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『ビーファイターカブト』感想8

◆第11話「涙の海を越えて撃て」◆ (監督:金田治 脚本:宮下隼一)
見所は、ミニバンに正面から轢かれて倉庫の壁に叩きつけられるデズル。
石油コンビナートから次々と石油が消失するという事件を調査していたビーファイターは、現場で目撃した謎の女を追い詰めるが、女の正体はコスモアカデミアシドニー支部の構成員にして、健吾の幼なじみ・エリカ。
シドニー支部からの協力要請の件が現場にうまく伝わっていないのですが……無能博士のせいでは。
エリカが追っていたのは、シドニー支部で研究されていた特殊なバクテリア・イーター。石油などを瞬く間に分解する性質を持つイーターは、使い方次第で環境保護に大きな役割を果たす事を期待されていたのだが、メルザードによってそのサンプルを奪われてしまっていたのである。
「我が子シーラガンザは、生きた化石シーラカンスに、人間どもがイーターと呼ぶバクテリアを取り込み、誕生した」
……そのレトリックはありなんですかマザー!
まあ、厳密に言うとシーラカンス目の中で、絶滅した科と現生種が存在しているわけなので、これまでの絶滅モグラや絶滅ネズミもそういう理屈ではあるのでしょうが……持続しにくそうな怪人コンセプトではあったものの、1クールの内にここまで崩壊するとはさすがに思いませんでした(笑)
石油を分解して食い尽くしてしまう凶悪な怪物と化したシーラガンザに立ち向かうビーファイターだが、シーラガンザの体内に取り込まれているイーターの確保に強くこだわるエリカは、独自に誘導電波を使用。シーラガンザの身柄を抑えようとするが、その電波が超重甲の解除信号と同じだった事から、3人の変身が解けてしまう。戦闘機部隊を放って一時撤退したデズル達もこれに気付き、シーラガンザを囮にして故意に誘導電波を使用させると、超重甲できないビーファイターに襲いかかる……!
物語のポイントとしては、「変身不能で大ピンチ」であり、その状況を招く原因に「エリカの背景」を持ってきているのですが、幼い頃の健吾とエリカの交流は回想シーンで尺取ったのに、肝心のエリカの事情(環境保護活動中の両親の死)は博士の雑な説明で済まされてしまう為に、エリカの事情に極めて共感しにくく、そんなエリカの事情を酌んで、命がけで配慮する健吾までなんだかなぁという感じに。
その為、変身不による生身アクションも、“生身アクションを見せたい都合で話を引っかき回している”ように見えてしまい、本末転倒で盛り上がりに欠けてしまいました。
トドメに、エリカがシーラガンザにぐさっと刺され、怒りの健吾が超重甲して怪人をフィニッシュした後、体内から飛び出したイーターをコールドビームで確保してしまい、イーターを入手する為にシーラガンザを生きたまま捕まえようとした事で現場が混迷、という今回の展開全てが茶番だった事になってしまい、大惨事 on 大惨事。
宮下さん名義で鈴木康之が書いたのではないかと疑念を抱くレベル。
本来なら両者の間を取り持って作戦を調整すべき上官が無能だった為に、あたら若い命を散らせる事になってしまいました。
挙げ句、健吾がエリカの亡骸をお姫様だっこして海を見つめ、そこにバラードが流れるという無理矢理感傷的なシーンに、博士が「若者よ、泣くがいい。だが、希望を捨てるな。希望がある限り……」と俯瞰視点のナレーションでまとめてしまい、博士の人間味の薄さが青天井。
小山内博士、“科学者として踏み外している”のではなく、“人間として壊れている”のですが、意図して外道を働いているのではなく、自分の傍観が引き起こした事態に一切の痛痒を感じないという生き物で、人間として大事な部分が、誰かに売却されてしまっているようです。
まあ、ナレーションはナレーションであり、劇中の小山内博士とは別人である、と受け止めた方が良いのかもですが、本当にこれは大失敗だったと思います(^^;
エリカの行く末を露骨に見せてしまった酷い次回予告に始まり、エリカというキャラクターの見せ方が雑な為に、ゲストの事情を知ったビーファイターが敢えて生身で戦う、という形も成立せず、まとわりの悪いエピソードでしたが、良かった点を挙げると、Aパートの内に物語上の意味を持たせてネオビートマシンを出した事。これはここまでの問題点を一つ修正してきました。
にしても、イーターはどう考えても環境保護の切り札どころか国際紛争の火種になりかなねい、具体的にはあらゆる国家に対して脅迫材料に使えるという抗核バクテリアばりのヤバいブツで、科学は簡単に暴走するし過ぎた力は身を滅ぼすしつまり本当の怪獣は人間なんですよ?!
そう、全ては新帝国ビートルの為に!!
次回――魔空空間回?


◆第12話「謎?!化石の夢幻迷宮」◆ (監督:金田治 脚本:鷺山京子)
ビーファイターを倒す為、悪夢の迷宮を作り出すサボテン怪人が生み出され、健吾と甲平が次々と迷宮送りにされてしまう。
フルネームから学校まで100%割れている上に、甲平がゲスト少年の前では躊躇無く変身する為、甲平の“秘密のビーファイター活動”の線引きがますます地雷に(^^;
むやみやたらと正体をバラさない方が確かに無難であり、しかしいざという時には躊躇しない今回の方が自然なわけですが、“敵に素性が割れていても基本的に身の回りに直接攻撃はされない”という部分は旧来のお約束で処理されているのに、“多少身近に正体がバレてもそれで騒ぎにならない”というお約束の方は曖昧な扱いになっている為、甲平メイン回とそれ以外の回でリアリティラインがズレてしまっており、見ていて凄く不安定で落ち着きません。
たまたま怪人の素体となった化石の一部を持っていた事から、サボテンの迷宮に入り込めるようになった少年ヒロシは、2人を助ける為に蘭と一緒に迷宮に乗り込む事に。迷宮で合流する4人だが脱出前に化石の欠片を壊されてしまい、荒法師軍団に追い詰められてしまう。
「君、ヒーローになりたいって言ったよね? なれるんだよ。誰だってヒーローになれるんだ。どんな時でも、絶対に希望を捨てない人間を、ヒーローって言うんだよ」
少年を励ます蘭の台詞そのものは良く、子供達へのメッセージとしても成立しているのですが、蘭がこの台詞に至る流れが綺麗に組めていない為に、もう一つ盛り上がりに欠けてしまったのは残念。予算やスケジュールの都合なのか、太秦?を舞台にした悪夢の迷宮も、不条理展開としては物足りない出来。
最終的に、勇気を奮い起こした少年が、迷宮の要であるサボテンマークを破壊して、迷宮の脱出に成功。
「ザボデーラ! どんな悪意も朝の光に敗れるように、希望こそが悪を打ち砕くのよ! この地球は、ビーファイターが守ってみせる!」
左手で怪人の武器攻撃を受け止め、右手のアイアンクローで顔面を握り潰す、というのは凄くビーファイターぽかったです(笑)
次回、小山内博士メイン回? 果たして博士の株は多少なりとも上がるのか、それともどん底まで堕ちるのか。