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『激走戦隊カーレンジャー』感想4

◆第5話「この先激走合体」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:浦沢義雄
ボーゾックでは前回の巨大化騒動を振り返り、巨大化の原因は芋ようかん――それも、芋長の芋ようかんでこそ――と判明。
「怪人が芋ようかんを食べて巨大化する」という設定を文字だけ読むと実に頭おかしいのですが、物語の中においては、〔偶然による発見→実証実験〕というプロセスが描かれているのが、妙なバランス感覚で若干の説得力を付加しています。
一方地球では、用意した巨大メカを操縦して合体してみたい、とカーレンジャーがボーゾックの攻撃をむしろ心待ちにしていた(笑)
闘争本能を拡大させ、戦いに用いずにはいられない、地球人、怖い。
血反吐を吐きながら続ける終わりのないマラソン一直線のカーレンジャーですが、説明書を読みながら、会社の車を利用して合体変形のイメージトレーニングをしている、という描写は遊び心と今作の特徴が噛み合って秀逸。リアリズムのようでギャグにも、ギャグのようでリアリズムにも、どちらにも取れるのが非常にいい味を出しています。
血に飢えた激走戦隊が手ぐすね引いて舌なめずりしているとも知らず、地球に出向いたグラッチは普通に芋長の芋ようかんを購入し、これを食べたMMモグーが巨大化。カーレンジャーは巨大マシン・レンジャービークルを出動させ、既に地球の公道も、クルマジックで改造済みだ!
いよいよ合体しようとする5台のレンジャービークルだが、ゼルモダ率いるボーゾックの部隊が妨害に入り、しばらくマッドマックス的なボーゾックマシンとレンジャービークルによるミニチュア特撮での激しいカーチェイスとアクションが展開。スピード感のある映像で、数々の妨害をくぐりぬけて2台、3台、4台、とレンジャービークルが合体していき、最後はレッドビークルが頭部にダイビング。
「激走合体!」と口にしてから実際にロボットが立ち上がるまで、約5分20秒。
恐らく戦隊史上最長の変身シークエンスの末、遂に完成したRVロボはRVソードを構えてアクセル全開、街で暴れる巨大モグーに迫ると高速回転し、「RVソード激走斬り!」で文字通りに一刀両断するのであった。
車モチーフを活かし、高速ダッシュからの回転斬り、という必殺剣はかなりの格好良さ。
Bパートの約半分を力の入った特撮による合体シークエンス(OPにも流用)に用いるという大胆な構成で、印象的なロボ登場編となりました。
総長ガイナモはかなり真剣に怒りを燃やし、5人はビークルにワックスがけするのであった、でつづく。
次回――遠回りでも、歩道橋を渡らないと、危ないよ。


◆第6話「私達…一方通行」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:浦沢義雄
整備士の菜摘と経理事務の洋子が仕事上の問題で衝突し、お仕事要素もしっかり取り込むが、売り言葉に買い言葉であっという間に喧嘩は別の方向へ。
「それだからいつまでたっても彼氏ができないのよ!」
「そういう菜摘だって彼氏にフられたんでしょ」
少なくとも過去に彼氏が居た、というのは戦隊メンバーとしては割と珍しい設定でしょうか。
ランニング中にこの喧嘩を目撃し、黙って回れ右するのではなく仲裁に入る恭介は、底抜けのいい奴なのか底なしの恐れ知らずなのか。
或いはもう、後戻りできないほど狂っているのか。
意外と恭介、フラッシュマン→天堂竜(『ジェットマン』)→遠藤耕一郎(『メガレンジャー』)、の間に挟まる、マッドヒーローの素養を感じて、心配になります。
ゾンネットの求めるネックレスを探してボーゾック一の捜し物名人・QQキュータンが地球に現れ、だいぶ血反吐を吐きながら走り続ける事に慣れてきたのか、緑のアクセル拳法や、黄の走行中ダッシュ解体など、殺意の高い戦闘手段を見せるカーレンジャー。ところが戦闘中に黄と桃の喧嘩が再燃し、アドレナリン全開の二人は互いに刃を向け合って慌てた男衆に止められる。
「ワンパー達に笑われるぞ!」
で本当に座り込んでゲラゲラ笑っているのが、いかにもカーレンジャー
「こら! 楽しそうに笑うな!」
