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『仮面ライダーキバ』感想8

◆第9話「交響#イクサ・フィストオン」◆ (監督:石田秀範 脚本:井上敏樹
今回の蘊蓄は、バブル期のオークションの話。背後では前回のおさらいでお城が暴れているのですが、あらゆる角度で漂う、怪獣城に関するどうでもいい感。
そして主人公も前回の怪獣大戦争など特に何事も無かったかのように、バイオリン作りに苦悩していた。
本人にとってはどうでもいい事なのかもしれませんが、とにかく主人公を始めとして誰も、戦いとそれに関するギミックについて一切言及しないので、作品としてそれらがどうでもいいように見えてしまいます。実際にどうでもいいと思って作っているのかもしれませんが、やはりそこは、どうでもよくない事にしていただきたい。
これが戦闘シーンそのものと怪人に対して一切の愛が無くなると『ブレイド』前半になるわけですが、今作は怪人とアクションに関してはやる気があって、しかし物語と戦闘関係のギミックを繋げようとする意志は非常に薄いという、歯車が幾つか欠けた状態。物語そのもののギミックが非常に凝っているだけに、どうにもこの偏りが、見ていて落ち着きません。
1986年――ガルルさん、素晴らしき青空の会に就職。
意気揚々とやってきた音也は改めて入会を拒否され、喫茶店の全員からゾウリムシのような扱いを受ける。
2008年――悩める渡の為に、一体どういうコネを駆使したのか、女子高生が高名なバイオリン修復師・大村を紅家に連れてくる。
「君は、これと同じものを作ろうとしてはいけません。君は、君のバイオリンを作ればいいんです。君にしか作れないものを」
一度はバイオリンは1人で作りたい、と告げる渡だったが、父の遺したバイオリンを見た大村の言葉を聞き、改めて弟子入りを志願する……。
1986年――ブラックスターというバイオリンを落札した者が次々と謎の襲撃を受けており、ファンガイアの仕業ではないか……とゾウリムシに情報を流す嶋。
嶋いわく「面白いから」音也へ情報提供を続けているそうですが、命がけの状況に何のバックアップもなく「面白いから」他人を放り込むって、この人、ポンコツとかガラクタ通り越して、吐き気のする本物の悪なのではないだろうか。
また、2008年では既に名前の出ているライダーシステムについて初の言及があり、この時代では開発中。ゆりがイクサの装着者を目指しているという発言。
2008年――母の思いを引き継ぎたいのか、イクサの装着者を目指す恵が名護の追い落としを画策していた。
「イクサを纏う者はイクサ自身が決める。文句を言うなら、イクサに言いなさい」
紅家では、大村が渡にバイオリンの作成を指導していたが、女子高生がコーヒーをひっくり返した騒音に苦しんだ大村は家を飛び出していってしまう……。
1986年――ブラックスターを競り落とすべく、秘密オークションに参加するゆりとガルル。だがそこへ、天狗のお面をつけた音也が乱入し、競売をエキサイトさせていく。その結果、価格は20億円までつり上がり、連絡を受けた嶋の指示は……「黙らせろ」。ガルルさんが実力行使で音也を気絶させ、ブラックスターは20億とんで1円で落札される。
ライダーシステムを開発していたり、20億円ぽんと出せたり、表に出ている関係者が極端に少ないセル構造の組織形態っぽかったり、セルリーダーが冷酷非情だったり、やたらに組織の名前にこだわったり…………今わかった、素晴らしき青空の会は、間違いなく、悪の秘密結社だ。
ガルルさんに警護されながらブラックスターを手にファンガイアを待ち受けるゆりは、自信満々の表情でバイオリンを弾き始めるが……凄く、下手だった。そもそも、弾き方が間違っている(笑)
「俺には聞こえる、そのバイオリンの悲鳴がな。おまえにそれを持つ資格はない。こっちによこせ」
