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『獣拳戦隊ゲキレンジャー』感想・17−18話

◆修行その17「ゴロゴロ!師弟愛」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:會川昇
前回、理央様のMチャージずばっと大爆発を目の当たりしたトライアングルは、更なる力を得るために新しいジャンルを開拓……じゃなかった、そんな邪道に堕ちる事なく、地道にそれぞれ得意武器の特訓中。だがそれぞれ拳聖に認められ、ハンマーとファンを振り回すランとレツの姿に、ジャンは自分だけ初期装備のヌンチャクなのが気に入らない。
「なんか悲しい事でもあったの?」
自分の感じる苛立ちを説明できず、闇雲に二人にちょっかいをかけるジャンに対して、心配そうに声をかけてしまうラン、もはや後戻りできない母の道。
そしてそんなジャンの苛立ちの原因が、自分だけが拳聖に選ばれていない事だと見抜く真咲美希、母歴十数年の貫禄。
なぞらえとしては新しい玩具を欲しがる子供なのですが、改めてジャンの奔放さとある種の身勝手さは、図体の大きさと知性とのギャップで生まれる“可愛げ”によって許されているのだな、と再確認されたところで、3人はシャーフーより、クラゲに対抗する為に海の力を手に入れるのだ、と新たな拳聖を紹介される……。
その頃、クラゲに心酔しクラゲに愛を捧げるラブ・ソルジャー、臨獣ハーミットクラブ拳のヤドカリが臨獣殿にやってくるが、クラゲに冷たくあしらわれ、追い出されるように出撃。
「わざと冷たくあしらい、気持ちを弄んだように見えましたが」
「だって、それが身を焦がす想いよ〜」
既に調教完成済みのヤドカリについてメレとクラゲが語らっている間、明後日の方向を見つめて佇む理央様は、(もしかしてこれ、先週のセーブデータに戻った方がいい……?)と師匠の選択ミスの可能性に思いを馳せていた。
だがメレにヤドカリの後を追わせたクラゲは突如として理央に迫り…………ろ、ロード、ロード、て、イベント進行中だからシステムメニューを開けません?!
理央様に新たな危機が迫っていた頃、格下ングルは絶海の無人島で拳聖を探して川下り中。その過程でジャンの強靱な肉体とそこから生まれるパワーに惚れ込んだサメの拳聖により、ジャンは二刀流ゲキセイバーを学ぶ事となる。
第10話前後から構造上の問題が明確に噴出し始めた「修行」という要素は今回、拳聖と出会った時には既に終わっていた、と変化を入れてくるのですが、「弟子選抜試験」を「修行」と言い換えているだけでその後はサメとジャンが訓練をする事になるので用法自体が変わってしまっていますし、ゾウとコウモリの時は「修行を任せた」他の二人が、今回に限って「私たちにも修行をつけてほしい」と食い下がるのも、どこかちぐはぐ。
後者に関しては、敵の有無や心境の変化という理由は付けられますが、冒頭でランとレツがジャンを「まだまだ」扱いするのを含め、先輩2人が未だジャンを侮っているので納得ができない、というような構図になってしまいました(^^;
実際、ランとレツの先輩としての優位性は本来ならあって当然ではあるのですが、主に話の都合により、“ランとレツがあまり気にせずジャンを受け入れる事にしてトライアングルを成立させていた”のに、嫌な形で蒸し返してしまった感。
無人島まで来たのだから自分も修行したい、という心情は理解できるのですが、ここまでトライアングルとしての安定感を優先してきた積み重ねとは微妙に齟齬が生まれてしまいました。
