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『ビーファイターカブト』感想31

◆第45話「BFビーファイター! 歴史に挑戦」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:扇澤延男)
前作において、事あるごとに愛用の高枝切り鋏を磨いていたライバルキャラ・ブラックビートを彷彿とさせる姿で、左手のサソリクローを研ぐデスコーピオン。
(無敵のこの俺が居ながら……マザーよ、闇の波動の戦士などになぜ頼る)
記憶捏造レベルで語られる、驚愕の自己認識。
サソリは自ら出撃を申請し、マザーから最後のチャンスを与えられる。
「どのような作戦で行く?」
「人質を取るか?」
「或いは罠を仕掛けるか?」
「小細工は一切使わん!」
「「「なに?!」」」
サソリが横に歩きながらのやり取りが、劇中ほぼ初めて、ビークラッシャーが4人居る事が活かされた会話で、扇澤さんがさすが巧い。
「俺は戦士。真っ向勝負。お前達の手も不要!」
……人格は完全に上書きインストールされていますが…………もしかして、海の底に葬り去った筈の黒い戦士の思い出に取り憑かれたのか。
(実は、邪甲コマンダーが海底に捨てられたのと、メルザードが海底から復活したのが何か繋がるのかとずっと思っていたのですが、ここまで全く気配なし……)
その頃、甲平は受験勉強で歴史年表の暗記に大苦戦中。フリオが中心的役割を担うアンデス文明展のポスターを目にした所で、予告からは謎だったサブタイトルが入り、アンデス文明に挑戦するのか、ビーファイター
基地では暗記に苦しむ甲平を微笑ましく見つめながら、健吾が蘭とフリオの関係をつつき、すっかり桃色の世界へ旅立っていた(笑)
「うるさい。大学落ちたらおまえらのせいだからな」
脳内に一足早い春が来ている二人にムッとする甲平はですが、正直、コスモアカデミアの圧力で関係のある大学に推薦枠で入っても許されるとは思います。
「もー、覚えたの全部忘れた」
「甲平、最初から、うろ覚えだったんだろ」
少々ナーバスになっている甲平と、それをニヤニヤ笑うタチの悪いエリート達の姿がコミカルに描かれ、敵味方ともにここまでの会話劇は、久々に扇澤×三ツ村らしい切れ味。
メルザードが街に攻撃を仕掛け、挑戦状を叩きつけてくるサソリの元へと向かうBF。敵が一人である事に罠を警戒する甲平たちだが、サソリは悠然と正面から挑んでくる。
「ふっふっふ、そんな姑息な手は使わん。力と技で、貴様等を葬る」
技、が入っているのはなかなか珍しい気がします(笑)
サソリは宣言通りに、鋏を避雷針のように用いてサンダービームを跳ね返すテクニカルな戦いを見せ、クワガーとテントウ、あっという間にリタイア。BLACK BEET.! BLACK BEET.! と背後から挿入歌が聞こえそうな状態になっているサソリは一騎打ちでもカブトンを追い詰め、この数話、ヒーローが如何に「カブテリオース!!」におんぶにだっこだったのかが、まざまざと浮かび上がります。
メルザードではマザーがサソリの戦いぶりを讃え、蘭はフリオに救援要請。カブトンに死の一撃が迫るその時、横から不意打ちでホタルボンバーが炸裂する!
ビーファイター、ゲンジ!」
正義の辞書に、姑息という二文字は存在しないのだ!!
