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宇宙の蟹――『Gのレコンギスタ』感想・第20話

◆第20話「フレームのある宇宙」◆ (脚本:富野由悠季 絵コンテ:森邦宏/斧谷稔 演出:水本葉月)
蟹アーマー!
クレッセント・シップを手に入れたジット団は、船を自分達の根拠であるジット・ラボへと向かわせ、同時にシップの航行力を強化したG−セルフを回収、調査しようとしていた。フラミニアとヤーンがレイハントン・コードを解除しようとする中、ロザリオ・テンからは警備部隊テン・ポリスのMS部隊が、ジット団を制圧しようと動きだす。
「我々の考え方がリギルド・センチュリーの正義だという事を、ロザリオ・テンの連中はどうしても、わからないと見えるな」
一方メガファウナは、クレッセント・シップから離脱して先にジット・ラボを強襲しつつ、アイーダをロザリオ・テンのラ・グー総裁の下へ届けよう、という滅茶苦茶な作戦を立てていた(笑)
研究施設だから軍備もないし油断している筈、というのはジット団を見ているとかなり都合のいい思い込みに見えるのですが、「敵の物は俺の物」リギルド・センチュリーの正義なので仕方がない……!

「ジット団は、僕たちをクンタラにするって言ってるんです」
「私はあの人達の食料にされるのは、嫌です」

とここで、気になるやり取り。
この「おまえをクンタラにしてやろうか」は慣用句のようなものなのか、それとも実際に何らかのそういう処理が存在しているのか。
地球を遠く離れた金星圏、古い技術を残す組織ジット・ラボ、と、再び浮上した「クンタラ」というキーワードがきなくさくなって参りました。あと前回、ラライヤの怒りにはっとした顔をした2人が、ノレドとマニィも居る艦橋でまた無神経に見える会話をしているのですが、自分達には差別意識が無いから気にしないというスタンス(結局、無神経)なのか、それともまた別の意味があるのか。
今作ここまで、散りばめられてきた様々な要素が意味を持って繋がっているのが見えてきているので、「クンタラ」も何らかの形で物語の中に収まってくると思うのですが、どうなるのか見物。
出撃前、


ベルリ「姉さんが心配してくれるなんて」
アイーダ「え? 大事な戦力ですからね」
ベルリ「へへへっ」
マニィ「なにいちゃついてんだ?」
ノレド「無視、無視する」
すっかり、この距離感を利用するしかないでしょ! と、むしろ攻めに転じるベルリ、たくましい(笑)
パイロット達はキャピタル・ガードのウォークライを行うとそれぞれのMSに乗り込んでいき、なんとなくベルリに近づくが、船内に隠れているように促され、
「うん、あたしは、隠れる……」
と離れていくノレド。そんなノレドに、ヘルメットを被せるマニィ。
「ファスナーをして。宇宙で暮らすとね、やる事がいっぱいあるんだよ」
ベルリがアイーダとの新たな距離感を掴みつつある中、ノレドが変化していくベルリとの距離感を構築できなくなりつつあり、そんなノレドをアーミィで経験を積んだマニィが引っ張っている、という面白い構図。
非常に珍しく、ノレドが弱気な表情を見せているのですが、友人であるマニィが側に居る事で表に出てきた弱さ、という部分もあるのか。なんだかんだ、ノレドはあまり、ベルリには弱みを見せたがらない感じですし。
個人的にノレドについて長らくかすかに引っかかってる事が一つあって、第3話における

