◆第23話「王子降臨、頭が高い!」◆ (監督:田崎竜太 脚本:小林靖子)
OPにゼロノス参加。
トレーニング継続中でへろへろランニングを頑張っていた良太郎、記録更新直前に、子猫を見つけたリュウタロスに乗っ取られてしまう。
一方、デンライナーでは他の乗客から動物の鳴き声がすると苦情が相次ぎ、食堂車で発見される子犬。逃げ回る子犬を追いかけたハナ達は動物だらけ、羽毛だらけの変な部屋に……そこは、リュウタロスが拾ってきた動物などを世話していた隠し部屋であった。部屋には子犬や子猫のみならず、白い大きな鳥……ていうか、
「鳥ってまさか……これの事?」
「おまえたち、無礼だぞ。私の前では、礼節をわきまえてもらおう」
「イマジン」
「それと、赤ちゃん!」
赤ん坊を抱く、白いイマジンが居た。
チャンプ、遂にリュウタロスにストレートを炸裂させる。
「我が名はジーク。呼ぶ時は、気軽に、プリンスでかまわん」
やたら偉そうなイマジンはチャンプをお手伝い扱い。赤ん坊の為にとこらえるチャンプがどうにかこうにか事情を聞き出すと、赤ちゃんはどこからか連れてきたわけではなく、「最初から一緒に居た」と言う……なんとジークは、年端もいかない赤ん坊と契約しているらしい。しかしこれでは色々やりにくい、と良太郎に憑依し、「降臨」するジーク。モモタロスが良太郎の体を取り返そうとするがすり抜けてしまうなど、ジークは実質、(本人にその気は無いものの)良太郎を人質に取った状態に。
もともとの傲岸不遜な性格に、赤ん坊と契約しているという特殊な状況が重なってか、すっとぼけた新たなイマジンの登場でデンライナーは大混乱。天然でタチ悪い、という点では、キンタロス寄りか(笑)
ジークの話によると本来は半年ほど前、赤ん坊の母親に憑依。その母親と契約したかについてはよく覚えていないが、憑依生活を楽しんでいる内に眠りに落ちてしまい、気がつくと生まれた赤ん坊の中、しかも病院でも家でもなく、どこかトラックの中で覚醒。仕方が無いので実体化して赤ん坊を連れて外に出たところ、そこで徘徊中のR良太郎と遭遇し、今に至るのであった。
「動くのは私ではなく……世界の、方だ」
「家臣一同、一丸となって母を探すのだ」
どこまでも偉そうなジークはイマジン達を家臣扱い、もちろん反発するモモタロス達だが、ジーク良太郎が頭が高いと指さすと、何故か揃って小型化。
オーナーによるとどうやらジークは、“2007年に「生まれる」という形で現れた事”で、存在する力が他のイマジンより強い特殊なイマジンらしい。
とまあ今回は、ジークの強烈なキャラクター性で強引に持って行く部分の多いエピソードで、シナリオはやや粗め。ジーク良太郎(J? G? Z?)も演技というよりは、奇抜な衣装と仕草で無理に特徴づけているというか、さすがに役者にも限度があるというか。なんという、主演俳優の無理使い。
しかしまあ改めて、2クール目に入る辺りから、“各イマジンが憑依して言動や仕草が変わる”というギミックに全く何の違和感も無い辺り、恐るべし佐藤健(&スタッフ)。
ジーク良太郎とハナは赤ん坊の母親を探しに外へ出るが、ハナがミルクディッパーへ情報を聞きに行っている間に、記憶の一部を取り戻したジークが、母親の家である鷹山家に向かってしまう。新聞から鷹山家の情報を手に入れて慌ててハナが向かうが時既に遅く、屋敷に居た警官に誘拐犯と間違われてしまうジーク良太郎。更にジーク、無責任に憑依を解除(笑)
一方、鷹山家から赤ん坊をさらって脅迫状を送っていた本物の誘拐犯・増田と契約したスコーピオンイマジンが、母親・鷹山栞を襲撃。イマジンの気配に増田を見張っていた侑斗とデネブは鷹山家の前で警官に囲まれていた良太郎を救出し、良太郎はソード電王に変身すると栞をさらったスコーピオンイマジンを追う。
侑斗/ゼロノスは、がっちりカードの残り枚数を切った事で、物語上でもメタな捉え方でも、積極的に変身しない理由を明確にしたのは、巧いところ。