サソリが堂々とした戦いにこだわる為にひどくドライに見えるBFの対応ですが、ゲンジはやはりデザイン的に格好いいのでおいしい。
横槍をまともに浴びてサソリが撤退すると、
「残念だったな」
「命を賭けてもが、聞いて呆れるわ」
「はっはっはっはっはっは」
そこでは、某バイラムばりの罵倒が待っていた。
「無理だったな、真っ向勝負では」
BC残り3人は改めて罠を仕掛け、サソリにも協力を持ちかけてくるが、サソリはそれを拒否。
「俺たちは、ビークラッシャーは、なんとしても勝たねばならんのだ。誇りなんかじゃやっていけねぇんだよ」
「例え勝てようとも、誇りを捨てたら、もはや戦士ではない」
完全に、前回お休みしている間に脳改造手術を受けたレベルですが、稲田徹さんの声が好きなので、許す……!(え) 本来なら、出した直後に一人ずつ色分けしていくべきだったBCを、この土壇場で誇り高きサソリと策を弄するその他3名に色分けしているのはかなり苦し紛れですが、後回しにしていた負債の精算が次々と襲いかかります。
状況考えるとむしろムカデの発言内容の方が正しいので、サソリが孤高の誇りに酔っているのがそれはそれで壊れているというのも、どこか皮肉。
「甲平、過去があるから、未来の方向も決まるんだ」
その頃、過去の歴史を有り難がる気持ちがわからないとこぼした甲平は、歴史の教訓についてエリート3人から説教を受けていた。
「なるほど。つまり、やっぱり俺たちは、命賭けてでも絶対メルザードに勝たなきゃ、て事なんだ」
「「は?」」
「なに?」
歴史を学ぶ事の大切さを納得した甲平の発想の飛躍に、戸惑う3人。
「だってさ、昔、ビーファイターってのがいて、すっげぇ強敵のメルザードってのを、みごと倒しました、て教科書で読んだら、勇気わくもんな、未来の子供達」
「おまえ……歴史の教科書に載るつもり?」
どこか白ける健吾ですが、ビーファイターは世界的な公認ヒーローですし今作の世界観ではそこまで馬鹿馬鹿しい妄想でもない、というのを活かして、「現実の歴史に学ぶ教訓」と「ヒーロー物が子供達に与える影響」をメタに重ね合わせる、という大胆な仕掛け。
「そうですよ! 載りますよ! 必ず」
そこに甲平を探してやってきた、甲平ファン(何かのきっかけでカブトンの正体を知ったらしく冒頭でサインを貰って喜んでいる)の少年達が強く賛同。
「自分の命賭けて、敵に突っ込んでくなんて、絶対、格好いいもん!」
「まあな」
未来の子供達が読む教科書=新帝国ビートルの教科書。
「甲平、歴史に残るのはいい。でも、残り方が問題なんだ」
「どうして?!」
「だって、歴史に残れば、未来の子供達の心にも、大きな影響を与えるかもしれな」
危うげな方向へ走ろうとする甲平に忠告しようとするフリオだが、展覧会の荷物を積んだトラックが怪物の襲撃を受けたという報告がもたらされる。トラックの荷物を人質代わりとしたBCの罠により、レーザーで撃たれ、地雷を踏んだ4人は超重甲。時限爆弾を仕掛けられていたトラックとその積み荷をなんとか回収する4人だが、それぞれ大きなダメージを受けた所に満を持して襲いかかるムカデ・カマキリ・ハチ。
「仕掛けた罠で弱らせ……その上で潰しにかかる。こんな形で倒したかったのではない」
それを見つめてブツブツ非難するサソリ……一番最初に4対3で襲いかかった事実は、100%忘れている模様です。
すっかり黒い魂に憑依されているサソリは、「誰にも邪魔はさせん。おまえは俺の獲物だ」とムカデがカブトンをいたぶるのに割って入って形式だけ一対一を整えると、その首に鋏をかける。寸前で至近距離から腹部にトンボウガンを向けるカブトンだったが、サソリはいざとなれば諸共に玉砕するつもりで、自爆装置をベルトに身につけていた! 引き金を引けば確実にサソリを葬り去れるが、アーマーが爆発に耐えきれる保証はない……
「吹っ飛ばしてやるぜ。賭けてやるぜ俺の命」
「撃ってはいけない! どんな時も、人は命を賭けたりしてはいけないんだ! カブト!」
