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アイーダ様の操縦技術について考えてみた


「突貫娘ですから」
「やっぱり、突撃娘って人か」
「じゃじゃ馬娘がぁ!!」

ここ数話、メガファウナ関係者の姫様評が本音ダダ漏れになってきつつあり、出撃する度に株価の下がっていくアイーダ・スルガン様ですが、果たして姫様のMSパイロットとしての力量は如何ほどであらせられるのか?
思えば1話からし軌道エレベーターのクラウンを人質に取る任務に失敗して作業用MSに捕獲されるという大失態を演じ(不調に陥ったG−セルフが悪い)、「私って、時々これだから……!」と言ってのけた時から転落の日々は始まっていたわけですが、色々適当に、第10話までの姫様の活躍を振り返りつつ考えてみようと思います。
さてまず、本項を進める大前提として注目しなくてはいけないのは、第1話において姫様の操るG−セルフがクラウンに取り付いた際、その機動を見てベルリが口にした「うまっ!」という台詞です。
ハイ、ここ注目です。
誉めてます。
天才飛び級生のベルリが、姫様の操縦を誉めています。
第1話Aパート、MSパイロットとしての姫様の株価が、ここまでの劇中で最高値だった瞬間です。
劇構造的に言うとここは、ベルリの評価によりG−セルフのパイロットの技量を担保するシーン、であると同時に、一瞬で相手パイロットの技量を評価させる事でベルリの能力を裏付けるという表裏一体のシーンです。
実際のところベルリは実戦経験もない訓練生なので、“見る目”はそれ程では無かった、という身も蓋もない結論もごく自然ではあるのですが、それでは物語構造的に美しくならないので、ここではベルリの能力とセンスを担保に、姫様の操縦技術はベルリが誉める程度には上手い、という前提の元で話を進めていきたいと思います。
第9話においても、マスク機と遭遇した際にMSに乗り込んで発進させるまでの早さをベルリが評価しており、姫様は基本的な事は出来る子なのです。
多分カーヒルに誉められたくて、一生懸命、反復練習したのです。
では、そんな姫様がいざ戦場に出るとほとんど役立たずなのは何故なのか。
まず検討されるべき要素として、G−アルケインがあまりバランスの良くない機体である可能性が挙げられます。
姫様専用機という扱いのアルケインですが、ヘルメスの薔薇の設計図に基づいたG系フレームの機体であり、高性能ではあるものの、実は扱いが難しいという可能性は存在します。
アメリア本国から次々送られてくるG系フレーム用のバックパックを見るに、アメリアの開発者達、勢いでちょっとアレなものを作って興奮していそうですし、あまりバランス感覚に期待できそうにありません。
実際姫様、第1話と第3話ではG−セルフを割と鮮やかに扱っているので、G−アルケインは作ってはみたものの、姫様レベルのパイロットでなくてはあそこまで動かせない! さすが姫様、そこに痺れる憧れるぅ! ……と、全責任をアルケインに被せるのは、さすがに少し無理がある気がしてきました、ハイ。
この件に関しては、姫様をグリモアに乗せて前線に送り込んでみればすぐにハッキリすると思うのですが、一歩間違えると大惨事になるかもしれないので、非推奨。
クリム・ニックをアルケインに乗せてみる、でも可。こちらならあまり良心が痛まない。
次に注目したいのは、G−アルケインの標準武装が巨大な対艦ビームライフルである事。アルケインがもともとアイーダ用に造られて武装が対艦ビームライフルになったのか、アルケインにアイーダが乗る事になったので武装を対艦ビームライフルにしたのか、という前後関係はわかりませんが、一つ明らかなのは、この武装はどう見ても接近戦で振り回すものではなく、遠距離射撃を基本とする支援武器という事です。
ここから伝わってくる開発チームからのメッセージは、姫様は後ろに居て下さい。
そうつまり、姫様は、G−アルケインの運用方法を間違えている。
もともと海賊部隊の構成を考えると、カーヒルとクリムが前線に立ち、アイーダのアルケインがメガファウナの直衛につきつつ支援砲撃を行うというのが基本フォーメーションであったと推測され、なまじ高性能なので白兵戦もこなしてしまうものの、アルケインは本質的には支援MSとして調整されていたのではないでしょうか(故に白兵戦向けのウーシァに馬力負けする)。
第10話現在は戦況に合わせて多少チューニングされているでしょうが、姫様はそもそもアルケインの運用方法が間違っているし、そんな姫様を運用するには、姫様に言う事を聞かせて手綱を操れるカーヒルの存在が必要であった、と。