「ハロヴィ? ノレドさんの?」
「ノベルっていうんです。ベルリがキャピタル・ガードに入ったら、プレゼントするつもりなんだけど……」
というくだり。
卒業/就職祝いに改めてプレゼントを用意するのではなく、自分が身近に使っていたものを渡すというのは、まあ単純に、この世界にそういう習慣があるだけかもしれませんが、贈り物という以上に自分の身代わりという意味づけが強いよなーと。
キャピタル・ガードに就職したら宇宙に上がる事が増えるので物理的な距離の問題かもしれませんが、ノレドって実はベルリの側にずっと居られないという認識があるのではないか、なんて事について改めて脳裏によぎってみたり。
法皇様との関係など微妙に謎のポジション、クンタラというキーワード、「ただのカナリアにはなりたくない」という言葉の真意……ノレドの行く先も気になる所です。
キア・ムベッキクレッセント・シップの艦長と副長の頭に爆弾ヘルメットを被せ、ジット・ラボに真っ直ぐ向かわないとブリッジごと人間爆弾として吹き飛ばす、と脅迫すると、テン・ポリスを叩く為に出撃する。
「本物の悪人などは、居ないものです」
とブラフである事を祈りながらも、船をジット・ラボへと向ける艦長。
アバンタイトルのベルリのモノローグで、
「エル・カインド艦長さんは、ヘルメス財団の人なんだろうけど、ただのいいおじさんだった」
と、うんまあ、そうなんだが……(笑) とまとめられてしまった艦長ですが、この辺りはスコード教と密接に関わる(?)ヘルメス財団関係者という事でか、宗教家めいた物の見方も感じます。
「始めたからには中途半端では!」
レコンギスタ作戦は実行できない!」
テン・ポリスのMS部隊と戦端を開くジット団。
前回、トワサンガのハジム政権との繋がりが判明したジット団ですが、ここで「レコンギスタ作戦」という名前を口にしており、ドレット軍主体と思われた「レコンギスタ作戦」の主導権争いで、トワサンガ政府と軍部の綱引きがある模様。
またここで唐突に、ポリス側に
「降臨祭を済ませずに帰国した件の尋問もある」
という台詞があるのですが、これはちょっと、現時点では意味不明。
クレッセント・シップはやる事やって帰って来た筈なのですが、トワサンガを離れた後、カシーバ・ミコシの方で何かトラブルがあったという事なのか。
一方、メガファウナ陣営も動きだし、ベルリの操るアルケインと、ラライヤのネオドゥが奇襲によりG−セルフを奪還。この際、指で弾き飛ばしたフラミニアと、コックピットから振り落としたヤーンを回収してくれるよう、マニィがクレッセント・シップにすかさず伝達するのが良い所。
「ベルリの仕事の後始末」
「え?」
「人を突き飛ばした筈なのよ」
宇宙空間ならではの距離感や危険性についての状況設定が、前回からしっかり繋がっています。
この後、ベルリがアルケインからG−セルフに乗り移ろうとする際に、思わぬ距離感に狼狽する、というのも同様。何とかコックピットに飛び込んだベルリは、G−セルフを起動する。
《レイハントン・コード、確定》
「知らない人にいじらせて、ごめんなさい!」
「誰に謝ってるんです?!」
ラライヤの生真面目な反応が面白い(笑)
G−セルフとメガファウナはテン・ポリスとの接触を目指し、姫様はネオドゥが回収してきたアルケインに乗り換え。遂に! 姫様が! グリモアに!と個人的に凄く盛り上がっていたのですが、残念ながら、戦闘シーンはありませんでした。……まあ最近だいたいわかってきたので、グリモアで戦闘する羽目にならなくて良かったかもしれない。
それにしても相変わらず、武装解除とかしっかり出来ない人達だらけですが、ジット団は単純な人員不足と、まさかテン・ポリスが本気で迎撃してくるとは思わなかった、という所か。
「我らがジット団は、レコンギスタを目的に決起した」
それでも高らかに宣言したジット団は、巨大MAと金色のMSジャスティマが次々とポリスのMSを撃破していく。キアはメガファウナへ投降を呼びかける交渉で時間稼ぎを行うと、ジャイオーンのフル装備である、バックパックによる追加武装ビッグアームを装着。