代替え可能な昆虫戦士として、最後の一人まで、戦って、 戦って、戦い抜く為に引き金を引こうするカブトンだが、ゲンジの叫びがそれを止め、自分の行動が未来の子供達に特攻行為を正義として語り伝えかねない事に気付くカブトン。
かなりストレートな形で、セピア調の特攻機の映像が挿入され、前作のテーゼを力強く否定。
カブトンは不意を突いてサソリをBCが仕掛けていた罠の中に突っ込ませ、レーザーに撃たせる事で窮地を脱出。残り3人の攻撃を受けるBFだが主題から怒濤の反撃を決めて、ムカデ達は撤退。満身創痍のサソリも自爆装置を投げ捨てると姿を消し、ここまでやっても退場しないBC4人はどこまで引っ張るのか……(^^;
「俺さ……もし、って思ったんだ。引き金を引けば、奴を倒せた。でももしそれで、俺まで木っ端微塵に吹っ飛んだら、みんながどう思うだろうって」
「みんな?」
「未来の子供たち」
「子供?」
ビーファイターは、自分の命と引き替えに、みごと敵を倒しました、なんて、そういう風に。歴理の教科書に載っちゃ、まずいじゃん。それ読んだら、子供たち思っちゃうもんな。自分の命犠牲にして、敵に突っ込むのは、立派な事なんだって。そんなのあぶねぇ間違いだもんな」
超人機メタルダー』(1987)でデビュー後、90年代に入ってから5年以上に渡って中心的役割を果たしてきた《メタルヒーロー》シリーズが実質的に終焉を迎えるにあたって、ヒーロー作品の抱える危うさについてこれまで考えていた事を、扇澤さんが剛速球で投げ込んできた気配。
「俺のファンのあの二人捜して言ってやんなきゃ。命賭けるのが格好いいなんて嘘だって。死ぬ為に命もらった人間なんていないもんな」
ヒーローとして命を賭ける時はあるけれど、それ自体が物語として目的化してはいけないし、ヒーロー作品の作り手が肝に銘じておかないといけないのではないか。
かなりメタな内容になりましたが、子供達に向けて何を伝えていくのか、かつて『特捜エクシードラフト』において《レスキューポリス》の限界を描く事になった扇澤さんなりの、ヒーロー番組とは何か、という事に対する責任と誠意であったのかな、と思えます。
前作では制作体勢の変化の中、より宮下さんをサポートする為に話をまとめる側へ回っていた扇澤さんですが、《メタルヒーロー》数年間、扇澤さんが宙返りを決め、とにもかくにも宮下さんが着地をさせる、というのが、宮下さんからすると色々と言いたい事はありそうですが(笑)、東映特撮史の中でも、なかなか面白い脚本家コンビネーションであったと思えます。
甲平が昆虫戦士から脱皮を目指す人間の戦士として新たな一歩を踏み出した頃、要塞ではサソリが黙々と爪を研ぎながらポエムを詠んでいた。
「俺は戦士。振り返る過去も、未来も持たぬ。命捧げ戦う――誇りのみ」
……ああそうか、振り返る過去は存在しないから、人格の矛盾や破綻も存在しないのか(笑)
今回のサソリと他3人の対比は、まるっきりライジャとデズルでも成立する、というかその方が違和感が無いのですが、重ね重ね、BCはカブテリオスの刀の錆にしておけば色々すっきりしたのになぁ、と思わざるを得ません(^^; 今回も結局まとめて生き延びてしまうのも、大山鳴動して何とやらという典型的な悪い作劇になっているのですが、単独エピソードとしては見所充分だっただけに、キャラクターの拡散による魅力の希釈、という全体の失敗がつくづく痛い。
最後のチャンスも失敗に終わり、マザーからの呼び出しに残り3人は右往左往。果たしてビークラッシャーの運命や如何に……は本当にもう心底どうでもいいのですが、
「何億匹もの昆虫が、自ら捧げた生命を圧縮した、昆虫の能力の結晶だ」
に始まり、
「迷うな。俺達の命は、地球上全ての命を守る為にこそある。たとえ誰かが倒れても、最後の一人まで、戦って、 戦って、戦い抜く。それがビーファイターだ! 撃てぇ!!」
「渡せ! 奴の懐に飛び込んで吹っ飛ばす以外ないんだ!」
を経由し、