もしかして:ベルリが悪い

アルケインの運用方法に関しては、艦長が再三、メガファウナの護衛に付くように言っていたり、アルケインが飛び出していく度にベルリが「無茶ですよ」と口にする事からも窺えます。
姫様、話聞かないんですが。
これは明らかに姫様のMSパイロットとしての短所ですが、姫様は基本的に非常に前のめり気味であらせられます。補給部隊のパイロットが「突貫娘ですから」とつい軽口を叩く程度には突撃癖がアメリア軍内部に膾炙している事を考えると、カーヒル存命時からの、根っから性格的問題と思えます。

もしかして:育て方を間違った

第3話で墜落する飛行メカを救助する際にエアブレーキ代わりにメカの後部をひっぱたいたり、第8話でたかが大気圏グライダー1機を撃墜するのに対艦ビームライフルを使おうとしたり、根本的に大雑把な節もあります。

つまり:スルガン総監が悪い

ところでアルケインの配色とメイン武器が長物なのって「朱槍」のイメージを感じ、メタ的にも一番槍症候群が補完されている気がしてならないわけなのですが、どうしてそうなった。
アルケイン開発陣(アメリア)のメッセージ全然届いてないな!
というわけで対艦ビームライフルを白兵戦で振り回す姫様ですが、第10話でそんな姫様の根本的問題点が決定的に描かれたシーンがありました。
それが、メガファウナに迫るウーシァ部隊の迎撃の為に地上に降り、対艦ビームライフルを木にぶつけて動きが止まった所をウーシァに蹴り飛ばされるシーン。
キャピタル・ガードにだけ任せられないって、姫様が」「じゃじゃ馬娘がぁ!!」という艦内のやり取りから判断するに、恐らくメガファウナの直衛に付くように言われていたのに勝手に地上戦に参加してしまったようですが、少し目端の利くパイロットなら、密林での地上戦に対艦ビームライフルなど持ち歩きません。
補給体制の問題で予備の武器が全く無かった、というのはちょっと無理がありますし(ここまでの補給を見れば、最低でもグリモアの予備サブマシンガンぐらい転がっていると考える方が自然)。
ところが姫様は、平気で対艦ビームライフル持ったまま、密林に降りてしまう。
ここまで幾つか姫様が戦場で今ひとつ活躍できない原因について検討してきましたが、ここで問題は一つに集約されたと見ていいでしょう。つまり姫様は、操縦が上手いとか下手とかとは別の次元で、根本的に戦闘のセンスが無い。
この結論の方が酷い気はしないでもないですが、こう考えると、第1話におけるベルリの「うまっ!」という台詞とも、矛盾が発生しません。
姫様はあくまでも、操縦技術が下手、なのではなく、戦闘センスが無いのです。
これは姫様がアルケインを真っ当に運用できない事とも繋がり、かつ、外からそこが見抜けているというベルリのセンスも現します。まあこの点に関しては、艦長は当然わかって指示を出しているし、他にもわかっている人は居るのでしょうが。……姫様が話を聞かないだけで。
姫様に話を聞かせる事が出来た(と思われる)カーヒル大尉の偉大さが、今になって身に染みます。
メガファウナ関係者の本音がじわじわ噴出しているのも、そういう事でしょうし(笑)
まあそれはそれとして、カーヒルが甘やかすから的な反応もありそうですが。
余談ですが第10話で、EDで踊ってもいるメガファウナの脇パイロットの背の低い方が、近距離でアイーダ様に見とれていたり、出撃前に声をかけられて嬉しそうにしたりという描写が入っており、姫様、やっぱり人気はあるのです。
ただ、判断力とか広い視野とか冷静な思考とかが無いだけなのです。
物語の構造的には、姫様に「センスが無い」事で対比として、高笑いしながら自分より弱い相手を確実に葬っていくクリム、そしてそのクリムが認めるベルリの、「人殺しのセンス」が目立つわけなのですが。
