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『仮面ライダー555』感想18

(※サブタイトルは存在しない為、筆者が勝手につけています。あしからずご了承下さい)
◆第29話「ラッキー琢磨ショー」◆ (監督:田村直己 脚本:井上敏樹
「へぇ……気持ちいいんだね、ベルトの力って」
既に河童によりダメージを受けていたとはいえ、デルタ崎は、ファイズとカイザを一方的に蹂躙。そういえばデルタの白と黒は合わせると灰色になるのか、と今になって気付いてみるのですが、空を見上げながら両手を広げる仕草や、鼻で笑いながら軽く手を打ち合わせる姿が、凄く嫌らしくて堂々たる悪役ぶり。
「弱い弱い」
ファイズとカイザが追い詰められたのを見て、傷ついたプライドを癒やす最後のチャンスとばかり、ムチを伸ばして思わず横から手を出してしまったムカデに対する、デルタの視線がーーーーー!
だがカイザの首を鞭で絞めたムカデは、逆に引きずり寄せられて羽交い締めにされてしまう(笑)
「動くな! 仲間がどうなってもいいのか?!」
「いいよ、べ つに」
北崎さん早かった。
カイザはカイザでさらっとムカデを人質にしているのですが、本郷先輩も約30年前に、「動けば仲間の命はない!!」ってやったから、大丈夫☆
「手を出すなと言ったでしょ。わからない人だなぁ」
デルタはムカデごとまとめてデルタ銃で撃ちまくると、ファイズとカイザを無視して、ムカデにお仕置き(笑) その間にファイカイはそそくさと逃げ出し、大活躍だぞ琢磨!!
現状どう足掻いても勝てそうにない強敵を見せつけつつ主人公達を生存させる、という話の都合が大きいのに、琢磨のキャラが一切ブレていないのが凄い(笑)
川落ち、万能目くらまし、強敵が余裕で見逃す、強敵が腹痛(頭痛)で早退、強敵はしかし頭が悪かった、その時不思議な事が起こった、など過去さまざまな脱出パターンがありますが、キャラクターが良い形に活きている、という点で非常にスマートな事例の一つと思われます。
変身を解除した北崎は琢磨を見下ろしながら満足げな笑みを浮かべ、ありがとう琢磨、君の勇姿をTVの前の皆は忘れない!!
琢磨逸郎の偉大な犠牲により九死に一生を得た巧と草加は真理に沙耶の死を伝え、啓太郎もこれを知ってしまう。……ところで沙耶、よくよく考えてみると、巧に近づく為に猫舌を装っていた結構な策士だったのでは。
一方、余裕のラッキークローバーは、冴子さんが出勤時間になったのでバーで一休み。
「北崎くんは、オリーブ抜きのマティーニよ」
「どうぞ飲んで下さい。僕のおごりです」
「いつもありがとう」
北崎から受け取ったグラスを冴子が飲み干すとグラスはその手の中で灰となり、北崎は触ると灰になる杯をどうしているのかと思ったら、洒落たやり取り。
それを見ながら、ポエムを辿る指先も震えてぷるぷるしている琢磨。
「結構面白かったんじゃないかな。琢磨くんが余計な事をしなければ、もっと面白かったんだけどなー」
キャラクターというのは、組み合わせによる化学反応で一気に面白くなる事が多々ありますが、琢磨と絡む事で北崎がぐっと良くなり、琢磨が本当に大活躍。
前回は、退屈な世界に飽き飽きとして本物の感情を持てずにいるといった描写だった北崎は、今回はどちらかといえば無邪気な子供の残酷さを抱えた人物として描かれているのですが、これは監督によるキャラクター解釈の違いか。或いは、デルタギアの影響が、北崎にも出ている、のかもしれませんが。
片隅で無言の澤田はきっと、変な所に就職してしまった……と思っている。
