
積み上げてきた諸々が美しくはまるのも良いですが、演出とか、音楽とか、演技とか、そういうワンセンテンスが全てを乗り越える瞬間を見るというのも、気持ちがいい。
復活に浮かれる後輩達を邪険に追い払うモモさんだったが、食堂車を出た所で男泣き……していた所で、同じく隅っこで泣いていたハナと目が合う(笑) 泣いていた事をばらしに戻って、チャンプの正拳で吹き飛ばされるモモタロス、でオチ。
というかこれまで散々、デンライナーを壊さないように、とオーナーがイマジン達の喧嘩に苦言を呈していましたが、最初に完膚なきまでにデンライナーの壁を破壊したのはチャンプという事になりました。
You are King of Kings!