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『重甲ビーファイター』感想19

◆第21話「極悪昆虫タッグ」◆ (監督:坂本太郎 脚本:扇澤延男)
3幹部はブラックビートに嫉妬の炎を燃やし、ギガロは虫の力を持つ合成獣カマザキラーを作り出す。昆虫の繁殖能力も備えたカマザキラー量産計画をプレゼンしてブラック黒の鼻をあかそうとするギガロだが、だったら量産した怪人をブラックの部下に回してやれよ、と社長命令で嫌々共同戦線を張る羽目に。
地球へ降り立ったカマザキラーは、卵管を射し込んで次々と人間の体に卵を産み付け、これがなかなかグロい。
「卵を産み付けてやったのさ、この私のな」
緑と赤もインセクトアーマーを貫かれて卵を産み付けられてしまい、幼虫が苗床にした人体を引き裂いて誕生するまで10時間――という、かなりエグい展開。
お腹が膨らむ描写も入り、大作はともかく、麗にはかなりのトラウマ案件では(^^;
「俺はいいさ! けど……同じように苦しんでいる人達はどうするんだよ。試してみてくれよ先生! 俺のこの体使ってさ。切り開いても何しても構わねえから、実験台にして、卵取り出す方法見つけだしてくれよ!」
現代医学では卵の摘出は不可能、と告げられた大作は自ら犠牲になろうとするが、医者は首を縦には振らない。
一方ジャマールでは、ブラックがギガロに「カマザキラーをしばらく、監禁しろ」と耳打ちし、母カマキリが死ぬと、生命エネルギーで繋がったその卵が一瞬で全滅する、と敵サイドの会話で説明。
「今は待つのだ。あの2匹が息絶えるのを。な、ギガロ」
いっけん知性で合理的な判断を勧めたかのように見えたブラックビートだったが……
ジースタッグ、レッドル、そしてカマザキラー。これで邪魔者は全て封じた」
それはあくまでブルービートの始末にこだわる個人的な目的の為であり、密かに再出撃したブラックはブルーを呼び出して一騎打ち。現地からの中継映像で謀られたと知ったギガロはカマキリと共に地球へ向かい、拓也が一人で出撃した事に気付いた身重の大作も乱入して一気に混線模様に。
「なんで黙って行ったんだブルービート。俺も麗も、最後の一瞬まで、ビーファイターなんだぜ!」
大作の台詞は格好いいのですが、この辺りはどうにも都合の為の都合の展開になってしまって、もう一つ上手くまとまりませんでした。それぞれの欲望しか頭にないから破滅する悪、という構図ではあるのですが、緑と赤を倒して怪人の量産に成功すれば十分に大手柄なのに、慌ててカマキリと一緒に出撃するギガロがさすがに頭悪すぎますし(^^;
「この世に2人は要らない。貴様が消え、この俺が残ればいいのだ!」
「どういう意味だ、それは……?」
ブラックビートに追い詰められるブルービートだったが、激痛に苛まれながらもレッドルが新装備を手に到着し、ブルービートは新たなスティンガーウェポン:スティンガードリルを装着。
円錐一つではなく、2段式になっているのが格好いいドリルは、一撃でブラックのアーマーを切り裂き、そのままの突撃技・ストライクブラストで、カマキリの外骨格を突き破って撃破。これにより生み付けられた卵は消滅し、量産カマキリ大作戦は失敗に終わるのであった。
ジャマールではメガオーム様にお叱りを受けるギガロが、ブラックビートの抜け駆けが悪いと言い訳するが、当のブラックはそれを鼻で笑い飛ばす。
「手柄? ふん、そんな物どうでもいい」
「なに? どうでもいい?」
「地位や名誉も、勿論、手下なども無用!」
「なんだと?」
「奴を、ブルービートをこの世から消せる機会さえあればいいんだ、俺には」
「なぜにそれほど、ブルービートにこだわる?」
「貴様はいったい?」
「何者なのだ?」
「だから――ブラックビートさ」
この台詞が滅茶苦茶格好良かったのですが、ブラック全体の言行は、協調性ゼロ過ぎてとても困った感じに。
なお前回のジャグール抹殺に関してはメガオーム様からは全く言及なし。フリーダムな活動にも一切注意せずに好き放題させていますが、実力を評価されているのか、それとも何か思惑があるのやら。アンチビーファイター存在としては、その役割さえ果たしてくれれば問題ない、という事なのかもしれませんが、幹部としては凄く駄目ですよこの人(笑)
ビーファイター側でも「なんか俺、あいつに特別絡まれるような事したっけ??」と拓也が首をひねって3人の疑念が募り、今回の一連の台詞からすると、ブラックビートはまさしく、ブルービート/甲斐拓也の“影”なのか? と、名称含めて両者の因縁は良い感じに深まってきました。前回不満を述べた「ブラックビート」という名前が、ラストの台詞に繋がったのは、お見事。
ただエピソードとしては、中盤以降どんどんテンポが悪くなってしまい、出産のタイムリミットが迫る中、拓也と博士はアカデミアで手をこまねいていただけにしか見えなかったり、全体的にもう一つ。予告の内容からすると、制作事情が色々厳しかった影響もあったのかなとは思われますが……。
次回――残念ながら麗降板になってしまうようで、新キャラクター登場。


◆第22話「ヒロイン初体験」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:宮下隼一)
OPにドリルとナイフ追加。レッドルは新メンバー鷹取舞に入れ替え。
「なんですって?! 麗が!」
「アースアカデミアの南米支部に、転任?」
「動物学者としての実績と、ビーファイターの経験を、買われたんだ」
ビーファイターを、経験資格扱いで転任させるな(笑)


突然のお別れです。ごめんなさい。
迷いました。でも、向井博士とグルに勧められて、決心しました。
これも地球に生きる命の為の、大切な仕事です。
さよならは言いません。寂しすぎますから。
平和が戻ったら、笑顔で再会を。
それまで、拓也、大作、元気で頑張って下さい。


羽山麗
しかもいつのまにか、グルに勧められてる……!
