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『獣拳戦隊ゲキレンジャー』感想・第19話

◆修行その19「ゴキンゴキン!理央と対決」◆ (監督:竹本昇 脚本:横手美智子
「俺の何が半端だと?」
「あなたの中に僅かに残る激獣拳」
今日も理央様はクラゲに煽られ、そこにスタッと降りてくるタカが格好いい。
激獣拳の存在を世界に許している事そのものがおまえの限界、そんな事で最強を名乗るかとかヤバすぎ、と前後から性格の悪い2人に集中砲火を浴びた理央様は、俺に限界はねぇ事を証明してやると見事にノせられ……前々から少し思っていたのですが、割とこう、ちょろいですよね理央様。
多分ビーストアーツ時代、「理央、暮らしの中に修行ありじゃ。某デパ地下限定またたびシュークリームお一人様2個まで平均待ち時間50分、変装を駆使して3回並んでくるが良い」とかシャーフーに弄ばれていたのだと思うと、退職してライバル事務所に移籍もしようというものです。
一方、トライアングルは街で暴れるカエル2号との戦いで修行の成果を見せつけ、感覚的には、前回と今回の間に2ヶ月ぐらい経った(それぞれマスターの下で修行を積んでいた)ような勢い。
そのまま巨大戦に突入し、いかにもこの後、理央様にぐっちゃんぐっちゃんにされるのだろうなぁ……という構成ではあるのですが、ゲキレンジャー、そしてゲキトージャの追加武装をテンポ良く見せて格好良くまとめてくれたのは、竹本監督らしい面白さ。たとえ待ち受ける転落の前振りだとしても、ヒーローらしさが前面に出た格好いい戦闘でした。
「美しい」
「完璧ね!」
「俺たち、絶好調!」
たまの完勝に浮かれるトライアングルだが、臨獣殿では理央様が闇の闘気を高めていた。
「激獣拳を消し去れ。おまえの裡からも、この世界からもだ」
「……ふふふ、いいだろう。純粋、絶対なる力の結晶、我が身がそうなるのなら、願ってもない事。激獣拳と名の付くもの、全てを根絶やしにする」
まずはスクラッチを、敵対的買収だ!
……には社内資産の足りない臨獣殿は、出陣の儀式を行った理央が臨気兵カブトアーマーとクワガタアーマーを従え(デザインがまた格好いい)、メレを立会人としてトライアングルと激突する。
「この日、この時をもって、激獣拳を、消し去る」
戦隊と伍する存在の美形悪役をドラマ的に同格の存在として描く事をコンセプトにする今作ですが、外連味たっぷりに降臨した理央様はストレートに格好良く、へたれない美形悪役の青天井ぶりを見せつけてきます(へたれる美形悪役も好物ですが!)。
理央とトライアングルは互いに変身するとフル名乗りで向かい合い、まずはイエローと一騎打ちする黒獅子はゲキハンマーを軽々と受け止め、繰り出される怒濤の突きも全て見切ってみせる。
「激獣チーター拳使い、おまえ達の言うよこしまな心とはなんだ?」
「自分の事しか、考えない事よ!」
「なぜそれが悪い」
「獣拳はみんなの幸せの為にある筈よ。だから多くの人を苦しめ、絶望の淵に叩き込む、貴方たち臨獣殿の悪を、絶対に許せない!」
怒りのサマーソルトで反撃するイエローだったが、一枚上手の黒獅子の飛び蹴りが炸裂。
「悪だと? 言った筈だ! 最悪の悪、それは弱さだ!」
善戦するもイエローはリタイアし、ダブル扇で挑むブルーだったが、やはりその攻撃は黒獅子には通用しない。
「強ければ正義だというのか!」
「そうだ」
「そんな世界なんて御免だね! この世界には、もっと美しいものがあるんだ!」
例えば僕みたいにね! と上空から舞うように切りかかるゲキブルーだが、エアリアルナルシスティックスマッシュも軽々と防がれ弾き飛ばされてしまう。
「これが強さだ。強ければ美しい」
真墨完全体たる理央様の自己肯定力が、そんじょそこらのナルシストに揺るがされる筈がなかった!
「……かつておまえのように強いだけでは何かが足りないと、俺に言った男がいた。自分にはその何かがあると」
嫌な人だな!(笑)
「だがその激獣拳使いは俺に負けた。無様に、哀れにな」
「兄さん……兄さんの事かぁっ!!」
……以前、レツ兄の話が登場した第6話の際に、


 レツをして「孤独を愛する一匹狼」と言わせ、理央様をして危機感を抱かせる素質の持ち主ってどれだけ自分好きだったんだレツ兄。
 現在、私の中の想像図が、不滅の牙×ホージーさん×クレナイ・ガイなのですが、一度ぐらい回想で出てきて欲しい(笑)
と書いたのですが、「その何かを探している」のではなく、「おまえには無い、だけど俺にはある」と言ってのけるレツ兄、キてる、これは相当キてる……! 率直にそれは、理央様に殴られても仕方ないよ!
