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『天装戦隊ゴセイジャー』感想4

マスターヘッドに何か既視感があるなぁと思ったらあれだ、NHK教育の番組に出てきそう。
◆epic13「走れ! ミスティックランナー」◆ (監督:竹本昇 脚本:大和屋暁
カマキリが死んで、カミキリムシが登場。種を食べる事で反射属性を得るカミキリムシに苦戦するゴセイジャーだが、レッドが放った落雷を防げず大爆発。
「そんな技があったとは……」
早かったな……転落。
だがピンクの方は落雷の術が使えずにカミキリムシを逃がしてしまい、エリはアラタの教授でそれを特訓する事に。ところがアラタの指導は全く要領を得ず、苛立つエリは1人で特訓を重ねる内に、アラタの指導が自分が幼い頃のアラタに教えた事にそっくりなのを思い出す…………意 趣 返 しってヤツですか?!
「大好きなものが多ければ多いほど、私達は強くなれる。大切なものを護りたいという気持ちに、天装術は必ず応えてくれる」
とここで、突然配信される天装術DLCは、地球の力から送られている、と何となく理由付け。
勇気に応えて魔法が配信される『魔法戦隊マジレンジャー』と似たようなシステムですが、『マジレンジャー』が、配信元が天空聖界マジトピアサーバーであると具体的にすぎてやや悪意や邪念を感じたのに対し、もっと漠然とした“地球の力”とする事で、ある程度クッション作用が発生しているのは、反省を踏まえて活かした感じ。
まあ、それが出来るなら、もっと早い内に物語と連動させて定義付けを表明しておいて欲しかったですが(^^; どうもこの辺りの見せ方の順序にも、迷走が見えてなりません。まず勢いでギミックを見せて後から設定を盛っていく、という手法自体は有りだと思うのですが、上手く行ってはいない。
変に前後編に引っ張らないで出来る限り一話完結にする、毎回のメッセージ性を少々しつこいぐらいに重視する、と児童向け作品として原点に返ろう、みたいな意識が見える方向性は嫌いではないのですが。
ダブルサンダーでカミキリムシを打ち破るも、ブレドランに苦戦するゴセイジャーだが、新たにミスティックブラザーとしてダチョウが召喚され、ブレドラン、轢かれる。ダチョウは更に卵シュートでカミキリムシを一撃粉砕し、巨大化後は左肩にダチョウハリケーンを搭載したミスティックゴセイグレートの卵大旋風で天罰執行。
地球、強い。
前回究極多頭合体したと思ったら、即座に新ギミック(今回はボディ付き)が追加されましたが、メッセージ性を持った天装術訓練の部分と、クライマックスのダチョウ召喚の間に物語の連動性が全くなく、脚本家陣の物語とギミックを繋げる気の無さが、あまりに露骨で恐怖を感じるレベル(^^;
プロデューサーのオーダーもあるでしょうから、誰に一番やる気が無いのかわかりませんが、半ば抗議のハンストに見えるのですが。
その辺りはもう今作では諦めるとして、冒頭、カードをその辺りに置いて失くすアラタ、それを怒るエリ(自堕落キャラだったのでは?)、と相変わらずキャラの描写が安定せず、せめてその辺りはもう少し統一してほしい所です。
その癖、オチではモネが全員分のコーヒーを淹れて「ハイドにもちゃんとあるよ」(2話ではアグリにしか持ってこなかった)って、そこは拾うのか(笑)
何故か、EDがカラオケに戻る。


