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『仮面ライダーW』感想14

◆第19話「Iが止まらない/奴の名はアクセル」◆ (監督:石田秀範 脚本:三条陸
事務所下のビリヤード場で格好つける翔太郎。
「ビリヤード――これぞまさにハードボイルドな男に似合う、大人の競技だ。弾けて散らばる球の行方を計算しつつ、辛抱強く追い込んでいく様は、探偵の仕事に通じるものがある。……まあ要するに、俺の為にあるようなゲーム、だな」
初めてビリヤード場が活用されましたが、翔太郎は格好だけで、勿論、下手(笑)
そこへやって来た、赤い革ジャンの男が華麗なキュー捌きで一打で全てのボールをポケットに沈める。男の名は、照井竜。探偵事務所に怪事件の調査を頼みに来た依頼人にして、風都署の刑事であった。
公権力からの一方的な依頼は受けない、と格好つけようとする翔太郎だが、亜樹子が前金の10万円でハードボイルドの魂を売り、レンタルされる事に。
「所長、さっそく左の方を借りていくぞ」
苗字と引っかけていますが、発音は露骨。
(照井竜……なんだか気に入らないやつだ。なんと言っても一番かんに障るのは、こいつから妙にハードボイルドな匂いがしてるって事さ)
前回ラストでちらっと顔を見せた赤い革ジャンの男が、本格登場。たまに翔太郎が突飛な服装をするのでインパクト負けしない為か、“赤い宮内洋とでもいったコーディネート。
服装と言えば、撮影時期と季節ネタが無い関係で、冬場の放映の割には涼しげな格好の目立っていた今作ですが、そろそろ撮影時期が冬にさしかかってきたのか、翔太郎がコートを着始めて、これがなかなか格好いい。
翔太郎と公道チェイスを繰り広げながら現場へ着いた照井は、風都署に超常犯罪捜査課を設立に来たエリート警視で、翔太郎と同年輩ながら刃野の上役。ドーパントがらみと思われる事件を追う、いわばガイアメモリ犯罪課であるこのチームには、刃野と真倉が配属され、チームの初仕事として連続凍結事件を追う事に。
これまでドーパント犯罪への警察の対応は、本音と建て前を使い分けている感じでしたが(そして巧くバランスを取っていた)、ここで本格的に正面からドーパント犯罪とぶつかる部署が登場。翔太郎と霧彦が「風都LOVE」で繋がりながら「正義と悪」だったのに対し、翔太郎と竜は「風都愛/嫌い」と「公権力/探偵」という対比に置かれました。
「警告しておく。――俺に質問をするな」
氷まみれとなった現場で紫の花を見つけた照井は激高し、被害者の収容された病院へ向かうと、そこに出現する氷のドーパント。照井はバイクから超重量の剣を抜き出すと、それを引きずりながら振り回してドーパントに対抗。
「何してる左! 早く仮面ライダーになって戦え!」
だがフィリップ、別の事に夢中で、変身拒否。
「不便な奴等めぇ!」
ツッコんだ(笑)
ようやく変身するも冷凍ガスに苦戦するダブルだったが、ヒートジョーカーで反撃し、ドーパントは逃亡。照井は現場から逃げ去る女を目撃する。
雪の結晶からイメージしたと思われる氷のドーパントは、ガスを派手に吹いていたり、転がると周囲に白い粉が散らばったりと、細かいギミックが素敵。
「左、キーワードは、氷と……花だ。今度は右の方に検索を始めてもらおうか」
そのまま事務所の隠し部屋に突撃する照井、じ・ゆ・う。
劇中のレベルでいうと亜樹子ばりの自由度で、これにフィリップも加えると、翔太郎が段々、良識人に見えて来ます(笑)
その右の方は、犬の着ぐるみを着てセントバーナードについて調べていた。姫のラジオの影響でセントバーナードを飼いたいと言い出したフィリップ、とうとう、『ヒーリング・プリンセス』禁止令を言い渡される。
……背後で大音量で流れているのはそうか、「いぬのおまわりさん」か。
これなどはギリギリの所ではありますが巧く収まっており、冒頭のビリヤードシーンに始まって、今回は石田監督が冴えています。いい石田。
照井はカブトムシメカを取り出し、事務所の盗撮・盗聴を行っていた事を告白。