(地球に……ジャマールや、ジャマールホールで傷つき、倒れた地球の生命達に、永遠の命を……セントパピリア……)
に着地した前作を“過去の歴史の教訓”と捉え直し、今作第27話における「だけど、先輩の命だってその一つだぜ」を踏まえながら、その過去から学び未来へ向けて伝えたいものを甲平の気付いた答とする事で、全体を貫くテーマ性に欠けていた今作に2部作としての意味を生じさせるという、自分の関わった前作でも容赦なく殴りにいける事には定評がある、実に扇澤さんらしいアクロバット飛行。
サブタイトルの「歴史」が、マクロな「人類の歴史」と、ミクロな「ヒーロー作品(メタルヒーロー)の歴史」にかかっているのも、仕掛けとして秀逸。
今作全体については取り返しのつかない事が多いですし、このエピソード単体でもサソリが完全に別人という問題点はありますが、扇澤延男の底力を見せつけられる1本でした。
次回――繁殖・特攻・自決! を否定した甲平達に、昆虫魂、契約解除。


◆第46話「超重甲ストライキ!」◆ (監督:東條昭平 脚本:小林靖子
メルザード侵攻にともなう被災者の為の避難施設などを作るべく、自然の宝庫・石神山の開発計画が決定される事を知り、それに反対するビーファイター
「一度荒らしたら、取り返しがつかないわ」
「取り返しがつかないのは人間の命だ」
それを人間中心の視点から冷たく切って捨てたのは、かつてコスモアカデミアに所属し、現在は開発センターに所属して計画を主導する、高野隆一。にこやかに歩み寄る小山内博士の握手を事務的な挨拶を述べるだけで無視し、博士はこうやって組織内部で出世してきたのだろうなぁというのと、それで険悪になった相手にもこうやって平気で友達面するのだろうなぁ、という二つの面が伝わってきます(笑)
「俺たちに自然を壊す手伝いをしろっていうのか?!」
ビーファイターはネオビートマシンによる開発作業への協力要請を拒絶し、「自然なんか、平和になってからまた甦らせればいい」と乱暴な事を言う高野に対して反発を強める。
「一度奪われた、昆虫や動物たちの命は、どうなるんです」
「自然も、メルザードから守るものの一つじゃないんですか」
今作独自の積み重ねがほとんど無いので、甲平・健吾・蘭の台詞の背景がどうにも厚みが足りないのですが、侵略者の脅威を原因に、自然と文明(開発)の対立を描く、というのは前作第6話「森の叫びを聞け」へのオマージュを感じる構図。前作はこの辺り、メイン3人をそれぞれ昆虫・植物・動物学者とする事で、背景に厚みを与えて序盤からでも成立させていたのですが。
ビーファイターを誕生させたのは昆虫たちだ! そのビーファイターが昆虫たちの命を奪える筈がないだろう!」
博士も協力要請を拒否し、率直に、BF的には、ほぼ殺人ですしね……拓也先輩なら、この場でメタルフォーゼしかねないレベル。
「今、最優先で助けなければならないのは人間なんだよ!」
高野は激高して吐き捨てるとアカデミアを立ち去り、後には陰鬱な空気が残る。
「彼は自然を人間が支配し、コントロールするものだと考えてるんだ。その点で私と意見が合わず、コスモアカデミアを離れた」
「間違ってる。人間が自然を支配するなんて」
高野を翻意させようと考えた3人は開発現場へと向かい、再び説得を試みる。
「高野さん、この地球に生きるものに、命の優先順位はつけられないと思います」
「じゃあ聞くが……君たちは戦っている時、街の人間一人一人を確実に守りきる自身があるっていうのか?!」
それはそれで危ない健吾たちと高野による極論と極論の殴り合いが始まり、そこで言葉に詰まるヒーローはどうかと思う面はあるものの、市街地の激しい被害を繰り返し描いてきた二部作としての『ビーファイター』の要素を巧く持ち込みました。
「君たちには、守りたい人間が一人も居ないっていうのか?」
妻と子供を守る為なら自然や昆虫の虐殺なにするものぞ、と感情を爆発させる高野に言葉を失った3人は現場を辞すが、それを資格の喪失と判断したのか、コマンドボイサーが自ら飛び立って家出をしてしまう!