また、イマジンによる過去の改変は阻止したい→しかしカードは節約したい→野上をうまく使おう
と、事件に絡むけど決定打はギリギリまで打たない、という侑斗の立ち位置が絶妙に収まりました。
どうしても出たり出なかったりがエピソードに都合良くなってしまう(広義の)お助けキャラに対し、大きな物語上のルールによって制約をかける事で、都合の良さを減じさせるというのは、実に小林靖子らしい設定の組み方。
過去の作品を踏まえた上で、それを茶化すのではなく、どんなルールを持ち込めばより合理的な物語を展開できるのか、こういったものを見せてくれるのは、いい所であります。
で、
スコーピオンイマジン、弱っっっ
ソード電王に、もう一度、ソード電王に、もっと大きく、ソード電王に、叩きのめされるスコーピオンイマジンだったが、その攻撃で瓦礫が落下。アックス電王にフォームチェンジして栞を救う事に成功するが、その間にスコーピオンには逃げられてしまう。そして変身を解除した良太郎はハナが連れてきた赤ん坊を受け取ってその場に残るが……駆けつけた警官により、遂に逮捕されてしまうのであった。
◆第24話「グッバイ王子のララバイ」◆ (監督:田崎竜太 脚本:小林靖子)
野上良太郎、重要参考人として任意同行。
しかし、未成年なので名前は出なかったし顔にもモザイクがかかった!
良かった! 本当に良かった!
愛理「これはさすがに、初めてのパターンですね」
愛理さん、さすがにちょっと困る。
取り調べを受ける良太郎にモモタロスが憑依して刑事と一触即発になるが、ウラタロスが慌てて交代。Mさんの暴挙は海に流して……ひたすら出鱈目の経緯を語りまくる。
刑事「確かに辻褄はあっているが……」
合わせた、凄いぞ(笑)
「キンちゃん、あとよろしく」
そしてK良太郎にチェンジして、ひたすら寝てやり過ごす作戦(笑)
ここは良太郎の為にそれぞれのイマジンが特技を活かして(?)、面白いシーンとなりました。特にウラタロスは、久々に話術炸裂。
一方、デンライナーでは憑依を解いて後は知らんぷり、身勝手なジークに、チャンプの右ストレートが炸裂。
「今まで、殴ってまで私を戒める者などなかった……心から、嬉しいと思うよ、姫」
「……姫?」
「今から君は、私の姫だ。やはり世界は、私のために」
変な道に目覚めた王子、チャンプに抱きつこうとして、もう一撃食らってノックダウン。そういえばここまで、殴られてご褒美だと思うイマジンは居ませんでした……いや、レギュラーで居ても困る気はしますが。
にしてもジークは本当に、2007年に来るまでは家臣が居たのか、それすらも王子妄想なのか、色々と謎は深まります(^^;
ここ最近の流れとしては、いい加減どうにかしないと、と思ったのか、ハナを可愛くしようキャンペーン展開中なのですが、その上で、結局殴るのが格好いいよ、チャンプ!
これで思うところあったのか、ジークは契約者である赤ん坊の口を借りて、「助けたのは野上良太郎」と母親に吹き込む事に成功。栞の証言もあって良太郎は無事に釈放され、鷹山家に招かれる事に。
「我が母、我が兄弟」
さっそく降臨したジーク良太郎は、日本有数の資産家である鷹山家のご馳走に舌鼓をうち、しばらく滞在する事に……だが、その体には異変が起きていた。
「イマジンの基盤は、いつも記憶です」
指先から、砂になっていくジーク。元来、契約者のイメージで成り立っているのがイマジン、契約者が幼すぎて、イマジンとしての存在が維持できないのであった……と、どさくさにまぎれて、オーナー、けっこう重要な事を喋る。
日々塗り変わっていく赤ん坊の記憶の中で忘れ去られ、存在が消えていくジーク……苦しみながらも“我が兄弟”に指先を伸ばすジーク良太郎の耳に、栞の悲鳴が響く。
赤ん坊の代わりの人質に母親をさらってくる、という増田との契約にしつこく忠実なスコーピオンが再び栞を襲撃。警護にあたっていた侑斗が駆けつけるその前に現れたのは、ジーク良太郎。そして何とジーク良太郎は、電王へと変身する!