「俺はいずれ、仮面ライダーになる男だ」
アクセルのガイアメモリを見せる照井の「ダブルでは力不足だ」という挑発に乗る形で、フィリップは検索開始。現場に落ちていた、特殊な着色の施された矢車菊から、販売の他に大規模なフラワーコーディネートなども手がける花屋・コーンフラワーブルーとその社長・片平真紀子が浮上する。
「ダブルも大したものだ。頭脳だけはな」
据わった目で聞き込みにくいく照井、「ただ話を聞きたいだけだ」とはとても思えません(笑) 情報を得て取引先の風都園に向かう照井、翔太郎、亜樹子(亜樹子のヘルメットに事務所の宣伝が入っているのが、細かく面白い)。照井は入り口で見かけた謎の人物を追い、亜樹子ははしゃぎながら遊園地の中へ、と自由人2人に振り回されながら真紀子を探す翔太郎。
亜樹子は好き放題に遊んでいた……と見せかけて、高い所から真紀子を探していた。見事に亜樹子が発見した真紀子、1人でメリーゴーランドに乗っている絵が、とてもシュール。
その頃、照井は謎の人物と接触していた。
「やはりあんたか、シュラウド」
帽子、コート、サングラス、マスクのフル装備で容貌はわかりませんが、細身と脇に垂れたパーマの髪の為、THE ALFEEの某王子っぽい(笑)
シュラウドが指さした先に炎に包まれたアタッシュケースが出現し、照井はその中に新たな装備を発見する。
「俺の、ドライバが出来たんだな!」
かなりファンタジックなギミックを見せるシュラウド。なお、名前の意味は、「覆う物、幕」との事。
一方、翔太郎達は真紀子に接触
「あなたたち警察?」
「探偵です」
「街の野良犬か、じゃあ無視」
……特に、権利ないですしね(笑)
「そうはいかねえなぁ。野良犬にもプライドがあるんでね。あなたが街を泣かす人間なら、噛みつくしかない」
食らいつく翔太郎から真紀子は逃げだし、その先に現れる氷ドーパント。今度は最初からヒートジョーカーで立ち向かうダブルだが、ドーパントの吐き出す冷気はヒートの拳すら凍らせる。ヒートメタルになるも足を凍りづけにされて動きを封じられてしまうが、そこへ、剣を引きずりながら照井がやってくる。
「ご苦労。おれが代わろう」
照井はとにかく重そうな剣を足下に突き立てると、ドライバを取り出し、腰へ。
「それは……」
「この日を……待っていた。最強の力を得て、こいつを倒す日を! 変・身!!」
――『アクセル』――
物凄く力の入った叫び声と共にメモリをドライバに装着。バイクのハンドル状のスロットルをふかす事で、照井はアクセルへと変身する!
「さあ――振り切るぜ」
真っ赤なボディのアクセルは、手にした剣でドーパントを滅多切り。超重量の剣を軽々と振り回す乱暴なアクションは、意外やパワー系。その熱量はドーパントの冷気すら溶かし、更にエンジンメモリで剣を強化すると、火炎剣で氷ドーパントを圧倒、熱風は立ち見していたダブルを覆う氷も溶かす。
慌てた氷ドーパントは自ら吐き出した冷気で地面を凍らせると滑って逃亡。
「これだな、逃がさん!」
スロットルをふかしたアクセル、空中に舞い上がると、バイクに変形。
「なんじゃこりゃ」
半分に割れる奴が自分の事を棚に上げていますが、ライダーが、ギミック的変態しか居ないゾ。
滑って逃げるドーパント、バイクになって追うアクセル、とここのチェイスシーンは非常に面白くなりました。ドーパントを追い詰めたアクセルはマキシマムドライブを発動し、火炎旋風脚ドーパントを粉砕。
「絶望がお前の、ゴールだ」
「ハードボイルドだ……」
だがそれは、氷で作った分身だった。改めて、丘の向こうに逃げて行ったドーパントを追ったアクセルは、丘の下で片平真紀子を発見。何をとち狂ったのか、生身の真紀子にそのまま切りかかろうとする……!

ドーパント法第一条・仮面ライダーアクセルは、いかなる場合でも礼状なしに、犯人を逮捕する事が出来る。
第二条・仮面ライダーアクセルは、相手がドーパントと認めた場合、自らの判断で犯人を処罰することが出来る。
第二条補足――場合によっては抹殺する事も許される。

のか?!
