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『Gのレコンギスタ』感想・第11話

◆第11話「突入! 宇宙戦争」◆ (脚本:富野由悠季 絵コンテ:寺岡巌/斧谷稔 演出:吉沢俊一)
ミック・ジャックを彼女にしたいかーーーっ?!」
「「「おおー!!」
「どんな事をしてでも、彼女にしたいかーーーっ?!」
「「「おおー!!」
「罰ゲームは、怖くないかーーーっ?!」
「「「お、おおー……!!」
知力・体力・時の運、撃てば天国リアルは地獄、やってこいこいキャピタルタワー! 史上最大・アメリ宇宙艦隊ウルトラ出撃!
クリム・ニックを指揮官に、旗艦サラマンドラを中心としたアメリアの宇宙艦隊は遂にキャピタルタワーへと侵攻を開始し、アーミーの部隊はそれを迎え撃とうと防備を固める。スペースガランデンアメリア艦隊の後背を突く形で宇宙へと上がり、同じく周回軌道を目指すメガファウナは“宇宙からの脅威”への対応を第一とするべく、タワー占領作戦を阻止しようと動く。スルガン総監はアメリア本国へ急ぎ帰還するが、ゲル法皇、ウィルミット、クンパらを乗せたクラウンがザンクト・ポルトを目指して静かに上昇していく中、いよいよ宇宙戦争の火ぶたが切って落とされようとしていた――。
各陣営、各人物の思惑が交錯する中、そのまま戦闘状況に突入する為、なかなか複雑な展開。
大雑把に分けると、こんな感じか。


アメリア側〕
サラマンドラ(クリム&ミック):キャピタル・タワーを占領するぞぉ!
ラトルパイソン(スルガン):状況次第で巧く立ち回ろう。
メガファウナアイーダ&ベルリ):クリムの馬鹿に艦隊指揮権なんて怖すぎるからとりあえず止めて、宇宙からの脅威への対応第一。
〔キャピタル側〕
キャピタル・ガード(ウィルミット):幾らアメリアだってタブー破りはしない筈だし、粛々と日常業務をこなしつつ、法皇様とともにザンクト・ポルトへ向かって、宇宙からの脅威について考えよう。
スコード教(ゲル法皇):ザンクト・ポルトへ向かうが、その真意は、???
キャピタル・アーミィ(ジュガン):アメリア艦隊をこてんぱんにし、ついでにG−セルフとラライヤを確保。
調査部(クンパ):マスクに作戦を支持しつつ、その真意は、???
スペースガランデン(マスク):「G−セルフとラライヤを確保する」、「アメリア艦隊とも戦う」、両方やらなくっちゃあならないってのが、マスク先輩の辛いとこだな。覚悟はいいか? 私は出来てる。
状況をよりわかりにくくしているのはまず、大統領の演説中にすちゃっと格好良く降り立つも、「いや、もう無理」と言われた途端に、「じゃあ私も行くよ」とラトルパイソン以下の護衛艦隊に乗り込んでしまうアイーダ父。賽が投げられてしまった以上、クリムに任せておくよりは自分が現場に居た方がマシ、という事だと思われますが、表向きは「ザンクト・ポルトへ上がって法皇を人質に取るのだ!」とか言い出す為、話を複雑にしています。
これが、ちょっとブレーキ壊れ気味のクリム陣営vsそれを止めようとする姫様陣営、だと実にわかりやすいのですが、世の中そうそう簡単ではないので、ベルリの明日は果たしてどっちだ。
キャピタル側ではガードとアーミィの対立構造がありつつ、現実にタワー占拠を目論むアメリア艦隊に対して、「タブー冒すわけないから大丈夫でしょう」と構えるガードは抵抗する力を持たず、前線で命張っているのはアーミィ側、というのは、どちらかというとアーミィを悪玉として描いてきた今作において、皮肉な構図。
これに全く真意の読めないゲル法皇とクンパ大佐の動きがあり、ややこしい事になっております。
更にこの外周に、“宇宙からの脅威”(トワサンガ?)と、アメリア軍と大陸間戦争をしている敵国であるゴンドワン、の存在があり、ますます、敵味方では簡単にくくれない構造。
故に、姫様陣営は最も視聴者として納得しやすいスタンスに位置しており、とりあえずメガファウナを中心に見ておけば大丈夫、という形には現状なっておりますが。
もう一つ今回わかりにくいのは、そんな複雑な構図のまま雪崩れ込んだ戦闘が、比較的低い軌道での戦闘である事。
