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『激走戦隊カーレンジャー』感想20

◆第27話「単身赴任の分岐点…」◆ (監督:田崎竜太 脚本:浦沢義雄
「誰も、通らない……」
今日も今日とて交番ベースの前で立ち尽くすシグナルマンに届く一通の封書……それは、ポリス星に残してきた息子、シグタロウからのものだった。
「妻よ……休みを取って、ポリス星に帰りたい……。帰りたいが、本官には、ボーゾックを撲滅する任務がある。本官は、任務を放り出して、チーキュを離れる事はできない。妻よ、息子よ、許してくれ……」
煩悶するシグナルマンは愛車を倒して壊してしまい、ペガサスに修理して貰う為に持ち込む事に……。
一方、ボーゾックでは年に一度のボーゾック祭の準備中で忙しく、提案した作戦を無視されたボーゾック1のピザ作りの名人XXミレーノは、カーレンジャーピザを作る為に単独で地球へ。
上層部に雑な扱いを受ける所から始まり、肩書きからしてギャグ怪人かと思われたミレーノですが、空中を乱舞するピザでカーレンジャーとシグナルマンを苦戦させ、更にペガサスカーとドラゴンカーをピザで洗脳し、手も足も出ないカーレンジャーを巨大オーブンに閉じ込めて行動不能に追い込むという、凄まじい強さ(笑)
トドメに完成したカーレンジャーピザを食べようとして極めて猟奇。
ペースを握った時のボーゾック怪人の力をまざまざと見せつけてきました。
全国のお茶の間に、足からむさぼり食われて全滅、というショッキング映像をお届けして最終回を迎えそうになるカーレンジャーだったが、本官に助けられて窮地を脱出。正統派の6人連携からギガブースターを放ち、巨大化後はサイレンバルカンから激走斬りで、強敵ピザ職人を撃破するのであった。
(息子よ……本官は、ともに戦うこの仲間を見捨てて帰るわけにはいかない)
カーレンジャーの為にも、ボーゾック撲滅のその時までチーキュを離れるわけにはいかない、と愛する家族への思いを抑えるシグナルマンにカーレンジャーは礼を述べ、「本官の許可無く本官を追い抜いてはいかん!」と理不尽に追いかけ回される事があったりはしつつも、戦友として握手を交わす赤と本官。
今作はメンバーそれぞれの社会人としての職種が物語の随所に反映される“お仕事戦隊”でありつつ、カーレンジャー自体は非職業戦隊でありメンバー個人のプライベートで活動しているわけですが、一方で宇宙警官でありいわば職業ヒーローであるシグナルマンのプライベートを通して、家族の問題で揺れるとともに、カーレンジャーに対して職業的使命とは別の個人的仲間意識を抱くようになっている、という2つの面が描かれている、というのが巧妙な構成。
宇宙刑事的ヒーローを単身赴任のお父さんとして描くという大胆なパロディだけに留まらず、“ヒーローと個人”の問題を主人公達とさりげなく対比させる形で描いているのが、今作の上手さといえます。
……ただエピソード単独としては、全体的にもっさりとして冴えない出来でしたが(^^;
家族からの手紙に悩むシグナルマンを心配していた市太郎が笑顔で駆け寄ろうとしたその時、物陰から奇襲攻撃が本官を襲い、突然の投げトランプという新技を身につけたゼルモダが市太郎をさらい、まさかのつづく!
次回――「たとえ本官がいなくなっても、赤信号は絶対に止まれだ!」