ヒーローに 大切なのは 防御力
非常に、贅沢な映画。
秘密組織S.H.I.E.L.D.が管理・研究していた四次元キューブが宇宙の深淵より帰還したロキの手によって奪われる。ロキはキューブの力で次元の門を開く事を目論み、虚空の深淵からは、宇宙からの侵略者が虎視眈々と地球に狙いを定めていた。S.H.I.E.L.D.長官ニック・フューリーはこの緊急事態に対応すべくヒーロー達を招集し、キューブの行方を追おうとするが、それぞれ性格に難あるヒーロー達は、果たして一つになって戦う事が出来るのか?!
いくつかの前振り映画を積み上げた末に放つ大輪の打ち上げ花火、という企画に負けない、渾身の一本。
先日見た『バトルシップ』が予算多すぎて迷走した映画だとすると、今作は予算を活かし切って充実の内容を詰め込んだ、見事な大作。
原作アメコミの個別作品が好きだと、足りない部分もあったりするのかもしれませんが、原典をよく知らない人間からすると、6人のヒーローぞれぞれにきちんと活躍の場があり、表面的な派手さよりも何より、主役級キャラの使い分け、という点で良く出来ています。
というか、キャプテンが凄い活躍しているよ!(嬉)
70年後の世界では「もうあの星条旗ユニフォームじゃなくてもいいんじゃね?」と言ってみるも「いや、あれがいいんスよ」と言われて説得されてしまったり、なんとなくリーダーシップ取ってしまったり、機密保管庫を力尽くで開けてみたり、キャプテン素敵。
あと、前振り映画はソーの居たのかどうかわからないレベルのチョイ役だし、トンデモ超人バトルの中では割と普通人っぽくてどうなるのかと思われたホークアイさんですが、これが意外と、サイレントキリングスキルを活かして、大活躍。スーパーマーベル大戦しつつ、工作員には工作員らしい活躍の場があるのが、映画としていい所。
各キャラそれぞれ、原作コミックの蓄積というのはあるのでしょうが、それぞれの特性がしっかりと映画の中で活かされているのは、非常に素晴らしい点です。
トニーはトニーで、アイアンマンスーツを活かして活躍しますし。やっぱり移動特性:空、って便利だなぁと。
ソーも飛べるっぽいけど、一直線しか飛べないっぽいし(笑)
また単独の活躍だけではなく、横と横の繋がりでも、一言多い奴と話聞かない奴は喧嘩してみたり、天才同士で意気投合してみたり、とそれぞれのキャラクターを活かしながらの絡ませ方は秀逸。
難を言えば、ヒーローに比べて悪役の格が弱い、という所ですが、悪役がああなので前半に物語を展開できたとはいえるし、ああでなかったら2時間ドンパチ映画になっていたかもしれず、そう考えるとロキで良かったのか。作り手に見せ場への必然性の意識があって、ただドンパチするだけの映画にはしないぞ、という意欲が見えたのも良かった所。というかロキは、劇中で何回、吹っ飛ばされたのか。
フラグ立てまくりだったあの人は、おいしいキャラだっただけに残念な事になりましたが、それを悲しみつつも一面では非情に利用してみせるフューリー長官のキャラクターが良く出ました。あと、それを汲んで、これから反撃開始だ、という時のアイアンマンの台詞は実に良かった。
台詞というか会話のお気に入りは他に、キャプテンとアイアンマンの「スーツを着ろ」。なんというかキャプテン、いい人。
日本のヒーロー物と違うなぁ、と思うのは、ここで一発決め台詞が欲しい、という所では意外と入らない事。あと割とすぐ、ユーモアに流れる。これは良い悪いというより、お国柄によるセンスの差といった感じで、にやっとさせるユーモアの入れ方は巧い。日本的様式美からは、ややズレますが、それでも全編、見せ場たっぷりです。
アクション的には、ホークアイさんがお気に入り。スナイパー格闘術はなんかドリームが溢れています。
それから非常にポイント高かったのが、マリア・ヒルさん、えらい美人。なんですかこの人、凄く琴線に触れる格好いい美人なのですが、えーもう、次があるならブラック・ウィドウよりむしろ、マリア・ヒルさんをフィーチャーするべきではないのか?!
ちなみに今回、前半10分ぐらいまで吹き替えで見ていたのですが、断念して途中で字幕に変えました(笑)
次世代ブルーレイは、キャラクターによって吹き替えと字幕を切り替えられる機能を付けるべきだッ!
そしておまけのメイキングを見て、あのバカっぽさ全開の素敵な空中空母の名前がヘリキャリアだと知って、腰から脱力する(笑) ……いやまあ、原典はだいぶ前だから仕方ないのかもしれませんが! なんかもっとこう、恥ずかし格好いい名前だと思っていたのに。
キャプテン格好いいし、ホークアイさんが予想外に良かったし、各々ヒーローの見せ場たっぷり爽快感溢れる映画で、大満足。というか改めて色々並ぶと、やっぱりキャプテンが好きだ(笑)
次回作の企画も動いているそうで、これは楽しみです。