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『重甲ビーファイター』感想12

◆第13話「危うし重甲基地」◆ (監督:坂本太郎 脚本:宮下隼一)
ジャマールの一番最初の攻撃で両親を失った少年、という際どい所を突いたゲストキャラが登場。
「だからって、甘やかしていい事にはならないさ。それに……優しいだけじゃ、俺達ビーファイターのリーダーは務まらないぜ」
新しい生活環境や学校に馴染めず、寂しさから拓也達に悪戯を繰り返す少年に対し、怒る大作と優しく接する拓也。
既に直情径行キャラとして固まりつつある大作(強面)と対比する事で、にこにこ拓也の相手の事情を慮る優しさ、というのがすんなり話に馴染みつつ、それを「甘さ」と見る大作の不満も嫌な感じにならずに収まりました。
少年の「ビートマシンに乗りたい」という無茶な頼みにはさすがに言葉を濁す拓也だが、その頃、パトロール中のビーファイターに尾行を繰り返していたジャマールでは、3幹部が新たな作戦をプレゼンしていた。
「あのビーファイターの本拠地を壊滅する、一大プロジェクト〜」
戦隊における台詞の分担と同じ手法なわけですが、流れるようなコンビネーションで3人揃って作戦を説明する姿は、改めて凄く仲良し(笑)
陽動作戦としてジャマール要塞が突入してダムに攻撃を仕掛け、ビートマシン出撃。しばらく使い回しのメカ戦闘の後、逃げ遅れた職員を助けたブルービートだが、戦闘員の十字砲火を浴びて倒れ、戦闘メカ・ガガミラーの体内に閉じ込められてその姿をコピーされてしまう。
ジャマール要塞は撤退し、拓也の姿となった鏡怪人は重甲基地への帰還をしきりに促すが、「木の治療があるから」と大作にすげなく回避されてしまう(笑) だがしかし、こんな時の為に尾行により念入りに情報を集めていた鏡怪人は、悪戯少年を用いて搦め手からアースアカデミアへ潜入する事に成功。
「見事だ、シュバルツ」
先日笑われた事は水に流し、同僚の巧妙な作戦成功を讃えるギガロ……ホントに仲いいな君達。
「ねえ、なんかおかしくない、拓也?」
「知るか。学者なんて元々おかしな連中だよ」
「自分だって学者みたいなもんじゃない」
このやり取りも面白く、宮下さんもようやくノってきた感じ。……そして、大作の学者属性が(本人以外に)忘れられていなくて本当に良かった!
悪い表情をしつつもやっぱり地が笑顔なのが地味に怖さを増す鏡拓也は、少年をけしかけてアースアカデミアから重甲基地への入り口を発見し、ビートマシン破壊工作の為にその本性を現す。
「僕が拓也さんに甘えたばっかりに……僕のせいでビーファイターがやられちゃうんだ」
少年はこの後、鏡怪人のビーム発射を体当たりで妨害し、若干の時間稼ぎに成功。ゲストキャラを拾って変化を描くというのは基本中の基本ですが、とにかく前作では吹っ飛ばされまくっていたのに対し、地に足の付けた作劇をやり直そう、という意識が見えます。
偽拓也が花瓶の花を踏みつけた事に麗が決定的な違和感を覚え、駆けつけた大作と麗が変身するが、体内の拓也を人質に取る鏡怪人。
「俺に構うな。俺ごと攻撃しろ!」
「そんな……」
「しかし……」
「迷うな。俺達の命は、地球上全ての命を守る為にこそある。たとえ誰かが倒れても、最後の一人まで、戦って、戦って、戦い抜く。それがビーファイターだ! 撃てぇ!!」
だから怖いよ。
前回、外部から“やる気”を強制補充された甲斐拓也ですが、はたしてこれは、拓也の意志なのか、それとも、昆虫魂なのか。或いは、甲斐拓也という人格に昆虫魂が融合した、甲斐拓也’なのか。
拓也の脳を解剖すると、中から昆虫がうじゃうじゃとぎゃーーー。
まあ、会って5秒で巨大昆虫に順応など、拓也がキマりまくっているのは最初からであり、そもそもビーコマンダーに選ばれたのもその昆虫魂との同調率の高さを買われてではありましょうが、今作におけるヒーロー観は、兵士一人の犠牲で五百の敵を屠れれば重畳とか、10万人を捕虜にさせればむしろ我が軍の勝利みたいで怖すぎます(実際、ここで拓也がリタイアしたら、ビーコマンダーは新しい適格者を探すのでしょうし)。
80年代ほどあっけらかんと展開できない90年代の過渡期のヒーロー像として、英雄的正義の背景を補強する為に、人の心と昆虫魂との同調、という要素を取り込んだアイデアは良かったと思うのですが、昆虫魂の体質が捨て身すぎで“一人の英雄というより全体主義の生んだ偶像”に近づいている気がして、なんだかとてもヤバい作品なのではないか『ビーファイター』。
もしかしたら、『特捜ロボジャンパーソン』とは逆の方向から、ヒーローとは何か? を抉ろうとしているのかもしれません。
「拓也……」
「言ってくれるぜ。ただ優しいだけじゃない。自分の命さえ投げ出す覚悟と強さがあいつにはある。さすがは俺達のリーダーだ」
甲斐拓也=普段ニコニコしているけどキレると危ない奴みたいな扱いに(笑)
拓也の覚悟を聞いてインプットマグナムを手にした緑と赤は、超音波ビームで鏡の表面だけ割る事に成功し、拓也復活。3人揃ったビーファイターは、鮮やかなスティンガーコンボで鏡怪人を撃破し、重甲基地の危機は辛くも回避されるのであった。
ジャマールでは、失敗したシュバルツに対してガオーム様が初めてのお仕置き。ジャマールサイドの描写に関しては、演出にお任せしている部分が大きそう。
優しいお兄さんだけではない拓也の覚悟、ビーファイターの命がけの戦いを目の当たりにした少年は前向きに生きていく事を約束するが、大作にしっかり悪戯。そんな大作に拓也が手を伸ばし、改めて手を繋ぐヒーロー達、でオチ。
最後、麗が間に入って手を繋いだ3人が歩いていくというのは、ちょっとした子供っぽさを入れる事で今作の爽やかな仲間意識を明るく描いて、良いカットでした。
実質初といっていい拓也メイン回。個性を付加するというよりは、これまでの要素を踏まえつつ、ヤバさを強調(笑) にこやかで心優しく自然を愛する男なのに、常に<正気度>がギリギリという、甲斐拓也’はいったいどこまで走って行けるのか。
昆虫の声に身を委ねるんだ!