霧彦さん退場でどうなる事かと思われましたが、新登場の照井さんは声が渋くていい感じ。つるっとしたダブルに対して、自らバイクに変形する事も含めてメカメカしいアクセル、というのは従来作品の要素を盛り込む今作らしいデザインです。
何より今回は、いい石田監督で良かった(笑)


◆第20話「Iが止まらない/仮面ライダーの流儀」◆ (監督:石田秀範 脚本:三条陸
真紀子をフォージャスティスしようとするアクセルを、すんでの所で止めるダブル。
「奴は俺の全てを奪った、Wのメモリの持ち主だぞ!」
「W?」
「Wのメモリとは、なんだ?」
「俺に、質問を、するなぁ!」
ダブルは連続の剣撃で吹っ飛ばされて変身が解けるが、その間に真紀子は逃亡。
「あんた……仮面ライダーになるんじゃないのか」
「なんだと……?」
「罪を憎んでも、人は憎まない。この風都の人々が仮面ライダーに望んでいるのは、そういう心だ」
「甘い……甘ったるい事を言うなぁ!」
アクセルはなおも翔太郎に剣を向けるが、割って入った亜樹子の前でその攻撃を止める。
「いい加減にしてよ! 竜くん」
亜樹子はもう、誰でも「くん」なのか(笑)
「この街は腐っている……だから人も腐るんだ!」
「なにぃ……?」
「俺はこの街が、だいっきらいだ……!」
「てるいりゅうっっ!!」
去って行く照井を追いかけるが、ダメージで倒れる翔太郎……と、実に今作らしい交錯。
おやっさんに恥じない大人”であろうとする翔太郎が、“人々の夢のヒーロー”になろうとしている事が窺え、そしてそれは同時に今作が志向しているのが“夢物語のような真っ直ぐなヒーロー”であるというのも改めて見えます。
現代を意識したヒーロー物の再構築を命題とし、《平成ライダー》10年、色々とこねくり回してきましたが、次の10年に向けてここで一つ、罪を憎んで人を憎まず、現実は色々あるけれど、人々を泣かせない為に戦う熱くて真っ直ぐなヒーローが居てもいいじゃないか、というのは今作の特質。
そしてそれを、“そういうヒーロー”として描くのではなく、“そういうヒーローになろうとあがいているハーフボイルド”から描くアプローチはは面白い。
……こう見ると、向いている方向は違うけど、今作は《平成ライダー》における『特捜ロボジャンパーソン』なのかもしれない(笑)
(※なんでも『ジャンパーソン』に絡めるのはやめなさい)
今回からOPに照井/アクセルが追加。事務所トリオが走ってくる所を立ち入り禁止のテープで止めた先でアクセルメモリを構える、とワンシーンで立ち位置が良く出た映像。
翔太郎は独自に事件を追うと宣言し、フィリップはWのメモリについて検索。照井は片平の息子を尾行し、翔太郎も息子について情報を集めていた。息子と接触した真紀子を見つけた照井は、アクセルに変身すると生身の真紀子を襲撃。
逃げる奴はドーパントだ!
逃げない奴はよく訓練されたドーパントだ!
エリート警視というより山賊と化したアクセルを食い止めるファングジョーカー。
「なぜ邪魔をする。俺は法の番人として、当然の正義を行っているだけだ!」
アクセル・フォー・ジャスティス!
……やはり知らない所で、闇の公権力が対ドーパント法を制定したりしたのでしょうか(^^;
「君の行為は正義ではない。個人的な、復讐だ!」
ここの対決はファングの出番を作りつつ、頭に血が昇って本領を発揮できていない、とアクセルも落とさず。むしろファングに匹敵するパワーを持つ事を印象づけました。サイクロンジョーカーの要らない子感の加速が物凄いですが、暖かく見守りたい。
互いに変身解除し、向き合うフィリップと照井。フィリップは過去に起きた連続凍結事件で、照井の家族が死亡した事を調べていた。
「何がわかる? あの日の事がどれだけわかるというんだこの検索小僧が! 俺の心の叫びまで検索できるのか!」
「いや。人の心は検索できない。だから……教えてくれ。君の身に起こった事を」
「なんだと……?」
「だって、それを解決するのが、依頼だった筈だろう?」
自ら「検索の限界」を語るフィリップが、前向きに話を繋げたのは“仮面ライダー”として格好良かった。
去年の8月……照井竜の両親と妹は氷に閉ざされた部屋の中で凍死し、竜は死の間際の父から怪人とWのガイアメモリの存在を聞き、現場で紫の矢車菊を目にする。失意の竜の前に現れたのは、謎の女・シュラウド。