筋肉=真理への到達手段が足りない連中は基礎からやらせておいて、サメとジャンはすっかり意気投合し、初めての弟子にむせび泣くサメ。ジャンはジャンで、アンブレイカブル・ボディの価値を認めてくれたサメに懐き、師弟の絆が強調されるのですが、サメに弟子が出来なかったのは、「罠はないよ」と船上に誘っておいて、疲労の蓄積を見計らって問答無用で岩つぶてを投げつけ、更に火を放つという試験内容にあるのではないのかと思われ、「人間はすぐに死んでしまう。だけどジャンは死ななかったから僕の弟子だ!」というサイコキラー感さえ漂います。
つまり、アンブレイカブル・ボディ=壊れない玩具。
…………そういえば似たような理屈で「壁だ、おまえは壁になるのだ」と囁いていた偉い人がどこかに居たような気もしましたが、とにかくサメ、ランとレツに対する無茶な筋トレ要求といい、いっけん善良そうでいて人間として大事な部分のタガが外れているという、これまでの拳聖で最も危ないタイプなのでは。
島に上陸したヤドカリの臨技により、憑依されてしまったサメが格下ングルに襲いかかるが、ジャンのシャキーンポーズで正気を取り戻し、体外へと飛び出すヤドカリ。ジャンは怒りのビーストオンし、セイバー連続攻撃から豚の角煮砲(さらっと掛け声がスキップされていましたが、さて……)でヤドカリは巨大化。
巨大ヤドカリの巻き貝ドリルに苦戦したゲキトージャはマスターサメのアドバイスを受けて激獣サメを召喚するが、今度はそのサメが憑依?されてしまう……! ゲキビーストって激気の塊(イメージ)とかではなかったの?! で、つづく。
第4の拳聖の名前元ネタはジャッキー・チェン! 声は勿論石丸博也! と拳聖のキャスティングは段々と内輪ウケのやり過ぎ感がどうもあるのですが、声優頼りにならないしっかりとしたキャラクターの確立を期待したいところです。勿論、声というのはキャラクター作りの大きな要素になるわけですが、過度の声優ネタは好きではないので、『ハリケンジャー』終盤みたいな事はやらないで欲しいと願いたい。


◆修行その18「シャッキンキーン!身体、強い」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:會川昇
臨技によって奪われたゲキシャークの突撃がゲキトージャに迫ったその時、助太刀に入ったバットがさらりとサメの突撃を受け止めて弾き返す実力を披露。エレファントも現れ、ハンマーによる迎撃で海に沈むシャーク、姿を消すヤドカリだが、それを見たメレは不敵にほくそ笑む……。
自分のアドバイスが弟子達を危機に追いやった事に内心落ち込むサメは、表向き明るく振る舞って気持ちを誤魔化すが、伝統にのっとりビーストアーツもやはり体育会の組織らしく、先輩達(バットからゾウ)から叱責を受ける。そこにしれっとやってきた猫と真咲を加えて、絶海の無人島で豪華拳聖4人が集う合宿生活が始まる事に。
さっそく、先輩達にせっせとかき氷を提供しながら、軽口で場を和ませようとするサメ、辛い、辛すぎるよ……!
コウモリとゾウはそんなサメの筋肉至上主義を否定し、そもそも弟子を取るのが早かったのでは、とヒートアップ。
「いい加減にしろ! サメは俺のマスターだ! ゴロゴロなんだ」
反発したジャンはサメと手に手を取って逃避行し、夕陽の沈みゆく海を見つめながら、人を導く師匠の側の迷いに焦点を置く、というアプローチは一本調子になりがちだった今作の話運びに新味を加えて良かったです。社会的に未成熟で感情表現も拙いながら真っ直ぐにサメを慕うジャン、というピースも上手くはまりました。
だがマスターとしての己に自信を失ったサメは、敢えてジャンに破門を告げると海へと逃亡してしまう。そしてその頃、クラゲに小突かれ続ける理央様も、我慢の限界に達していた。
「俺より強き者はこの世に存在しない。故に俺が誰かを嫉妬することなどない」
孤高の王である理央様にとって、妬みや僻みを力に変えろという、他者との強い感情的繋がりを前提とするクラゲの教えは極めて相性が悪いのですが、飽くなき強さを求める理央が「俺がこの世で最強」という自己矛盾を口にしてまで師弟関係を解消したがる「生理的に無理」感は、理央様の人間的感情がここまでで一番引き出されているように見えるのは、なんとも皮肉(笑)