「昆虫たちは怒っている」
「俺あの時、一瞬、高野さんの考えが、正しいかもしれないって思ってしまった……」
老師が伝える同盟崩壊の危機にビーファイターが激しく揺れている事、メルザードクロスしようとするも友情のエネルギーが足りずに失敗した絶滅兄弟は、BFを呼び寄せようと遊園地で暴れ、それどころではないので無視されるとギドーバを出撃させる。
「どうしてビーファイターは出撃しないんです?!」
「我々人間に昆虫たちが愛想を尽かしたんだ」
「馬鹿な?! たかが虫が何に愛想を尽かすっていうんです」
ブラックアカデミアに駆け込んできた高野は、炎に包まれる街の映像に激しく狼狽。
「早くコマンドボイサーを取り返してこい! あの街にはな、私の妻と子供がいるんだ! それだけじゃない。このままだと、何万人という人が死ぬんだぞ?!」
だがその言葉は、そっくりそのまま高野自身へと跳ね返ってくる。
「高野くん! あれを見ろ! あのギドーバは、山や森を破壊する君たちの姿そのままだ! 動物や昆虫たちにとって、人間はメルザードと同じなんだよ。君はメルザードに協力するかね?!」
メルザードによる都市の破壊と人間による自然環境の破壊が映像の上で重ねられ、“侵略行為”という同じ意味を与えられるという強烈な展開で、前回今回と力作が続きます。
既に次年度の方向性は決まっていたでしょうし、実質的な《メタルヒーロー》最終作という扱いになった影響があるのでしょうが、もはや修正しきれない作品全体としてはともかく、この最終盤、浅香−鷺山−扇澤−小林と、それぞれ脚本家の個性を出したこの1本、を持ってきた形になったのは良かったと思います。
「…………虫と人間では、命の重さが違います」
先に老師が昆虫たちの説得へ向かう事で高野とすれ違っているのが自然な成り行きに収まっているのですが、高野が老師を見たらどう思ったのかは、少々気になる所です(笑)
基本的に今作、
「カブトムシが喋った!」→「そうか。それで昆虫たちは逃げ出そうとして、異常な集団行動を」
という、一人の男の異常な適応力の高さから始まっているので(笑)
老師を目の当たりにしていない高野は頑なに自らの考えを曲げず、コマンドボイサーを説得しようと飛び出す甲平の後を追いかける。健吾と蘭はメルザードの暴虐を止めようと、絶滅兄弟の元へと向かい、挑発と攪乱。
「昆虫たちよ、確かに人間たちは、愚かで傲慢だ。だが、それを補って余りある勇気と、優しさを持っている人間もいるのだ」
(昆虫たちに伝えたい。俺の気持ちを。健吾、蘭、頼む。時間をくれ!)
変身不能なまま生身で時間稼ぎを敢行する健吾と蘭が実はかなりヒロイックなのですが、あまりその点は強調されず、絶滅兄弟&侍従ズは全体的にお笑い要員になっているのはやや残念。メインテーマが重いのでエピソード内で緩急をつける必要性はわかるのですが、前回急激にスコーピオンが持ち上げられたのと比較すると、兄者の扱いがちょっと酷い……(^^;
ただ遊園地でのアクションは東條監督らしい遊び心とキレが見え、どうして遊園地に出てきたのかと思っていたら、これもまた東條監督の最後になるかもしれない東映特撮仕事としての個性であったのかも、と思えます。
時間を稼ぐも捕まってしまった蘭と健吾は檻に閉じ込められてカブトンを呼び出すための餌とされ、街にはギドーバによる空襲が続く……
「昆虫たちよ、今罪もない人間達の命が、奪われようとしている。それを平気で見捨てるのなら、我々もメルザードと同じだ。そうではないのか!」
老師の説得にも昆虫たちの無反応が続き、山奥に向かう甲平も羽虫の集団に妨害を受けるが、それを火炎放射器で薙ぎ払う高野。
「武器も持たずに来てどうするつもりだ! ええいっ!」
かつてブラックアカデミアで何を担当していたのか、直前に甲平が見せたのと同じヒーロージャンプを見せる高野。
「コマンドボイサーは、私が取り戻してやる!」
すっかり一線を越えてしまい、山林の中で火炎放射器を振り回す高野。
まさにネガ昆虫戦士というか、裏を返せば高野から昆虫戦士がこう見える時があるのだろうという描写が、侵略者の空襲と自然開発を重ねる意味づけの鏡にもなっており、続けて強烈です(笑)
「こんな山にも、小さな命が生きてるんだ」
「人間の命と対等なものなどない!」
「人間が価値を決められる命なんてない!!」
もつれ合う二人は崖から落下しそうになり、何故か足下に口を開ける溶岩溜まり……そもそもこの山、開発に向いていないのでは疑惑が急浮上しますが、もはやマグマで何もかも押し流し、人類に対して宣戦布告するつもりなのか昆虫界。
ビーファイターとして戦ってきて気付いたんだ! 昆虫も動物も、俺たち人間が守ってやるものなんかじゃない! 助け合い、共に戦う同志なんだ」
「同志?! 役にも立たぬ虫けらが?!
