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『獣拳戦隊ゲキレンジャー』感想・第39話

◆修行その39「ウロウロ!帰らない子供たち」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:小林雄次
ある日の夜、スクラッチ社員寮のジャンの部屋を訪れてきたのは、家出をしてきた真咲なつめ。
「こっからこっちが私のスペースね」
傍若無人に振る舞うなつめに対し……衝撃……じゃ……ジャンが、ジャンがパジャマを着ていた!!(全世界震撼)
「ジャンー、迷惑かけて申し訳ないんだけど、今夜は泊めてやってくれる?」
「なんで俺が?! やだーーーーーー!!」
「一晩もすれば帰ってくるから。宜しくね」
そして電話をかけてきた母親も、傍若無人だった。
パワハラは獣拳の常、暮らしの中に修行あり、なのです。
部屋の壁にひらがな・カタカナの50音表が貼ってあるのが微笑ましいジャンですが、考えてみると美希の指先一つで、給料が一桁になったり食堂立ち入り禁止になったりフェロー諸島支部送りになったりする立場なので、仕方ないですね。
なつめの家出に、よくある事と大雑把かつ大らかな態度の美希だったが、なつめが姿を消した事で事態は急展開。その影には、世界中の子供達を洗脳する事でその親から悲鳴と絶望を集めようとする、幻獣ユニコーン拳使いの恐るべき企みがあった!
慇懃無礼な二枚目路線のユニコーン拳士はメレに付けられた双幻士の1人であり、見所は、生身バトルでメレ(利己的な愛)に押し勝つレオポルド拳の美希(母の愛)。そして、美希vs洗脳なつめ! なのですが……正直、ここで美希×なつめ回をされても、ピントがずれている感じで盛り上がりきれず。
なつめ自体は、作品にアクセントを加えられるスパイスとしていい味出しているので折に付け登場してくれるのは嬉しいのですが、ここで出すならゴウかケンと絡めてほしかったなかな、と。ある程度やる事やった上で、最終章を前に手の回りきらなかった長官ポジション回を……というのならわかりますが、半ばパロディだったとはいえ既に美希回は一度やってもいるわけで、他に掘り下げた方が良いキャラが居た気してなりません。
宇崎母子、深見兄弟、そして真咲母子(&ケンの兄バカ描写)、と家族の絆に対して、家族を知らず理想を投影するジャンが暖かい気持ちを得る、というエンドが続いているのは次回以降の布石かとは思われますし、師匠と弟子の関係も通しての、親と子の関係、というのは今作の主要なテーマなのでしょうが、今作の端々で見られる構成とバランスの悪さがマイナスに出た感。
実家の取引先の偉い人に好き放題されてサイダインを奪われるチョッパーも、母の愛の強さとそれを応援する娘の愛の力を、棒立ちで見ているだけのバイオレットも、ネタを通り越して泣けてきます。
家出の原因となったエッグタルト(美希はキウイに続いてどこの回し者なのか)を目の前で食べ続ける事で、感情を呼び覚まされたなつめが自分の意志を取り戻す、という展開は時と場合によっては嫌いではないのですが、その後の美希の大暴れを含めて、『忠臣蔵』回と同様、「タイミングが悪かった」なと。
そしてそんな回で、眉間に皺を寄せてキメラ拳士を睨み続け、末は肉体言語の応酬の末にキメラ拳士の正体に気付く、と一人でシリアスをやっている理央様が、いっそ可哀想な感じに。前々回(ランお見合い回)と似た構造なのですが、激獣サイドの弾け具合が不足している為に、メリハリがつくというよりは、単にちぐはぐな印象になっていましました。
後一つ気になったのは、冒頭の美希とジャンの電話シーンで、画面手前に首から下だけ映っている、という形でネタ的に美希の夫が初登場するのですが、物凄く慣れっこかつ鷹揚かつ美希の尻に敷かれているのかもしれませんが、娘が家出の真っ最中に一人でちびちび晩酌している父親、というのは随分と酷い扱い。
最終的に、その他大勢の子供達が真咲母娘の抱擁を見て正気を取り戻すという展開を考えても、デリケートさに欠ける描写であり、全体的にバランスの悪い、歪なトライアングルのエピソードになってしまいました。
「こいつは白虎の激気を持つ男――ダン。俺がシャーフーのもとで、激獣拳を学んでいた頃、兄弟子だった男だ」
理央がキメラ拳士の正体を悟ったところで、つづく!
今回からEDは「キャラソン7番勝負」と題され、まずはジャンから。