「ほんとにそうかしら? あなたにも居る筈よ、その存在自体が許せない、そんな、どうしても許せない、身を焦がす相手が……」
クラゲの見透かすような言葉に、理央は足を止める……。
その夜、皆が寝入った所で猫が不審者に襲われ、物凄い勢いで疑われるサメ(笑)
「あいつは未熟者だ……逆恨みし、心に悪が芽生えたのかもしれないゾウ」
「そんなぁ……!」
「かつてそうやって! 三人の仲間が拳魔になった……」
過去の出来事と絡め、悲しいトラウマを言い訳にしながら孤島連続殺人事件への発展を煽るゾウですが、その場合、魔道に堕ちた原因は嫌な先輩2人なのでは。そして真っ先に狙われるのは、いちいち小うるさいケチをつけてくるコウモリだと思うんですが。
まさか自分が殺人未遂事件の第一容疑者にされているとは知らず、洞穴で黄昏れていたサメはラン・レツ・ゾウ・コウモリに発見され、問答無用で拘束されると、申し開きはお白砂でしてもらう、とゾウに引っ立てられてしまう。ビーストアーツでは先輩の好みのグラビアアイドルを把握できていない後輩は、極刑です。
ところがキャンプ場では真咲が暗器で猫に襲いかかり、ゾワゾワセンサーでサメが犯人でない事を確信していたジャンが、それを止める。しかしジャンを弾き飛ばした真咲は、凄まじい形相からまさかの吊り、そして連続飛び蹴り。サメに湯起請させる気満々の4人はこの戦いを目撃し、猫の反撃により真咲を操っていたヤドカリが吐き出される。
クラゲを愛するヤドカリの狙いはそもそも猫、というのは命令通りなのですが、どうして猫が島に来るのを知っていたのか、というのは大きな謎。

  1. メレ様がジャンのゲキトンファーに盗聴器を仕掛けていた。
  2. レツの画商がスクラッチの溜まり場に盗聴器を仕掛けていた。
  3. なつめは難波チルドレン。

さあ、どれだ?!
ヤドカリはジャンの体内に飛び込んで操ろうとするが、強く抵抗したジャンは、ヤドカリを吐き出す事に成功。
「サメが教えてくれた。俺の身体は、強いって。鍛えた頑丈な身体は、どんな攻撃も跳ね返すって」
それはむしろ、内部からの攻撃で負けるパターンなのでは……(笑)
「ば、ばかな……強い身体だから乗っ取れなかっただと?!」
驚愕ごもっともですが…………ま、まあ、世の中には胃液でロボの装甲を溶かし、体内に入り込んだミクロ怪人を涙で外へ排出した人もかつて居たので、鍛え上げられた筋肉は、異次元からの侵略者だって打ち破るのです。
一応理屈をつけるならば、高まった自己肯定力により生じた激気が体内でヤドカリの臨気を打ち消した、というところでしょうか。
「わかったか! サメは偉いんだ! 俺のマスターだ。シャッキンキーンなんだ!」
ジャンは師弟の絆のポーズを決め、真犯人とジャンの逆転劇を目にしたゾウとコウモリはサメの拘束を解除。ジャンを称えるいい話にすり替えて一言もサメに謝らない事に、ビーストアーツの深い闇を見ます。
……歴史は勝者が作るのが常ですが、三拳魔(の内の2人)の性格があそこまで歪んだ背景には、先輩達の度重なるパワハラがあったのでは。
「な〜にいっちょまえに弟子なんか取ろうとしてんのカタくーん。君は俺らの便利な空飛ぶパシリでしょー」とか言われ続けたら、それは憎しみを力に変えもしましょう。
「見ていてくれ、サメ。弟子がどんなに強いか、見せてやる!」
ジャンは主題歌アレンジインストをバックに豪華さ3割増しのバンクで変身し、マスク装着した所でいきなり歌詞が入る! というのは不意打ちが効果的になって格好良かったです。
「体にみなぎる無限の力! アンブレイカブル・ボディ! ゲキレッド!」


そうさ 激気! 激気! 過激に ガン! ガン! 行こうぜ
燃えよ 明日を 変える為に ゲキレンジャーーー!

