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『宇宙戦隊キュウレンジャー』感想・第26話

◆Space.26「闇の戦士、ヘビツカイメタル」◆ (監督:柴崎貴行 脚本:毛利亘宏)
 「俺は……みんなの足手まといだ」
 惑星トキで記憶から何も具現化されなかった事から、感情の無い自分には心も無いのではと思い悩むナーガは、上の空で足を引っ張ってしまい、戦闘を離脱。
 「あいつを使って、キュウレンジャーをバラバラにするの。あきゃきゃきゃきゃきゃ!」
 落ち込むナーガに新たな副将軍の視線が突き刺さり、サソリ兄弟編→ツルギ編を経てのキュータマジン誕生を持って、「仲間」の大切さを確認し、結束を強めたキュウレンジャーに亀裂が! という全体構想なのでしょうが……これは繰り返しになってしまいますが、第21話において「仲間」テーマを説得力ある形で描けなかった為に、以後全ての土台となる前提条件が成立していない状態になってしまっています。
 その為、ストーリーの大枠としてやりたい事は何となく理解できるのだけどその内実がともなっておらず、実物を見ずに机上の構想だけで物語が展開してしまっており、改めて第21話(とそこに至る物語の流れ)は、深すぎる傷でした。
 例えるなら、牛肉の代わりに牛乳、ニンジンの代わりにキャベジン、カレー粉の代わりにうどん粉が入っているけど、「レシピの順番通りに作ったからこれはビーフカレーの筈だ!」と言って、誰も味見していない、みたいな。
 上の具材は極端にしても、思っていたカレーの味わいを表現できていないなら、途中でスパイスに工夫するとか、手を加えて違う創作料理にするとかあるわけですが、素材も調理法も失敗しているのにレシピだけかたくなに守っているから、どんどんメニューと実物が乖離している気がします。
 冒頭の戦いでバーゲンセール気味にキュータマジンを出してでも、そこから外されるナーガを描いた意図はわかりますが、そもそもキュータマジンが12人の団結の象徴になっていないので、下ごしらえの時点で理想の味を表現できる状態になっていないという事に、そろそろシェフが気付いてくれると良いのですが。
 オリオン号に時計キュータマを組み込むタイムマシン改造と、過去世界での行動計画が練り上げられ、過去へ行くという大がかりな作戦の前に、皆に息抜きを勧める司令。
 「キタコレ! じゃあさ、みんなで、バーベキューでもしない?!」
 いや、君らさ……。
 今回、現在地がどことは明言されていないので地球ではない可能性はありますが、ここまでの話の作りからは、どことは明言されていないなら地球だと考えるのが自然で、そうすると、なぜ地球に戻ってきているのか? 宇宙幕府重点支配区域である地球でバーベキューしている場合なのか? と特大の疑問符が頭上を飛び回ります。
 既にアルゴ船の封印が解かれた以上、地球の重要性は失われているのかもしれませんが、それならオリオン号が地球に戻ってくる必要性が限りなく薄く、現時点の重要度はともかくまだ地球にモアイ基地と代官が残っているならば(少なくともアバンタイトルで双方と交戦・撃破している)、「キタコレ!」はあまりにおちゃらけ
 もはや、プラネジウムが枯渇すると惑星が消し飛ぶ、という設定が忘れ去られているような気がするのですが、キュウレンジャーの目的とはいったい何なのか。
 無論、戦士にも休息は必要ですし、大きな作戦の前に英気を養うというのは理解できますが、先日否定したばかりの、大事の前に小事を切り捨てるを地で行っており、あまりにもタイミングが最悪。
