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『鳥人戦隊ジェットマン』感想30

◆第42話「おれの胸で眠れ!」◆ (監督:蓑輪雅夫 脚本:井上敏樹
トランザ、新型ロボット・G2を造る……が、ポンコツだった。
やだトランザくん、あんなポンコツメカ造ってはずかしーみたいに笑われた腹いせに、トランザは物陰で盗み見していたラディゲ達を攻撃。
「役立たずのネズミどもが! せめてジェットマンに傷の一つでも負わせてこい!」
「言われるまでもない」
グレイは出撃し、ぽんこつG2は戦闘員の訓練用に払い下げられる事に。
(いずれ無敵の巨大ロボを造ってやる……)
と、幾分唐突なトランザのロボット製作は、対ジェットマンの計画の為だった、と伏線。
その頃、凱は香からテーブルマナーのレッスンを受けていたが、途中で嫌になって席を立ち上がる。
「香! 確かに俺はおまえに惚れている! だがな……俺を飼い慣らそうとするのはやめてくれ!」
香が自分を「香の男」という鋳型にはめようとしていると感じて凱は苛立ち、香と凱、2人の愛し方の違いが微妙な亀裂を浮かび上がらせる中、グレイが2人を強襲。マリアも参戦して凱と香を追撃する最中、グレイは戦闘員の玩具にされてバイラム本拠から逃亡してきたG2に助けを求められ、自分の回路の一部を渡して修復をする。
マリアに追い詰められる凱と香だが、そこへ竜達が駆けつけ、戦いはグレイ&マリアvsジェットマンへ。激しい戦いの中、流れ弾を浴びたマリアが崖から落ち、グレイはそれを助けて貫禄のお姫様抱っこ。雨が降り出す中、グレイを慕うようになったG2がその前に姿を見せる。
「連れていって。一緒に、連れていって」
「失せろ! お前に用は無い」
片言喋りのG2を冷たく突き放したグレイは、雨を避ける為、付近の洞窟にマリアを運び込む。……バイラム本拠に帰らないのは、嫌な上司と性格の悪い同僚が居るからです!
「また……借りが出来たな、グレイ……。私に出来る事があったら言ってくれ」
「もう一度、おまえの音楽が聞きたい」
野草の葉を手に取ったマリアは草笛を吹き、耳を澄ますグレイ、洞穴の外からそれを見つめるG2だが、負傷から発熱したマリアは朦朧とした意識でうなされる。
「寒い……」
「……マリア」
「……冷たい……!」
弱ったマリアを思わず抱きしめてしまうグレイだが、冷たい機械のボディはマリアの体温を奪うばかりで振り払われてしまい、そこへマリアを探し求めてやってくる竜。
「リエを殺す気か?! リエは人間なんだ。お前達とは違うんだ!」
「……マリアはお前に預ける。だがマリアの体が治り次第、必ず奪い返す」
意識を失い、寒さに震えるマリアが無意識に竜に手を伸ばすのを見てショックを受け、その場を引き下がるグレイ。雨の中、外を歩くグレイに付きまとうG2は覗き見して覚えた草笛を吹いてみせるが、それはかえってグレイの怒りを買う。
「同じロボットとして一度だけおまえを助けた。ただそれだけの事。おまえに用は無い」
「グレイ……グレイ!」
「マリア……俺の体では、おまえを暖めてやる事はできない。…………マリア……!」
「ま……りあ……マリア」
…………えー……先程からどうにも感想というより状況の羅列になってしまっていますが、今回、この、キャラクターの出入りが核なので、後々の資料的な要素も含めますと、そのまま書いておくしかないというか(^^;
幾つかの場面で、登場人物が入れ替わり立ち替わりするという、演劇的な構成になっていて、普通にTVドラマのストーリーラインとして見るとちょくちょくツッコミ所があるのですが、今エピソードに関しては、舞台の一幕だと思って見るのが良いのかと思います。実際、グレイとマリアが潜む洞穴を竜が見つける辺りのシーンは、恐らく意図的に舞台演劇っぽい演出になっていますし(敢えて左右の広がりを造らずに空間を限定して見せている)。
闇の中で雨に打たれる2体のロボットから場面は転じて、洞穴の中、マリアの為に薪を燃やして暖を取る竜。
(目が覚めたら、きっと、昔のリエに戻ってる……そうだろう?)
−−−しばらく、いちゃいちゃ回想をお楽しみ下さい−−−
だが、竜が追加の薪を探して外へ出た隙に忍び込んできたG2が、グレイの為にマリアを背負って連れ出してしまう。
「マリア、マリア……グレイが、待ってる」
夜が明け、よろよろとマリアを運ぶG2.
「グレイが……待ってる……グレイが……待ってる……」
だがその時、突然の落石! (ここだけは何とかならなかったのか、と思う所でありますが、オペラにおける、「突然の銃の暴発!」みたいな感じなのかこれは)
G2はマリアを守るも、自身は岩に弾かれて崖下に落下。目を覚ましたマリアはリエを探していた竜と遭遇し、そこにグレイがやってくるが、ジェットマンも集合し、戦闘再開。
男の勝負に負けた昨夜の出来事による精神的ショックを引きずっているのか、動きの鈍いグレイはジェットマンの猛攻に苦しみ、遂にファイヤーバズーカの照準がその身を捉える
「グレイーー!」
が、グレイを求めて崖を這い上っていたG2が咄嗟に放ったビームがファイヤーバズーカの銃口を逸らし、派手に吹っ飛ぶも致命傷を避けたグレイは、何とかマリアと撤退。だが、G2は射撃の反動で転落、爆発の衝撃で再び発生した落石の下敷きになってしまうのだった……。
「俺は戦士……自分の足で歩く」
損傷し足を引きずりながらもマリアの助力を拒むグレイの姿には、建前としての戦士のプライドに、ロボットの冷たい体に対する悲しみが交わり、渋く切ない。
そして――誰からも無用な存在と扱われたロボット・G2は、最後の力で手を伸ばし、草笛のメロディを響かせる。
そのメロディをBGMに、よろよろと撤退するグレイとマリア……場面変わると、結局マリアがグレイに肩を貸しているのが、グレイの抱いている揺らぎとして味わい深く、そしてグレイは微かに聞こえてきた気がする音に足を止める。
「……ん?」
「どうした、グレイ」
「…………風か……」
結局、G2の思いはグレイに全く届かないまま、風に流れて消え去っていく、というこれが、実にいい。
「ぐ……れ……い……」
そしてG2は限界に達し、機能停止――大爆発。
エピソードの最初と最後をG2の起動と停止の主観映像で繋げつつ、爆発の炎一面のカットに「つづく」を乗せるという、今作、蓑輪監督けっこう攻めてきます。
単純な美しさでいえば、G2が機能停止して葉っぱを落とす所までにしておいた方が叙情的とも思えるのですが、そこできっちり爆発をさせてG2に再生の余地のないけじめをつけ、その上でそのままぶった切って終わる、というのは凶悪で凄い。
今回の怪人にあたるG2はヒーローと一切接触しない、戦闘はいずれも敵の主観で終了、と基本的な文法を幾つか破りつつ、濃縮された物語の詰まった逸品。