音楽が絡んだ事で久々に真剣な表情で登場する音也だが、ガルルさんのパンチ一発でノックダウン。場所を移してひたすら冒涜的な音を奏でるゆりの前に再び現れるが、そこにカエルファンガイアも出現し、ざっくりと海へ投げ込まれてしまう。駆けつけたガルルさんがカエルと戦闘を始め、武器を使っても格好良いアクション。
ゆりと2人でのダブル鞭攻撃も決まるが、カエルの飛び装具でゆりが気絶し、ガルルは狼へと変身。カエルは海に逃亡するが、その変身を、音也は目撃する……。
「ねえねえ、いったい何考えてんのさ? 人間なんかと組んじゃって。どういう事。ねえねえねえ」
そこに現れたのは半魚少年、ともう1人、妙な歩き方の青年。
「人間は餌だ。ガブリと喰うだけだ」
「俺の種族はファンガイアによって滅ぼされつつある。おまえらの種族と同じようにな。おまえらもファンガイアを憎んでいる筈だ。違うか?」
ここで、ガルルさんがファンガイアでも人間でもない、異種族である事が判明。また、半魚と新たな男(OPとお城に居る3人目と思われます)も、別の異種族であるとわかりました。そしてガルルさんがゆりに近づいているのは、打倒ファンガイアに人間を利用する為であった……。
なるほど、従来ベースとなっている、人間/怪人(今作ではファンガイア)の対立構造だけではなく、そこに他の異種生命体を絡める事で、“人間も含めた様々な種族”という構図で物語を展開する、というのが今作のもくろみでしょうか。
2008年――恵は一回だけでいいからイクサに変身させてほしいと名護に定食を奢っておだててみるが、本職であるバウンティハンターの標的を見つけた名護は途中で退席してしまう。名護が追う標的……それは、路上ライブの若者に突然殴りかかる大村であった。
高名なバイオリン修復師にして連続暴行犯で賞金首リストに登録されているって何か色々おかしい気がしますが、凄く狭い世界での有名人なのか、逮捕と保釈を繰り返している常習犯なのか、警察が居所を掴めないさすらいのバイオリン修復師なのか(^^;
まあこの世界観におけるバウンティハンターの設定がはっきり語られているわけではないので、逃亡犯を追いかけているわけではなく、ハンター免許保持者には逮捕特権とかあるのかもしれませんが。
カエルファンガイアに変身した大村は名護が取り出したナックルダスターから放たれる衝撃波で吹き飛ばされ、キバと交戦。バッシャーマグナムのダメージで大村の姿となり、それを見た渡も変身を解く、と知らずに撃ち合っていた事を知る即席師弟。逃げ出した大村の前には再び名護が現れ、カエルになった大村に対し、名護は腰にベルトを巻き付けると、ナックルダスターをフィストオン。
割と流暢に喋る事も多い歴代の変身アイテムに対し、イクサベルトは物凄く機械の合成音っぽいのが特徴的。
そして名護は、光に包まれ、素晴らしき青空のライダー――イクサへと変身する!
イクサは、白をベースに金色が入り、光沢ブルーがアクセント(下半身は黒ズボン)、と“白騎士”のイメージでしょうか。顔のデザインも、そこはかとなく西洋甲冑の兜を思わせますし。キバが召喚獣も含めてファンタジーのモンスター寄りなので、それと対抗するのは、騎士の役目という事か。
「ファンガイア、その命、神に返しなさい」
顔が割れたら、範囲攻撃の爆炎が発動。
予告で期待させた割には、出てきた所で終わってしまいましたが(ままある話)、次回、その真価が発動する――多分。


◆第10話「剣の舞#硝子のメロディ」◆ (監督:石田秀範 脚本:井上敏樹
イクサとカエルが戦ってるが、とりあえず、バイオリンに塗るニスの話(おぃ)
カエルを一方的に撃ちまくるイクサだったが、渡が飛び込んできてカエルをかばい、カエルは逃走。
「貴様、自分が何をしたのかわかっているのか」
変身を解く名護を見て渡が驚かないのですが、どこかで変身を見ていたのか(^^; まあ実際、相手が名護だとわかった上でもないと、一緒に蜂の巣にされかなねい実弾の前に飛び出せない気はしますが。