北崎は「ベルトは一本あれば充分だよ」と、ベルトを集めてほしいという社長の意向を無視して、裏切り者のオルフェノクに興味の矛先を向け、誰が最初に木場勇治を倒せるか、勝負をしようと持ちかける。
勇治の名前を聞いた澤田が手の中の折り紙を握り潰すという反応を見せているのは、勇治について何か個人的に思う所があったりするのかしないのか。
「面白いわね。それで……何を賭けるの?」
「勝った人がさ、みんなにしっぺできるっていうのはどう?」
「し……しっぺぇ……?!」
悲鳴を呑み込んで狼狽する琢磨の反応は面白かったのですが、マーブル模様の背景で、北崎にしっぺされて灰になる光景を思い描いて心中で絶叫する、というのは演出としてやり過ぎた感じ。
屋上で体育座りを始めた琢磨は、冴子に慰められて膝枕。
「もう、馬鹿ね。無理しちゃって」
冴子にあやされて幼児化する琢磨であったが、BGMが不穏(笑)
冴子さんは当初、妖艶系女幹部(的ポジション)としては色々と微妙だなぁと思っていたのですが、とにかく根幹に外面的なポーズも含めて「大人の女の余裕」があって、それがハッキリしてからは演技や演出の方向性もしっかりと定まってだいぶ面白くなってきました。敵サイドでありながら、負けたと思うまで負けではない、という主人公的鋼のメンタルの持ち主なのも、いい味になっています。
社長は澤田に同窓会で何があったのかを質問し、怯えた様子を見せた草加について「奴は……失敗作だからな」と思わせぶりに呟いた澤田は、その後、レディより高級ペントハウスにご招待。
折り紙を燃やしながら、「俺はもう……人間じゃない」と自らに言い聞かせるように呟くのであった……。
沙耶の死を引きずる啓太郎が仕事を休んで奥に引っ込み、クリーニング店は大混雑。呑気に通りがかった勇治は成り行きで取りなし、いつも以上に雑な態度の巧に「良かったら話を聞くけど」と毎度ながらの適当ぶりを発揮。
「……おまえオルフェノクの事をどう思う?」
「……あ、どうって聞かれても……俺にはよくわからないっていうか」
「ああ、そうだろうな」
適当に「話を聞く」と言う方も言う方だけど、持ち出す方の話題も話題で気まずい空気が流れる中、啓太郎には強がってみせるも沙耶の死への憤りに心を塗りつぶされていく巧。
「でも俺は奴等をぶっ潰したいと思ってる。一人残らず。そんな気持ちがなんかしんないけど俺をイライラさせんだよ」
この前のシーンで、沙耶の問いかけを思い起こした巧が真理に向けて
「あん時は答えてやる事が出来なかった。でもその答が見つかりそうだ。俺はオルフェノクをぶっ潰す。一人残らず!」
と宣言するのですが、何も考えずに敵だと思っていた方が楽、というのはむしろ問いかけに対して向かい合う事への放棄といえ、激情に呑み込まれた巧が危うい方向へ進み、文字通りに死者に引きずられているのが不穏。
そこに帰宅した真理と、目を覚ました啓太郎が出てきて、勇治を発見。客として訪れた結花と海堂も巻き込んで、皆でスイカを食べながら突然始まる、対オルフェノク意識調査円卓会議(笑)
オルフェノクの中にも人間の心があると思う人は手をあげて、という勇治の議題に真理と勇治は賛意を示し、勇治に足を叩かれて手をあげる海堂。後からおずおずと手をあげた結花は、巧から小声で「そりゃおまえはそうだろうさ」とツッコまれ、緊張感と脱力感が入り交じって、妙に面白い事に。
半ばギャグシーンではあるのですが、オルフェノクを一人残らずぶっ潰す宣言した当の巧が人の優しさを持った結花の存在を認めており、巧自身が自己の発言への矛盾を抱えている、というのがその苛立ちの根幹にあると思われ、仕込みが実に巧妙です。
