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『宇宙戦隊キュウレンジャー』感想・第7話

◆Space.7「誕生日をとりもどせ!」◆ (監督:加藤弘之 脚本:毛利亘宏)
 革命の為には、囮作戦に本人の許可など不要!
 他人の誕生日を奪い取る代官を懲らしめる為、たまたま誕生日だったバランスが生け贄に捧げられる事に。「誕生日」について理解できなかったナーガは、説明を受けて誰よりもバランスを守ろうと代官に立ち向かうが、そこにイカとタコが乱入。1000以上の惑星を2人で制圧してきたショーグン直属のエージェントに対し、ショウ司令は逃げの一手を指示するが、乱戦の中で銀をかばった金が代官に誕生日を奪われてしまう。何とかオリオン号に逃げ戻るも、バランスの為に用意した誕生日の飾りやプレゼントが次々と消滅。誕生日を楽しみにしていたバランスは深い精神ダメージから机の下で丸くなってしまう……。
 「誕生日ってのは、主役が嬉しくなるだけの日じゃない。祝う人間も、すっげえ嬉しい日なんだ。生まれてきてくれてありがとう。俺と出会ってくれて、ありがとうってな!」
 子供向け番組としてのわかりやすさと見ても、バランスがやたらに誕生日にはしゃいでいる姿がどうも話に入りにくかったのですが、誕生日を失った「哀しみ」を理解できないナーガに対して、その意味を語るラッキーの言葉がとても良かったです。
 「……俺も、バランスの誕生日を祝いたい」
 それにまつわる感情を理解できないまでも、ナーガがバランスとの出会いに感謝している、と繋がったのも秀逸。
 「誕生日を取り返そう! 子供達と、バランスの為に!」
 改めて作戦を立てたキュウレンジャーは、代官ビルへの侵入作戦を開始。赤と橙は警備を引きつける囮になれ! 緑は内部に忍び込んでファンを停止せよ! 銀はそれによって確保されたルートから地下に突入だ! 黒はそれを地上でサポート! 桃は全体の情報を整理! 余った青と黄は……きらっとひらめいた!
 改めて実施予定の金の誕生日の為に、キラキラルを込めてスイーツを作成せよ!
 順調に進行するかと思われた作戦だが、突然、代官ビル前にスペースイカデビル(とにかくCV:関智一をあてておくメソッド)が出現。
 「は? ショッカー? 悪いけど、今忙しいから」
 直球の本音がこぼれた!
 これに対してイカデビルもギャグで返す為にぐだぐださが増してしまう投げやりな展開から、キュータマで召喚されるエグゼイド。最初は獅子レッドに殴りかかろうとしたり、よくわからない状況を深く確認しないまま言われるがままイカデビルに襲いかかったりして危ない。すっかり本編ご無沙汰なのですが、普段なら躊躇せず秒速レベルアップするエグゼイドが、獅子レッドの腕がたまたまベルトに引っかかるという演出でレベルアップしたのは、何か本編と関係する意図だったのでしょうか(封印しているとかでなければ、特にラッキーの強運発動にもならないわけで)。
 獅子レッドとエグゼイドは一斉攻撃でイカデビルを撃破し、年々雑になっていく春映画合わせのコラボ要素ですが、もう、エム先生、変身解除しなくて良かったのではレベル。よくわからない世界に呼び出されてよくわからない男にからまれ、よくわからないまま帰っていくというエム先生の姿に、初めて同情の念を覚えました(笑)
 物語は平常運行に戻り、エグゼイドの助力で橙が緑の援護に向かって潜入作戦は成功し、地下に潜む代官の前にすたっと着地する銀。
 「探すは銀河の一等星、神出鬼没の盗人家業、怪盗BN団、の片割れのナーガ・レイ」
 訥々とした喋りとピースが欠けて寂しいステップながらも、ナーガがバランスの為にバランスの教えてくれた名乗りを決め、まさに怪盗として奪われた誕生日を盗んでいく、というのは、潜入シチュエーションが綺麗に締まって良かったです。銀は鮮やかに誕生日を取り戻して解放し、精神ダメージから回復したバランスも復活。
 誕生日を祝ってもらえないぐらいで出撃不能なほど落ち込んでいたバランスですが、周囲の人間が「おめでとう」という言葉さえ口に出来なくなったり、お祝いの言葉が自然崩壊したり、時間と空間を超越した能力の作用の仕方を見るに、発動条件が極めて限定される代わりに、「誕生日を祝ってもらえないショックで行動不能」という所まで設定された、極めて強力な概念系攻撃だと思われます。
 「俺はおまえに勝って、バランスの誕生日を絶対に祝う!」
 赤金銀緑橙は、悪代官と直接対峙し、キュウレンジャーへと変身。
 人数が多いので毎回色々なパターンで見せていくようですが、「宇宙戦隊・キュウレンジャー!」のところで、金が一回転しながら低い体勢で前に滑り込む揃い踏みは、今作ここまででベスト。
 これまで戦闘は悪くもないけど良くもない、という印象でしたが、銀→金→緑→赤&橙の連続攻撃が鮮やかに繋がり、中でも赤&橙のシンクロ攻撃は格好良く、主題歌投入もはまって、今回の戦闘は非常に良かったです。これは前回のダンスを踏まえて、キュウレンジャー全体の連携レベルが上がったという表現でもあるのか……? 戦隊のバトルはやはり連係の見せ方が鍵なので、今後組み合わせでの見せ方なども期待。
 巨大化した代官は金銀の変形攻撃でモアイ基地ごと葬り去り、オリオン号に帰って改めてバランスの誕生祝い。プレゼントに送られたナーガの“笑顔”は、みんなで特訓したという発言から見るに、“心からの笑顔”ではなく“作り笑顔”のようですが、それでいいのか!(笑) まあバランスが相棒の成長に喜んでいるので、良いかという事で。
 最後にバランスの年齢が300歳と判明し、節目の誕生日という事ではしゃぎぶりにまあ納得できる理由付け。ナーガの対比としてのバランスの喜怒哀楽の落差を強調するという意味でも、オチに使うよりは、先に示してくれた方が説得力と共感要素が上がったとは思いますが(オチとして凄く面白いというわけでもなく)。
 映画合わせのコラボ回という事で全然期待しないで見たら、(コラボ部分を除くと)シナリオとしてのまとまりは今までで一番良かったかも(笑) コラボ部分の尺がディテールの詰め(代官ビルの情報入手など)に使われていたら、ここまででベストの出来だったのでは。
 デッキコストの問題で出撃できない2人はスイーツ作りな! とか、さらっとスティンガーの事を受け入れていて誰もチャンプの気持ちに配慮する様子が無いとか、今後改善していってほしい点はありますが、「誕生日」という主題を一方通行のものではないと描く事で、ナーガの抱える感情という問題と繋げたのは秀逸でした。
 金銀コンビというよりほぼナーガ回でしたが、プラスに変えていく課題が明確なので、ナーガ回は話の基本構造が組みやすそう。
 次回――
 「だけど僕は、腹ぺこの人を放っておけないんだ! みんなおいしく調理してあげるよ!」
 ……と続けると、全員ぎったぎったにしてやるよ!みたいですね!
 予告の時点で既に司令に全て持って行かれそうですが、これで司令においしくいただかれると、スパーダは完全に司令の被害者だなぁ……。