例えるなら、振り回したバット(キャピタル・タワー)に対してボール(宇宙艦隊)を投げつけて、それが接触した瞬間だけ戦闘が起き、通り過ぎた後は重力に負けてしまうのでUターンできない、という感じだと思われるのですが、今回に関しては、事前ブリーフィングのシーンなどを描いて、そういった状況下での戦闘である、という説明は先にあって良かったと思います。
一応、戦闘前に各部隊の位置関係の説明だけ略式で
ガランデンサラマンドラ→アーミィ←タワー〕
と入るのですが、それならもう一歩踏み込んだ説明をしてしまったも良かったと思います。
最終的には、
クリム「キャピタルアーミーが戦艦で上がってきての初陣だったのだ。それで皆でとっちらかったんだろう。はははははははは!!」
でまとめてしまいましたが(笑)
でまあ、色々ごちゃごちゃしているけれど、皆でザンクト・ポルトを目指します、という物語のベクトルだけはハッキリしているので、そこが抑えられれば一応わかる、というのは今作らしい所ではありますが。
そんなこんなで、アーミィとアメリア、両陣営が初の宇宙戦闘でとっちらかった今回は、あちこち場面転換が多い中で、メガファウナよりも、マスク側(スペペースガランデン)とクリム側(サラマンドラ)の描写が多かったのが一つ特徴でした。
前回ラストでちらっと出てきたアーミィの新型MS・マックナイフが本格登場し、その機動性を披露しながら、スペースガランデン接触。前回ラストで声だけだったスペースガランデン艦長は、モヒカンでした。タワーからガランデンに無事に着艦してみせて、ちょっと感心されるマスク。
「自分はこのマックナイフで、連敗の汚名は雪ぐ覚悟であります!」
「おおー!」「マスク!」「マスク!」「マスク!」「マスク!」「マスク!」
艦内に歓声があがり、意外と人気あるぞ、マスク(笑)
(しかし、クンパ大佐とジュガン司令の手際の良さは異常だと感じるな)
クンパ大佐の正体はまだ不明ですが、どうにも戦火を拡大しようとして見えるのですが、これまた伏線台詞か。
マニィの姿を見つけてお喋りするマスクだが、そこにバララが飛んできて、低重力下で、足を掴んで着地をサポート(この描写は、別の作品でも見たような気がするけど、気のせいかしら)。
(ルインは……クンタラの名誉を、賭けた筈なのに……)
その距離感に眉根を寄せるマニィですが、これは、同僚の女に嫉妬する自分への嫌悪、という感じか。
軍艦に乗り込んできた事で、ノレドと鏡映しのような立場になってきたマニィですが、ざっくり系ヒロインであるノレドに対し、嫉妬を内にこもらせるマニィ、というのも意図的な対比と思われます。
一方、サラマンドラを指揮する立場となったクリムは、陽気なBGMで部隊を鼓舞していた。
「海賊船に居た時とは、違いますね?」
パイロットなど、おだてて使うのがコツだろ?」
笑うミック、盛り上がる兵士達、とマックナイフとマスクに声援を送っていたアーミィ陣営と同じく、戦争の開幕を前に描かれる、両サイドのテンションの高さ。
悲劇の匂いは一切漂わず、双方が双方を侮っているいっそ喜劇的な様相こそ、戦争の開始としてふさわしいのかもしれません。
マックナイフエルフ・ブルックの後継機という事なのか、似たようなパターンで飛行形態へ変形し、出撃シーンの絵はまさに戦闘機。サラマンドラからもタワーへ向けてMS部隊が発進し、ナットを背景に遂に本格的な宇宙戦争がスタート。
ミノフスキー粒子を撒いたってのはだなぁ! 接近戦でやられるって事よ!」
さあ、久しぶりに天才の、対モブ無双の時間です。
「初めての宇宙戦で蝶のように舞いぃ、蜂のように刺す!」
「さすが天才クリム!」
兵士達をおだてて使う、と言っていたクリムを、ミック・ジャックがおだたている、というなかなかエグい構図(笑) 一気に出番と立ち位置の重要性が増したミックですが、賢くて容赦なくて男を見定めようとする女、という感じでしょか。
一方、そんな機能をどこかに置き忘れた姫様は、本日も対艦ライフル担いで最前線に出張りたいとおっしゃられ、メガファウナの護衛に付く事を拒否していた。
「聞こえません、聞こえません!」
ベルリに、混戦から抜けだした連中を狙撃して下さい、と言われ納得する姫様。
「あ、そうか。そりゃ、そうよね」
言われて気付くという事は、言われないと思いつかないという事であり、本当に、どこまでもセンスがありません(笑) 姫様は対艦ビームライフルを接近戦用の打撃武器だと思っているのではないかと、時々心配になります。