多少はその自覚があるのか話題を変えた巧は海堂にファイズ変身について正面からツッコみ、地獄の窯の蓋に手をかけるが、そもそもファイズについて何を知っているのかとカウンターを食らい、それぞれ表沙汰にしたくない事情を抱える人々は、皆沈黙。
ぎこちない空気の中、黙々と酢昆布を消費するマシーンと化している海堂@廃人、顔中種まみれにしてスイカをむさぼり食い続ける啓太郎@駄目人間、とりあえず勇治と同席できてにこやかな真理@乙女、とそれぞれの描き分けだけでも面白く、集団での会話シーンを、キャラクターショーとして成立させられるのは、今作の強みです。
「ちゅうか、楽じゃねえな。オルフェノクのくせに人間の心を持ってるちゅうのも」
帰路の3人組がラムネを買おうとすると売店のおじさんが灰になり、現れる澤田。
「悪いけど……命貰うよ、木場勇治」
河童と馬鶴蛇がぶつかり合い、相変わらず、モノトーンのオルフェノクが4体入り乱れると非常にわかりづらいのですが、鶴と蛇は川に投げ落とされてあっさりとリタイア。
乱入してきたムカデの攻撃を利用して逃亡に成功する勇治だったが、続けて冴子が登場。
「坊や。あなたは誰にも渡さない。たっぷりと可愛がってあげる」
第2ラウンドは馬とエビの戦いとなり、配達途中の巧がこれを目撃。うまい具合に木陰に隠れてエビの姿が見えず、馬が一方的に誰かを襲っていると考えた巧は激情の赴くままファイズへと変身。ちょうどエビを蹴散らした、勇治にとっては不運なタイミングでファイズが猛然と馬に襲いかかり、ファイズをスマートブレインの殺し屋だと思い込んでいる馬も、怒りの反撃。
両者の感情が爆発し、まるで拳のように激しく剣を叩きつけ合う、剣戟だけど殴り合いという良い殺陣に、挿入歌(「The People with no name」)もはまり、非常に格好いい戦闘になりました。
だが死闘が白熱するその時、壁をぶちやぶって現れるデルタビークル
「ふっふはっは……やあ」
いかにも実力勝負みたいに賭けを持ちかけておいて、自分だけマシン持ち出したぞ!
未来のレースマシン的な外観のデルタビークルから放たれたミサイルでファイズと馬はまとめて吹き飛ばされ、変身解除。
――遂に巧と勇治は、互いの正体を知る。
「君は……」
「……おまえは?!」
デルタが一瞬で空気になる衝撃の展開、と思ったら
「バイバイ。短い付き合いだったけど、楽しかったよ。ありが とう」
生身の2人に続けて迫り来るデルタミサイル、という手綱を緩めない衝撃に継ぐ衝撃の連続で、つづく。
デルタ崎の脅威に琢磨大活躍を化合してラッキークローバーを掘り下げ、巧の苛立ちという重い展開を円卓会議で一度緩めた後に、盛り上がるクライマックスバトルから怒濤の展開で、いや今回、面白かったです。
普通にやるとデルタビークルお披露目で終わってしまいそうな所に、それ以上のインパクト――今作最大級の出来事を強気で合わせ、更にデルタ追い打ち、とサービス満点。石田監督3連投で仕込んだ、デルタ−澤田−北崎という要素に、ここまでじっくり煮込んできた巧と勇治を絡めて、見事な逸品でした。
完全にファイズvs馬を導く為の予備動作になってしまったエビの扱いは可哀想でしたが、冴子さんは打たれるほど強くなるから大丈夫!
後は円卓会議に出席させにくい都合もあってか草加が後半消えてしまったのが惜しいと言えば惜しいですが、予告の感じでは次回、草加と澤田の激突が見られそうで、期待したい。
果たして、廃人と駄目人間の最っ低コンビは、新たな明日を掴む事ができるのか?!(あれ) もういっそ、琢磨を加えて、最っ低ブラザーズとして再出発してくれても構いません。