向井博士は、絶滅を心配される動物の研究などで〜と言っていますが、これ、やはり、前回のカマキリ怪人出産直前事件が重いトラウマになって心に深い傷を負ってしまったのでは。
その為の転地療養だと考えると、2人に一切相談なく、顔を合わせもせずに姿を消す事に納得できるのですが(^^;
「実はな、その南米支部から、麗と入れ替わりに、頼もしい味方がやってくるんだ」
「しかし麗は、インセクトアーマーに選ばれた、ビーファイターなんです」
「どんなに頼もしい奴だろうが、重甲は勿論、麗の代わりには、レッドルにはなれやしませんよ」
「いや〜……人間じゃ、ないんだ」
当然の反論に対し、頼もしい味方とは、南米支部でグルと共同研究した新兵器・昆虫ナイフと、ヘラクレスオオカブトメカだと説明。
博士としては急な欠員から気を紛らす為に洒落たつもりだったのかもしれませんが、麗の代わりはメカって、残された男2人の不審を煽るだけのような。
「我が敵の鼓動が聞こえる……。目覚めよ、シュバルツ」
ジャマールでは、頭に変なチューブを付けられていたシュバルツが、これまでよりも若干真剣みのあるトーンになって出撃し、新兵器を運ぶ輸送機を空中で待ち受ける、という絵は面白かったです。
「笹の葉爆弾」
は意味わかりませんでしたが、この後の諸々を見ると放映が七夕の季節だった模様。
ここで、野山をハイキングする少女――鷹取舞(19)が登場し、歌を唄ったり、兎と戯れたりと、麗との差別化として、可愛らしい系をアピール。……麗も当初、イルカと戯れていたような記憶が無いでも無いですが、あれは、軍事用の訓練だったから(待て)
「流れ星? あたしの彦星だったりして。願い事しちゃお」
シュバルツに撃墜された輸送機から地上へ落ちた光を目にした舞は、不思議な繭にくるまれた落下物を発見してアースアカデミアへと持ち込むが、ジャマール戦闘機部隊が街を攻撃し、拓也と大作はその迎撃へ。
「きついぜ、空からレッドジャイロの援護が無いと」
うんホント、誰だよ現場に相談しないで勝手に転任させたの!
「レッドルなしで、何とか撃退する事はできたが……」
「これから先、いったい……」
レッドルを戦死させての交代劇にしなかったのはスタッフの配慮ではあるのでしょうが、ここはもう少し、上手く転がせなかったものか(^^;
向井博士とグルが、物凄く無能な上司化(或いは、深刻なトラウマを負った麗を守る為に、泥をかぶったのか)。
シュバルツが地球の竹を参考にして作った新兵器バンブレラを用いて青と緑を苦戦させ、強化改造の印象付け。なお、ジェラは異次元に武者修行と傭兵集めに、ギガロも異次元に新たな合成獣の素材集めにと、3幹部それぞれのバージョンアップの説明と前振り。
それを快く思わないブラックビートは
「なにゆえガオーム様は役立たずどもをお見捨てにならん。ビーファイター抹殺は、俺一人で十分だ」
との事ですが、それは多分、前回あなたが、実質的に会社の業績には興味がない宣言をしたからだと思います!
