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『∀の癒し』(富野由悠季)

ターンエーの癒し

ターンエーの癒し

『Vガンダム』から『∀ガンダム』の頃までの自分と、『∀ガンダム』制作に関する話と、その他思う事色々、をかなり滅茶苦茶に書き綴った備忘録的でもあるエッセイというよりは一種の独り言集。
とりあえず、時系列が前後に動き回る上に、単元ごとに繋がりがなく話があちこちに飛び回り、中の文章も書きたい事をそのまま書いているような部分が割とあって、読み物としてはかなり読みにくいです(^^;
∀ガンダム』制作中の話の次に、企画段階の頃の話が来て、全く関係ない話をしたと思ったら演出技術の話になったりと(まあこの辺り、富野としては繋がっているんでしょうけど)、富野慣れ、というよりは根気が必要な本(笑) 何度か読まないと駄目な気が。
自分が如何にSMが好きであるか、について滔々と語っている章などあるので、富野ファン必読……か?!
話の基軸としては、『Vガンダム』を経て病んでしまった自分が如何にして『∀』を作る中で若い人々と出会い回復するに至ったか、というもの。とはいっても、内容の半分ぐらいは思う事色々で、制作裏話とか期待するとかなり肩すかしなので注意。その辺の話もちょこちょことは載っていますが、メインにはなっていません。
まあ、富野の書く事なのでまるまる鵜呑みには出来ませんが、ある意味では、如何にして富野は少し丸くなったのか、という話でもあるような。
若いスタッフとの付き合い方とかに、少し開眼したようです監督。まあ現実問題として、富野あたりがもう一度本腰を入れて“人を育てる”という事をしてくれないと、本格的な人材の空洞化というのは非常に進んでいるわけなのですが。
お世辞にも上手いとは言い難い大河内一楼(脚本家)を使い続けた理由がなんとなくようやく掴めました。
読み物としては、先に半自伝『だから僕は……』角川スニーカー文庫)を読んでおくのがお薦めです。というかこれを読んでおかないと、ますます訳がわからない(笑)
個人的には、『∀ガンダム』に関してずっと引っかかっていた事が一つ、すっと腑に落ちる事が書いてあったので、それで満足。