「キャピタルアーミーの連中なら、俺が止めてみせます!」とレックスノーで力強く出撃したケルベス中尉がマスクのマックナイフに捕まってしまい、マスクはケルベスを人質に、G−セルフとラライヤの身柄を要求。と、前回に引き続き、アーミィがやたらにラライヤの身柄を重視しているのは、クンパ大佐辺りの差し金なのかどうか。
G−セルフを前にしたマスクは何故かコックピットの外へと出、ベルリも外へ。マスクは小型の銃でワイヤーをベルリに撃ち込み、2人は宇宙空間で最接近。
「メットの下もマスク!」
「データファイルとセンサーが内蔵されているんでな!」
律儀に自慢(笑)
ベルリとマスクが宇宙空間でもつれ合っている内に、レックスノーは当然マックナイフの戒めから脱し、機体に戻るマスク。
「どこに居ても飛び級生は俺の邪魔をする!」
そしてここで、マスク先輩がマスクを付けていてもハッキリ、ベルリをベルリと認識している事が判明。元教官であるケルベスに対しても容赦ありませんでしたし、これはなかなか、衝撃。
まあ、「これが銃だったら即死だった」というのは先輩の甘さと捉えても良いのかもしれませんが、G−セルフのパイロットがベルリであるのを知っても特に驚いた様子はありませんでしたし、認識した上で戦闘中に殺すのにもはや躊躇いは無さそう(^^;
あまりこう、表向きいい人だったけど抱えていた鬱屈と憎悪が爆発して何でもしてしまう、というようなキャラクター造形は好きではないのですが、さて、マスク先輩は今後どんな風になっていくのやら。
メガファウナへ接近するも、ラライヤの身柄を確保するまでは攻撃出来ずにいたバララのマックナイフグリモアの奇襲を受け、メガファウナから離れる羽目に。
「マスクのドジ! G−セルフが戻った!」
……実際ドジなので、何かこう、凄く申し訳ない気持ちになってみます。
アルケイン&セルフと交戦するバララ機は、G−セルフの謎の残像を受けて混乱した所を、アルケインの射撃を受ける。
「あたしがドジか、相手が出来すぎぃ?!」
「バララ! 下がっていい! 光り物に騙されたな!」
度々飛び出すG−セルフの残像だったりバリアーだったりは非常に謎ですが、フォトン装甲とやらの効果なのか。マスク機はG−セルフに足をもがれて股間を蹴られて撤退し、戦果無く終了。
一方、クリム率いるサラマンドラ部隊も周回軌道でキャピタル・タワーを通り過ぎて戦闘終了し、人類久々の宇宙戦争はとっちらかったままその第一幕を終えるのであった。一気のチェックメイトを目論むサラマンドラザンクト・ポルトを目指し、スルガン総監の率いるラトルパイソン艦隊もまた、ザンクト・ポルトを目指す。
戦いは更なる高軌道へと舞台を移し、地球を少しずつ離れると同時に、月へ少しずつ近づいていくのであった――。
艦隊を動員しての宇宙戦闘という事で一気に入り乱れる敵味方の数が増え、派手なMS戦が展開しましたが、新たに登場したのは、マックナイフ、スペースジャハナム、スペースジャハナム(青)、そして序盤に顔見せだけあったヘカテー。これに各戦力の宇宙戦艦も加わり、これまでの小競り合いからは様相が変わり、まさに「宇宙戦争」の始まりに。
とは言いつつ、第6話同様、低軌道での遭遇戦なのですが、この辺り、大気圏内での空中戦もそうですが、高高度や低軌道など、上下の感覚を意識しなくてはならない戦場設定に、今作は強いこだわりが見えます。個人的には第6話や今回に関しては、もう少し戦闘のルールについて説明を入れた方が面白くなったのでは、と思いますが。
マックナイフは、グラサン顔にぎょろ目が入っているという、MSとしては珍しい顔立ち。MSとMAの中間というか、人間のようなシルエットから不意に人間離れした動きに変わるのがなかなか面白い。
ミックのヘカテーはデザイン的に好きなので、今後の活躍に期待したい。
あと、一発ネタだとばかり思っていたのにまさか宇宙まで上がってくるとは思いませんでした頑張れレックスノー。
一つ重要そうなポイントとしては、ベルリ母に
「ベルとアイーダさんが乗ったメガファウナが宇宙に上がってきて、G−セルフは宇宙から落ちてきた…………そんな! ベルは私が育てたのよ。誰が他人に渡すものですか」
という台詞があり、これはベルリの出自絡みの伏線か。