技術的な巧さ、というのは勿論前提になっているのですが、今作の戦闘シーンでは、この「センス」というのが重視されているように思えます。
例えばモンテーロのビームジャベリンは、名前からして投擲に使用する設計ではありますが、使う度に近接用の手持ち武器を消費してしまうわけであり、使いこなすには戦闘技術に加えて、どこで武器を手放してしまっていいのか、という全体の戦局を見るセンスを要求される武器だと思われます。
そして主人公ベルリは、次々と実験装備を付けて戦場に送り出されており(真っ当な試用を経た事は一度もない)、戦闘中に当意即妙にバックパックを使いこなすセンスが光ります。同時に、これまで強敵との戦闘においては割合と被弾が多く、バックパックの装甲などに助けられている描写が多いのも、現時点では、技術よりもセンスのパイロットとして描かれているように見えます。
そしてそのセンスゆえに、反射的なアクションで人殺しを経験してしまう。
ここまで劇中で最強クラスのパイロットと考えて良さそうなデレンセンの場合、MSの性能差を埋める技量を見せつけると共に、第6話ではそれまで移動用に使われるだけだった補助ブースターを初撃の攪乱に放つという戦法を用いており、これはセンスの賜物と言えるでしょう。
では、アイーダにそういったセンスが無い事は、物語の中でどういった意味を持つのかといえば、「姫様になられる方」に人殺しのセンスが無いという事は、今作における“救い”なのかもしれません。
個人的には姫様には、このまま「センスの無い」方であっていただきたい。
ところで、こうして「突貫娘」「突撃娘」「じゃじゃ馬娘」と数々の二つ名を頂く姫様ですが、実は、前のめりに戦闘に参加しなかったエピソードが一つだけあります。
それが、第6話「強敵、デレンセン!」。
直前の第5話ラストで、艦長の指示でベルリを誉めた事により鬱積した負の感情の問題があり、物理的にベルリと距離を置きたかったというのが大きな理由だと思いますが、このエピソードでは珍しく、アルケインは素直にメガファウナの護衛に付き、最前線にしゃしゃり出ません。
しかし続く第7話になると、対艦ビームライフル持ち出して、勇んで最前線へと出ていき、ベルリとも自ら接触回線で会話をします。なおこの際、「そんな大きなライフル持ち出して」と言われて、「貴方の指図は受けません」と返していたり。
この間に何があったかというと、第6話ラストでデレンセンとの死闘を終えて帰投したベルリに気遣いを見せる姿があるのですが、ここでアイーダは打ちひしがれたベルリの姿を見て、細かい理由はわからないながら、(彼も戦闘に出れば疲弊するのだ……)と気付いたのではないか、という気がします。
下手するとそれまでは、感情的もつれもあって、クリム・ニックと似たような人種だと思われていた可能性大。
そんなわけで第7話以降の姫様の「ガンガンいこうぜ」ぶりは、元々の性格もあれば、カーヒルの欠けた穴を埋めようという無駄に強い責任感もあるだろうけど、姫様なりにベルリの負担を減らそうという気遣いでもあるのではないか。
そんな視点で見ると、姫様の可愛さ2割増しだと思うわけなのですハイ。
第7話以降の姫様の突撃ぶりというのは、あれはあれでベルリへの思いやりなのです。
気遣いの方向が何か間違っているのは、アホ可愛いだから仕方ない。
さて次回第11話、EDと引き比べる限りではメガファウナ側の脇パイロットが大体出そろい、ケルベス教官が参戦、マスク部隊にもバララが加わり、規模の大きくなりそうな宇宙戦闘に突入で、各々パイロットの戦力ヒエラルキーがよりわかりやすくなりそう。果たして姫様はどんな扱いになってしまうのか。……スリリングすぎるから、見なくていい!!