平謝りする渡だが、「もういい。君の顔は二度と見たくない」と、クビ宣告。
前回のアルバイトに続き、立て続けのクビで真人間への道のりがまた遠のきましたが、名護さんの弟子、は既に踏み出す方向を間違えている気もするので、これはむしろ、真人間に近づいたのか。
1986年――音也はゆりにガルルさんの正体について話すが、当然のように信じて貰えない。
「これではっきりしたな。おニャン子ファンには、化け物はいない」
2008年――お互いの正体を知りながらも、引き続きバイオリン作成に励んでいる、どこかトんでる2人。新しい師匠が手に入ったから名護さんを裏切ったのかと思うと、渡がけっこうドライです(おぃ)
「もう22年間、人間のライフエナジーを吸っていません。これは本当です」
大村が人を襲うのを辞めた理由、それは、ある人物との約束であった。
かつて自らの魂を込めてブラックスターというバイオリンを作り上げた大村であったが、名器の評判があまりに高まってしまった結果、ブラックスターは投資目的や道楽で購入した資産家の手を渡り歩く事になり、大村の満足する弾き手に巡り会う事がなかった。1986年におけるブラックスター所持者の襲撃事件は、「俺のブラックスターに触るなぁぁぁ」的な、大村の犯行だったのである。
長寿ゆえに偏執狂の傾向が強まるのかもしれませんが、自分の作ったバイオリンの所有者が気に入らないから襲撃、と今回のファンガイアは変態捕食者ですらなく、キチガイ芸術家路線(笑)
1986年――カエルの襲撃を受けたゆりをかばってしばかれた音也は、手癖の悪さを発揮してケースの中身をすり替え、ブラックスターをまんまと入手。
「ファンガイアのくせに、なぜファンガイアと戦う」
「俺はファンガイアじゃない。ま、似たようなもんだがな」
「ゆりには指一本触れさせない。俺の命に替えてもな」
ガルルとのやり取りで、たとえ自分の言葉が信じてもらえなくてもゆりを守り続ける、と宣言する所は久々に格好いいのですが、その実態は意味不明な発言を繰り返すストーカーなので、ゆりさんの男運の悪さがひたすら輝きます。
そんな音也の元に大村が現れ、ブラックスターを弾くように迫る、が……
「バイオリンには弾くべき時と聴かせるべき相手がいる。その二つとも、俺が決める」
そこで大村が音也のバイオリンを修理し、その代わりに音也が演奏を聴かせるという取引が成立し、音也は自らのバイオリンを奏でる――。

「あの男の演奏を聴いて、私は変わった」

2008年――大村がウォークマンで聴いていたのは、音也の演奏だった。
「この曲を聴いていると、人を襲おうとする衝動を、抑える事が出来るんです」
「凄い……なんて優しくて、暖かいんだ。こんな演奏が出来るなんて、まさか……」
「そうです。私が、この演奏を聴いたのも、まさにこの場所だった。22年前、私は約束したんだ、君のお父さんと」
今作のキーである音楽を軸に過去と現在が繋がる、ここの流れは今回良かった。出来ればもう少し、ここまでの物語で音也の演奏の説得力を積み上げておいて欲しかった所ではありますが、そこは主人公特権で誤魔化せる範囲か。
1986年――
「ようやく、ブラックスターを預けられる人間を見つけた。どうか、大切にしてやってくれ」
「こいつは俺が持つべきものではない。こいつは俺を求めていない。悪いな」
2人のキチガイは芸術で繋がり、大村はもう人間を襲わない事を約束。それを信じた音也は、大村を襲撃したゆりとガルルに消火器で立ち向かい、大村を逃がすのであった。
「俺は生まれ変わる。紅音也。これからの俺は、おまえの音楽の中で生きよう」
大村は重しをつけたブラックスターを湖に沈めると、音也の音楽を胸に何処かへ姿を消す……。
2008年――大村の話を聞いた渡は、それとなく名護を説得しようとしていた。
「ファンガイアっていったい何なんですか? ファンガイアは、全て人間の敵なんでしょうか」