ブラックも参戦してビーファイターは一時撤退し、舞が拾ってきた繭(パルセイバー入り)をこじ開けられなくて困っている博士の下にはグルが登場。輸送機が墜落した際に、パルセイバーに篭められた昆虫魂が自らを守る為に一種のバリアを作り出したのだと説明する。
そこに舞がしれっとお茶を持って入ってきて、ビーコマンダーの反応を感じるグル。
「うっそ、あたしが?! あたしがビーファイター?」
……グルを平然と受け入れるのが、戦士の資格なのか?!(笑)
街ではビーファイターを呼ぼうとブラックが破壊活動を行い、そこに傘で飛んでくるシュバルツ。
「ブラックビート〜、抜け駆けかーっ!」
「目的は一つ、ブルービートの首。我が戦いに、ルールなどない!」
独自の美学を持たない代わりに、独自の目的にしか興味が無いと判明したブラックビートですが、格好いい声と台詞回しで、凄く駄目な内容を力強く口にするので、反応に困ります。
「面白い! それならこっちもそうするまでだ」
シュバルツは傘を用いてブラックビートを攻撃し、なんと拘束。
「偉大なるガオーム様の使命を果たすのは、このシュバルツだ〜!」
出世欲がベースにあるとはいえ、なんだかんだ高い3幹部のジャマールへの忠誠心と、独自路線を突き進むブラックビートの行動理念の対比が強くなっており、これは今後の布石になりそう。
シュバルツの破壊活動の中継映像が入り、巻き込まれそうになった犬の姿を見て駆け出す事で動物好きをアピールした舞は、犬を救おうとシュバルツに角材投げ。
「もう許さない、あたしが相手よ、ジャマール! ――重甲!!」
拓也、大作に続いて舞も重甲を決め、今ここに新レッドルが誕生する!
3人のビーファイターが揃った事でパルセイバーを包んでいた繭が消え、パルセイバーは自らビーファイターの元へ。見た目てかてかしたナイフなのですが、ヘラクレスオオカブトの力が篭もっているという事で、横から見るとカブトムシの姿を象っているのがちょっと面白い。
パルセイバーを手にするも、バンブレラに苦しむビーファイター。だがその脳裏に、グルの声が響く。
ビーファイターよ……パルセイバーのパワーは、戦士達の声と心に反応して、増幅される。怒れ! そして叫べ!」
つまり
許さねえ! 貴様等絶対に、許さねぇ!
てーててってててれてれてれてっててれ てーててってててれてれてれてっててれ!
お願いだからもうやめて、そのフレーズ(笑)
今回疑惑が急浮上しましたが、初登場時から激しく謎な存在の老師グルはもしかして、多元世界におけるゴールドプラチナムの姿の一つなのでは(そういえば、いつも金色の光になって現れる……)。そう、ゴールドプラチナムは、いずれ多元世界を襲う黙示録戦争に勝利する為に、様々な次元世界の戦士達を導き集めてる存在なんだよ!!
(……拓也、ハイパー拓也……)
……えー、気を取り直しまして(というか、宮下さんはわざとやってるんですか?!)
「「「パルセイバー!!!」」」
新装備を構えたビーファイターは、竹を割って反撃開始。そこへ戒めを脱したブラックが乱入してくるが、インプットマグナムとパルセイバーを組み合わせたセイバーマグナムの溜め撃ちが直撃し、だいぶ痛そうに撤退。
「ブルービート、首は預けたぞ」
新装備ラッシュの濁流に呑み込まれ、物凄い勢いで流れ星が燃え尽きそうになっていますが、大丈夫かブラックビート。
「逃げたか……」
「だいじょぶだいじょぶ、正義は勝つ! 次はぜーったいやっつけちゃうから。いこいこ」
シュバルツも引き下がり、新レッドルの軽いノリに戸惑いながらも、引きずられていく男2人。
「よくやった。これで、新しいビーファイターの誕生だ」
「そっか。あたしの彦星は……ビーファイターだったんだ」
ここを繋げてきたのは、上手かった。
かくして新メンバーを加えたビーファイターは七夕の短冊に願いを込め、そこへグルから「メガヘラクレスは生きているぞ」という報せがもたらされる。輸送機と共に消滅したと思われた新型ビートマシンはいったいどこへ……と、更なる強化展開の布石を置いて、つづく。
諸事情あっての麗降板・舞登場編でしたが、はからずも今作における、ビーファイターというヒーローの代替え可能な性質が浮き彫りに。前回は大作の、どうせ死ぬなら俺の腹をかっさばいて治療の為の実験台に使ってくれ、という叫びがありましたが、あれも、たとえ大作は死んでもジースタッグは死なず、その執念は新たな昆虫戦士に引き継がれる……というビーファイター×昆虫魂の思想性が背景にあると考えると、なかなかに恐ろしい。
舞の加入もさして劇的な出来事が無いまま、「ちょうど手頃な素材がやってきた」というノリで昆虫魂に取り込まれてしまうのが、いっけん軽くて明るい今作の裏側に潜む、血まみれの暗い澱みを感じさせます。
新キャラ舞は、麗を継承するのではなく、思い切ってガラリと変えてきましたが、果たしてこれが吉と出るか凶と出るか。次回、二代目レッドルに待ち受ける苦難、どんな肉付けをしていくのか、楽しみです。