「私が、あなたの復讐を支える」
同じ哀しみを持つと語るシュラウドは超重量の剣を竜に託し、姿を消す。
いきなりごつい武器を残されるというハードプレイを要求された照井ですが、振り回せるよう真面目に筋トレとかしたのか。
「その女が誰かは知らない。だが誰でも構わん! 俺から家族を奪った、悪魔に復讐できるのならな!」
服装が“赤い宮内洋”っぽいと思った照井ですが、なるほど、背景としてはV3なのか。
ちーちよ はーはよ いもうとよー (※元祖大惨事ヒーローソング)
あと、警察関係者っぽい服装の照井父がガイアメモリに言及しているのですが、風都署では実は常識なのか、上層部の方では把握しているという事なのか。
「それがお前の……」
「ビギンズナイト」
そこの2人、さらっと同じ所へ、引きずり落とすな(笑)
「この街は悪魔の巣だ。俺はようやく悪魔を……俺の家族を奪った犯人を見つけた。片平真紀子を消す。君たちになど、俺を止める資格はない」
「犯人は、片平真紀子じゃない」
探偵トリオは照井を、片平息子が踊り狂うクラブへと連れて行く。
「お開きだぜ、お坊ちゃん」
翔太郎が突き止めた真犯人は、片平真紀子の息子、清。母親の金で遊び歩いていたドラ息子である清はドーパントの力を得ると、ちょっとした諍いのあった取引先の人間を次々と襲い、母親はその息子をかばっていたのである。
「俺は危うく、別の人を……」
「はっ、人を凍えさせるのは面白かったぜぇ」
画面左側に照井を置き、クラブのスクリーンに大写しの片平息子の顔を右側に置き、会話しているようで会話していない、互いの距離感を表現したのは非常に秀逸。
そこへ息子を止めようと母がやってくるが、息子は氷ドーパントに変身して逃亡。
「彼は俺たちが止める。あんたにもう1人でメリーゴーランドは乗らせない」
「探偵さん……」
「木馬に乗ったあんたの切ない顔が忘れられなかった、それだけさ。……行くぜ! フィリップ!」
何故か、シングルマザーに攻撃力の高い翔太郎(笑) 大丈夫か、翔太郎。それは明らかに、ナンパだぞ翔太郎。…………そういえば初対面の亜樹子を中学生呼ばわりだったし、そういう事なのか翔太郎?!
「甘い……甘ったるくて…………耐えられん」
凄く、嫌そうな顔の照井。性格というか、最後の一言が嫌だった疑惑。
「ハーフボイルドだから、あいつ」
ここの亜樹子が、凄くいい表情。顔芸と閃きだけではない所を見せました。
「……いや。あいつがそういう性格でなければ……今頃俺は」
ドーパントを追い詰めた翔太郎とフィリップはヒートジョーカーに変身するが、ドーパントは池の水を供給源に氷弾の雨を降らせ、ヒートトリガーも苦戦。そこへ、駆けつける照井。
「変・身!! さぁ――振り切るぜ!」
いい所でダブルに決め台詞が無いと思ったら、今回もアクセルのターンでした。
アクセルは<エンジン>発動から<スチーム>で蒸気の盾を作って氷弾を防ぐと、<エレクトリック>の電撃剣で打ち上げ、トドメはマキシマムドライブ・間合いの外からの攻撃なら拙者も可能アクセル波動閃。
「絶望がお前の……ゴールだ」
いい所全て、持っていきました(笑)
そして、メモリブレイクした清に迫る修羅のアクセル。
「こいつが……俺の家族を!」
「やべっ」
うむ、予測してしかるべきだったと思います(笑)
「去年の8月、俺の家族を殺したのは貴様か?! き・さ・まだな!!」
清に向けて剣を振り上げるアクセルに向けて駆け寄る、翔太郎と片倉母。だが……
「行き先を変えよう。お前のゴールは……刑務所だ」
アクセルは剣を振り下ろす事はなく、照井は清に手錠をかける。
……照井さんは、社会的に割と危ない人だけど、台詞の格好良さと喋り方の渋さで物凄く誤魔化してるな(笑)
「ハーフボイルド……とかいうらしいな。君の流儀」
「え?」
「この街に居る内はその流儀に合わせる。俺も…………仮面ライダーだからな」
どんなに甘ったるくても、自分もヒーローであろう、といういい台詞。
照井がどうして「仮面ライダー」にこだわっているのかは、今ひとつわかりませんが(^^; 単純に、ヒーロー体質なのか。
そして照井は、この街に来るまでは(アクセル修行中)チンピラの10人や20人ぐらいはハードに埋めてきたのであろうか。
「いや、別にハーフじゃねえんだけど」
