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『仮面ライダーW』感想30

◆第39話「Gの可能性/バッドシネマパラダイス」◆ (監督:柴崎貴行 脚本:三条陸
見所は、映画館に来るとテンションが上がるのか、いつも以上に変なポーズを連発する翔太郎。
駆け落ち失敗から数日――若菜について心の整理が出来た、と強がるフィリップ。そこへ、映画館で働いている依頼人・虹村がやってくる。
「劇場で、覚えのない、私の主演映画がかかってるんです!」
始まったら最後、出入り口が壁になって出る事も出来ない謎の映画……調査に向かう翔太郎と亜樹子だが、劇場の支配人に拒否されてしまう。どうしたものかと思ったその時――翔太郎の目に飛び込んできたのは、
『風の左平次 3D』
の立て看板。こういうネタの連動は好きです(笑)
大興奮の翔太郎と亜樹子は、仕事なのか、建前なのか、チケットを買ってノリノリでシアターへと乗り込むが、そこで始まったのは、問題の謎の映画ジェシカの彷徨と恍惚(以下略)』。
7時間20分の大長編(そして未完)を強制的に見せられ、怒り心頭の翔太郎の前に姿を見せたドーパントは、壁を植物に変えて逃走。その情報からフィリップが検索し、ドーパントの正体が、遺伝子を組み換えて物質を別の物に変換する能力を持ったジーン(遺伝子)と判明する。
ルナでしばいて捕まえたジードーパントの正体は、極端な人見知りでドジな、虹村の同僚・川相。川相はジーンの能力を用いて自らの姿を虹村に変えると、監督・脚本・主演:自分の自主制作映画を撮っていたという、高度な変態であった。
文学気取りで無駄に長いタイトル・入れたいものを全部入れてまとまりのない構成・未完、と学生サークルの自主制作映画ぶりが非常に生々しいのですが、何かスタッフの体験が入っているのでしょうか(笑)
翔太郎は川相を照井に突き出そうとするが亜樹子がそれに待ったをかけ、何故か照井達も巻き込んで、本物の虹村を主演にした、川相の自主制作映画作りに協力する事に。
「何故そんな余計な世話を焼くんだ」
「言いたい事言えない誰かさんみたいな子は、放っとけないんですー」
「だ、誰のことだ」
若菜との件で強がるフィリップと川相を重ねているらしい亜樹子は、同時に、川相を社会復帰させる事で人間がガイアメモリの誘惑に打ち勝てる事を証明しようと張り切り、ついでに川相と虹村の恋愛を成立させようとしていた。
7時間20分の原作を90分にまとめ直す亜樹子プロデューサー、割と有能。かくして――
(俺たちは、『聖戦士ジェシカ』の完成に、全力を注ぐ羽目になってしまった)
どシリアスな悲恋展開だった前回から一転、スピック回ばりの、バカ展開。どうして三条さんは、井坂退場回も財団X登場回も長谷川さんに任せて、このエピソードを書いているのか(笑)
翔太郎とフィリップがギャグの世界に片足を根元まで突っ込んでいる頃、若菜は琉兵衛から、プレゼントを渡されていた。
その名を、有機情報制御機関試作タイプ・ガイアプログレッサー。
琉兵衛はガイアプログレッサーを用いて若菜が完璧になる為に1人のドーパントの名前を挙げる。それはジーンメモリの使い手……川相。
前半早々に今回のドーパントの正体が判明したと思ったら、そこからある種の人情話(怪人の事情を知って協力、だがその怪人に迫る悪の影)に繋ぐという、有りそうで無かった変則的な構成。
若菜は自ら撮影現場に乗り込んで川相をさらおうとし、フィリップと再会。
前回の今回で弟が深刻に悩むどころかバカな自主制作映画の撮影に協力していて、お姉さんは真剣に地球の未来について考えずにはいられません。
クレイドールは珍しく接近戦を展開するとサイクロンジョーカーを上回る戦闘力を見せるが、ダブルはエクストリームになって反撃。
クレイドールの能力は見切った。プリズムソードは、再生能力自体を斬れる」
……え、そんなトンデモだったの。
と、これ最初は、プリズムに能力封じの能力があるのかと思ったのですが、ビースト戦を思い返すと、《対再生能力》という事でしょうか? 能力封じの能力だと今作の世界観では強すぎるし、《対再生》限定なら、それはそれでどうしてそこに特化? となって、どちらにしろやや唐突な宣言ではあるのですが(^^;
もしかすると、そもそもビースト戦がここへの伏線という意図だったのかもしれませんが、だとするとちょっとわかりにくかった。
再生能力を封じられ、転がって這いつくばるクレイドールをメモリブレイクしようと迫るエクストリームの牙! だがその時――
「あっははははははは」
高笑いを響かせ、崖の上に立つのは……
「ズバッと参上! ズバッと解決! 人呼んで、さすらいのドーパント! かいけ」
腕組みして仁王立ちする園咲冴子であった!
「今見せてあげる、姉の意地を」
「あれは、霧彦のナスカメモリ……」
「井坂先生……」
霧彦さーーーーーーん(涙)
スミロドンによりタブーメモリとドライバを失った冴子は、社長室に隠していたナスカメモリを手にし、覚悟を決めて生体コネクタに突き刺すと、オレンジ色のナスカ(L)V3に変身。
「5月23日、井坂深紅郎を殺したのは貴様だな?!」
格好いいデザインに対して本編での使われ方がやや消化不良だったナスカが、ここで再利用というのは盛り上がる展開。霧彦さんの愛が死後も空振りしているのがまた、容赦なさすぎて涙で前が見えません。
どうして、今作は、ここまで、霧彦さんに厳しいのですか?!
井坂先生への愛の力で《超高速》を使いこなす冴子のナスカV3はそのスピードでエクストリームを凌駕する戦闘力を見せ、駆けつけたアクセルトライアルと激突。今回、変な衣装で登場しただけで終わるかと思われた照井課長でしたが、早回し?を使ってのナスカV3との高速戦闘は、トライアルの特性も生き、格好良かった。
ナスカV3の範囲攻撃にダブルライダーは手も足も出ずに苦戦し、爆発に巻き込まれそうになるカメラを回収しようと飛び込もうとする亜樹子だったが、川相に止められる。実は亜樹子P主導の映画製作に全く満足していなかった川相は、ビデオを回収する事よりも、ジーンメモリの返還を亜樹子に求めるのだった……。
大暴れするナスカV3、それを見つめる加頭、空回りだった亜樹子の善意と熱意――果たしてGの可能性は、転がっているクレイドールに一体いかなる力を与えるのか?! 混沌としたまま、次回へ続く。
クライマックスは今エピソードでのバランス取りを悩んでか、前はギャグ・背景はシリアス、という映像的に二重構造になっていましたが、個人的にはもう少し、シリアス寄りで良かったかなぁ。