「降臨。満を持して」
ウイング電王、ここに誕生。
どうして、金のハイレグ!
二丁斧を振るうウイング電王はトマホークの一撃をスコーピオンに炸裂させるが、ジークの存在は既に限界に近く、変身が解除されてしまった間に栞をさらわれてしまう。
「良太郎……我が母を……頼む……」
契約完了し、2002年2月22日、増田が鷹山グループの会社をクビになった日に跳ぶスコーピオンイマジン、そして良太郎。色々ここまで時間がかかりましたが、スコーピオンイマジンは、ロッドからアックスで瞬殺。
今回ウラもキンもけっこう本気モードなのですが、「double−action」Kモードの、良太郎の気の抜けた歌声が、全ての印象をかき消す恐ろしい威力(笑)
おれーの強さに〜 おまえが泣いた〜〜♪
そしてジークは、ハナによって運び込まれたデンライナーで消えていこうとしていた……。
その姿が、何となく身につまされるらしいイマジンカルテット。
「皆の物、ご苦労だった。感謝する」
ジークは最後の力を振り絞り、姫の教育による感謝の印として、“ねぎらいの言葉”をかける。そこへ駆け込み、オーナーに一枚のチケットを見せる良太郎。それは良太郎が、栞にあてたカード。半年前の憑依の時、ジークは確かに栞と契約していたのだ。
「やっと授かったんだもんねぇ……無事に生まれますように」
“赤ん坊が無事に生まれるように”
それが、ジークと栞との契約であった。
この契約の完了に基づき、ジークが栞の過去へと跳べば、現在の契約者である赤ん坊との関係は断たれ、ジークは存在を維持する事ができる。オーナーの了承を得たデンライナーは1997年6月1日、栞の結婚式の日へと跳び、ジークは下車。
「やはり、世界は私の為に、回っていたなぁ」
お別れの抱擁を決めるジークに炸裂するチャンプの握り拳。
栞の投げたブーケと共に、ジューンブライドの空に黄金の羽が舞うのであった……と、少々トリッキーないい話。
元来イマジンの目的が、“契約完了して過去に跳んで時の運行を変える事”とすると、良太郎達はともかく、オーナーがジークの過去への滞在を許可するのは甘過ぎな気もするのですが、これはジークが“特殊”(2007年に改めて生まれた事で、イマジンラジオとの接点が切れてる? 実際、行動に目的意識は無かった)かつ、“電王になった”辺りに、理由があったと見れば良いでしょうか。今回、オーナーがしれっと重要な事を説明してしまうエピソードだっただけに、詰め不足というか、肝心な所の説明不足は気になりました。
物語構造としては、契約者の心の隙間につけこむイマジンに対して、良太郎らの善意の連鎖が最終的に世界を少しだけ良くする、という前半の構造に対して、前回の駄目社員、今回の逆恨み誘拐犯と、あまり同情すべき背景が存在しない契約者が続き、契約者のドラマよりも、良太郎とイマジン達のドラマにシフトしているのは、面白いところ。
それから今回の23−24話は恐らくかなり意図的に、イマジン達を改めてフラットに使おうとした気配が窺えるのですが、結論としてはやはり、事あるごとに全イマジンを画面内に入れようとするとどうにもうるさいな、と(笑) 画面内における適切な人数ってあるなぁ、と改めて思ったのでした。キンちゃん警戒色だから、色彩的にも幅取るし。
次回は……夏休み閑話休題?