いい主題歌。
様子を見ていたメレ様が露払い用にリンシーズを召喚してくれて青と黄の棒立ちは回避され、トライアングルは師匠達の前で、それぞれの新装備で立ち回り。二刀流のセイバーは合体して一振りの青竜刀となり、武器デザインとしては非常に格好いい。
ゲキセイバーによるカウンターの水流波でなます斬りになったヤドカリは愛の力で巨大化し、水中へ。ゲキトージャはシャークを獣拳武装すると臆せず立ち向かい、ヤドカリドリルをサイコクラッシャーク頭突きで上回って勝利するのであった。
従来の獣拳武装とはやや毛色が違って、シャークスピン状態になれるのが特徴のゲキトーシャークですが、それにしても頭部がアンバランスすぎる巨大さで、この見た目は、幾らなんでもでは……(笑)
「師匠とは完璧なものではない。弟子によって教えられ、共に育つ。それもまた、師匠よ」
《儂はいい事を言った!》でサメを諭してまとめに入る猫ですが、そろそろ理央の出奔に対するスタンスは気になり、終盤バタバタして大惨事になる前に、早めの積み重ねが欲しいところ。
そして、これまで如何にもという達観して思わせぶりなキャラクターが続いた拳聖の中で、気弱で泣き上戸のサメ、というのは独特のアクセントになって良かったのですが、背後でうんうん頷いている先輩達は、ホント嫌な感じだな!(笑)
塚田Pの傾向を考えると、七拳聖には栄光の7人ライダー〔仮面ライダー1号〜ストロンガー〕概念が投影されている所もありそうですが(シャーフーは立花藤兵衛という感じではありますが)、ナチュラルにパワハラ体質が顔を出すのが、東映特撮の困った所というか……ゾウなんてパワハラ&セクハラで、大炎上確定、拳聖永久追放まっしぐらですよ!
この辺り、拳聖も拳魔もかつては人間だった……という事実が明かされた事で、少しずつマスター達にも仙人的存在ではない人間味を足していく意図かとは思われますが、果たしてどうなりますか。
そして、もしかしたら拳聖達パワハラに耐えかね、「弱小校を俺の力で強くしてやる!」と退部・転校した疑惑も浮上してきた理央様は、一人の男を思い出していた。
「身を焦がす相手……」
それは、炎の闘気を纏う者。
「――虎」
「虎? あの坊や?」
「違う。白い――虎。俺は……奴にだけは勝てなかった。……どうしても」
拳を固く握りしめる理央様、でつづく。
前作『ボウケンジャー』がメインライターとして作風の色濃く出た作品だった事もあり、今作ではどうもぎこちないというか隙間が多いというか、歯車の足りない相性の悪さを感じる會川さんですが、マスターの人間性により踏み込むというアプローチが効果を出して、前編はともかく後編のクライマックスは盛り上がりました。
反面、仲間への信頼など缶ジュース代にもならないという器の小ささをゾウとコウモリが見せ、サメとジャン達を奮起させる為の茶番の可能性もあるかと思ったらどうやら本気だった……? を始めシナリオとしては大小の問題が出ましたが、最終的には主題歌補正を叩きつけてくるクライマックスの演出でカバー。ジャンのみならず青黄にもアクションの見せ場を与えて、ここまでの修行のひとまとめ、という形で見せてきたのは渡辺監督の演出がはまって良かったです。
「修行」にまつわる構造的問題が修正されていくのかはまだ何とも言えない状況ですが、フォーマットエピソードを離れると活き活きとするのは今作の長所であり(同時に短所なわけですが)、理央様の露骨な前振りから時期的にもしばらく、激動の展開を期待したいです。
だが次回――獣拳戦隊、全滅?!