激昂を拳でぶつけるも受け止められた青は、スローイングから追い打ちのキックを食らい、リタイア。
「必要なのは強さのみ。それ以外何も要らん」
そして最後に、ゲキレッドが黒獅子と向かい合う。
「最後はおまえか、タイガー拳使い」
「理央! おまえ強いのに、なんで優しくしない!」
「ん?」
「虎が強いのは、森を守る為だ。強い奴は優しいんだ。みんなに強さを分けてあげなきゃ、駄目なんだ!」
宿敵降臨で力の入ったアクションと映像は格好いいとはいえ、もはや恒例行事のゲキレンジャー完敗自体はインパクト不足が否めないのですが、メンバーそれぞれの強さの意味を理央にぶつける事で、理央とトライアングル、激獣拳の正義と臨獣拳の悪を改めて対比、理央の選択の間違いを強調した上で、ゲキレンジャーが拳を支える想いごと粉砕される事で精神的にも敗北を喫するという味付けを加えたのは良かったです。
その中で更に、言語化の苦手なジャンが、ジャンなりの“強さの意味”を語ってくれたのも良かった。
「優しい? 強さを分ける? 貴様は――甘い」
「……嫌いだおまえ! 俺は絶対、勝つ!」
ゲキセイバーを振るう赤だが、装備品に冷たい事には定評のある『ゲキレンジャー』、前回修得したばかりの必殺剣は黒獅子に全く通用せず、3人で放った豚の角煮砲も片手で受け止められてしまう。
「か弱き、哀れな者どもよ。せめて悲鳴を俺に捧げて、消え去るがいい」
ゲキレンジャーは3人まとめてライオン拳の餌食となるが、ただ一人立つ、アンブレイカブル・ボディ。
「……負けるか……負けるかぁ……俺は……虎の子だぁ…………負けるかぁぁぁッ」
変身の解けたランとレツが戦意喪失する一方、ボロボロになりながらも黒獅子に向けて歩みを止めないゲキレッドの姿は、肉体だけではないジャンの持つ強さが劇的に示され、ジャンが一気にレッドとしてステップアップ。この後の展開の納得度も増しました。
だが、再び臨獣ライオン拳がその体に突き刺さり、スーツが燃え尽きた灰のように崩れ、剥がれ落ちたジャンはその場に倒れ込む。
「しょせん虎は、獅子には勝てん」
「…………虎は」
しかし、未だ屈しないジャンの瞳が黄金に輝き……
「虎は……負けねぇぇぇ!!」
突如、黒獅子をたじろがせるほどの黄金の闘気を放つ。
「これは……これは、あの男と同じ。……まさか」
「俺は、無敵の虎だ!」
黄金の闘気を纏いながら立ち上がったジャンの気迫に押される黒獅子だが、渾身のパンチを打ち込む寸前にジャンは力尽き、黒獅子にもたれかかるように倒れたジャンは、今度こそ完全に気絶。
「……理央、おまえ、ゴキンゴキンだ……」
一瞬、恐怖を込めた瞳でジャンを見た理央はメレ達による処刑を止め、そこへやってきたシャーフーから3人の助命の為の取引を持ちかけられる。
「かつてお主が手に入れる事を諦めた究極の激気、カゲキじゃ」
3人には更なる高みに辿り着く可能性があり、それを超えなければ最強とか言えなくない? というか本気で最強名乗りたいなら、天空聖者ブレイジェルさんとタイマン張る勇気を見せてくれないとな〜、と煽られた理央様は取引を飲み…………ちょろい(笑)
だがさすがの理央様もここはシャーフーを人質に取り、「3日だ。それ以上は待たん」と宣告して退場。
「せいぜい、悪あがきをするのね」
とジャンを見下ろして蹴り飛ばしていくメレ様、おいしい(笑)
更に無駄に大爆発を起こして去って行くカブトアーマー、火薬好きに優しい。
かくして何度目だの完敗により心身ともに打ちのめされたトライアングルは、激しい雨の中でじっと座り込み、やってきた真咲は3人を叱咤すると、あまりの理央の強さに茫然自失とする3人に連続平手打ち。
「ここにそうしている限り、可能性はないわ。でも、立ち上がれば、たとえ僅かでも、希望の光が見えてくる。たとえ僅かでも、諦めない限り、可能性は、ゼロじゃない筈よ。激獣拳、究極の激気、カゲキ――やるの?! やらないの?!」
真咲美希、どんな時でもドSです。
「「「やります!!!」」」
理央という強大な敵に打ち勝つ為、連れ去られた師を救い出す為、真咲の激励に応えて3人は立ち上がり、時同じくして集う新たな拳聖達。ペンギン・ガゼル・ゴリラーーー!!
次回――来週この番組を見て下さい。本当のパワハラってやつをご馳走してあげますよ。