竜のリエへの想い
グレイのマリアへの想い
G2のグレイへの想い

全てがすれ違って相手に伝わる事なく錯綜したまま、一つのエピソードを成立させてしまうという、井上敏樹の真骨頂ともいえる一本。蓑輪監督も脚本を良く汲み、グレイはG2に一片の情けはかけたけどそれ以上の感情は無い、G2の最後の攻撃で自分が助かった事をグレイは知らないまま、と、ちょっとでもずらすと簡単に“いい話”になってしまう所を、徹底的に“いい話”にしない事を貫いた、スタッフの判断もお見事。
加えて、トランザの隠れた目的、凱と香の関係、竜とリエ、グレイとマリア、と細かな伏線も進めて全体としては物語が統一されており、定番の文法から外れつつもテクニカルにまとまっています。
安定したヒロイン度に緩みのないマリアですが、今回マリア主観だと、いきなり流れ弾で吹っ飛ばされる→洞穴で気絶→気が付いたら道端に転がっていてレッドホークに追いかけられる、と被害者ぶりも見事(笑)
マリアは改めて、ある程度ヒロインとして納得のいく美人度+どことなく幸薄そうな雰囲気+それでいてSっぽい高笑いもはまると、当たりのキャスティング。今作の大きな加点となっています。
マリア(リエ)が当たりなだけに、一方の香の説得力がどうも薄いですが(^^;