逃亡した怪人に今回も背後からギガフォーミュラを撃つが避けられ、怪人は芋ようかんで巨大化。RVロボを起動するカーレンジャーだがロボットの中でも黄と桃は揉め続け、登場2回目にして挙動不審のRVロボはキュータンの攻撃を一方的に受けてしまう。まずは目の前の敵に集中……どころか、どちらが悪いかでますますこじれた二人は、
「「「二人とも悪い!!!」」」
「「もう、知らない!!」」
で、戦闘中にロボから離脱(笑)
哀れ男3人が取り残されたRVロボは大苦戦し、被害が拡大していく市街。燃える街をこのままにしていいのか……けれど、頭を下げて協力して戦うのも腹立たしい、と気まずい思いで立ちすくむ二人の元へ、ロボを青と緑に任せた赤が掛けてくる。
「俺たちは激走戦隊カーレンジャーなんだぞ?!」
「そんな事わかってる!」
「わかってない! 俺たちには地球の平和を守るという重大な任務があるんだ! 助けを求める人達を放っておいて、心は痛まないのか!」
第3話に続き、カーレンジャーとは如何なるヒーローなのか、というのが恭介の口から語られるのですが、自分の内側から生まれる正義というよりも、他者に対する反応としての正義(それは一つの裏表ではあるのですが)、が強調されている事に特徴を感じます。
「なによ! 私たちの気持ちも知らないくせに! 偉そうな事言わないで!」
「そうよ!」
「え? お前達の気持ちって……?」
二人の間を取り持つ為に説得しようとしていた筈が、気がつくと肩を並べた洋子と菜摘に向き合う体勢となり、何やら不穏な気配に気付く恭介。
(まさか……俺を殴って、スッキリしようと……?)
そう、共通の敵を前にした時、人類は心を一つに出来るのです。
「洋子、ごめん」
「ううん、あたしも悪かった」
恭介に友情ダブルパンチを炸裂せ、心を一つにスッキリした菜摘と洋子はアクセルチェンジすると、ひっくり返った恭介を冷たく見下ろす。
「恭介、なにしてんの!
「あたし達には、地球を守るという、重要な任務があるのよ?」
手を繋いで二人は走り去り、なんとか体を起こして追いかける恭介。
「仲直りしたかったお前達の気持ち、痛いほどわかったぜ……」
恭介が地球の平和を守る為にその身を犠牲にした頃、可哀想な青と緑はRVロボの中で息絶えようとしていた。だが、ライトアップされたレインボーブリッジこそゾンネットが求めていたネックレスだと気付いたキュータンが戦闘を中断し、その間に3人が再合流。
こんなに酷い展開だったのに、ここで主題歌が流れだし、レインボーブリッジをめぐっての夜戦はやたら格好良くて困ります(笑) 友情のパワー全開の桃と黄がRVロボで華麗に打撃を繰り出し、最後は激走斬りでフィニッシュ。
女戦士二人が喧嘩して……というのは定番ですが、その結果として街に甚大な被害がもたらされる(&仲間二人が危うく死にかける)という天秤の片側の重さが凄い上で、すべからくコミカルに処理されてしまい、ギャグの為に人を殺せる恐ろしい戦隊。
そしてボーゾック酒場では、気怠いブルースをBGMに、事の顛末を見届けたゾンネットが溜息をついていた。
「なぁんだ馬鹿らしい。あたしが欲しかったのはネックレスじゃなくて、ただの橋だったのね。ガイナモ、お酒ちょうだい」
「はいな、愛しのゾンネットちゃん、お飲み」
「は〜ぁ、QQキュータンの死は一体なんだったんだい」
「グラッチ、そんな事俺たちが考えてもしょうがねぇだろ」
「そうだな、ゼルモダ! 俺たちも飲もうや」
部下の死が、「考えてもしょうがない」流れのままの出来事で済まされるボーゾックの描写により、ギャグの為に失われる命の軽さは全て意図通りである事が裏打ちされ、いっけんボーゾックの邪悪さを示しているようで、カーレンジャー側(ダップ含む)も巻き込んでいるという構造がかなり凶悪。
笑いというのが価値観の転覆という要素を持つ関係上、既存の常識をひっくり返すというのはスタンダードな手法の一つであり、命に対する突き放した視線そのものがギャグの一部になっているのですが、そういった常識や倫理に対するドライさが作風として色濃く出ています。
地球では、すっかり仲直りした女性陣を見ながら、男衆がベンチにぐったり座り込んでいた。
「彼氏なんか出来んのかいな、あいつらに」
「あの二人、とっても怖いですからね……」
「俺はあえて何も言わんぞ」
次回――横断歩道は、手を上げて渡りましょうね!