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『超人バロム・1』感想16

◆第25話「魔人ホネゲルゲの白骨が風にうめく!」◆ (監督:田口勝彦 脚本:滝沢真理)
前回に引き続いて猛と健太郎達は照島観光中。全人類白骨化計画を進めるホネゲルゲを目撃してしまった兄妹を助け、計画の阻止の為にドルゲ魔人と戦う事に。強引に挿入される照島ランドPRタイムは仕方ないにしても、通してテンポと話の繋がりが悪く、冴えない出来。
骨ゲルゲはトカゲの骨から生まれたという設定で、人体の一部としての骨ではなく、化石怪人といったデザイン。後頭部に脳がはみ出しているのがグロテスクで、暗闇で明滅する瞳の色が青、というのはなかなか格好いいのですが、知力は低め。
地元の漁師を特殊能力で白骨化した後、
「体の中を風が通る……寒い」
というのが何か洒落た決め台詞なのかと思ったら、
ナレーション「ホネゲルゲは、筋肉を失った為に、少しの風にも寒さを感じるのだ」
が、凄く台無しでした(笑)
目撃者の兄妹をさらってバロムワンを倒そうとするも失敗した骨ゲルゲは、兄妹の母を誘拐して改めてバロム1へと挑戦状を叩きつける。
「動くな! 俺の骨ミサイルを受けてみろ!」
勿論、バロムワンはよける。
「おまえの骨を受けてみろ!」
アントマンを蹴散らしたバロムは、至近距離で骨ゲルゲのあばらに手を突っ込み、取り外した骨ミサイルを逆に直撃させるが、骨ゲルゲはバラバラになっても瞬く間に再生してしまう。唐突に、風に弱いという敵の弱点に気付いたバロムワンは距離を取って骨ゲルゲを風下に追い込むが、骨ゲルゲは完全に見捨てられる形になった人質を白骨化。
「あ! なんて事をする!」
おい。
人質に対する投げやりな対応には定評のある正義のエージェントですが、この発言には、逃亡する犯人の車に空中からの体当たりを繰り返した挙げ句、ハンドル操作を誤った犯人の車が電柱にぶつかって大爆発したのを見て、
「しまった……。秘密を守る為に自爆してしまったんだ」
と言ってのけた某ロボット刑事Kさんを思い出してしまいました(笑)
「俺を倒して、俺の灰を撒けば、骸骨どもは元の肉体を取り戻す事が出来る」
突然、白骨からの回復方法をベラベラ喋り出した骨ゲルゲは、白骨呪いの抱擁によりバロム1を追い詰めるが、バロムドリラーで巻き起こされた風に防寒マントをはぎ取られ、弱った所に爆弾パンチでジ・エンド。
兄妹の母親はじめ被害者達はその灰で元に戻って大団円となるのですが、そこまでやって元に戻るなら何も白骨化でなくて良かったのでは……と、映像上のハッタリを優先しすぎてしまった感。勿論ハッタリは必要ですし、今作の狙いは明確に“子供を怖がらせる事”に向かってはいるのですが、この所の滝沢脚本が“怖がらせ”以外の内容があまりに無い事もあり、バランスの悪さが気にかかってしまいました。同じ“怖がらせ”でも眼科検診など心理的効果を交えている伊上脚本と比べて、工夫もないですし。
またゲスト兄妹の出番がやたらと多く、どういうわけか照島ランドPRタイムも担当したり、人妻の折檻シーンに時間を割くのなら、もっと猛と健太郎の出番を……というのも気になってしまいました。まあ、猛と健太郎の二人がメリーゴーラウンドできゃっきゃうふふされても、それはそれで困りますが!


◆第26話「魔人ハネゲルゲが赤い月に鳴く」◆ (監督:折田至 脚本:滝沢真理)
「おまえを殺しはしない。そのわけはいずれわかる。殺すより恐ろしい悪。それは、愛する者を変えてしまう事だ。恐ろしい怪物にな」
醜い始祖鳥の羽より作られた悪のコウノトリ・ハネゲルゲは、呪いの赤い月の下、次々と赤ん坊をさらうとドルゲの赤ん坊へと変えていく。
「ドルゲの赤ん坊は、赤い月が欠けゆき、三日月になる晩までに育つ。その夜、三日月が山の端にかかる時、恐ろしい正体を現し、母親を殺して夜空に飛び立ち、地球を征服するのだ。るろろろろろろ……」
母親の愛情を利用し、赤ん坊を破滅への尖兵にしようと目論むドルゲの狙いに気付いたバロムワンだが、すんでの所で羽ゲルゲには逃げられてしまう。
「ドルゲの赤ん坊の姿に母親が気が付いても、母親は自分の子を殺す事はできぬ。バロム・1も手が出せぬ筈」
「ハネゲルゲよ、バロム・1を侮ってはならん」
ヤツなら、殺りかねない。
「正義に取り憑かれ、命も惜しまず、戦う奴だからな」
珍しくドルゲがバロムワン評を口にするのですが、まさしく宇宙的正義の亡霊に取り憑かれているも同然と考えると、的を射ているだけに、劇中においては痛烈な皮肉であり、メタ的にはかなり酷い指摘です(^^; 悪のエージェントがドルゲ細胞の汚染により生まれるように、正義のエージェントもコプー細胞の汚染によって生まれるわけで、コプーは正義! ドルゲは悪!
バロムアイにより、カラス天狗のようなドルゲ赤ん坊の真の姿を目にしたバロム1は直接赤ん坊を回収しようとするが、スキルLVが低すぎて今日も説得コマンドに失敗(笑)
「いやー、しかし……」
「キヨシ、おまえがどんな子でも、誰にも、誰にも、お母さん渡しはしないからね」
母親は赤ん坊とともに部屋に閉じこもってしまい、ここで母と弟を守ろうと、上の子供がバロムワンの前に手を広げて立ちはだかる、というのが秀逸。
「……仕方がない。 まとめてバロムブレイクしよう 夜を待とう」
その夜――赤い三日月の晩、悪の子供達を覚醒させようとする羽ゲルゲの奇声を捉えるバロムイヤーは地獄耳。
バロムワンはサンシャインボップで赤い三日月を消し飛ばして昼に変え、ドルゲの計画を力尽くで木っ端微塵に粉砕。羽ゲルゲのくちばし攻撃を受けるがバロムブランコで反撃すると、巨大な目を打撃で潰して弱った所に、バロム爆弾パンチでフィニッシュ。羽ゲルゲの消滅により、全ての赤ん坊は元に戻った……の?(ちょっと不安)
“子供を怖がらせる”という要素から離れ、母親の愛情を悪用するドルゲに焦点を合わせてこれまでとガラリと切り口を変えた異色作。台詞回しや展開も凝っており、母と乳幼児の関係だけではなく、もう一人の子供が小さいなりに家族を守ろうとする姿が描かれたのも、話の奥行きが広がって良かったです。
立ち向かう相手がバロムワン、というのもかなりのひねりで、ドルゲのバロムワン評も含めて、挑戦的な1本。
それにしても、どうして前回今回と2話連続で、妙齢の婦人を繰り返しいたぶるエピソードだったのか(笑)