ここで映される、それぞれの表情もいい。物語も半分が近づき、だいぶ役者陣も、役柄と一体化してきた感じ。
母は息子を抱きしめ、上着をかける。
「母さん…………ごめん」
この母で、更正できるか疑問ですが(サブタイトルに絡めるなら、「盲愛が止まらない」と云ったところか)。
これにて一件落着かと思われたその時、清が使っていたメモリの正体がI――<アイスエイジ>だと判明する。ある意味、サブタイトルでネタ割れしているのですが、誰もここで決着付くと思ってないよね、という事でいいのか(^^; メタ的にはちょっと、照井が暴走の印象が強くなってしまいましたが。
「やはりイニシャルが違っていた……Wじゃない」
「おい、去年の八月、俺の家族を殺したのはおまえではないのか?!」
そして清がメモリを手に入れたのは、2週間前。
「俺の家族を殺した真犯人は、別に居る……」
照井竜の復讐は終わってはいなかった。風都に渦巻くWの闇の正体はいったい――
その頃、園咲家の地下施設に連れて行かれ正式にミュージアムの幹部となった若菜は、ミュージアムからも特別視される、ある危険な男と出会っていた。
「にこやかだけど怖い人。冷や汗が出ましたわ」
「特殊な男よね。言ってみればガイアメモリが生み出した、突然変異の化け物。私に、いえ、園咲の家にふさわしい」
「お姉様……?」
「冗談よ。彼は誰にもなびかない。今大事なのは、敵に回さない事」
その男の持つメモリのイニシャルは……
ファングジョーカー登場、霧彦さん退場、アクセル登場、とミュージアムとの戦力バランスがやや悪くなっていった所で、ちらつく新たな悪意の影。アクセル側にも謎の女・シュラウドと、敵味方に伏線が散りばめられました。
そんな闇の存在はまだ知るよしもなく、いつものように報告書をタイプする翔太郎。その事務所では何故か、照井がコーヒーを淹れていた。前回、事務所で出されたコーヒーに顔をしかめていた照井はコーヒーにこだわりがある模様で、その見事なバリスタぶりで、フィリップと亜樹子の時間を静止させ、翔太郎を唸らせる。
「なんなら、フィリップの相棒も代わろうか。彼の力は君には不釣り合いだ」
「なんだとてめぇ……?! ざけやがって、二度と来るな!」
3人分入れて帰ったので、素直でない個人的なお礼か。
時々物凄くチンピラ化する翔太郎は照井にソファを投げつけ、いまいちそりの合わない探偵と刑事はうまくやっていけるのか……という所で、以下次回。
面白かった。
あまり近年の、1人の脚本家に固めさせすぎる作りに肯定的ではないのですが(『電王』など、それによる成功例もありますが、どちらかというと小林靖子がやや特殊な例と思われる)、今作はキャラクターと世界観を作り込んだ作風の上で、ある程度の余裕を持って書いている事で、三条脚本のアベレージが高い。これは7−8話の大惨事はともかく、長谷川脚本がある程度の出来を見せた事が大きいかと思いますが、今の所、うまく回っています。
まあ、長谷川脚本は最初の車回が当たりの後は、そこまで当たりも出していないのですが、少なくとも破綻はしていないし、世界観との相性は良さそう。
照井/アクセルは、かなり好印象。割と真っ当かと思わせて、後半で東映刑事ヒーローのエッセンスをふんだんに盛り込んできましたが(ジャンパーソンは刑事ではないけど)、今後はハーフボイルドに合わせる……という事で、信じて……いいのか…………? 割と簡単に法の壁をぶち破りそうで、心配です。法律そのものが、影でねじ曲がっている可能性も否定できないし!
法を曲げているのを承知の上で復讐を優先しているのかと思ったら、「俺は法の番人として、当然の正義を行っているだけだ!」と堂々と宣言しているのが怖い。
で、そんな照井と“法治を尊重するヒーロー”であるダブルが絡む事で、ただの「復讐、良くない」になっていないのは、今作の面白い所。「贖罪」というのが今作の一つのテーマなのは間違いないですが、この対比を見る限り、「人治」と「法治」というのも、やはり意図的に盛り込んでいる模様。
そしてヒーローに私的な裁きをさせず、しかし如何にして物語のカタルシスを生むのか、というのは作劇のこだわりになっているように見えます。
次回、風都署にスペシャルポリスが編入
物凄い勢いで権力の側から進む風都のディストピアを、鳴海探偵事務所は食い止める事が出来るのかッ?!