◆epic14「最強タッグ誕生!」◆ (監督:竹本昇 脚本:大和屋暁
OPに色々追加。そして、宇宙昆虫軍団の助っ人に稲田怪人が登場!
後先考えずに全ての食材を使って膨大な量のシチューを作ってしまったモネをハイドが子供扱いし、反発したモネは遂にハイドを「おっさん」呼ばわり。ただでさえぼっちなので、もう少し優しくしてあげてください……。
「いやしかしこれは……俺もちょっと作りすぎだと思うぞぉ」
アグリが! 友情を! 優先した!!
そんな所に稲田声の異次元カブトムシ星人が登場し、青と黄はカブトムシの操る空間の歪みに呑み込まれ、黒も一撃でやられてしまう。
冷静に状況を分析して事態の変化を待とうとするハイドと、とにかく行動派のモネは閉じ込められた真っ白空間の中でも対立するが、我武者羅にモネが壁を殴り続ける事で、ハイドが空間の隙間を発見。2人は協力して脱出に成功し、連係攻撃で強敵カブトムシをも撃破するのであった。
「子供のくせに、なかなかやるな」
「おっさんもね」
2人の息が合いすぎて、お兄さん、動揺する。
モネはこのまま、「走るだけで考えない」突貫系ヒロインの座に落ち着きそうでしょうか。
序盤はアラタもそういう傾向があったのですが、どちらかというと、他人の心の機微に敏感な部分を目立たせてバランサー系レッドになっていきそうな気配。アラタもアラタで物語都合で前傾姿勢の角度が変わりがちなので、バランサー系レッドで行くなら行くで腰を据えて描いてほしい所でありますが。
カブトムシがパニッシュされ、蛾様、怒りのハイパー化。それを物陰から思惑ありげに見つめるむっつりすけべ……てあれ?! まさかの乗っ取り展開?! ブレドランはあまり虫虫していないけど、とりあえず名前覚えやすいからいいか、と流していたのですが、今回のカブトムシと比べると、クワガタ、なのか……?(角が)


◆epic15「カウントダウン! 地球の命」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:横手美智子
見所は、早々と地球滅亡を受け入れる少年達。
この世界の人類は、良い方向にも悪い方向にも、割り切りが早い。
蛾様が地球に大規模な宣戦布告を行い、地球全土の酸素が減少。更にウォースターの母艦を惑星爆弾として地球に直撃させ、地球上の生命を根こそぎ滅ぼそうとする。
割と平然と、博士の横でデータスと話したりしているのですが、それでいいのか。……同一人物疑惑は完全に消えましたが(笑) まあ博士、望遠鏡覗いている時は周囲の事は何も聞こえないのかもしれませんけど。
巨大化した蛾様と落下してくるウオースター母艦にゴセイグレートとデータスが立ち向かい、データスの頭にダチョウウィングがついて、大変な事に。
これは、笑ってしまったので私の負け(笑)
ハイパー化した蛾様に追い詰められるゴセイグレートだったが、究極多頭合身ヘッダー乱舞により蛾様を撃破。て、蛾様死んだーーーーーー?!
ブレドランもUFOごと吹き飛んだーーーーー?!
……なるほど、悪の組織の抱える必然的なへたれ化という抜本的問題を解決する為に、悪の組織の賞味期限は約1クールであるという事にしたのか。
30話超えた辺りで大ボスを倒したと思ったら真の支配者が、みたいなのは結構ありますし、遠く過去に遡れば、ファントム軍団→デスパー軍団、ゲドン→ガランダー帝国、のような大幅な入れ替わりの例も幾つかありますが、改めて00年代にそれを意識的にやろう、というのはなかなか挑戦的。
ただ、「地球の大ピンチ」とか「絆の力」とか、積み重ねがあってこそ成立するクライマックス展開を、それほど積み重ねていないまま、表向きのデコレーションだけ持ってきて行っている為、話は正直滑り気味。
30話ぐらい蓄積があって成立する展開を、15話でやろうとしてしまっており、15話分のクライマックスなら15話なりのクライマックスをもう少し考えて組み立てて欲しかった所です。
いきなり最終盤みたいなクライマックスを敢えて持ってきたかったのはわかるのですが、主人公達がそのいきなりクライマックスに対応できるほど成長していたように思えず、主人公達の成長曲線と、物語の盛り上げ所の持って行き方にズレがあって、うまく効果を発揮できませんでした。
逆に、ゴセイジャーがとにかくやたら強い戦隊、とかだったら対応可能で納得いくのですが、実際は見習い天使の成長を描きたいようですし、そういった物語中の「主人公達に対する壁」と、「それを乗り越える事を受け手に納得させる為の積み重ね」が、どうも今作はうまく噛み合っておりません(^^;
かくしてウオースター首脳部は円盤ごと吹っ飛び、大規模記憶消去により、人々はこの事件を忘れてしまう。……博士の扱いがぞんざいだったのは、後でまとめて記憶消すつもりだったからか(笑)
「あのさ……天使って居ると思う?」
ラスト、1人だけ記憶の残っている望の級友達へのこの台詞と、見上げた空に舞う天使の羽根、のシーンは良かった。
ただ望少年、クラス内ヒエラルキー低そうなので、電波発言は慎重にな!