「まだほとんどの人間が気付いてないだけなんだ! 頼む、もう一度俺たちを仲間に入れてくれ! 一緒に戦わせてくれ! お願いだ! 頼むよ!」
甲平の叫びが届いてコマンドボイサーが復活し、甲平は超重甲。そして昆虫たちは、マグマの中に落下しかけた高野さえ命を賭けて救出する。
「高野さん……これが昆虫たちの優しさなんだ。俺たち人間なんか、お呼びもつかない、昆虫たちの、生き物たちの優しさなんだ」
我々(視聴者)が人間である以上、人間中心の視点になるのは当然な面がある所で、いかにして今作の基本設定と矛盾させず、その上で環境テロリストになりえないテーゼを打ち出せるのかと興味深かったのですが、人間とは、自然に見守られ生かされながらそれに気付いていない未熟な生き物――今はまだ、先輩達に生かされているこの地球の後輩である――と置く事で着地。
前回今回で、過去に学び、未来に向けた可能性を持つ事こそが人間の意味である、と『ビーファイターカブト』としてのテーマを力尽くでねじ込み、扇澤延男と小林靖子で、マットに着地する寸前に伸身2回宙返りを成功させるウルトラC。
ここまで積み重ねてきた負債を帳消しにするとはとても言えませんが(1年分の物語の積み重ねとは、それだけの意味があるものなので)、前作の存在を活用して帳尻を合わせ、とにかく形だけは整えてきてみせました。
健吾と蘭も超重甲して檻を脱出し、クワガーに押し負けてしまう兄者、本格的にライバルの座が危ない。
「メルザード! 地上に生きるもの全てが、お前達を許さない!」
カブトンが到着して兄者達はインプットライフルで雑に撃退され、エピソードは良かったものの、最終決戦を前に、兄者株、まさかのストップ安! 現場で戦闘できないドードとか、戦闘力はBCに及ばない(もはやBFの敵ではない)しストーリー上の意味も極めて薄いがキャラクターとしてはBCより味付けされているという非常に中途半端な扱いのミオーラなど、侍従コンビをなし崩し的に生かしておいたのも、ひたすら足を引っ張ります(^^;
残り話数で、BCから絶滅兄弟関係まで、何から何までパズルのピースがはまったらミラクルですが!
かくして人無視同盟崩壊の危機は回避され、石神山の開発は中止。改心というか回心した高野は、植樹活動に携わる事に。
「人間は決して生命の頂点に君臨するものではない。全ての生命が同じ仲間なんだ。それを忘れずにいればメルザードに勝てる。必ずだ」
「人間たちよ、ビーファイターよ、ともに戦おう」
何らかの形で対比になるキャラクターを出して陰影をハッキリさせる、という定番の手法ですが(むしろ今まで行われなかった事に、博士の扱いに対する作品の冷たさが見えます)、博士の存在を老師ともども物語の中に収めたのは、最終決戦を前にこちらもひとまず形になりました。強引に能力を付加するのではなく、思想的なものに留めたのも良し。
一つの物語の最終回のみならず、90年代《メタルヒーロー》完結に捧げる挽歌になりつつある『BFカブト』最終盤、凄まじい勢いで放たれてきた連続ダイレクトパスを託され、傷だらけのエースストライカー・宮下隼一は、果たしてどんなシュートをゴールにたたき込めるのか。
次回――最強の敵登場、先輩達再び、そして、数多の死亡フラグを跳ね返し続けてきた老師に遂に最期の時?!