 せめて躊躇うメンバーを司令が押し切る(司令はそういうポジションなので)とかなら良かったのですが、ほぼ全員が大喜びで飛びついてしまい、作品コンセプトの放り投げっぷりに目眩がしてきます。全くそんな事を描く余裕が無いのでしょうが、これだけ雁首揃えていて、訳ありのナーガを除いて誰一人、バーベキューに否定的な反応を示さない光景はもはやちょっと異様。
 以前にも触れましたが、現状のキュウレンジャーは「個性」を圧殺して「仲間」を語る集団になってしまっており、それはこんな環境に居たらナーガが感情を手に入れられる筈もない、と大変皮肉の効いた地獄絵図に。
 或いはここは地球ではなく惑星トキ近傍で、冒頭の戦闘で幕府の支配から解放した(背景で一般市民もバーベキューしていますし)という解釈もできますが、そんな描写はまるでありませんし、更に強引に踏み込めば、アバンで撃破したのが地球最後のモアイ基地だったのかもしれませんが、それならさすがに相応の反応が必要で、どうして今作はこう、「悪の組織に支配された大宇宙」という舞台設定のディテールにこだわりが薄いのか(^^;
 このバーベキュー自体は(ハミィへの好感度を除くと)致命傷というほどではないのですが、ディテールの描写不足が延々と積み重なって現状があるだけに気になりますし、気になるから物語を素直に楽しみづらくなるという悪循環。
 自分自身への落胆と戦力になれていない事を気に病むナーガは「俺はいい……バランスを手伝う」とオリオン号に残ろうとするが、当のバランスに促されてバーベキューを参加する事に。
 バランスは居残り前提という衝撃のやり取りで、ナーガが陰に篭もっているというよりも、誰一人バランスを気に懸けない人でなしの集団(ナーガ以外)に見えるのですが、「仲間」とはいったい……。
 約一名オリオン号で自主的に残業しているけど、私たちは気分転換にぱーっとやるぞ、て鬼か。
 地上でそんな鬼畜どもとバーベキューをしながらも当然浮かない様子のナーガに声をかけるスパーダ、そしてハミィ。
 「バランスにくっつきすぎ!」
 ……すぎ?
 個人的には、ナーガとバランスはもっとぐいぐいコンビで使ってくれた方が面白いのにぐらいの感触だったのですが、物語的にはそういう事である模様。オリオン号でのやり取りを踏まえ、みんなとバーベキューよりもバランスと居残ろうとした事について、親離れが必要、みたいなニュアンスを含んでいるのかもしれませんが、むしろ、人の心が足りていないのはあなた方なのでは。
 何も出てこなかった事についてナーガが悩むのと同じぐらい、ネッシー怪人が出てきた事についてハミィは深刻に悩んだ方がいいのでは。あとガルとラッキーも、死んだ母親が出てきた小太郎と引き比べて、自分たちが何を見たのかについて真剣に自己分析した方がいいのでは。
 真心とは何か、が問われるバーベキュー会場に、スクールアイドル副将軍・アキャンバーが闖入。一般市民の喜怒哀楽の感情を暴走させたアキャンバーは、ナーガに内に秘めた感情の解放を持ちかけて姿を消し、そういえば蛇遣い座系の種族は、争いをなくす為に自ら感情を封印したとか初期に言っていたよーな。
 思いもかけぬスクールアイドルからの新バンドへの引き抜きに動揺するナーガを、何故かハミィが慰留しようとするが、「俺だって作詞作曲したりベースを弾いてみたりしたいんだ……!」とナーガはついにグループを脱退。
 アイドル副将軍のライブ活動により街で騒ぎが起こった事からキュウレンジャーは二手に分かれ、ナーガを見つけるラッキー達だが、説得むなしくナーガは事務所移籍の契約書に判を押してしまう……!