「奴等は人類の天敵だ。そう言えばわかるでしょう」
「でも、人間を襲わないファンガイアもいるかも。心の優しいファンガイアだって」
「あり得ないな。悪は悪だ」
だがそれは名護の正義に対して火に油を注ぐ事になり、激高した名護は「俺は常に正しい。俺が間違う事はない!」と器の小さい台詞を吐き捨てて、去ってしまうのであった。
その頃、大村は工事現場の騒音に苦しんでいた。
この人もこの人で、凄く、駄目な人です(笑) 基本、キチガイ芸術家だから仕方ないけど。
「ほぅ、ファンガイアが音楽をたしなむとはな。無駄なことを」
そこへ現れ、大事なウォークマンを踏みつぶす名護さん。
一方、名護と決裂した渡は、バイオリン製作に勤しんでいた。
「僕、凄く嬉しいんだ。ファンガイアでも、あんな素晴らしい人も居るんだってわかって」
素晴らしい……かな?(笑)
その時響く、ブラッディローズ。動揺しながらバイオリンを作り続けようとするが、キバットにせかされて出撃した渡が目にしたのは、工事現場で暴れるカエルの姿であった。制止の声も届かず、やむなく変身したキバはカエルを必死に止めようとするが振り払われてしまう。
ダッシュから振り返ってジャンプキックとか、凄いぞカエル。
「やめて……やめて…………やめてぇ!」
キバ、久々の月面野球キック。故意に外されたその一撃に、若干の正気を取り戻したらしいカエルは逃走。ここで流れるBGMは、渡の哀しみとシンクロしていて格好良かった。
思い出の湖畔にまで逃亡した大村だったが、そこへ現れた名護がイクサ変身。イクサのテーマ曲?も格好良く、キバの音楽は全体的に好きなのですが、今回はうまく使われました。
「ファンガイア、その命、神に返しなさい」
今日は剣を取り出したカエルとの斬り合いの末、キバと同じようにお薬を注入したイクサは、背景にフレアを背負った何か凄い勢いの必殺剣・イクサダイナミックによりカエルを成敗。
イクサベルトの音声は、「フィストオン」以外、いまいち何を言っているのかわからないのが困りもの(^^; 最初に左手で握ったナックルダスターを右の手の平に当てる静脈認証? も「レジイ」と聞こえるけど、何の事やら。
必殺剣を決めたイクサは満足して立ち去り、爆死寸前の大村の元へ駆け寄る渡。
「君なら出来る。自分の力を信じなさい。君の中には、あの、偉大なお父さんが住んでいるんですから」
大村/カエルファンガイアは湖に足を踏み入れて砕け散り、その魂は、ブラックスターと共に永遠に湖底に眠るのであった……。
ようやく物語の構図と軸が見えてきた事もあり、今回は面白かったです。色々とっちらかっていた過去編で音也が主役である理由と、ガルルさん達の登場が物語の中で意味を持ち始めました。……少々、引っ張りすぎた感じはありますが(^^; まあただ、同時に現在編で渡とファンガイアとの交流、対立存在としての名護/イクサを出さなくてはいけない為、あまり最初からは出来なかったのでしょうが。
渡にしろ音也にしろ、感性の人であって、意図的に非論理な話の繋がらない部分を盛り込んでいると思われる今作ですが(やりすぎて、幾らなんでも無茶な所が多々あるのですが)、その“理屈でない部分”が、過去と現在で対立の根として見え隠れてしてきたのは面白い。
まあ、渡もここまでのファンガイアは割と問答無用で滅殺しているわけですが、大村との出会いが如何なる変化をもたらすのか、そして名護さんはこのまま、独善の人になってしまうのか――。
大村さん役はどこかで見た顔だなぁ……と思ったら、スマートブレインの社長か。あと、恵さんが今回、初のお休み。
それから、監督ローテ1巡(1〜6話)した所で、やりすぎだ、という話になったのか、前回に比べると演出は抑えめ。オークションのシーンは少し遊んでいましたが、シーン的にはやりすぎないバランスで面白くなったと思います。全体としてこのぐらいのトーンで、少し遊びを入れる、ぐらいが演出の方向性としては有り難い。