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『獣拳戦隊ゲキレンジャー』感想・第20話

◆修行その20「ギチョギチョ!トライアングル対抗戦」◆ (監督:竹本昇 脚本:横手美智子

「独りよがり、小手先のテクニックだけのジャガー拳に」
「素直と言えば聞こえはいいが、単に愚直なチーター拳」
「それに丈夫で鈍感? それ以外なーんにもナッシンなタイガー拳」

これまで貴方たちがやってきた事はパワハラなんて呼べるものじゃない。これが、本物のパワハラですよ。
……いや、あのですね、第19話の感想を書いた時点ではまだ第20話を見ていなかったので、まさかこんな事になろうとは夢にも思いませんでした。
カゲキを修得しようと焦るトライアングルの前に現れたのは、スクラッチスウェーデン支社のトップ“戦いの女神”ことペンギン、ニューヨークで小説を書いている“荒ぶる賢人”ことゴリラ、アフリカから来た密猟者ハンター“サバンナの遊撃手”ことガゼル、心技体それぞれの頂点を極めた新たな拳聖、人呼んでマスタートライアングルの3人であった!
ペンギン(田中敦子)! ゴリラ(大友龍三郎)! ガゼル(草尾穀)! と豪華メンバーで、東映的にはガゼルがスーパーチェンジしそうでドキドキするのですが、大友龍三郎声のインテリゴリラが、個人的に超ツボ。
ゴリラは、カゲキによってのみ作動するという新装備・スーパーゲキクローを取り出し、早速「今すぐ修行を」「使い方を教えてくれ」と群がるトライアングル。理央に完敗し、師匠が連れ去られる、というかつてない窮地を強調した事でかえって、能動的なようでいて実は受動的――主人公達の奮闘によって「教える側の心を動かす」のではなく、「教えてもらうのが前提」にある今作の弱い所が露骨に出てしまいました。
そういう点では、例の如く猫の紹介ありとはいえ、ブルーが自ら戦いを挑む事でバットに弟子入りを認めさせるエピソードはその段階の工夫があったのですが、「教えてくれる人」が居なくなったという危機的状況において、次の「教えてくれる人」が向こうから来てしまう事で、局面の重要性に対して、展開がいつもの一本調子になってしまったのは、残念。
「カゲキを?!」
「身につける方法?」
「教える、だって?」
マスター達は3人をせせら笑い、これが本物のパワハラですよ。
実はカゲキとは激獣拳4000年の歴史において誰も達した事のない至高の境地であり、教えてもらって修得できるようなものではない……が、一応、修行方法だけは伝承されており、ジャン達はそれぞれの苦手分野でそれぞれのマスターと戦う、三山戦に挑む事に。
今回最大の失敗はこの、4000年の歴史において誰も達した事のない至高の境地にも関わらず、それに対応したピカピカの新装備が用意されていた事。
これにより、ああそれはジャン達を煽る為の嘘で、カゲキ修得者は歴代にそれなりに居たのだろう……と思わざるを得なくなり、この後の修行全ての茶番感が激増する事に。そもそもこれまでの積み重ねから、ジャン達が4000年で初の境地に達するという、説得力が皆無ですし。
作り手としてはここで、トライアングルのヒーロー性(特別性)をジャンプアップさせる意図だったのかもしれませんが、ハッタリが大きすぎて前提が嘘に見えてしまう、という落とし穴にはまってしまいました(^^;
せめてクローが先に用意されていなければ良かったのですが、スクラッチがいつものように新装備を準備万端、というのが完全にハンマー〜ソードの流れとかぶってしまう事で、カゲキの特別性が減じてしまったのは大失点。
「そもそも君は何故、激獣拳を学んでいる?」
気がついたら拉致されて、半強制的に手袋をはめられたからです!
ゴリラのねちねちとした囁き戦術に苛立ちを募らせたジャンは500円積み対決を途中放棄して敗北。怒りのレツは掴み合いの末に勝負を諦めてしまい、駄々をこねるジャンと投げやりになるレツ、という男二人に対して「勝つわ。絶対最後のレツに、繋げてみせる」と宣言したランは、ハーフパイプ対決で奮闘。
その姿にレツが送ったアドバイスを受けてランは引き分けに持ち込み、お母さんの頑張りで再び一つになるトライアングル……
「理央、お主が不可能といった限界突破、意外と早いかもしれんぞ」
「なんだと?」
「仲間がおるというのは、案外強いものじゃ」
「……仲間だと」
これまで“長所を褒めて伸ばす路線”だったビーストアーツが“短所の克服”を要求、それを「仲間」と乗り越える事で、理央の強さとの差異を描く、という話運びそのものは悪くなかったのですが、〔コイン積み・ハーフパイプ・ガチのぶつかり稽古〕という三山戦の内容の落差が大きすぎて試練の統一感に欠け、また、「修行」をキーワードにしているのにその「修行内容」がまるで面白くない、という今作定番の問題点も噴出。
遮二無二タックルを繰り返すレツがひたすらガゼルに千切っては投げ千切っては投げされるのも少々やりすぎて、泥臭くても粘り強く戦い続ける、というより、一人だけ執拗に痛めつけられているようにしか見えなくなってしまい、これが本物のパワハ(以下略)
そして、男2人に心の強さを見せつけてトライアングルの亀裂を修復して引き分けに持ち込んだランママは大金星、ランママ引き分けのきっかけを作り最終的にガゼルに勝利を収めたレツ、はまだ良いとして、雑に試合放棄したけど最終戦でレツにアドバイスを送ったからジャン無罪、という3人の扱いも著しくバランスを欠いてしまいました。
次の展開へのステップとして改めてトライアングルの大切さを描くエピソードにもかかわらず、試合内容において複数の点でトライアングルのバランスが取れていない、という大変困った構造。前回、早々に負けを認めてしまったランとレツの挽回、という要素もあったのでしょうが、それにしても歪な三角形となってしまいました。
ランは正直、作品通して扱いがもう一つなので今回の見せ場は良かったのですが、てっきり、1勝1敗1分けで、ジャンが改めて決定戦に挑む……のだと思っていたので、三山戦のルールとしても拍子抜け。
一方、臨獣殿に囚われながらも、猫センサーでこの成り行きを感じ取るシャーフーに煽られまくった理央は、「もう待たぬ。今すぐやつらを潰す」と言を翻して出陣し、そのゾワンゾワンを感じ取るジャン。
「そっか……トライアングルがマッチリなら、俺たちは負けない!」
「ジャン、レツ、ラン。ここから先は、踏みしめられた道を行くのではない。自ら、道を作るしかないのだ」
「「「はい!」」」
「スーパーゲキクローが、君たちの足下を照らす、灯りになるだろう」
インテリゴリラが格好良く決めて数々のパワハラは勢いで水に流され、クローを手に理央との決戦に走る3人、で続く。
次回――君の勇気がこの胸に! 熱く響いていい感じ! スーパービーストオン!!