「自分は、ロザリオ・テンで千年の夢をむさぼっている連中に、現実というものは戦い取るものだという事を、教えてやる。地球人は地球の寄生虫なのだから――殺菌するだけだ」
ロックパイにもやし扱いされた地球人類ですが、キアからは遂に寄生虫扱い。
この辺りから、前回は遠景だったビーナス・グロゥブ外縁を構成するバッテリーとMSやメガファウナのスケール比が盛り込まれ、ビーナス・グロゥブが、接近するとちょっと認識できないレベルの巨大さである事が描かれます。
ジャスティマはジェネレーター直結の巨大なビームサーベルでG−セルフの盾を切り裂き、左肩のビームシールドでアルケインの対艦ライフルを防御して、と大活躍。肩部の左右非対称がいい感じでかなり格好良いのですが、キット化、キット化しないんですか……?!(そんなのばかり)
そして、自分達の船フルムーンに利用しようと、G−セルフの確保をもくろむジャイオーンがビッグアームを広げて迫る。ビームサーベルを複数展開するそのアームの動きが、なんというか……蟹!
ええもう、この瞬間、私の中でジャイオーンの愛称はになりました(笑)
18話登場のガイトラッシュがクラゲモチーフだったそうですが、赤いMAもクラゲっぽいし、タブーが薄れるほど、海産物か、海産物になるのか?!
しかしいきなり、G−セルフのビームライフルで半分吹き飛ぶ蟹の足(あれ?)
G−セルフのコックピットを奪ってコンピューターを手に入れようと、五体バラバラに切り刻む妄想を脳内で描きながら白兵戦を仕掛けるジャイオーンは蟹足連打を放つが、今度はバルカンで半分壊される(笑)
「ち、地球人が建造したものに、ジャイオーンがやられるわけがない!」
……よくよく考えると、実戦経験を積む場があるとも思えないし、この人、機体性能が高いだけで、パイロットとしては微妙なのか。
その頃、フラミニアとヤーンはアームによって無事クレッセント・シップに回収され、フラミニアは艦長と副館長の爆弾ヘルメットに気付く。緊張のあまり意識を失っていた副長、というのがリアルですが、ここでフラミニアが爆弾を気にするのは、艦長の「本物の悪人などは、居ないものです」と合わせて、爆弾解除フラグか。
オーシャン・リング内部にたたえられた、水の重さを支える何百本ものフレームの中に入り込み、戦闘を続けるG−セルフとジャイオーン
「この上に海が有るっていうんだろうに! 見境の無い奴!」
焦るキアはビームライフルを用いてフレームを傷つけ、その姿に一計を案じたベルリは、オーシャン・リングの底部で、あえて機体を停止させる。
「ここが海の底! 後退!」
今がチャンスと勢い込み、ビッグアームから巨大なサーベルを放ったジャイオーンの攻撃をG−セルフはかわし、そのビームはオーシャン・リングの底を切り裂いてしまう。
「う、海の底に傷つけた! 駄目だ! これは駄目だぁ! これはやっちゃならん事だ!」
溢れ出す莫大な水流に宇宙空間で揉まれながら、我に返って狼狽するキア。
これまでチュチュミィを通じて宇宙に生きる人々と水の関わりをそれとなく物語全体に散りばめておく事で、ここでキアの「駄目だ! これは駄目だぁ! これはやっちゃならん事だ!」というのが真に迫るというのはお見事。
「こ、この隙にやっつけられるなら!」
それはともかく、すかさずジャイオーンに狙いをつけるベルリ、えぐい(笑)
他者の大事にしているタブーを利用し踏みにじるという、主人公としてかなりギリギリの悪辣っぷりです。
「流れ出るんじゃない!」
「追いつけない!」
水流の中へと飛び込んだジャイオーンを追ったG−セルフはオーシャン・リングの内部へ入り込む事になり、水を押しのけて飛び上がると、その眼下に広がっていたのは――
「こ、これって……!? 僕は月を飛び越してきたんだぞ? なんだよこれ?!」
広大な海であった。
「渡り鳥までがいる……」
宇宙に生まれた、青い空と海の狭間で戸惑うG−セルフ。下方では流れ出る水が渦を巻き……次回へ続く。
ここから先の物語は俺たちが引っ張るぜ! という勢いで華々しく登場したジット団ですが、早くも、こいつら大丈夫か……? 感が漂い、非常に先行き不安です(笑) パワフルな山賊っぷりは好きなんですが。
次回、サブタイトルが格好いい。