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『超人バロム・1』感想15

◆第23話「魔人ノウゲルゲが脳波を吸う!!」◆ (監督:田口勝彦 脚本:滝沢真理)
見所は、「おい、猛、健坊、入れよ」と廊下に声をかけたら、物凄く普通に病室に入ってくるバロム・1。
日常パートへの侵食が止まりません。
ノウゲルゲのドルゲ帽子により脳波を吸い取られ、老人と化してしまった青年の記憶を探り情報を得るバロムワン。青年の弟に対して「男の子が泣いてはいけない」と励まし、このゲスト少年との交流が通して強調されるのですが、デートのだしにと弟を連れ出し一人でニヤニヤし、、彼女を待っている間にふかしたタバコをポイ捨てする兄の姿に全く好感が持てず(タバコの扱いは40年前なので仕方ないですが)、そんな兄を慕う弟の姿にも感情移入しにくい困った作り(^^; 魔人から弟をかばうとか、最初に兄に好感を持たせる仕掛けが一つあるだけで、だいぶ全体の印象が変わったと思うのですが。
巨大な脳の怪物である魔人のデザイン(なお頭部にあたる箇所が無いと見せて下半身に小さな顔が存在しているという一工夫したデザインで、なんとなく『ウルトラセブン』の宇宙人を彷彿とさせます)と、老けメイクの廃人演技がひたすら気持ち悪く、怪奇ショッキング路線が続くのですが、猛&健太郎パートとバロム1パートがまるで繋がっていないなどあまりに雑で、もう少し丁寧さが欲しくなります。
怪しい帽子の謎を追う内、松五郎もドルゲ帽子の被害に遭ってしまい、木戸家へと運び込まれる事に。
「おまえの兄貴の木戸刑事を忘れたか」
……猛父は、どこまで刑事である事に自己同一性を依拠しているのか(笑) 拳銃を奪われたショックで、廃人になるわけです。
バロムワンは脳ゲルゲとの戦いに臨むも少年を人質に取られ、「動けまい。やれ!」とアントマンに襲われるが、喰らったのは最初の一発だけで、平然と、回避・回避・反撃・刺殺。
コプーは正義!
ドルゲリングをかぶせられて脳波を吸収される危機に陥るバロムワンだが、少年が落としたハンドライトが脳波を跳ね返す事に気付き、必殺・脳波返しでピンチを脱出すると、3連爆弾パンチで脳ゲルゲを撃破。
劇中でハッキリとした描写と言及がなくてわからないのですが、少年が持っていたハンドライトは、以前に出てきたバロムペンダントと同じものでしょうか?? だとするとメタ的には玩具販促キャンペーンなのでしょうが、物語途中からやたら世間的な知名度が上がっていると思ったら、駅前で配り歩いていたのかバロム・1!
宣伝 宣伝 僕らの バーロム ワーン


◆第24話「魔人ウデゲルゲは神社で呪う」◆ (監督:田口勝彦 脚本:島田真之)

「悪魔シリーズ・奇祭の村連続殺人事件 沈黙する少年に迫る恐怖の手 照島観光ホテル202号室にドルゲが笑う! 東京〜松阪間フェリーに秘められた謎が解ける時 デッドライオンは既に消えていた!」