 ラッキーやハミィが次々と声をかけるもナーガには届かないのですが、絆レベルが低いだけに見えてしまうのが凄く困ります。
 そしてここで、バランスが居合わせたけどその選択ミスからナーガの孤独感が深まってしまって……などとするのではなく、ナーガ脱退の為に最初からバランスを物語から除外してしまうというのが、今回の、といわず今作の凄く駄目なところ。
 この場にバランスが居た上でナーガが道を誤ってこそ、ナーガの抱える問題の深刻さが引き立ち、それがバランスにも反響し、ひいては周囲の「仲間」達との新たな関係性に発展していくのですが、楽に話を作る為に最初からバランスを除外してしまうので、そういった枝葉の広がり、根の土壌など、綺麗な花を咲かせる為に必要な養分が、ばっさり除去されてしまっています。
 この、物語の連動性に関する意識の薄さ、それに基づく楽に楽にの作劇、というのが今作の根にある問題点の1つで、そこで手を抜いたら綺麗な花が咲くわけがなく、庭園は荒れるがまま、というのが今陥っている状況でないかと。
 「俺は、感情を取り戻す。誰にも邪魔はさせない。アキャンバーについていく!」
 「あきゃきゃきゃ、これでコンビ成立よ」
 ラブメタル音波を受けたナーガは、闇の貴公子・ヘビメタナーガに新生。
 「あきゃ? 気分はいかがかしら?」
 「楽しいな……は、楽しいなぁぁっ!! ふはははははは……っ。ハッキリとわかる。俺の中に感情がある。最高の気分だ」
 昼は真面目な大学生、夜はライブハウスでビジュアル系バンドやってます、みたいな姿になり黒く染まったキュータマとセイザブラスターを用いたナーガは、ダークチェンジにより、胴体に蛇の瞳が輝き、紫のマフラーをなびかせた、ヘビツカイシルバー改め、ヘビツカイメタルへと変身。……ナーガが、というより、キュータマが、アイドルに負けた!
 ヘビメタナーガになった時点で救世主の刺客を失う(キュータマが機能しなくなる)のなら納得できたのですが、キュータマが一緒になって闇に染まってしまうのは、キュータマの精神力不足なのか、フクショーグンがそれだけ強いのか、ラブライブの力なのか。
 メタルはヘビメタビームなどの凄まじい攻撃でラッキー達を蹴散らすとアキャンバーと共に姿を消し、残されたキュウレンジャーは親衛隊代官ズを蹴散らすも、ナーガの行方は杳として知れなくなってしまうのであった……。
 「バランス……無理をするな」
 ナーガの身に起こった変事を知らされながらも強がってみせるバランスを気遣う司令は、ナーガが姿を消した際に時計キュータマの組み込みを優先する為にバランスにその事を伝えなかったのですが、司令はそういうどす黒い人だったとしても、バランスは司令の鼻に練り辛子を突っ込むぐらいはしてもいいと思います。
 「ナーガは……ナーガは絶対にボクが取り戻す」
 かくしてキュウレンジャーは、ナーガ救出組〔赤・金・緑・青・空〕と、タイムトラベル組〔龍・剣・黄・桃・橙・黒〕の二手に分かれるのであった!
 というわけで3クール目にして、いつかやるだろうと思われたパーティ2分割展開になりましたが、最初に大口叩いた以降ろくにナーガと絡んでいないラッキー、出番確保の為にアプローチをかけるもやはりろくに絡んでいないハミィ、会話を交わした記憶さえほとんどない小太郎、ラッキーと同じパーティに入りたかっただけのガル、と、居残りメンバーはバランスを除くと既に大事故の予感でドラムロールが鳴り響くレベル。
 捏造回想シーンが思い出を領空侵犯しないといいなぁ……。
 そうでなくともナーガの抱えているテーマって、1年かけて少しずつ描いていくようなものだと思うので、ナーガ回以外ではほとんど顧みず、突然の急展開に凄く不安。
 なお、最後に映った星図で現在地が地球と判明したのですが、キュウレンジャーは本当にここで何をしているのでしょうか……。スコルピオ撃破後の地球の状況に一切触れずに曖昧にしたまま、なんとなく地球を拠点にしているのがまるっきり製作の都合でしかなく、最低限の理由付けは欲しい所です。