- 作者: 黒丸,夏原武
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2005/07/05
- メディア: コミック
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世に詐欺師、3種あり。人を騙し金銭をむしり取る白鷺、異性の心と体を弄ぶ赤鷺、そして人は喰らわず白鷺と赤鷺のみを標的にする詐欺師――黒鷺。既刊7巻で、読んだのは6巻まで。
詐欺師にはめられた父親が起こした無理心中でただ一人生き残った黒崎は、この世の全ての白鷺を食い尽くす為、フィクサーと呼ばれる男から情報を買う、黒鷺となった。詐欺の被害者から得た詐欺師の情報を元に、彼は詐欺師をサギにかけていく――。
大雑把に言うと、詐欺師を詐欺にかける話。式神返しならぬ、詐欺返し。
とはいえヒーロー詐欺師物ではなく、主人公の目的はあくまでも“シロサギを破滅させる事”。なんだかんだで“情報料”として被害者にはだまし取られた金を返しますが、それ以上のあがりもちゃんといただきます。
ややピカレスクな方向性とでもいいましょうか。
前々からちょっと気になってはいたのですが、思ったよりも全然面白かったです。
(おそらくは)ページ数の都合などもあってか、やや心理描写や行動に安易と思わせる所もあるのですが、その辺りも含めて、現実に対する戯画(カリカチュア)としての、マンガの機能が非常に活きています。その、戯画的な部分を含めて、面白い。
一つ一つのエピソードが大体2、3話、長くても6話ぐらいで終わる、というのもテンポが良くて良い感じ。
騙す側の欲望、騙される側の欲望、そして騙す側を騙す男。その描き方が秀逸で、色々なエピソードを読みたくなる、そんなマンガ。
一つ文句をつけるとしたら、ヒロイン的存在の女の子(それほど出てくるわけでもない)の名前が、吉川氷柱。
……つ、つらら? というネーミングはどこから出てきたのだろうなぁ(笑)