サブタイトルコール時に、<悪魔シリーズ>と追加。
今回の人体魔人は、ウデゲルゲ。下半身・黒タイツ+上半身・巨大な右手の被り物という、冷静に見るとギャグ以外のなにものでもなさそうな姿なのに、生々しい肌のてかりと、人差し指の先に一つだけついた目玉が超怖く、ギャグを全く感じさせないのが凄いデザイン。なお構造上、恐らく親指と小指の所に入れた両腕を常に斜めに広げたような体勢の為、中の人はきっと辛い。
久々にドルゲ奴隷を作りたくなったドルゲの指示により、小さな村の村長を殺害して成り代わる腕ゲルゲ。
「俺が村長になればこの村の人間はみんな俺に従う。俺の奴隷になる。ふふふふふふふ」
ちょっと待ってドルゲよりその村の方が怖い。
この光景を目撃した昇少年だが、目撃したその時に人気の無い神社で賽銭泥棒をしていた為に、真実を言うと自分の泥棒がバレてしまうのではと恐れ、なかなか思い切る事ができない。バロムワンとゲスト少年の交流を軸にした構造は前回と同じですが、少年の葛藤が前回より遙かに共感しやすく、またそこに「悪の心」という今作のキーを絡めているのも秀逸。
落ち着いて考えれば賽銭の件は誤魔化せそうではあるのですが、少年を沈黙させる為、訥々とした不気味な口調で心理的に追い打ちをかけて、罪悪感を煽る腕ゲルゲも良い味を出しています。
久々登場の白鳥デスクのコネで照島観光ホテルに遊びに来ていた健太郎と猛はこの事件に巻き込まれ、腕ゲルゲに襲われた猛がボップを投げると、全く猛の危機を知らずに普通に歩いていた健太郎突然振り返って大ジャンプするのが操り人形みたいで超怖いですがコプーは正義!
村ではドルゲ奴隷を生み出すための奇祭の準備が盛り上がり、バロムワンになら真実を伝えられるかもしれない、と考える少年に更なる揺さぶりをかける腕ゲルゲ。
「喋れるかな……?」
「話す、みんなに話すよ俺。バロム・1に嫌われる子供になりたくないもん」
地道な宣伝活動が功を奏し、世間的に認知度の高まるバロム・1ですが、劇中の子供達視点で見た時に、正しくありたいと思った時に勇気を与えてくれる存在、としたのはメタ的なヒーローの意味も重ねて巧い位置づけ。
「無駄だ。バロム・1は悪い心の人間が一番嫌いだからな」
……そうですね、下手するといきなりバロムフォールですね。
果たして巧妙に仕込まれた連続殺人事件の真犯人は誰なのか――。海岸線で独り佇む重要参考人・昇に、名探偵・バロムワンは指を突きつける。
「君は知っているね」
シチュエーションがはまりすぎて、変に面白かったです(笑)
敬愛するバロムワンに出会った昇だが、腕ゲルゲの脅しが脳裏をよぎり、バロムフォールへの恐怖から真実を口にする事ができない。
「何も怖がる事はない。さあ、話すのだ」
話せばすぐに楽にしてやる!
「昇くん、君に一番必要なのは君の勇気だ」
今作の人物配置から言えば、子供の罪の意識に対して、同じ小学生目線の猛や健太郎がアプローチして解きほぐす、という物語の作り方もあったとは思うのですが、ここで年長者ポジションとしてのヒーローからの説得になってしまうのは、特色を活かすかヒーローを前面に出すか、その両取りまでは行けないという今作につきまとうジレンマを感じてしまうところ。
「いいかね、私を信じるんだ」
良い事言って力強く少年の肩に手を置くバロムワンだが、ヒーローへの信頼よりも恐怖が勝った昇は逃亡(笑)
まさかの説得失敗で、「バロム・1に嫌われる子供になりたくないもん」から勇気を出して悪事を認める(「悪の心」を乗り越える)事なくクライマックスに突入してしまうという、壮絶なコースアウト。
このあと昇少年は奇祭を妨害して偽村長の腕ゲルゲが真犯人であると名指し、現れたバロムワンが「昇くん、よく言ったぞ」とボップをぶつけて村長の正体を暴くのですが、ここまでの積み重ねが全て瓦解して岸壁から投げ捨てられてしまい、どうしてこうなった。
バロムワンが腕ゲルゲを倒すと賽銭泥棒については全く言及されないまま大団円を迎えてしまい、話の流れからすると昇少年は母親に告白したりするのでしょうが、色々と投げ飛ばしてしまって惜しい。