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『獣拳戦隊ゲキレンジャー』感想・第7話

◆修行その7「シュバシュバ踊ろう!」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:荒川稔久
第7話……荒川稔久初参戦……ダンス……ヘ、ヘブンズトルネー……(ばたっ)
まあ荒川さんだってすっぽ抜けの変化球に手を出して空振り三振する事はあるわけですが、強化展開などが絡むわけでもないのに、『仮面ライダーW』7−8話はどうしてあそこまで残念な出来になってしまったのか、未だに結構謎。
見所は、真毒について考えを巡らせながら一心不乱にシャドー臨獣拳する理央様。闇の力が脳天からつま先まで迸っています。
男には、イメトレが、必要なのです!
メレ様がひとりラブラブ臨獣拳でテンションを上下させ、サソリに共闘を持ちかけたカエルがきっぱり断られて落ち込んだりしている頃、ランチの内容でトライアングルが揉める激獣サロンにやってきたのは、美希の娘・真咲なつめ。
「あんたさー、どうしてそう気が強いかね。誰に似たの? その性格」
やたらとジャンの扱いが手慣れていた美希は、劇中のポジションのみならず、実際に娘の居る母親、と判明。戦隊において、長官(メインサポートキャラ)ポジションが女性というのがまず珍しいのですが、子供の存在が明確に組み込まれたキャラクター造形も珍しく、テトム→スワンさん→マジマザーという、00年代戦隊における母性要素の系譜として、真咲美希というキャラクター像にはかなりのこだわりが見受けられます。
街に五毒拳のサソリ拳士とその率いるリンシーダンサーズが出現し、ダンスBGMに乗りながらこれまでとは違うリズムで攻撃してくるリンシーにゲキレンジャーは大苦戦。個人の強さだけではなく、集団の戦闘能力を引き上げる敵、という見せ方は面白く、また後半も含めて、拳法×ダンス、の見せ方は工夫があって楽しい。
出オチを心配していた五毒拳ですが、キャラクターもそれぞれ印象に残る個性を付けていますし、戦い方の変化も上手く見せていて、好印象。前作がエピソードの中心となる<プレシャス>に変化を付ける事で物語パターンに様々な工夫を凝らしていたのに対し、今作は拳法バトルにどう変化を付けるか、という点に話作りの中心点があり、その手法の違いが良い具合にスタッフの遊び心を刺激している感じですが……後はスタミナ切れせずに走り続けてくれる事を期待。
「サソリのダンスは恐怖のダンス。3人まとめてあの世に送ってやるよ」
サソリは強烈な足技で3人を圧倒し、その戦いを物陰から見つめるのは諦めの悪いカエル拳士……て、え、本気でそちらへ転がすんですか荒川さん、と思っていたら、サソリに踏まれてシめられている青が「抱きつかれてキスされている」と勘違いたカエル、嫉妬の力でいきなりのハイパー化。
「そこの青っちょろいの、絶対に、許さん!」
荒川さーーーーん!!
前作終盤の助っ人どうしても縛りが多くて肩の凝る仕事だったのか、翼を取り戻した荒川さんが肩慣らし抜きでトップギア(笑) あと『マジ』に続いて、キノコ頭がおいしい役割を与えられる、というのは塚田プロデューサーの趣味なのか、中澤監督の趣味なのか。
カエル突然の巨大化乱入に「意味不明。しらけちまった」とサソリは軍団と一緒に帰還し、よくわからない成り行きでAパートから巨大戦をやる事になる3人。カウンターのスピニングビンタを喰らうも無傷で立ち上がるカエルだったが、その衝撃で正気に戻ると、サソリが怒って帰ったと聞いて慌てて帰宅。
「見えとらんの〜、4人とも」
完敗したゲキレンジャーは、老師の勧めによりなつめの通うダンススクールへと修行へ出る事になり、ダンス修行と、自分の実力に天狗になって周囲と協調しないなつめの問題解決を繋げ、ここで一度、メンバー各自の直接的な問題解決だけではなく、ゲストの問題解決を通して間接的な“気付き”に至る、というパターンを入れてきたのは良かったです。
一方、臨獣殿では落ち込むカエルを、男としてそれでいいのか、とメレ様が熱く煽っていた。
「あたしは、あたしを甦らせてくれた理央様が好き。だから、理央様への愛の為に生きて、愛の為に戦う。愛する気持ちをひたむきに見せ続けていれば、必ず願いは叶うはず。ううん……絶対かなうのよ! だからあんたも頑張んな。女ってのはね、絶対的な力を見せつけてくれた男に、惚れるものなのよ!」
「……絶対的な力……。メレ様〜! なります俺。本当の愛の戦士になります!」
闇の力の後遺症か、とうとう悪の怪人ラブコメを始めた荒川さんですが、そこから愛の戦士繋がりで“メレとは何者か”にスムーズに持ち込むのがテクニック。メレもまた理央によって甦った臨獣拳士である事が申告され、臨獣殿が完全な屍者の王国である事がハッキリするのですが、極めて人間的な感情を持った怪人を悪として倒すにあたり、そもそも死者である、というのは一つのエクスキューズでもありましょうか。
娘を守ってリンシー軍団を戦う美希が格好良く描かれ、再び始まるダンス対決。修行により自分たちのリズムを手に入れたゲキレンジャーは、華麗に調和したダンスでリンシーズを蹴散らしていく。
「なつめ……ちょっとだけ周りも見てみなよ。きっと自分の世界が広がるよ」
いよいよ残すはサソリのみ、となったその時、戦場に現れる愛の戦士。
「ソリサ! 俺は、おまえを守る!」
「ま、またあんなたの!」
のところで、ちょっと顔をそらすのがおいしい(笑)
「言っただろ。トロいあんたとあたしじゃ」
「強がるな! 今のおまえには――俺が必要なんだ!」
喋り方まで格好良くなるカエル、これが、自己肯定力だ!
俺が選んだんだおまえを!とばかりカエルは秘拳オイルバリアーでゲキレンジャーの攻撃を全て弾き返し、ひるむゲキレンジャーに、サソリのスピニングバードキックが炸裂。
「最強の矛と、最強の盾……最強コンビ、遂に結成ね」
スタジアムの上からメレ様がそれを見下ろしてほくそ笑み、愛のパワーでゲキレンジャー大ピンチ、でつづく。
予告からてっきり軽めの企画回かと油断していたら、キャラとしての印象度はともかく、戦力としては「五毒拳(笑)」になりつつあった五毒拳が、戦闘員強化、そしてコンビ攻撃、と違った形で強さを見せてくる、という趣向は面白かったです。
なお理央様はコブラを呼び出し、
「使い手も追い詰められなければ、真毒は出さないか。なあ、ブラコ」
「私が物語の書き手なら、最も意外な、情けなく見える奴に、最強の力を秘めさせます」
と牽制し合って出番を確保。
次回――豚の角煮ーーー!!